刑法第27条の5・総則
刑法第27条の5:刑の一部の執行猶予の裁量的取消し
「取り消すことができる」2つの場合です。保護観察の遵守事項違反について「情状が重いとき」という限定がない点が、全部執行猶予との違いです。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
全部執行猶予には裁量的取消しが3つあったけど、こっちは?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
2つじゃ。しかも、そのうちの1つは全部執行猶予より軽い要件で取り消せる。よく比べてみるのじゃ。
条文の内容
刑法27条の5は、次に掲げる場合においては、刑の一部の執行猶予刑の一部の執行猶予拘禁刑の一部だけを実際に執行し、残りの部分の執行を猶予する制度(刑法27条の2)。猶予期間は、執行された部分を終えた日から起算されます。用語ページを見る →の言渡しを取り消すことができると定めます。
| 号 | 場合 |
|---|---|
| 1号 | 猶予の言渡し後にさらに罪を犯し、罰金に処せられたとき |
| 2号 | 刑法27条の3第1項により保護観察保護観察社会の中で生活させながら、指導監督と補導援護を行って改善更生を図る処遇のこと。刑法25条の2は、全部執行猶予に付す場合と必ず付される場合を分けています。用語ページを見る →に付せられた者が遵守すべき事項を遵守しなかったとき |
26条の2との比較
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
あ、2号に「情状が重いとき」が無い!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが決め手じゃ。全部執行猶予の26条の2第2号は「遵守せず、その情状が重いとき」と重ねて要件を課しておるが、27条の5第2号は「遵守しなかったとき」だけ。取消しの敷居が一段低いのじゃよ。
| 26条の2(全部) | 27条の5(一部) | |
|---|---|---|
| 号の数 | 3つ | 2つ |
| 罰金に処せられたとき | 1号(猶予の期間内に犯した罪) | 1号(猶予の言渡し後に犯した罪) |
| 遵守事項違反 | 2号(情状が重いとき) | 2号(遵守しなかったとき) |
| 前刑が執行猶予付きと発覚 | 3号あり | 規定なし |
仮解除との関係
刑法27条の3第3項により、保護観察が仮に解除されている間は、この27条の5第2号の適用について保護観察に付せられなかったものとみなされます。したがって、仮解除中の期間について遵守事項違反を理由に取り消されることはありません。
取消しの連鎖
刑法27条の4または27条の5により一部執行猶予が取り消されたときは、刑法27条の6により、執行猶予中の他の拘禁刑についても猶予の言渡しを取り消さなければなりません。裁量的取消し裁量的取消し要件にあたっても、取り消すかどうかを裁判所の判断にゆだねる場合のこと。刑法26条の2・27条の5は「取り消すことができる」と定めています。用語ページを見る →による場合でも、この連鎖は必要的です。
資格別の演習
刑の一部の執行猶予中に保護観察に付された者が遵守すべき事項を遵守しなかったときは、その情状の重さを問わず、一部執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法27条の5第2号は「遵守すべき事項を遵守しなかったとき」とのみ定めており、全部執行猶予に関する刑法26条の2第2号のような「その情状が重いとき」という限定がありません。
刑の一部の執行猶予の言渡し後にさらに罪を犯して罰金に処せられたときは、一部執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法27条の5第1号が定める裁量的取消しにあたります。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
27条の4と27条の5をまとめると、「一部執行猶予は取り消されやすい」。それだけ実刑部分を経た者への猶予は重いものだ、ということじゃな。