民法第294条・物権
民法第294条:共有の性質を有しない入会権
共有の性質を有しない入会権には、地役権の規定が準用されます。民法263条と対をなす、第六章の締めくくりです。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
入会権入会権村落などの住民が、山林や原野を共同で利用する慣習上の権利。共有の性質を有するものについては各地方の慣習に従うほか、共有の規定が適用されます(民法263条)。用語ページを見る →って民法263条で出てきたよね。どうしてここにもあるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
入会権には2種類あるからじゃ。民法263条が一方を、294条がもう一方を引き受けておる。離れた2か条で、ひとそろいじゃな。
条文の内容
共有の性質を有しない入会権については、各地方の慣習に従うほか、この章の規定を準用する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 対象 | 共有の性質を有しない入会権 |
| 第一に | 各地方の慣習慣習その社会や取引で繰り返し行われてきたやり方のこと。任意規定と異なる慣習は、当事者がそれによる意思を有していると認められるときに従われます(民法92条)。用語ページを見る →に従う |
| そのほか | この章(第六章「地役権地役権設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利(民法280条)。通行や引水のために設定されます。用語ページを見る →」)の規定を準用する |
民法263条との対
| 民法263条 | 民法294条 | |
|---|---|---|
| 対象 | 共有の性質を有する入会権 | 共有の性質を有しない入会権 |
| 準用される規定 | この節(第三節「共有共有一つの物を複数人で所有すること。各共有者は共有物の全部について、その持分に応じた使用ができます(民法249条1項)。用語ページを見る →」) | この章(第六章「地役権」) |
| 慣習 | 各地方の慣習に従うほか | 同じ |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
片方は共有、もう片方は地役権。準用先が違うんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが2つの条文の核心じゃ。
土地そのものを村の人々が持っておるなら、共有に近い。だから民法263条は共有の規定を持ってくる。
土地は他人(村や個人)のものだが、そこに入って草木を採るという形なら、他人の土地を自分たちのために使う関係じゃ。地役権に近い——だから294条は地役権の規定を持ってくる。
なお、最判昭和63年1月18日(集民第153号1頁)は、共有の性質を有しない入会地の上に生育する天然の樹木について、判示の事実関係のもとでその入会地の所有者である村の所有に属するとしておる。土地の所有者が別にいる型じゃな。
どちらも慣習が第一
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
どっちも「各地方の慣習に従うほか」で始まるんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこは変わらぬ。入会は、民法が生まれる前から続いてきた仕組みじゃからのう。民法は枠を添えるだけで、中身は土地に委ねておる。
第六章はここまでじゃ。次の民法295条からは第七章「留置権留置権他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利(民法295条1項)。修理代を払ってもらうまで品物を返さない、という場面が典型です。用語ページを見る →」——担保物権の世界に入るぞ。他人の土地を使う権利の話は終わり、債権を回収するための権利が始まるのじゃ。
資格別の演習
共有の性質を有しない入会権については、各地方の慣習に従うほか、地役権に関する規定が準用される。
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解答:◯
正しい記述です。民法294条がそのとおり定めています。
共有の性質を有しない入会権については、共有に関する民法第二編第三章第三節の規定が準用される。
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解答:×
誤りです。共有の規定が準用されるのは、民法263条の「共有の性質を有する入会権」です。共有の性質を有しない入会権については、民法294条により地役権の規定が準用されます。
民法263条と294条は、いずれも入会権について各地方の慣習に従うことを第一に掲げている。
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解答:◯
正しい記述です。両条とも「各地方の慣習に従うほか」として、慣習を優先させています。