民法第197条・物権
民法第197条:占有の訴え
占有そのものを根拠に訴えを起こせます。しかも「他人のために占有をする者」も同じ。3種類の占有の訴えへの入口となる条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
借りているだけの土地に、勝手に物を置かれちゃった。所有者じゃないわたしでも、どけてって言えるのかな?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
言えるとも。民法197条が、その入口を開いておる。「他人のために占有をする者も、同様とする」——この後段がレガちゃんを助けるのじゃよ。
条文の内容
占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰が | 占有者/他人のために占有をする者 |
| 何を | 占有の訴え占有の訴え占有を妨害されたときなどに、占有それ自体を根拠として救済を求める訴え(民法197条〜202条)。保持・保全・回収の3種類があります。用語ページを見る →を提起できる |
| どこに従って | 次条から第202条までの規定に従い |
3種類の占有の訴え
条文が指す「次条から第202条まで」には、3つの訴えが並んでいます。
| 訴え | 条文 | 起きたこと | 請求できること |
|---|---|---|---|
| 占有保持の訴え占有保持の訴え占有を妨害されたときに、妨害の停止と損害の賠償を請求する訴え(民法198条)。妨害が続いている間か、消滅した後1年以内に提起します(民法201条1項)。用語ページを見る → | 民法198条 | 占有を妨害された | 妨害の停止+損害賠償 |
| 占有保全の訴え占有保全の訴え占有を妨害されるおそれがあるときに、妨害の予防または損害賠償の担保を請求する訴え(民法199条)。まだ妨害が起きていない段階で使えます。用語ページを見る → | 民法199条 | 妨害されるおそれ | 妨害の予防又は損害賠償の担保 |
| 占有回収の訴え占有回収の訴え占有を奪われたときに、物の返還と損害の賠償を請求する訴え(民法200条1項)。占有を奪われた時から1年以内に提起しなければなりません(民法201条3項)。用語ページを見る → | 民法200条 | 占有を奪われた | 物の返還+損害賠償 |
提起できる期間は民法201条が、本権の訴え本権の訴え所有権などの本権を根拠として物の返還等を求める訴え。占有の訴えとは互いに妨げず、占有の訴えについて本権に関する理由で裁判することはできません(民法202条)。用語ページを見る →との関係は民法202条が定めます。
「他人のために占有をする者」
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
賃借人でも訴えられるんだね。所有者じゃないのに。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが占有の訴えの本質じゃ。守っておるのは「持ってよい権利」ではなく、現に持っておるという事実じゃからのう。民法180条で見たとおり、占有権に権原は要らぬ。
民法181条の代理占有代理占有他人(占有代理人)に物を所持させることで、本人が占有権を持つこと(民法181条)。賃借人に貸している間も、賃貸人は占有権を失いません。用語ページを見る →を思い出せば、占有代理人も本人も、それぞれ占有の訴えを起こせることになる。占有は重なる——ここでも効いてくるのじゃ。
資格別の演習
他人のために占有をする者も、占有の訴えを提起することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法197条後段が「他人のために占有をする者も、同様とする」と定めています。
占有の訴えを提起できるのは、所有権その他の本権を有する占有者に限られる。
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解答:×
誤りです。占有の訴えは占有という事実を根拠とするものであり、本権の有無は要件とされていません。民法197条は「占有者は」とのみ定めています。
民法197条が定める占有の訴えには、占有保持の訴え、占有保全の訴え、占有回収の訴えの3種類がある。
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解答:◯
正しい記述です。民法198条(保持)、199条(保全)、200条(回収)がそれぞれ定めており、民法197条はこれらを「次条から第二百二条までの規定に従い」と参照しています。