民法第203条・物権
民法第203条:占有権の消滅事由
占有の意思を放棄するか、所持を失えば占有権は消えます。ただし占有回収の訴えを提起したときは別——ただし書が第三節のかなめです。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
占有を奪われたら、その瞬間に占有権は消えちゃうの? それだと訴えても意味がないような……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい心配じゃ。民法203条は、ただし書でそこを塞いでおる。第三節「占有権の消滅」の1本目じゃな。
条文の内容
占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。
消滅事由は2つです。
| # | 消滅事由 |
|---|---|
| ① | 占有者が占有の意思を放棄したこと |
| ② | 占有物の所持を失うこと |
民法180条は「自己のためにする意思」と「所持」を取得の要件としていました。その2つを失えば消える、という素直な作りです。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
取得の要件が裏返っているだけなんだ。分かりやすい!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そして、ただし書じゃ。
ただし書:占有回収の訴えを提起したとき
ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
奪われれば所持所持物を事実上支配している状態のこと。占有権は、自己のためにする意思をもってこの所持をすることで取得されます(民法180条)。用語ページを見る →を失う。②にあたるゆえ、そのままなら占有権は消える。じゃがそれでは、民法200条の占有回収の訴え占有回収の訴え占有を奪われたときに、物の返還と損害の賠償を請求する訴え(民法200条1項)。占有を奪われた時から1年以内に提起しなければなりません(民法201条3項)。用語ページを見る →を起こしても訴える資格がないことになってしまう。
ただし書は、その矛盾を断ち切っておる。訴えを提起したときは消えぬ、と。200条と203条は、二つで一つと覚えておくとよい。
民法204条との違い
| 条文 | 場面 |
|---|---|
| 民法203条 | 自己占有(自分で所持している場合)の消滅 |
| 民法204条 | 代理占有代理占有他人(占有代理人)に物を所持させることで、本人が占有権を持つこと(民法181条)。賃借人に貸している間も、賃貸人は占有権を失いません。用語ページを見る →の消滅 |
資格別の演習
占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。
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解答:◯
正しい記述です。民法203条本文がそのとおり定めています。民法180条の取得要件と対応しています。
占有物の所持を失った場合、占有回収の訴えを提起したときであっても、占有権は失われる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法203条ただし書は「占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない」としています。
民法203条ただし書は、占有回収の訴えの提起を可能にするうえで意味を持つ規定である。
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解答:◯
正しい記述です。所持を失えば占有権が消滅するとすると、民法200条の占有回収の訴えを提起する前提を欠くことになります。ただし書はこの点を手当てしています。