民法第481条・債権
民法第481条:差押えを受けた債権の第三債務者の弁済
差押え後に自己の債権者へ弁済しても、差押債権者は受けた損害の限度で更に弁済を請求できます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
差押えを受けたのに、うっかり元の債権者に払っちゃったら?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
もう一度払わされることがある。 民法481条じゃ。第三債務者第三債務者質権や差押えの目的とされた債権の債務者のこと。債権質では、この者への通知又はこの者の承諾が対抗要件となります(民法364条)。用語ページを見る →にとって、いちばん怖い条文かもしれぬのう。
1項:更に弁済を請求される
差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 差押えを受けた債権の第三債務者が**自己の債権者に弁済弁済債務の内容である給付を実現して債権を満足させること。債務者が債権者に弁済をしたとき、その債権は消滅します(民法473条)。用語ページを見る →**をした |
| 誰が | **差押債権者差押債権者債務者の財産(債権を含む)を差し押さえた債権者のこと。用語ページを見る →**は |
| 何を | その受けた損害の限度において、更に弁済をすべき旨を請求できる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「その受けた損害の限度において」——全額じゃないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが要じゃ。 差押債権者が現に被った損害の範囲——それを超えては請求できぬ。
たとえば差押債権者の債権額が、差し押さえた債権より少なければ、損害もその範囲にとどまる——条文の言葉が上限を定めておるのじゃな。
2項:第三債務者は求償できる
前項の規定は、第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
二重に払った分は、受け取った人に返してもらえるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
当然の手当てじゃ。 第三債務者が二度払いしたまま終わっては酷じゃからのう。
**「妨げない」**という言い回しに注目せよ。新しく求償権求償権他人のために出捐した者が、その負担すべき者に対して返還を求める権利のこと。物上保証人は、保証債務に関する規定に従い債務者に求償できます(民法351条)。用語ページを見る →を創設するのではなく、当然にあるものを確認しておる——民法476条後段と同じ書きぶりじゃな。
重複差押えと転付命令
最高裁は、債権が重複して差し押さえられた場合について次のように判断しました。
甲が、乙に対する債権に基づいて、乙の丙に対する債権を差し押えて取立命令を得た後に、乙に対する他の債権者丁が、同一債権を重ねて差し押えて無効な転付命令を得た場合には、たとい丙が善意無過失で丁に弁済しても、甲は、民法第四八一条第一項の規定に基づき、丙に対して重ねて弁済を請求することができる。 (最判昭和40年11月19日・民集第19巻8号1986頁)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
善意無過失でもだめなの!? 民法478条があるのに。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「たとい丙が善意無過失で丁に弁済しても」と、わざわざ書いておる。主観を問わずに民法481条1項が働くという判断じゃな。
登場人物を整理せよ。
| 記号 | 立場 |
|---|---|
| 甲 | 先に差し押さえて取立命令を得た差押債権者 |
| 乙 | 債務者 |
| 丙 | 第三債務者(乙に対して債務を負う者) |
| 丁 | 後から重ねて差し押さえ、無効な転付命令を得た債権者 |
丙が丁に払った。しかし丁の転付命令は無効じゃった。 だから甲は、丙に重ねて弁済を請求できる——そう判示しておる。
差押えを受けた第三債務者は、慎重のうえにも慎重であれ——この判例が伝えておるのはそこじゃな。
資格別の演習
差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法481条1項がそのとおり定めています。
差押え・取立命令を得た債権者がある債権について、他の債権者が重ねて差し押さえて無効な転付命令を得た場合、第三債務者が善意無過失でその者に弁済しても、先の差押債権者は民法481条1項に基づき重ねて弁済を請求することができる。
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解答:◯
正しい記述です。最判昭和40年11月19日(民集第19巻8号1986頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。
民法481条1項により更に弁済をした第三債務者は、自己の債権者に対して求償することができない。
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解答:×
誤りです。民法481条2項は「第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない」と定めています。
一次情報を確認する
- e-Gov法令検索:民法第481条
- 最判昭和40年11月19日(民集 第19巻8号1986頁)(昭和39(オ)129)