民法
全1158記事。条文ごとに、キャラクター対話・用語カード・資格横断の類題を収録しています。
総則
- 第1条民法第1条:基本原則(公共の福祉・信義則・権利濫用)民法1000条余りの出発点にある3つの原則。私権は公共の福祉に適合すること、権利行使と義務履行は信義に従い誠実に行うこと、権利の濫用は許されないことを定めています。
- 第2条民法第2条:解釈の基準民法は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として解釈しなければなりません。条文の読み方そのものを縛る、たった一文の条文です。
- 第3条民法第3条:権利能力(私権の享有は出生に始まる)人は生まれた瞬間に、権利を持ち義務を負う資格を得ます。外国人も原則として私権を享有します。胎児がどう扱われるかは、民法の別の条文が例外を置いています。
- 第3条の2民法第3条の2:意思能力意思表示をした時に意思能力がなかったなら、その法律行為は無効です。年齢や審判で線を引く行為能力の制度と対になる、その土台にあたる条文です。
- 第4条民法第4条:成年年齢18歳をもって成年とします。たった一行の条文ですが、行為能力・婚姻・養親・遺言など、年齢で線を引く制度全体の起点になります。
- 第5条民法第5条:未成年者の法律行為未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意が必要で、同意なくした行為は取り消せます。ただし「単に権利を得、又は義務を免れる行為」と、処分を許された財産の処分は例外です。
- 第6条民法第6条:未成年者の営業の許可一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては成年者と同一の行為能力を持ちます。堪えられない事由があるときは、法定代理人が許可を取り消し、又は制限できます。
- 第7条民法第7条:後見開始の審判精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所が後見開始の審判をすることができます。請求できる者は条文に列挙されています。
- 第8条民法第8条:成年被後見人及び成年後見人後見開始の審判を受けた者は成年被後見人となり、これに成年後見人が付されます。二つの呼び名がここで生まれ、以後の条文はこの言葉で書かれていきます。
- 第9条民法第9条:成年被後見人の法律行為成年被後見人の法律行為は取り消すことができます。ただし日用品の購入その他日常生活に関する行為は例外で、同意を得ていても取り消せる点が未成年者と決定的に違います。
- 第10条民法第10条:後見開始の審判の取消し民法7条の原因が消滅したときは、家庭裁判所は請求により後見開始の審判を取り消さなければなりません。「することができる」ではなく義務として書かれている点が要点です。
- 第11条民法第11条:保佐開始の審判事理を弁識する能力が著しく不十分である者について、家庭裁判所が保佐開始の審判をすることができます。後見の原因がある者は対象から外れる、というただし書が置かれています。
- 第12条民法第12条:被保佐人及び保佐人保佐開始の審判を受けた者は被保佐人となり、これに保佐人が付されます。民法8条と同じ形の、呼び名と保護者を決める一文です。
- 第13条民法第13条:保佐人の同意を要する行為等被保佐人が保佐人の同意を得なければならない行為を、1項が10号にわたって列挙します。審判による追加、同意に代わる許可、そして取消しまでを定めた、保佐制度の中心となる条文です。
- 第14条民法第14条:保佐開始の審判等の取消し民法11条本文の原因が消滅したときは、家庭裁判所は請求により保佐開始の審判を取り消さなければなりません。2項は13条2項で追加された同意事項の取消しを定めます。
- 第15条民法第15条:補助開始の審判事理を弁識する能力が不十分である者について補助開始の審判ができます。本人以外の者の請求によるときは本人の同意が必要で、必ず17条1項か876条の9第1項の審判とともにしなければなりません。
- 第16条民法第16条:被補助人及び補助人補助開始の審判を受けた者は被補助人となり、これに補助人が付されます。民法8条・12条と同じ形ですが、補助人の権限は審判で個別に決まる点が大きく違います。
- 第17条民法第17条:補助人の同意を要する旨の審判等補助人の同意権は、特定の法律行為について審判で定めてはじめて生じます。その対象は民法13条1項の行為の一部に限られ、本人以外の請求によるときは本人の同意も必要です。
- 第18条民法第18条:補助開始の審判等の取消し民法15条1項本文の原因が消滅したときは補助開始の審判を取り消さなければなりません。同意の審判と代理権の審判をすべて取り消す場合にも、補助開始の審判の取消しが義務づけられます。
- 第19条民法第19条:審判相互の関係後見・保佐・補助が同時にかからないよう、新しい審判をするときは前の審判を取り消さなければならないと定めます。制度を乗り換えるときの整理を一手に引き受ける条文です。
- 第20条民法第20条:制限行為能力者の相手方の催告権取り消されるかもしれない不安定な立場に置かれた相手方に、確答を求める催告権を与える条文です。誰に催告したかで、返事がないときの効果が追認と取消しに分かれます。
- 第21条民法第21条:制限行為能力者の詐術制限行為能力者が「自分は行為能力者だ」と信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。保護に値しなくなった者から、取消権そのものを外す条文です。
- 第22条民法第22条:住所住所とは「生活の本拠」である、とだけ定めた一文の条文です。届出や住民票ではなく、実際の生活の実態から決まる点を、最高裁の事例が具体的に示しています。
- 第23条民法第23条:居所住所が知れないときは居所を住所とみなす、という補充の条文です。2項は日本に住所を有しない者を扱い、ただし書で準拠法の問題に道を譲っています。
- 第24条民法第24条:仮住所ある行為について仮住所を選定すると、その行為に関してだけ仮住所が住所とみなされます。当事者の選択で住所を置き換えられる、住所まわりで唯一の条文です。
- 第25条民法第25条:不在者の財産の管理住所や居所を去った人が財産の管理人を置かなかったとき、家庭裁判所が必要な処分を命じます。本人がいない間、残された財産をどう守るかを定める節の入口です。
- 第26条民法第26条:管理人の改任不在者が自分で管理人を置いていても、その生死が明らかでなくなったときは、家庭裁判所が管理人を改任できます。本人の選択を裁判所が上書きできる、例外的な場面です。
- 第27条民法第27条:管理人の職務家庭裁判所が選任した管理人は、財産目録を作らなければなりません。本人が置いた管理人にも、生死不明なら目録作成を命じられます。財産を守る仕事の出発点を定めた条文です。
- 第28条民法第28条:管理人の権限管理人が民法103条の権限を超える行為をするには、家庭裁判所の許可が必要です。保存・利用・改良までは自由、それを超える処分には歯止め、という線引きを定めています。
- 第29条民法第29条:管理人の担保提供及び報酬家庭裁判所は、管理人に担保を立てさせることができ、不在者の財産の中から相当な報酬を与えることもできます。任せる側の不安と、引き受ける側の労に、ひとつの条文で応えています。
- 第30条民法第30条:失踪の宣告生死が7年間明らかでないとき、家庭裁判所は失踪の宣告をすることができます。2項は危難に遭遇した場合を1年に縮め、起算点も別に定めています。
- 第31条民法第31条:失踪の宣告の効力失踪の宣告を受けた者は、死亡したものとみなされます。死亡とみなされる時点が1項と2項で違い、そこから相続の開始時期などが決まります。
- 第32条民法第32条:失踪の宣告の取消し生存や別の死亡時の証明があれば、家庭裁判所は失踪の宣告を取り消さなければなりません。ただし取消し前に善意でした行為は影響を受けず、財産の返還も現存利益にとどまります。
- 第32条の2民法第32条の2:同時死亡の推定複数人が死亡し、どちらが後まで生きていたか明らかでないときは、同時に死亡したものと推定されます。相続で誰が誰を相続するかを決めるための、前提となる条文です。
- 第33条民法第33条:法人の成立等法人は、法律の規定によらなければ成立しません。第三章「法人」の入口に置かれ、設立・組織・運営・管理を個別の法律へ委ねることを宣言する条文です。
- 第34条民法第34条:法人の能力法人は、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において権利を有し、義務を負います。会社の政治献金をめぐる八幡製鉄事件が、この「目的の範囲」の広さを示しています。
- 第35条民法第35条:外国法人外国法人は、国・国の行政区画・外国会社を除き、その成立が認許されません。認許された外国法人は、日本の同種の法人と同一の私権を有します。
- 第36条民法第36条:登記法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより登記をするものとする、と定める一文です。何をいつ登記するかは、個別の法令に委ねられています。
- 第37条民法第37条:外国法人の登記認許された外国法人が日本に事務所を設けたときの登記を、8つの項にわたって定めます。登記事項・期間・対抗力・成立の否認・移転・過料まで、民法に残る唯一の詳細な登記規定です。
- 第38条民法第38条〜第84条:削除第三章「法人」のうち、民法38条から84条までは現行法で「削除」です。条数が第37条から第85条へ飛ぶ理由と、法人の規定が今どこにあるのかを確認します。
- 第85条民法第85条:物の定義民法にいう「物」とは有体物である、と定めた一文です。第四章「物」の入口として、権利の対象となるものの範囲をここから組み立てていきます。
- 第86条民法第86条:不動産及び動産土地及びその定着物を不動産とし、それ以外の物をすべて動産とする、二分法の条文です。対抗要件や取得のルールが分かれる出発点になります。
- 第87条民法第87条:主物及び従物所有者が物の常用に供するため自分の物を附属させると、それが従物になります。「従物は、主物の処分に従う」の一文が、抵当権の効力の及ぶ範囲にも及びます。
- 第88条民法第88条:天然果実及び法定果実物が生み出すものを、天然果実と法定果実の2つに分けて定義します。果物や作物だけでなく、賃料のようなお金も「果実」として扱われる点が要です。
- 第89条民法第89条:果実の帰属天然果実は元物から分離する時の権利者に帰属し、法定果実は日割計算で取得します。生まれ方が違えば、誰のものになるかの決め方も違うという条文です。
- 第90条民法第90条:公序良俗公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は無効です。第五章「法律行為」の入口に置かれ、契約自由に対する最も基本的な歯止めとなる条文です。
- 第91条民法第91条:任意規定と異なる意思表示法令中の「公の秩序に関しない規定」と異なる意思を表示したときは、その意思に従います。任意規定と強行規定という区別を、条文の言葉から読み取る条文です。
- 第92条民法第92条:任意規定と異なる慣習任意規定と異なる慣習があり、当事者がその慣習による意思を有していると認められるときは、その慣習に従います。慣習が条文を上回るための条件を定めた条文です。
- 第93条民法第93条:心裡留保「冗談で売ると言った」場合、その約束は有効なのか。本心でないと分かっていながらした意思表示=心裡留保のルールを整理します。
- 第94条民法第94条:虚偽表示相手方と示し合わせてした「ウソの契約」は無効です。ただし、その外観を信じた善意の第三者には無効を主張できません。当事者間の無効と第三者保護の関係を整理します。
- 第95条民法第95条:錯誤勘違いに基づく意思表示は、その錯誤が重要なものであるときに取り消せます。2種類の錯誤、基礎事情の表示、重過失による制限、第三者保護と、4項すべてに関門がある条文です。
- 第96条民法第96条:詐欺又は強迫だまされた・おびやかされた意思表示は取り消せます。ただし第三者が詐欺をした場合には相手方の主観が問われ、詐欺による取消しは善意無過失の第三者に対抗できません。強迫との扱いの差が要です。
- 第97条民法第97条:意思表示の効力発生時期等意思表示は通知が相手方に到達した時から効力を生じます。到達を妨げられた場合のみなし到達と、発信後に表意者が死亡等した場合の扱いもあわせて定めています。
- 第98条民法第98条:公示による意思表示相手方や所在が分からないとき、公示の方法で意思表示ができます。掲示と官報掲載から2週間で到達とみなされますが、表意者に過失があれば到達の効力を生じません。
- 第98条の2民法第98条の2:意思表示の受領能力意思表示を受けた時に意思能力がなかった者や、未成年者・成年被後見人には、その意思表示を対抗できません。ただし法定代理人などが知った後は対抗できます。
- 第99条民法第99条:代理行為の要件及び効果代理人が権限内で本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に直接効力を生じます。第三節「代理」の入口として、代理の3要件を示す条文です。
- 第100条民法第100条:本人のためにすることを示さない意思表示顕名をしないでした意思表示は、代理人が自分のためにしたものとみなされます。ただし相手方が代理であることを知り、又は知ることができたときは、代理として扱われます。
- 第101条民法第101条:代理行為の瑕疵だまされたか、知っていたか。意思表示に問題があったかどうかは、原則として代理人について判断します。ただし特定の行為を委託した本人は、自分が知っていた事情を持ち出せません。
- 第102条民法第102条:代理人の行為能力制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由に取り消せません。効果が本人に帰属する代理では、代理人自身を守る必要がないからです。
- 第103条民法第103条:権限の定めのない代理人の権限権限の定めのない代理人ができるのは、保存行為と、性質を変えない範囲での利用・改良だけです。処分行為が枠の外にあることを示す、短くて効き目の広い条文です。
- 第104条民法第104条:任意代理人による復代理人の選任委任による代理人が復代理人を選任できるのは、本人の許諾を得たときか、やむを得ない事由があるときだけです。信頼して選ばれた者の勝手な下請けを封じる条文です。
- 第105条民法第105条:法定代理人による復代理人の選任法定代理人は自己の責任で復代理人を選任できます。やむを得ない事由があるときは、責任が選任・監督の範囲に軽くなります。任意代理人との違いが際立つ条文です。
- 第106条民法第106条:復代理人の権限等復代理人は本人を代表し、本人及び第三者に対して代理人と同一の権利を有し義務を負います。「代理人の代理人」ではないことを条文が明示しています。
- 第107条民法第107条:代理権の濫用代理人が自己や第三者の利益を図る目的で権限内の行為をし、相手方がその目的を知り又は知ることができたときは、無権代理とみなされます。権限はあるのに効果が本人に及ばない場面です。
- 第108条民法第108条:自己契約及び双方代理等自己契約・双方代理と、代理人と本人との利益相反行為は、無権代理とみなされます。ただし債務の履行と本人があらかじめ許諾した行為は除かれます。
- 第109条民法第109条:代理権授与の表示による表見代理等「あの人に代理権を与えた」と第三者に表示した者は、その表示どおりの責任を負います。2項は、表示された範囲を超えた行為にまで責任が及ぶ場合を定めています。
- 第110条民法第110条:権限外の行為の表見代理代理人が権限外の行為をした場合でも、第三者に代理権があると信ずべき正当な理由があれば、本人が責任を負います。94条2項との類推適用でも登場する条文です。
- 第111条民法第111条:代理権の消滅事由代理権は、本人の死亡、代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判で消滅します。委任による代理権は、これに加えて委任の終了でも消滅します。
- 第112条民法第112条:代理権消滅後の表見代理等代理権が消滅した後の行為でも、消滅を知らず過失もない第三者は保護されます。2項は、消滅した代理権の範囲すら超えた行為について正当な理由を求めます。
- 第113条民法第113条:無権代理代理権のない者がした契約は、本人が追認しなければ本人に効力を生じません。無効でも有効でもない宙づりの状態を、本人の意思で確定させる仕組みです。
- 第114条民法第114条:無権代理の相手方の催告権相手方は本人に対し、相当の期間を定めて追認するかどうかの催告ができます。確答がなければ追認を拒絶したものとみなされる点が、民法20条と逆向きです。
- 第115条民法第115条:無権代理の相手方の取消権本人が追認をしない間、相手方は契約を取り消せます。ただし契約の時に代理権のないことを知っていた相手方は取り消せません。悪意の相手方が外される場面です。
- 第116条民法第116条:無権代理行為の追認追認は契約の時にさかのぼって効力を生じます。ただし第三者の権利を害することはできません。さかのぼるからこそ、その間に生まれた権利を守る歯止めが要ります。
- 第117条民法第117条:無権代理人の責任本人が追認しないとき、無権代理人は相手方の選択に従って履行又は損害賠償の責任を負います。2項が3つの免責事由を並べ、判例が「過失」の意味と表見代理との関係を示しています。
- 第118条民法第118条:単独行為の無権代理単独行為の無権代理には、相手方が同意したか代理権を争わなかった場合に限って113条から117条までが準用されます。契約より厳しい条件が置かれた条文です。
- 第119条民法第119条:無効な行為の追認無効な行為は追認しても効力を生じません。ただし無効と知って追認したときは、新たな行為をしたものとみなされます。第四節「無効及び取消し」の入口です。
- 第120条民法第120条:取消権者取り消せる人は条文が限定しています。行為能力の制限による取消しと、錯誤・詐欺・強迫による取消しとで、取消権者の範囲が違う点が要です。
- 第121条民法第121条:取消しの効果取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされます。取消しがあってはじめて無効になる点で、はじめから無効な行為とは出発点が違います。
- 第121条の2民法第121条の2:原状回復の義務無効な行為で給付を受けた者は原状回復義務を負うのが原則です。無償行為の善意の受領者と、意思能力を欠いていた者・制限行為能力者は現存利益にとどまります。
- 第122条民法第122条:取り消すことができる行為の追認取消権者が追認すると、以後その行為を取り消すことができなくなります。宙づりの状態を「有効」の側へ確定させる一文です。
- 第123条民法第123条:取消し及び追認の方法相手方が確定している場合、取消しと追認は相手方に対する意思表示によってします。誰に伝えれば効くのかを定めた、短くて実務的な条文です。
- 第124条民法第124条:追認の要件追認が効力を生じるには、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った後であることが必要です。2項は保護者が追認する場合などの例外を定めます。
- 第125条民法第125条:法定追認追認をすることができる時以後に6つの事実のいずれかがあったときは、追認をしたものとみなされます。異議をとどめれば別ですが、黙って動けば確定してしまう条文です。
- 第126条民法第126条:取消権の期間の制限取消権は、追認をすることができる時から5年、行為の時から20年で消滅します。起算点の違う2つの期間が並んで置かれた、第四節の締めくくりです。
- 第127条民法第127条:条件が成就した場合の効果停止条件付法律行為は条件成就の時から効力を生じ、解除条件付法律行為は効力を失います。第五節「条件及び期限」の入口となる条文です。
- 第128条民法第128条:条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止条件の成否が決まらない間も、当事者は相手方の期待を壊してはいけません。まだ効力が生じていない段階の相手方を守る条文です。
- 第129条民法第129条:条件の成否未定の間における権利の処分等条件の成否が決まらない間でも、その権利義務は処分・相続・保存でき、担保に供することもできます。条件付きの権利を財産として扱えることを示す条文です。
- 第130条民法第130条:条件の成就の妨害等故意に条件の成就を妨げた者に対しては成就したものとみなすことができ、不正に成就させた者に対しては成就しなかったものとみなすことができます。仕掛けた側に不利益を向ける条文です。
- 第131条民法第131条:既成条件法律行為の時にすでに勝負がついていた条件の扱いです。停止条件か解除条件か、成就していたか否かで、無条件と無効に振り分けられます。
- 第132条民法第132条:不法条件不法な条件を付した法律行為は無効です。「不法な行為をしないこと」を条件とする場合も同じく無効とされる、後段の一文が要点です。
- 第133条民法第133条:不能条件実現できない条件を付けた場合、停止条件なら無効、解除条件なら無条件となります。131条と同じく「効力を生じさせる向きか、消す向きか」で導ける条文です。
- 第134条民法第134条:随意条件停止条件が単に債務者の意思のみに係るときは無効です。「気が向いたら払う」という約束を、約束として扱わないための条文です。
- 第135条民法第135条:期限の到来の効果始期を付けると期限が到来するまで履行を請求できず、終期を付けると期限の到来で効力が消滅します。条件と違い、必ず来るものを扱う条文です。
- 第136条民法第136条:期限の利益及びその放棄期限は債務者の利益のために定めたものと推定されます。放棄はできますが、それによって相手方の利益を害することはできません。
- 第137条民法第137条:期限の利益の喪失破産手続開始の決定、担保の滅失等、担保供与義務の不履行。この3つの場合、債務者は期限の利益を主張できません。第五節を締めくくる条文です。
- 第138条民法第138条:期間の計算の通則期間の計算方法は、特別の定めがある場合を除き第六章の規定に従います。民法だけでなく他の法令にも及ぶ、共通ルールの入口です。
- 第139条民法第139条:期間の起算時間によって期間を定めたときは、その期間は即時から起算します。日以上の単位を扱う140条の初日不算入と対になる、短い条文です。
- 第140条民法第140条:初日不算入の原則日・週・月・年で期間を定めたときは、初日を算入しません。ただし午前零時から始まるときは初日から数えます。期間計算で最も問われる条文です。
- 第141条民法第141条:期間の満了期間は、その末日の終了をもって満了します。末日の午前零時ではなく、末日が終わるまで期間は続くという一文です。
- 第142条民法第142条:末日が休日にあたるとき末日が日曜・祝日その他の休日にあたるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、翌日に満了します。「限り」という限定が要点です。
- 第143条民法第143条:暦による期間の計算週・月・年による期間は暦に従って計算し、途中から起算するときは応当日の前日に満了します。応当する日がない月の扱いも定めた、実務的な条文です。
- 第144条民法第144条:時効の効力時効の効力は、その起算日にさかのぼります。長い年月の経過が、はじめの時点まで巻き戻って効くことを示す一文です。
- 第145条民法第145条:時効の援用時効は当事者が援用しなければ、裁判所はこれによって裁判ができません。消滅時効については、保証人・物上保証人・第三取得者らも括弧書きで当事者に含まれます。
- 第146条民法第146条:時効の利益の放棄時効の利益は、あらかじめ放棄することができません。「あらかじめ」の一語が禁じる範囲を決めている、短くて重い条文です。
- 第147条民法第147条:裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新裁判上の請求など4つの事由があると、その事由が終了するまで時効は完成しません。権利が確定すれば更新され、確定せずに終わったときは6か月の猶予が残ります。
- 第148条民法第148条:強制執行等による時効の完成猶予及び更新強制執行など4つの事由でも、時効は完成猶予され、事由の終了時から更新されます。ただし取下げ等で終了したときは更新されず、6か月の猶予にとどまります。
- 第149条民法第149条:仮差押え等による時効の完成猶予仮差押え・仮処分があると、その事由が終了した時から6か月を経過するまで時効は完成しません。147条・148条と違い、更新の規定が置かれていない点が要です。
- 第150条民法第150条:催告による時効の完成猶予催告があると、その時から6か月間は時効が完成しません。ただし猶予されている間の再度の催告には、猶予の効力がありません。
- 第151条民法第151条:協議を行う旨の合意による時効の完成猶予権利についての協議を行う旨の合意を書面ですると、時効の完成が猶予されます。再度の合意も可能ですが、通じて5年という上限があります。
- 第152条民法第152条:承認による時効の更新権利の承認があると、時効はその時から新たに進行を始めます。承認をするのに処分の権限や行為能力の制限がないことは必要ないという2項が要点です。
- 第153条民法第153条:時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲完成猶予も更新も、その事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ効力を有します。3つの項で147条以下を漏れなく受けた、相対効の原則です。
- 第154条民法第154条:手続の相手方でない者への通知強制執行や仮差押えの手続を時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者への通知をした後でなければ完成猶予・更新の効力が生じません。
- 第155条民法第155条〜第157条:削除第七章第一節のうち、民法155条から157条までは現行法で「削除」です。条数が第154条から第158条へ飛ぶ理由を確認します。
- 第158条民法第158条:未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予法定代理人がいない未成年者・成年被後見人や、財産を管理する親・後見人に対する権利について、6か月の完成猶予を認める条文です。守るべき者が動けない間を埋めます。
- 第159条民法第159条:夫婦間の権利の時効の完成猶予夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6か月を経過するまで時効は完成しません。関係が続く間の請求しにくさに配慮した条文です。
- 第160条民法第160条:相続財産に関する時効の完成猶予相続財産については、相続人が確定した時・管理人が選任された時・破産手続開始の決定があった時から6か月を経過するまで時効は完成しません。
- 第161条民法第161条:天災等による時効の完成猶予天災その他避けることのできない事変で手続を行えないときは、障害の消滅から3か月を経過するまで時効は完成しません。第一節で唯一「3か月」の条文です。
- 第162条民法第162条:所有権の取得時効20年の占有で所有権を取得でき、占有開始時に善意無過失なら10年で足ります。時効取得と登記をめぐる判例も含め、取得時効の中心となる条文です。
- 第163条民法第163条:所有権以外の財産権の取得時効所有権以外の財産権も、自己のためにする意思をもって平穏かつ公然と行使すれば、20年又は10年で取得できます。162条と対になる条文です。
- 第164条民法第164条:占有の中止等による取得時効の中断占有者が任意に占有を中止し、又は他人に占有を奪われたときは、取得時効は中断します。現行法に「中断」の語が残る数少ない条文です。
- 第165条民法第165条:所有権以外の財産権への準用占有の中止等による中断を定めた164条を、所有権以外の財産権の取得時効に準用する一文です。第二節「取得時効」を締めくくります。
- 第166条民法第166条:債権等の消滅時効債権は知った時から5年、行使できる時から10年で消滅します。債権又は所有権以外の財産権は20年。消滅時効の中心となる条文です。
- 第167条民法第167条:人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、166条1項2号の「十年間」を「二十年間」と読み替えます。読替えの形をとった一文の条文です。
- 第168条民法第168条:定期金債権の消滅時効定期金の債権は、各債権を行使できると知った時から10年、行使できる時から20年で消滅します。債権者は更新の証拠を得るため承認書の交付を求められます。
- 第169条民法第169条:判決で確定した権利の消滅時効確定判決等で確定した権利は、10年より短い時効期間の定めがあっても10年になります。ただし確定の時に弁済期が到来していない債権には適用されません。
- 第170条民法第170条〜第174条:削除第七章第三節のうち、民法170条から174条までは現行法で「削除」です。第一編「総則」はこの空き番で終わり、第175条から第二編「物権」が始まります。
物権
- 第175条民法第175条:物権の創設(物権法定主義)物権は法律に定めるもののほか創設できません。契約なら自由に作れるのに、なぜ物権だけ「メニューが固定」なのか。第二編「物権」の入口となる条文です。
- 第176条民法第176条:物権の設定及び移転(意思主義)物権の設定・移転は「当事者の意思表示のみ」で効力を生じます。契約書にハンコを押した瞬間に所有権が動く——民法177条の対抗要件と表裏をなす条文です。
- 第177条民法第177条:不動産に関する物権の変動の対抗要件不動産の権利は、登記をしなければ第三者に主張できません。二重譲渡で「先に登記した者が勝つ」理由を、レガちゃんの疑問からほどいていきます。
- 第178条民法第178条:動産に関する物権の譲渡の対抗要件動産の物権譲渡は、引渡しがなければ第三者に対抗できません。不動産の「登記」に対応するのが動産の「引渡し」です。占有改定でも対抗要件を備えられるのかを判例で確かめます。
- 第179条民法第179条:混同自分の土地に自分の地上権を残しておく意味はありません。所有権と他の物権が同一人に帰属したときに他の物権が消える「混同」と、その2つの例外を整理します。
- 第180条民法第180条:占有権の取得占有権は「自己のためにする意思をもって物を所持する」ことで取得します。持つ権利があるかどうかを問わずに、持っているという事実そのものを守る——第二章「占有権」の入口です。
- 第181条民法第181条:代理占有人に貸している間も、貸主は占有権を失いません。「占有権は、代理人によって取得することができる」という一文が支える代理占有の仕組みを見ます。
- 第182条民法第182条:現実の引渡し及び簡易の引渡し占有権の譲渡は引渡しによってします。物を実際に手渡す「現実の引渡し」と、すでに相手が持っているときの「簡易の引渡し」——4つの引渡しのうち2つを定めた条文です。
- 第183条民法第183条:占有改定物を一歩も動かさずに占有権を移す「占有改定」。譲渡担保で債務者が使い続けたまま担保に入れられるのは、この条文があるからです。
- 第184条民法第184条:指図による占有移転倉庫に預けたままの荷物を売る——本人が代理人に「以後この人のために持て」と命じ、その人が承諾すれば占有権が移ります。3者が登場する引渡しです。
- 第185条民法第185条:占有の性質の変更借りている物は、借りているままでは時効取得できません。他主占有が自主占有に変わるための2つの道を定めた条文と、相続をめぐる判例を確かめます。
- 第186条民法第186条:占有の態様等に関する推定所有の意思・善意・平穏・公然は、占有していれば推定されます。取得時効を主張する側の負担を大きく軽くする条文と、2項の「継続の推定」を読みます。
- 第187条民法第187条:占有の承継前の人の占有を「足す」か「足さない」かを、承継人が選べます。ただし足すなら瑕疵も一緒についてくる——取得時効の期間計算で決定的に効く条文です。
- 第188条民法第188条:占有物について行使する権利の適法の推定占有していれば、その権利は適法に持っているものと推定されます。「持っている人が正しい」という強力な推定と、それが覆される場面を判例で確かめます。
- 第189条民法第189条:善意の占有者による果実の取得等自分のものだと信じて使っていた間の実りは、返さなくてよい。ただし本権の訴えで負けたら、訴え提起の時から悪意の占有者とみなされます。
- 第190条民法第190条:悪意の占有者による果実の返還等悪意の占有者は果実を返さなければならず、すでに消費してしまった分も代価で償います。善意の占有者を定めた民法189条と正面から対になる条文です。
- 第191条民法第191条:占有者による損害賠償占有物を壊してしまったとき、悪意の占有者は全部、善意の占有者は現に利益を受けている限度で賠償します。ただし所有の意思のない占有者は、善意でも全部——ただし書に注意です。
- 第192条民法第192条:即時取得無権利者から動産を買っても、善意無過失なら即時に権利を取得できます。動産取引の安全を支える中心条文を、要件ごとに分解して読みます。
- 第193条民法第193条:盗品又は遺失物の回復即時取得が成立しても、盗品や遺失物なら被害者・遺失者は2年間だけ取り戻せます。持ち主の意思によらずに手を離れた物を特別扱いする条文です。
- 第194条民法第194条:代価の弁償盗品でも、競売や公の市場、同種の商人から善意で買ったのなら、代価を払わなければ取り戻せません。被害者と買主のどちらを守るかを調整する条文です。
- 第195条民法第195条:動物の占有による権利の取得迷い込んできた家畜以外の動物は、1か月のあいだ飼主から請求がなければ、占有者のものになります。民法のなかでも珍しい、動物だけの規定です。
- 第196条民法第196条:占有者による費用の償還請求占有物のために支出したお金は返してもらえます。保存のための「必要費」と改良のための「有益費」で、返してもらえる条件が変わります。
- 第197条民法第197条:占有の訴え占有そのものを根拠に訴えを起こせます。しかも「他人のために占有をする者」も同じ。3種類の占有の訴えへの入口となる条文です。
- 第198条民法第198条:占有保持の訴え占有を妨げられたときは、妨害の停止と損害の賠償を請求できます。「奪われた」のではなく「邪魔された」場面の救済です。
- 第199条民法第199条:占有保全の訴え妨害される「おそれ」の段階で動ける訴えです。予防を求めるか、損害賠償の担保を求めるか——請求できることが「又は」で結ばれている点が要注意です。
- 第200条民法第200条:占有回収の訴え占有を奪われたら、返還と損害賠償を請求できます。ただし、奪った者から買った人には原則として請求できません——2項の「特定承継人」がポイントです。
- 第201条民法第201条:占有の訴えの提起期間3つの占有の訴えには、それぞれ違う期間制限があります。工事の場合の特則も含め、条文の数字を正確に押さえる回です。
- 第202条民法第202条:本権の訴えとの関係占有の訴えと本権の訴えは互いを妨げません。そして「占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない」——2項が占有制度の芯です。
- 第203条民法第203条:占有権の消滅事由占有の意思を放棄するか、所持を失えば占有権は消えます。ただし占有回収の訴えを提起したときは別——ただし書が第三節のかなめです。
- 第204条民法第204条:代理占有権の消滅事由人に持たせている場合の占有権は、3つの事由で消えます。そして2項——「代理権の消滅のみによっては、消滅しない」。占有と代理は別物だという宣言です。
- 第205条民法第205条:準占有物を持っていなくても、財産権を行使していれば占有権の規定が準用されます。債権や知的財産権にまで占有のルールを届かせる、たった一文の条文です。
- 第206条民法第206条:所有権の内容所有者は、法令の制限内において自由に使用・収益・処分ができます。物権のなかで最も強い権利を定めた条文と、その「法令の制限内」という枠を読みます。
- 第207条民法第207条:土地所有権の範囲土地の所有権は「その土地の上下に及ぶ」。空も地下も自分のもの——ただし、ここでも「法令の制限内において」が先に立ちます。
- 第209条民法第209条:隣地の使用塀の修繕や境界の測量のために、隣の土地に入れます。ただし住家に立ち入るには居住者の承諾が必要——令和3年改正で大きく書き換わった条文です。
- 第210条民法第210条:公道に至るための他の土地の通行権周りを囲まれて公道に出られない土地の所有者は、隣の土地を通れます。かつて「囲繞地通行権」と呼ばれた権利を、自動車通行の判例とともに読みます。
- 第211条民法第211条:通行の場所及び方法通れるとしても、どこをどう通るかは自由ではありません。「損害が最も少ないもの」を選ぶこと、そして必要があれば通路を開設できることを定めます。
- 第212条民法第212条:通行権者の償金支払義務通らせてもらう以上、損害には償金を払います。ただし通路の開設で生じた損害を除き、1年ごとの分割払いができる——短い条文に2つの仕掛けがあります。
- 第213条民法第213条:分割によって生じた袋地の通行権自分たちで土地を分けて袋地を作ったのなら、通れるのは分割の相手の土地だけ。しかも償金は不要です。周りの土地に迷惑をかけない仕組みを判例とともに読みます。
- 第213条の2民法第213条の2:継続的給付を受けるための設備の設置権等電気・ガス・水道を引くために、他人の土地に設備を置いたり、他人の設備を使ったりできます。令和3年改正で新設された、現代の暮らしのための条文です。
- 第213条の3民法第213条の3:分割によって設備の設置が必要となった場合土地を分けたせいでライフラインが引けなくなったら、設備を置けるのは分割の相手の土地だけ。通行権における民法213条と同じ考え方が、設備にも用意されています。
- 第214条民法第214条:自然水流に対する妨害の禁止隣地から自然に流れてくる水を、せき止めてはいけません。ここから水に関する相隣関係の条文が続きます。
- 第215条民法第215条:水流の障害の除去天災で低地の水路がふさがったら、高地の所有者が自分の費用で工事できます。困っている側が自ら動けるようにした条文です。
- 第216条民法第216条:水流に関する工作物の修繕等他の土地の貯水・排水・引水の工作物が壊れて自分の土地に損害が及ぶときは、修繕や予防工事をさせることができます。「おそれ」の段階で動ける点が重要です。
- 第217条民法第217条:費用の負担についての慣習水流の工事費用は、別段の慣習があればそれに従います。民法が土地ごとの取り決めに道を譲る、短い一文の条文です。
- 第218条民法第218条:雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止屋根の向きひとつで、隣に雨水が落ちる。「直接に雨水を隣地に注ぐ構造」の工作物を禁じた、暮らしに直結する条文です。
- 第219条民法第219条:水流の変更川の両岸が誰のものかで、水路を変えられるかどうかが決まります。片岸なら変更禁止、両岸なら変更可——ただし自然の水路に戻すこと。
- 第220条民法第220条:排水のための低地の通水浸水を乾かすため、余った水を出すため、高地の所有者は低地に水を通せます。給排水設備の使用をめぐる判例とあわせて読みます。
- 第221条民法第221条:通水用工作物の使用高地・低地の所有者が設けた工作物を、自分の土地の水を通すために使えます。使うなら、利益を受ける割合に応じて費用を分担します。
- 第222条民法第222条:堰の設置及び使用堰を対岸に付着させて設けられます。ただし償金は必要。そして対岸の所有者も、その堰を使えます——譲り合いを条文にした規定です。
- 第223条民法第223条:境界標の設置土地の境目を示す目印を、隣の人と共同の費用で設けられます。「できる」と書かれた、権利としての境界標設置権です。
- 第224条民法第224条:境界標の設置及び保存の費用境界標の設置と保存の費用は折半、でも測量の費用は土地の広さに応じて分担します。同じ条文のなかで、2つの物差しを使い分ける規定です。
- 第225条民法第225条:囲障の設置建物のあいだの境界に、共同の費用で囲いを設けられます。話し合いがまとまらなければ「板塀か竹垣、高さ2メートル」——条文が具体的な仕様まで書いています。
- 第226条民法第226条:囲障の設置及び保存の費用囲障の設置と保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担します。境界標の民法224条と読み比べると、条文の書き分けが見えてきます。
- 第227条民法第227条:相隣者の一人による囲障の設置もっと良い材料で、もっと高い塀にしたい。その希望はかなえられますが、増えた費用は言い出した人の負担です。
- 第228条民法第228条:囲障の設置等に関する慣習囲障についての3か条は、異なる慣習があればそちらに譲ります。民法が地域のやり方に道を譲る規定の一つです。
- 第229条民法第229条:境界標等の共有の推定境界線上の境界標・囲障・障壁・溝・堀は、相隣者の共有と推定されます。しかもこの共有物は、分割を請求できません(民法257条)。
- 第230条民法第230条:共有の推定が及ばない障壁建物の一部をなす境界線上の障壁には、共有の推定が及びません。高さの違う建物のあいだの壁についても、はみ出した部分は別あつかい——ただし防火障壁は除きます。
- 第231条民法第231条:共有の障壁の高さを増す工事共有の壁を高くするのに、相手の同意は要りません。ただし壁が耐えられないなら自分の費用で補強を。そして高くした部分は工事をした人の単独所有になります。
- 第232条民法第232条:障壁工事による損害の償金共有の障壁を高くする工事で隣人が損害を受けたら、償金を請求できます。一人でできる工事に対する、最後の歯止めです。
- 第233条民法第233条:竹木の枝の切除及び根の切取り枝は「切らせる」、根は「切り取れる」。長く続いたこの非対称に、令和3年改正が例外を加えました。3項の3つの場合が新しい要です。
- 第234条民法第234条:境界線付近の建築の制限建物を建てるには境界線から50センチメートル以上あけること。違反したら中止・変更を求められますが、着手から1年か完成後は損害賠償のみになります。
- 第235条民法第235条:目隠しを付ける義務境界線から1メートル未満で隣の宅地を見通せる窓やベランダには、目隠しが必要です。距離の測り方まで条文が定めています。
- 第236条民法第236条:境界線付近の建築に関する慣習50センチメートルの距離も、1メートルの目隠しも、異なる慣習があればそちらに従います。相隣関係に4つある「慣習優先」規定の一つです。
- 第237条民法第237条:境界線付近の掘削の制限井戸は2メートル、池や穴蔵は1メートル、導水管や溝は深さの2分の1以上。掘るものによって必要な距離が変わります。
- 第238条民法第238条:境界線付近の掘削に関する注意義務距離を保てば終わりではありません。土砂の崩壊や水・汚液の漏出を防ぐ注意が必要です。第二款「相隣関係」を締めくくる条文です。
- 第239条民法第239条:無主物の帰属持ち主のいない動産は、拾って自分のものにできます。ところが不動産は国庫へ——同じ条文のなかで、動産と不動産の運命が正反対に分かれます。
- 第240条民法第240条:遺失物の拾得落とし物は、公告から3か月以内に持ち主が判明しなければ拾った人のものになります。「所有者がいない物」ではなく「所有者が現れない物」のルールです。
- 第241条民法第241条:埋蔵物の発見埋蔵物は公告から6か月。他人の物のなかから見つけたときは、発見者と持ち主で半分ずつです。判例が「埋蔵物」の意味を示しています。
- 第242条民法第242条:不動産の付合土地や建物にくっついた物は、その不動産の所有者のものになります。ただし権原によって附属させた他人の権利は妨げません——ただし書が決定的です。
- 第243条民法第243条:動産の付合動産どうしがくっついて分けられなくなったら、主たる動産の所有者のものになります。分けるのに過分の費用がかかるときも同じです。
- 第244条民法第244条:主従の区別ができない動産の付合どちらが主でどちらが従か決められないときは、付合の時の価格の割合で共有します。単独所有か共有かを分ける、短い一文です。
- 第245条民法第245条:混和米と米、酒と酒——混ざって見分けがつかなくなった物には、動産の付合の規定がそのまま準用されます。
- 第246条民法第246条:加工他人の材料で作った物は誰のものか。原則は材料の所有者、ただし工作の価格が著しく超えるときは加工者。建築中の建物をめぐる判例が有名です。
- 第247条民法第247条:付合、混和又は加工の効果所有権が消えれば、その物に付いていた抵当権なども消えます。ただし合成物の単独所有者・共有者になったときは、権利が移り住みます。
- 第248条民法第248条:付合、混和又は加工に伴う償金の請求付合・混和・加工で損をした人は、不当利得の規定に従って償金を請求できます。所有権の帰属を決めた7か条を締めくくる、調整の条文です。
- 第249条民法第249条:共有物の使用各共有者は共有物の「全部」を使えます。持分が3分の1でも、使えるのは3分の1の場所ではありません。令和3年改正で2項・3項が加わりました。
- 第250条民法第250条:共有持分の割合の推定各共有者の持分は、相等しいものと推定されます。「推定」ですから、違うことが証明されれば覆ります。
- 第251条民法第251条:共有物の変更共有物に変更を加えるには全員の同意が必要です。ただし「形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」は除かれ、所在不明の共有者がいるときは裁判所の裁判で進められます。
- 第252条民法第252条:共有物の管理管理に関する事項は、頭数ではなく持分の価格の過半数で決めます。令和3年改正で、賛否を明らかにしない共有者への対応や、設定できる賃借権の期間まで条文化されました。
- 第252条の2民法第252条の2:共有物の管理者共有物の管理を任せる「管理者」を置けます。令和3年改正で新設され、権限・限界・共有者の決定への従属・違反した行為の効力までを定めます。
- 第253条民法第253条:共有物に関する負担管理の費用は持分に応じて負担します。1年以内に払わない共有者がいたら、他の共有者は償金を払ってその持分を取得できます。
- 第254条民法第254条:共有物についての債権共有者どうしの債権は、持分を買った人にも請求できます。持分を売って債務から逃げることを許さない条文です。
- 第255条民法第255条:持分の放棄及び共有者の死亡持分を放棄した人、相続人なく亡くなった人の持分は、他の共有者に帰属します。ただし特別縁故者への財産分与が先——判例が順序を示しました。
- 第256条民法第256条:共有物の分割請求共有者はいつでも分割を請求できます。ただし5年を超えない不分割の契約は有効で、更新もできます——ただし更新の時から5年まで。
- 第257条民法第257条:分割請求できない共有物境界線上の境界標や囲障は、共有でありながら分割を請求できません。「いつでも分割できる」という原則の、ただ一つの例外規定です。
- 第258条民法第258条:裁判による共有物の分割話し合いがつかなければ裁判所へ。令和3年改正で分割方法が2つ明文化され、それでも無理なら競売です。全面的価格賠償を認めた判例もあわせて読みます。
- 第258条の2民法第258条の2:相続財産に属する共有物の分割の特則遺産分割で決めるべきものは、共有物分割の手続では分けられません。ただし相続開始から10年を過ぎれば別——令和3年改正の新しい線引きです。
- 第259条民法第259条:共有に関する債権の弁済分割のときに、債務者である共有者の取り分から弁済を受けられます。必要なら、その部分を売却するよう請求することもできます。
- 第260条民法第260条:共有物の分割への参加共有物に権利を持つ人や共有者の債権者は、自分の費用で分割に参加できます。請求したのに参加させずにした分割は、その人に対抗できません。
- 第261条民法第261条:分割における共有者の担保責任分割で受け取った物に問題があったら、他の共有者が「売主と同じく」責任を負います。持分に応じた責任です。
- 第262条民法第262条:共有物に関する証書分割が終わったら、証書は誰が持つのか。最大の部分を取得した者、いなければ協議、それも調わなければ裁判所が指定します。
- 第262条の2民法第262条の2:所在等不明共有者の持分の取得所在の分からない共有者の持分を、裁判所の裁判で取得できます。所有者不明土地問題に正面から向き合った、令和3年改正の中心規定です。
- 第262条の3民法第262条の3:所在等不明共有者の持分の譲渡所在の分からない共有者の持分を「売る権限」を、裁判所から与えてもらえます。全員が売るときにだけ効く、停止条件つきの仕組みです。
- 第263条民法第263条:共有の性質を有する入会権村の山や原野を共同で使う入会権。民法は「各地方の慣習に従うほか」と述べ、地域が積み上げてきたやり方を第一に置きます。
- 第264条民法第264条:準共有所有権以外の財産権を数人で持つときも、共有の規定が準用されます。ただし民法262条の2・262条の3は除かれる——括弧書きが効いています。
- 第264条の2民法第264条の2:所有者不明土地管理命令所有者が分からない土地に、裁判所が管理人を置けます。令和3年改正で新設された第四節の入口となる条文です。
- 第264条の3民法第264条の3:所有者不明土地管理人の権限管理・処分の権利は管理人に「専属」します。保存行為と性質を変えない利用・改良を超える行為には、裁判所の許可が必要です。
- 第264条の4民法第264条の4:所有者不明土地等に関する訴えの取扱い管理命令が出れば、その土地に関する訴えは管理人が原告・被告になります。所有者が分からなくても裁判ができる——たった一文の重要規定です。
- 第264条の5民法第264条の5:所有者不明土地管理人の義務管理人は、姿の見えない所有者のために善管注意義務を負います。複数の共有持分が対象なら、全員のために誠実かつ公平に。
- 第264条の6民法第264条の6:所有者不明土地管理人の解任及び辞任任務に違反して著しい損害を与えたときなどは解任、正当な事由があれば裁判所の許可を得て辞任。管理人の出口を定める条文です。
- 第264条の7民法第264条の7:所有者不明土地管理人の報酬等管理人は、管理する土地そのものから費用の前払と報酬を受けられます。負担するのは、姿の見えない所有者です。
- 第264条の8民法第264条の8:所有者不明建物管理命令所有者が分からない建物にも、管理人を置けます。土地の規定をそのまま準用しつつ、敷地に関する権利にまで効力を及ぼすのが建物ならではの工夫です。
- 第264条の9民法第264条の9:管理不全土地管理命令所有者は分かっているのに、管理がひどくて隣に迷惑がかかっている。そんな土地にも管理人を置けます。第五節の入口です。
- 第264条の10民法第264条の10:管理不全土地管理人の権限管理不全土地管理人には「専属」の文字がありません。しかも処分の許可には所有者の同意が必要——所有者がいるからこその制約です。
- 第264条の11民法第264条の11:管理不全土地管理人の義務管理不全土地管理人も、所有者のために善管注意義務を負います。土地が共有なら、共有持分を有する者全員のために誠実かつ公平に。
- 第264条の12民法第264条の12:管理不全土地管理人の解任及び辞任任務違反で著しい損害を与えたときは解任、正当な事由があれば裁判所の許可を得て辞任。民法264条の6と同じ枠組みです。
- 第264条の13民法第264条の13:管理不全土地管理人の報酬等費用の前払と報酬は管理不全土地等から。負担するのはその所有者です。管理を怠った側が費用を持つ、という筋が通っています。
- 第264条の14民法第264条の14:管理不全建物管理命令管理が行き届かない建物にも管理人を置けます。第五節の最後、そして第三章「所有権」全体の締めくくりとなる条文です。
- 第265条民法第265条:地上権の内容他人の土地に建物や木を持つために使う権利。同じ「土地を借りる」でも、物権である地上権は債権の賃借権と性質が違います。
- 第266条民法第266条:地代地上権に地代は必須ではありません。支払う約束をしたときにだけ、永小作権と賃貸借の規定が準用されます。
- 第267条民法第267条:相隣関係の規定の準用相隣関係30か条が、地上権者にも及びます。ただし境界線上の工作物の共有推定だけは、地上権の設定後に設けられた場合に限られます。
- 第268条民法第268条:地上権の存続期間期間を定めなかったら、地上権者はいつでも放棄できます。放棄しないときは、裁判所が20年以上50年以下で期間を定めます。
- 第269条民法第269条:工作物等の収去等地上権が終わったら、建てた物を持ち帰れます。ただし土地の所有者が時価で買い取ると言ってきたら、正当な理由がなければ断れません。
- 第269条の2民法第269条の2:地下又は空間を目的とする地上権地下鉄やモノレールのために、土地を「上下の範囲を定めて」使う地上権。土地の立体的な利用を可能にした条文です。
- 第270条民法第270条:永小作権の内容小作料を払って他人の土地で耕作や牧畜をする物権です。地上権と並ぶ用益物権ですが、対価の支払が条文に組み込まれている点が違います。
- 第271条民法第271条:永小作人による土地の変更の制限回復できない損害を生じる変更は加えられません。いずれ返す土地だからこその制約です。
- 第272条民法第272条:永小作権の譲渡又は土地の賃貸永小作人は、権利を譲り渡すことも土地を賃貸することもできます。ただし設定行為で禁じられていればできません。
- 第273条民法第273条:賃貸借に関する規定の準用永小作人の義務については、章の規定と設定行為で足りない部分を賃貸借の規定が埋めます。準用されるのは「義務」だけです。
- 第274条民法第274条:小作料の減免不可抗力で収穫がなくても、小作料の免除や減額は請求できません。厳しく見える条文ですが、次条の放棄権と対で読むと筋が見えます。
- 第275条民法第275条:永小作権の放棄3年以上まったく収益がない、または5年以上小作料に満たない。不可抗力でそこまで追い込まれたら、永小作人は権利を放棄できます。
- 第276条民法第276条:永小作権の消滅請求2年以上小作料を滞納したら、土地の所有者は永小作権の消滅を請求できます。地上権にも準用される、効き目の大きい条文です。
- 第277条民法第277条:永小作権に関する慣習民法271条から276条までは、異なる慣習があればそちらに譲ります。農地をめぐる土地ごとのやり方を尊重する規定です。
- 第278条民法第278条:永小作権の存続期間20年以上50年以下。50年を超える定めをしても50年に切り縮められ、更新しても50年まで。定めなければ30年です。
- 第279条民法第279条:永小作権における工作物等の収去等地上権の収去・買取りの規定が、永小作権にもそのまま準用されます。第五章を締めくくる一文です。
- 第280条民法第280条:地役権の内容他人の土地を「自分の土地の便益に供する」権利。人ではなく土地のための権利という点が、地上権や永小作権と大きく違います。
- 第281条民法第281条:地役権の付従性地役権は要役地の所有権にくっついて動きます。要役地を売れば地役権も一緒に移り、地役権だけを切り離して売ることはできません。
- 第282条民法第282条:地役権の不可分性共有者の一人が持分だけ地役権を消滅させることはできません。土地を分割しても、地役権は各部分のために存続します。
- 第283条民法第283条:地役権の時効取得「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるもの」に限って時効取得できます。判例は「継続」の要件を厳しく解しています。
- 第284条民法第284条:共有と地役権の時効取得共有者の一人が時効取得すれば全員が取得します。一方、時効の更新は各共有者に対してしなければ効力を生じません。
- 第285条民法第285条:用水地役権水が足りないときは、まず生活用に。残りをその他の用途に。地役権の条文のなかで、水だけが特別な扱いを受けています。
- 第286条民法第286条:承役地の所有者の工作物の設置義務等承役地の所有者が工作物の設置・修繕義務を負ったときは、その特定承継人も義務を負います。土地に付いて回る義務です。
- 第287条民法第287条:承役地所有者の委棄工作物の設置・修繕義務を負った承役地の所有者は、その土地の部分の所有権を地役権者に移すことで義務から解放されます。
- 第288条民法第288条:承役地の所有者の工作物の使用承役地の所有者も、地役権のために設けられた工作物を使えます。使うなら、利益を受ける割合に応じて費用を分担します。
- 第289条民法第289条:承役地の時効取得による地役権の消滅承役地の占有者が取得時効の要件を満たす占有をすると、地役権は消滅します。ただし地役権者が権利を行使すれば中断します。
- 第290条民法第290条:地役権の消滅時効の中断承役地の時効取得による地役権の消滅は、地役権者が権利を行使すれば止まります。使い続けることが最大の防御です。
- 第291条民法第291条:地役権の消滅時効の起算点継続的でない地役権は「最後の行使の時」から、継続的な地役権は「行使を妨げる事実が生じた時」から。性質によって起算点が変わります。
- 第292条民法第292条:要役地が共有の場合の完成猶予・更新要役地の共有者の一人に完成猶予や更新があれば、他の共有者にも効力が及びます。地役権を守る方向に働く条文です。
- 第293条民法第293条:地役権の一部の消滅時効使わなかった部分だけが時効で消えます。全部か無かではなく、使っている範囲は守られます。
- 第294条民法第294条:共有の性質を有しない入会権共有の性質を有しない入会権には、地役権の規定が準用されます。民法263条と対をなす、第六章の締めくくりです。
- 第295条民法第295条:留置権の内容修理代を払ってもらうまで品物を返さない——その根拠が留置権です。「その物に関して生じた債権」という牽連性と、2つの限定が要になります。
- 第296条民法第296条:留置権の不可分性債権の全部の弁済を受けるまで、留置物の全部を留置できます。一部を返しても、残りについて権利は続きます。
- 第297条民法第297条:留置権者による果実の収取留置物から生じた果実は、他の債権者に先立って自分の債権に充てられます。まず利息、残りを元本へ。
- 第298条民法第298条:留置権者による留置物の保管等善管注意義務を負い、承諾なく使用・賃貸・担保供与はできません。違反すれば消滅請求を受けます。
- 第299条民法第299条:留置権者による費用の償還請求留置物に必要費や有益費を支出したら、所有者に償還させられます。占有者の民法196条と、そっくりでいて少し違う条文です。
- 第300条民法第300条:留置権の行使と債権の消滅時効物を留置していても、債権の消滅時効は進みます。「持っているから安心」ではありません。
- 第301条民法第301条:担保の供与による留置権の消滅債務者は、相当の担保を出して留置権の消滅を請求できます。物を取り戻したい債務者のための出口です。
- 第302条民法第302条:占有の喪失による留置権の消滅占有を失えば留置権は消えます。ただし承諾を得て賃貸・質入れした場合は別。第七章を締めくくる条文です。
- 第303条民法第303条:先取特権の内容法律の規定に従い、他の債権者に先立って弁済を受ける権利。契約なしに法律が当然に与える担保物権です。
- 第304条民法第304条:物上代位目的物が売れたり滅失したりしても、そのお金に権利が及びます。ただし払渡し・引渡しの前に差押えをしなければなりません。
- 第305条民法第305条:先取特権の不可分性留置権の不可分性が、先取特権にも準用されます。債権の全部の弁済を受けるまで、目的物の全部に及びます。
- 第306条民法第306条:一般の先取特権共益の費用・雇用関係・子の監護の費用・葬式の費用・日用品の供給。この5つの原因による債権は、債務者の総財産に先取特権を持ちます。
- 第307条民法第307条:共益費用の先取特権みんなのために使ったお金は、みんなより先に返してもらえます。一般の先取特権の第1順位に置かれる理由が、条文の作りに表れています。
- 第308条民法第308条:雇用関係の先取特権給料その他、雇用関係から生じた債権を守ります。期間の制限も金額の制限もない、働く人のための条文です。
- 第308条の2民法第308条の2:子の監護費用の先取特権養育費などの定期金債権に先取特権を認める規定です。枝番が示すとおり、後から加えられた新しい条文です。
- 第309条民法第309条:葬式費用の先取特権葬式の費用のうち相当な額に先取特権が認められます。債務者自身のためだけでなく、扶養すべき親族の葬式にも及びます。
- 第310条民法第310条:日用品供給の先取特権最後の6か月間の飲食料品・燃料・電気の供給が対象です。暮らしに欠かせないものを供給した人を守ります。
- 第311条民法第311条:動産の先取特権債務者の「特定の動産」に成立する先取特権の一覧です。8つの原因が並び、それぞれの中身は民法312条以下が定めます。
- 第312条民法第312条:不動産賃貸の先取特権賃料が払われないとき、賃貸人は賃借人の動産から優先弁済を受けられます。動産の先取特権のなかで最上位に置かれる権利です。
- 第313条民法第313条:不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲土地の賃貸人と建物の賃貸人で、及ぶ動産の範囲が違います。土地のほうが広く、果実にまで及びます。
- 第314条民法第314条:賃借権の譲渡・転貸と先取特権賃借権が譲渡・転貸されても、賃貸人の先取特権は譲受人・転借人の動産に及びます。転貸料などの金銭にも同様です。
- 第315条民法第315条:不動産賃貸の先取特権の被担保債権の範囲賃借人の財産をすべて清算する場合には、前期・当期・次期の賃料等に絞られます。他の債権者との公平を図る条文です。
- 第316条民法第316条:敷金がある場合の先取特権敷金を受け取っているなら、それで足りない部分にだけ先取特権が働きます。二重に優先させない調整規定です。
- 第317条民法第317条:旅館宿泊の先取特権宿泊料や飲食料が未払いなら、その旅館にある宿泊客の手荷物から優先弁済を受けられます。
- 第318条民法第318条:運輸の先取特権運送賃や付随の費用について、運送人が占有する荷物に先取特権が成立します。手元にある荷物が担保になります。
- 第319条民法第319条:即時取得の規定の準用即時取得の規定が、不動産賃貸・旅館宿泊・運輸の先取特権に準用されます。他人の物であっても先取特権が及ぶ場面があります。
- 第320条民法第320条:動産保存の先取特権動産を保存するために使った費用に、その動産から優先弁済を受けられます。価値を守った人を報いる仕組みです。
- 第321条民法第321条:動産売買の先取特権売った動産の代金と利息について、その動産から優先弁済を受けられます。物上代位をめぐる判例が実務の要です。
- 第322条民法第322条:種苗又は肥料の供給の先取特権種や苗、肥料を供給した人は、それを使った土地から1年以内に生じた果実から優先弁済を受けられます。
- 第323条民法第323条:農業労務の先取特権最後の1年間の賃金について、その労務によって生じた果実から優先弁済を受けられます。果実については第1順位です。
- 第324条民法第324条:工業労務の先取特権最後の3か月間の賃金について、その労務によって生じた製作物から優先弁済を受けられます。動産の先取特権の最後の条文です。
- 第325条民法第325条:不動産の先取特権保存・工事・売買の3つが、不動産の先取特権を生みます。この列挙の順序が、そのまま優先順位になります。
- 第326条民法第326条:不動産保存の先取特権不動産を保存するために使った費用に、その不動産から優先弁済を受けられます。登記をすれば抵当権にも先立ちます。
- 第327条民法第327条:不動産工事の先取特権工事の設計・施工・監理をした人の費用に、その不動産から優先弁済を受けられます。ただし増価額が現存する範囲に限られます。
- 第328条民法第328条:不動産売買の先取特権不動産の代価と利息について、その不動産から優先弁済を受けられます。登記は売買契約と同時にしなければなりません。
- 第329条民法第329条:一般の先取特権の順位一般の先取特権どうしは民法306条の順、一般と特別なら特別が優先。ただし共益の費用だけは別格です。
- 第330条民法第330条:動産の先取特権の順位3つの順位に加え、後の保存者が優先する特則、知っていた者は行使できない制限、果実についての別の順位。動産の先取特権で最も込み入った条文です。
- 第331条民法第331条:不動産の先取特権の順位保存・工事・売買の順です。同じ不動産が次々に売られた場合、売主どうしの順位は売買の前後によります。
- 第332条民法第332条:同一順位の先取特権同じ順位の先取特権者が複数いれば、債権額の割合に応じて弁済を受けます。早い者勝ちではありません。
- 第333条民法第333条:先取特権と第三取得者動産が第三取得者に引き渡されると、もう先取特権を行使できません。動産の先取特権のいちばんの弱点です。
- 第334条民法第334条:先取特権と動産質権との競合動産質権者は、第1順位の先取特権者と同じ権利を持ちます。占有を伴う担保は強い、という考え方の表れです。
- 第335条民法第335条:一般の先取特権の効力まず不動産以外の財産から、次に特別担保のない不動産から。順番を守らずに配当加入を怠ると、登記した第三者に対抗できなくなります。
- 第336条民法第336条:一般の先取特権の対抗力登記がなくても、特別担保を有しない債権者には対抗できます。ただし登記をした第三者には勝てません。
- 第337条民法第337条:不動産保存の先取特権の登記保存行為が完了した後「直ちに」登記しなければ、効力を保存できません。登記すれば抵当権にも先立ちます。
- 第338条民法第338条:不動産工事の先取特権の登記工事を始める前に予算額を登記します。予算を超えた分には先取特権が及びません。増価額は鑑定人が評価します。
- 第339条民法第339条:登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権登記をした保存・工事の先取特権は、抵当権に先立って行使できます。物の価値を守り、増やした者への報いです。
- 第340条民法第340条:不動産売買の先取特権の登記売買契約と同時に、代価が未払いである旨を登記します。3つの登記のなかで、もっともタイミングが限られています。
- 第341条民法第341条:抵当権に関する規定の準用先取特権の効力について、足りない部分は抵当権の規定が埋めます。第八章を締めくくる橋渡しの条文です。
- 第342条民法第342条:質権の内容物を預かって、返してほしければ払え、と迫る担保です。留置する力と優先弁済を受ける力、その両方を持ちます。
- 第343条民法第343条:質権の目的譲り渡すことができない物には質権を設定できません。担保は最後に換価してこそ意味がある、という理屈です。
- 第344条民法第344条:質権の設定質権は、目的物を引き渡して初めて効力を生じます。合意だけでは足りません。物権のなかでは例外的な作りです。
- 第345条民法第345条:質権設定者による代理占有の禁止設定者に質物を持たせておくことはできません。占有改定による質権設定を封じる、質権の根幹をなす条文です。
- 第346条民法第346条:質権の被担保債権の範囲元本・利息・違約金・実行の費用・保存の費用・損害賠償。6つを列挙する広い規定ですが、設定行為で変えられます。
- 第347条民法第347条:質物の留置弁済を受けるまで質物を留置できます。ただし、自分より優先する債権者には対抗できません。
- 第348条民法第348条:転質質権者は、預かった物をさらに質に入れられます。ただし不可抗力による損失まで責任を負う——重い代償が付きます。
- 第349条民法第349条:契約による質物の処分の禁止「払えなければ質草はもらう」という約束は、弁済期前にはできません。追い詰められた債務者を守る条文です。
- 第350条民法第350条:留置権及び先取特権の規定の準用留置権の民法296条〜300条と、先取特権の民法304条が準用されます。質権が2つの担保の性格を併せ持つことの表れです。
- 第351条民法第351条:物上保証人の求償権他人の借金のために自分の物を差し出した人は、弁済したり物を失ったりしたとき、債務者に求償できます。
- 第352条民法第352条:動産質の対抗要件継続して質物を占有しなければ、第三者に対抗できません。設定のときだけでなく、その後もずっと持ち続ける必要があります。
- 第353条民法第353条:質物の占有の回復占有を奪われたら、占有回収の訴えによってのみ取り戻せます。「のみ」という言葉が効いている条文です。
- 第354条民法第354条:動産質権の実行質物をそのまま弁済に充てるには、正当な理由・鑑定人の評価・裁判所への請求・債務者への通知。4つの条件がそろって初めて認められます。
- 第355条民法第355条:動産質権の順位同じ動産に複数の質権があれば、設定の前後で順位が決まります。第二節「動産質」を締めくくる条文です。
- 第356条民法第356条:不動産質権者による使用及び収益不動産質では、質権者が目的物を使って収益を上げられます。動産質にはない、不動産質だけの効力です。
- 第357条民法第357条:不動産質権者による管理の費用等の負担使用収益できる代わりに、管理の費用その他の負担を引き受けます。占有者の費用償還請求(民法196条)とは正反対の扱いです。
- 第358条民法第358条:不動産質権者による利息の請求の禁止不動産質権者は利息を請求できません。収益を得られる代わりに利息を諦める——民法356条・357条と釣り合う条文です。
- 第359条民法第359条:設定行為に別段の定めがある場合等使用収益・費用負担・利息不請求の3か条は、別段の定めか担保不動産収益執行の開始があれば適用されません。
- 第360条民法第360条:不動産質権の存続期間10年を超えることができません。それより長く定めても10年に切り縮められ、更新しても更新の時から10年までです。
- 第361条民法第361条:抵当権の規定の準用不動産質については、足りない部分を抵当権の規定が埋めます。同じ不動産を担保にする者どうしの助け合いです。
- 第362条民法第362条:権利質の目的等質権は財産権にも設定できます。債権も、株式も、知的財産権も。物ではないものを担保にする世界の入口です。
- 第363条民法第363条・第365条・第367条・第368条:削除第四節「権利質」には削除された条文が4つあります。条数が飛ぶ理由と、その中身が今どこにあるのかを確かめます。
- 第364条民法第364条:債権を目的とする質権の対抗要件債権質の対抗要件は、第三債務者への通知か、その承諾です。債権譲渡の民法467条に従います。
- 第366条民法第366条:質権者による債権の取立て等債権質の質権者は、目的である債権を直接取り立てられます。裁判所を通さずに回収できる、強力な担保です。
- 第369条民法第369条:抵当権の内容占有を移さずに担保にできる——それが抵当権です。住み続けながら家を担保にできる、もっとも使われている担保物権です。
- 第370条民法第370条:抵当権の効力の及ぶ範囲抵当不動産に付加して一体となっている物にも効力が及びます。ただし抵当地の上の建物は別——この除外が決定的です。
- 第371条民法第371条:抵当権の効力と果実不履行があった後に生じた果実にだけ及びます。それまでは所有者が賃料を受け取ってよい——占有を移さない担保らしい線引きです。
- 第372条民法第372条:留置権等の規定の準用不可分性・物上代位・物上保証人の求償権。抵当権は、留置権・先取特権・質権から3つの条文を借りてきます。
- 第373条民法第373条:抵当権の順位登記の前後で順位が決まります。占有を移さない抵当権にとって、登記がすべてを決める場面です。
- 第374条民法第374条:抵当権の順位の変更抵当権者の合意で順位を入れ替えられます。ただし利害関係人の承諾が要り、登記をしなければ効力を生じません。
- 第375条民法第375条:抵当権の被担保債権の範囲利息その他の定期金は「最後の2年分」に限られます。後順位抵当権者や他の債権者を守るための制限です。
- 第376条民法第376条:抵当権の処分抵当権を他の債権の担保にしたり、順位を譲ったり放棄したり。抵当権そのものを取引の対象にできます。
- 第377条民法第377条:抵当権の処分の対抗要件主たる債務者への通知か、その承諾が必要です。通知等の後は、受益者の承諾なくした弁済を受益者に対抗できません。
- 第378条民法第378条:代価弁済抵当権者の請求に応じて代価を払えば、買主のために抵当権が消えます。抵当権者側から動く制度です。
- 第379条民法第379条:抵当権消滅請求第三取得者の側から抵当権の消滅を求められます。代価弁済と違い、買った人が自ら動ける制度です。
- 第380条民法第380条:抵当権消滅請求ができない者主たる債務者・保証人・これらの承継人は抵当権消滅請求ができません。全額を払う義務を負う者だからです。
- 第381条民法第381条:停止条件付第三取得者停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求ができません。まだ取得するか定まらない者だからです。
- 第382条民法第382条:抵当権消滅請求の時期競売による差押えの効力が発生する前にしなければなりません。競売が動き出してからでは遅すぎます。
- 第383条民法第383条:抵当権消滅請求の手続登記をした各債権者に3種類の書面を送ります。取得の内容・登記事項証明書・2か月の予告の3点セットです。
- 第384条民法第384条:債権者のみなし承諾2か月以内に競売を申し立てないなど4つの場合に、債権者は提供額を承諾したものとみなされます。
- 第385条民法第385条:競売の申立ての通知競売を申し立てる債権者は、2か月の期間内に債務者と譲渡人へ通知しなければなりません。
- 第386条民法第386条:抵当権消滅請求の効果全債権者の承諾と、払渡し又は供託。この2つがそろってはじめて抵当権が消滅します。
- 第387条民法第387条:抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力先順位の抵当権者全員の同意とその登記があれば、登記した賃貸借が抵当権者に対抗できます。
- 第388条民法第388条:法定地上権土地と建物が同一所有者のとき抵当権が実行されて所有者が分かれると、建物のために地上権が設定されたものとみなされます。
- 第389条民法第389条:抵当地の上の建物の競売抵当権設定後に建った建物も土地とともに競売できます。ただし優先権は土地の代価にしか及びません。
- 第390条民法第390条:抵当不動産の第三取得者による買受け第三取得者も競売で買受人になれます。たった一行の条文が、争いの余地を断っています。
- 第391条民法第391条:抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求必要費・有益費を出した第三取得者は、抵当不動産の代価から他の債権者に先立って償還を受けられます。
- 第392条民法第392条:共同抵当における代価の配当同時配当なら価額に応じて按分、異時配当なら全額回収できる代わりに後順位者が代位します。
- 第393条民法第393条:共同抵当における代位の付記登記代位によって抵当権を行使する者は、その抵当権の登記に代位を付記することができます。
- 第394条民法第394条:抵当不動産以外の財産からの弁済抵当権者は、まず抵当不動産から回収し、足りない分だけ他の財産から弁済を受けられます。
- 第395条民法第395条:抵当建物使用者の引渡しの猶予抵当権者に対抗できない賃借人でも、買受けの時から6か月は建物を引き渡さなくてよい制度です。
- 第396条民法第396条:抵当権の消滅時効債務者と抵当権設定者に対しては、被担保債権と同時でなければ抵当権は時効消滅しません。
- 第397条民法第397条:抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅債務者・抵当権設定者でない者が取得時効の要件を備える占有をすると、抵当権は消滅します。
- 第398条民法第398条:抵当権の目的である地上権等の放棄地上権や永小作権に抵当権を設定した者は、その権利を放棄しても抵当権者に対抗できません。
- 第398条の2民法第398条の2:根抵当権一定の範囲に属する不特定の債権を、極度額の限度で担保する抵当権。第四節「根抵当」の入口です。
- 第398条の3民法第398条の3:根抵当権の被担保債権の範囲確定した元本・利息・損害賠償の全部を、極度額を限度として担保します。2年分の制限はありません。
- 第398条の4民法第398条の4:根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更元本確定前なら債権の範囲も債務者も変えられます。後順位者の承諾は不要ですが、登記が必要です。
- 第398条の5民法第398条の5:根抵当権の極度額の変更極度額の変更には利害関係を有する者の承諾が必要です。元本確定の前後を問いません。
- 第398条の6民法第398条の6:根抵当権の元本確定期日の定め元本の確定すべき期日を定められます。5年以内という上限と、登記を怠ったときの効果が要点です。
- 第398条の7民法第398条の7:根抵当権の被担保債権の譲渡等元本確定前に債権を取得した者は根抵当権を行使できません。債権と根抵当権が切り離されています。
- 第398条の8民法第398条の8:根抵当権者又は債務者の相続相続開始時の債権に加え、合意で定めた相続人の債権も担保します。6か月以内に登記しないと確定します。
- 第398条の9民法第398条の9:根抵当権者又は債務者の合併合併では枠が当然に引き継がれます。そのかわり設定者に元本確定請求権が与えられます。
- 第398条の10民法第398条の10:根抵当権者又は債務者の会社分割会社分割でも枠は引き継がれます。合併の規定がそのまま準用され、設定者は確定請求ができます。
- 第398条の11民法第398条の11:根抵当権の処分元本確定前は民法376条1項の処分ができません。ただし転抵当だけは認められています。
- 第398条の12民法第398条の12:根抵当権の譲渡元本確定前なら、設定者の承諾を得て根抵当権そのものを譲り渡せます。2個に分割して一方だけ譲ることもできます。
- 第398条の13民法第398条の13:根抵当権の一部譲渡分割しないで譲り渡し、譲渡人と譲受人が根抵当権を共有します。条文が言葉の定義まで置いています。
- 第398条の14民法第398条の14:根抵当権の共有共有者は債権額の割合に応じて弁済を受けます。確定前に別の割合や優先の順序を定めることもできます。
- 第398条の15民法第398条の15:抵当権の順位の譲渡又は放棄と根抵当権の譲渡順位の譲渡・放棄を受けた根抵当権を譲り渡すと、譲受人がその利益を受け継ぎます。
- 第398条の16民法第398条の16:共同根抵当設定と同時に共同根抵当の登記をした場合に限り、共同抵当の規定が適用されます。
- 第398条の17民法第398条の17:共同根抵当の変更等すべての不動産について登記しなければ効力が生じません。元本は1個の不動産の事由でも確定します。
- 第398条の18民法第398条の18:累積根抵当共同根抵当の登記がないときは、各不動産の代価について各極度額まで優先権を行使できます。
- 第398条の19民法第398条の19:根抵当権の元本の確定請求設定者は3年経過後、根抵当権者はいつでも確定請求ができます。確定期日の定めがあるときは適用されません。
- 第398条の20民法第398条の20:根抵当権の元本の確定事由競売の申立て、滞納処分の差押え、破産手続開始の決定など4つの事由で元本は確定します。
- 第398条の21民法第398条の21:根抵当権の極度額の減額請求元本確定後、設定者は極度額を現在の債務額+2年分に減らすよう請求できます。
- 第398条の22民法第398条の22:根抵当権の消滅請求極度額相当額を払い渡すか供託すれば根抵当権は消滅します。物権編を締めくくる条文です。
債権
- 第399条民法第399条:債権の目的金銭に見積もることができないものでも債権の目的にできます。第三編「債権」の入口です。
- 第400条民法第400条:特定物の引渡しの場合の注意義務特定物を引き渡すまで、善良な管理者の注意をもって保存しなければなりません。基準は契約と社会通念です。
- 第401条民法第401条:種類債権品質を定められないときは中等の品質。給付に必要な行為の完了か指定で、目的物が特定します。
- 第402条民法第402条:金銭債権債務者は選択に従い各種の通貨で弁済できます。特定の種類の通貨が強制通用力を失えば他の通貨で払います。
- 第403条民法第403条:外国の通貨で債権額を指定した場合外国通貨で額を指定しても、債務者は履行地の為替相場により日本の通貨で弁済できます。
- 第404条民法第404条:法定利率年3パーセントを出発点に、3年を一期として変動します。平成29年改正で固定制から変動制になりました。
- 第405条民法第405条:利息の元本への組入れ1年分以上の利息が延滞し、催告しても支払われないとき、債権者は利息を元本に組み入れられます。
- 第406条民法第406条:選択債権における選択権の帰属数個の給付から選ぶ債権では、選択権は債務者に属します。選択債権の6か条の入口です。
- 第407条民法第407条:選択権の行使相手方に対する意思表示で行使します。撤回するには相手方の承諾が必要です。
- 第408条民法第408条:選択権の移転弁済期に相当の期間を定めて催告しても選択しないとき、選択権は相手方に移ります。
- 第409条民法第409条:第三者の選択権第三者が選ぶ場合は債権者又は債務者への意思表示で行います。選べないときは債務者に移転します。
- 第410条民法第410条:不能による選択債権の特定給付の中に不能なものがあり、それが選択権者の過失によるときは、債権は残存するものについて存在します。
- 第411条民法第411条:選択の効力選択は債権の発生時にさかのぼって効力を生じます。ただし第三者の権利を害することはできません。
- 第412条民法第412条:履行期と履行遅滞確定期限・不確定期限・期限の定めなし。いつから遅滞の責任を負うかを3項に分けて定めます。
- 第412条の2民法第412条の2:履行不能不能なら履行を請求できません。契約成立時から不能でも、損害賠償の請求は妨げられません。
- 第413条民法第413条:受領遅滞債権者が受領を拒めば、債務者の保存義務は自己の財産と同一の注意に軽くなり、増加費用は債権者負担です。
- 第413条の2民法第413条の2:履行遅滞中又は受領遅滞中の履行不能と帰責事由遅滞中に双方無責で不能となれば、遅滞していた側の責めに帰すべき事由によるものとみなされます。
- 第414条民法第414条:履行の強制直接強制・代替執行・間接強制その他の方法を裁判所に請求できます。損害賠償の請求も妨げられません。
- 第415条民法第415条:債務不履行による損害賠償本旨に従った履行がないとき損害賠償を請求できます。3つの場合には履行に代わる賠償も請求できます。
- 第416条民法第416条:損害賠償の範囲通常損害が原則。特別の事情による損害は、当事者がその事情を予見すべきであったときに請求できます。
- 第417条民法第417条:損害賠償の方法別段の意思表示がないときは、金銭をもって額を定めます。金銭賠償の原則です。
- 第417条の2民法第417条の2:中間利息の控除将来の利益や費用の賠償額から利息相当額を控除するとき、請求権が生じた時点の法定利率によります。
- 第418条民法第418条:過失相殺債権者に過失があれば、裁判所は責任及び額を定めるにあたりこれを考慮します。考慮は義務です。
- 第419条民法第419条:金銭債務の特則損害の証明が要らず、不可抗力の抗弁もできません。金銭債務だけの3つの特別扱いです。
- 第420条民法第420条:賠償額の予定あらかじめ賠償額を決めておけます。履行請求や解除は妨げられず、違約金は賠償額の予定と推定されます。
- 第421条民法第421条:金銭でないものを賠償に充てる予定金銭以外のものを損害賠償に充てると予定した場合にも、民法420条が準用されます。
- 第422条民法第422条:損害賠償による代位価額の全部の支払を受けたとき、債務者はその物又は権利について当然に債権者に代位します。
- 第422条の2民法第422条の2:代償請求権履行不能と同一の原因で債務者が代償を得たとき、債権者は損害の限度でその移転や償還を求められます。
- 第423条民法第423条:債権者代位権の要件自己の債権を保全するため必要があるとき、債務者の権利を代わりに行使できます。一身専属権などは除かれます。
- 第423条の2民法第423条の2:代位行使の範囲被代位権利の目的が可分なら、自己の債権の額の限度でのみ行使できます。
- 第423条の3民法第423条の3:債権者への支払又は引渡し金銭の支払や動産の引渡しなら、自己に対してするよう求められます。相手方が応じれば被代位権利は消滅します。
- 第423条の4民法第423条の4:相手方の抗弁相手方は、債務者に対して主張できる抗弁をもって債権者に対抗できます。
- 第423条の5民法第423条の5:債務者の取立てその他の処分の権限等代位行使されても、債務者は自ら取立てや処分ができます。相手方も債務者に履行できます。
- 第423条の6民法第423条の6:被代位権利の行使に係る訴えと訴訟告知代位訴訟を提起したときは、遅滞なく債務者に訴訟告知をしなければなりません。義務です。
- 第423条の7民法第423条の7:登記又は登録の請求権を保全するための債権者代位権譲受人は、譲渡人が行使しない登記手続請求権を代位行使できます。転用型を条文にしたものです。
- 第424条民法第424条:詐害行為取消請求債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求できます。受益者が善意なら請求できません。
- 第424条の2民法第424条の2:相当の対価を得てした財産の処分行為の特則相当の対価を得ていても、3つの要件をすべて満たせば取り消せます。隠匿等の処分がキーワードです。
- 第424条の3民法第424条の3:特定の債権者に対する担保の供与等の特則既存債務の担保供与や弁済は、支払不能時かつ通謀の意図があるときに限り取り消せます。
- 第424条の4民法第424条の4:過大な代物弁済等の特則受けた給付が消滅した債務額より過大なとき、その超える部分について民法424条の要件で取り消せます。
- 第424条の5民法第424条の5:転得者に対する詐害行為取消請求転得者にも請求できますが、その者と、間に入った全ての転得者が悪意であることが必要です。
- 第424条の6民法第424条の6:財産の返還又は価額の償還の請求取消しとともに財産の返還を請求できます。返還が困難なら価額の償還を請求します。
- 第424条の7民法第424条の7:被告及び訴訟告知被告は受益者又は転得者です。債務者は被告になりませんが、訴訟告知が義務づけられています。
- 第424条の8民法第424条の8:詐害行為の取消しの範囲行為の目的が可分なら、自己の債権の額の限度でのみ取消しを請求できます。価額の償還も同じです。
- 第424条の9民法第424条の9:債権者への支払又は引渡し金銭の支払や動産の引渡しなら自己に対してするよう求められます。応じれば債務者への返還は不要です。
- 第425条民法第425条:認容判決の効力が及ぶ者の範囲取消しを認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対しても効力を有します。
- 第425条の2民法第425条の2:債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利財産の処分行為が取り消されたとき、受益者は債務者に反対給付の返還を請求できます。
- 第425条の3民法第425条の3:受益者の債権の回復弁済が取り消され、受益者が給付を返還したときは、受益者の債権が原状に復します。
- 第425条の4民法第425条の4:詐害行為取消請求を受けた転得者の権利転得者は、受益者が持つはずだった権利を行使できます。ただし自らの出捐の額が限度です。
- 第426条民法第426条:詐害行為取消権の期間の制限知った時から2年、行為の時から10年。どちらかを過ぎると訴えを提起できません。
- 第427条民法第427条:分割債権及び分割債務数人の債権者・債務者があるとき、別段の意思表示がなければ等しい割合で分かれます。
- 第428条民法第428条:不可分債権性質上不可分な債権に数人の債権者があるとき、連帯債権の規定が準用されます。ただし2か条は除かれます。
- 第429条民法第429条:不可分債権者の一人との間の更改又は免除更改や免除があっても、他の債権者は全部の履行を請求できます。ただし利益を債務者に償還します。
- 第430条民法第430条:不可分債務性質上不可分な債務に数人の債務者があるとき、連帯債務の規定が準用されます。混同だけが除かれます。
- 第431条民法第431条:可分債権又は可分債務への変更不可分が可分に変われば、各債権者は自己の部分のみ請求でき、各債務者は負担部分のみ責任を負います。
- 第432条民法第432条:連帯債権者による履行の請求等各債権者が全部又は一部の履行を請求でき、債務者は誰に対しても履行できます。連帯債権の基本形です。
- 第433条民法第433条:連帯債権者の一人との間の更改又は免除その債権者に分与されるべき部分については、他の連帯債権者は履行を請求できません。
- 第434条民法第434条:連帯債権者の一人との間の相殺債務者が連帯債権者の一人に対する債権で相殺すれば、その効力は他の債権者にも及びます。
- 第435条民法第435条:連帯債権者の一人との間の混同連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は弁済をしたものとみなされます。
- 第435条の2民法第435条の2:連帯債権における相対的効力の原則列挙された場合を除き、一人について生じた事由は他の連帯債権者に効力を生じません。
- 第436条民法第436条:連帯債務者に対する履行の請求債権者は一人に対しても全員に対しても、全部又は一部の履行を請求できます。連帯債務の基本形です。
- 第437条民法第437条:連帯債務者の一人についての法律行為の無効等一人について無効や取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は効力を妨げられません。
- 第438条民法第438条:連帯債務者の一人との間の更改一人との間に更改があったときは、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅します。
- 第439条民法第439条:連帯債務者の一人による相殺等相殺すれば全員のために債権が消滅します。援用しない間は、他の債務者が負担部分の限度で履行を拒めます。
- 第440条民法第440条:連帯債務者の一人との間の混同連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その者は弁済をしたものとみなされます。
- 第441条民法第441条:連帯債務における相対的効力の原則更改・相殺・混同を除き、一人について生じた事由は他の連帯債務者に効力を生じません。
- 第442条民法第442条:連帯債務者間の求償権負担部分を超えるかどうかにかかわらず求償できます。法定利息や費用も含みます。
- 第443条民法第443条:通知を怠った連帯債務者の求償の制限事前・事後の通知を怠ると求償が制限されます。他の債務者がいることを知っていた場合の規定です。
- 第444条民法第444条:償還をする資力のない者の負担部分の分担無資力者の分は、求償者と他の資力ある者が負担部分に応じて分担します。求償者に過失があれば請求できません。
- 第445条民法第445条:連帯債務者の一人との間の免除等と求償権免除や時効の完成があっても、他の連帯債務者はその者に対して求償権を行使できます。
- 第446条民法第446条:保証人の責任等主たる債務者が履行しないときに履行する責任を負います。保証契約は書面でしなければ効力を生じません。
- 第447条民法第447条:保証債務の範囲利息・違約金・損害賠償など従たるすべてを包含します。保証債務だけの違約金を約定することもできます。
- 第448条民法第448条:保証人の負担と主たる債務の目的又は態様主たる債務より重ければ限度に減縮されます。契約後に主たる債務が加重されても保証人の負担は増えません。
- 第449条民法第449条:取り消すことができる債務の保証取消原因を知って保証した者は、独立の債務を負担したものと推定されます。
- 第450条民法第450条:保証人の要件保証人を立てる義務がある場合、行為能力者で弁済の資力を有する者でなければなりません。
- 第451条民法第451条:他の担保の供与要件を満たす保証人を立てられないときは、他の担保を供してこれに代えることができます。
- 第452条民法第452条:催告の抗弁まず主たる債務者に催告せよと請求できます。破産手続開始や行方不明のときは主張できません。
- 第453条民法第453条:検索の抗弁弁済の資力があり執行が容易であることを証明すれば、まず主たる債務者の財産に執行させられます。
- 第454条民法第454条:連帯保証の場合の特則主たる債務者と連帯して債務を負担した保証人は、催告の抗弁も検索の抗弁も持ちません。
- 第455条民法第455条:催告の抗弁及び検索の抗弁の効果債権者が催告や執行を怠って弁済を得られなかったとき、保証人は得られたはずの限度で義務を免れます。
- 第456条民法第456条:数人の保証人がある場合保証人が数人あるときは、各別の行為で債務を負担しても民法427条が適用されます。分別の利益です。
- 第457条民法第457条:主たる債務者について生じた事由の効力時効の完成猶予・更新は保証人にも及びます。主たる債務者の抗弁を対抗でき、履行を拒むこともできます。
- 第458条民法第458条:連帯保証人について生じた事由の効力更改・相殺・混同・相対的効力の原則が連帯保証人に準用されます。連帯債務の規定の引き写しです。
- 第458条の2民法第458条の2:主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務委託を受けた保証人が請求したときは、債権者は遅滞なく履行状況を知らせなければなりません。
- 第458条の3民法第458条の3:期限の利益喪失の場合の情報提供義務知った時から2か月以内に通知しなければ、その間の遅延損害金を保証人に請求できません。
- 第459条民法第459条:委託を受けた保証人の求償権債務の消滅行為をした保証人は、支出した財産の額の求償権を有します。法定利息や費用も含みます。
- 第459条の2民法第459条の2:弁済期前に弁済等をした場合の求償権弁済期前の消滅行為では、主たる債務者が当時利益を受けた限度でのみ求償できます。行使も弁済期以後です。
- 第460条民法第460条:委託を受けた保証人の事前の求償権破産・弁済期の到来・裁判の言渡しの3つの場合に、あらかじめ求償権を行使できます。
- 第461条民法第461条:主たる債務者が保証人に対して償還をする場合主たる債務者は担保や免責を請求でき、供託などによって償還の義務を免れることもできます。
- 第462条民法第462条:委託を受けない保証人の求償権委託がなければ利益を受けた限度、意思に反していれば現に利益を受けている限度でのみ求償できます。
- 第463条民法第463条:通知を怠った保証人の求償の制限等事前通知を怠った保証人には主たる債務者が抗弁を対抗でき、事後通知を怠ると二重弁済が有効とみなされます。
- 第464条民法第464条:連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権連帯債務者・不可分債務者の一人のために保証した者は、他の債務者には負担部分のみを求償できます。
- 第465条民法第465条:共同保証人間の求償権分別の利益がない共同保証人は連帯債務の求償規定を、ある場合は462条を準用して互いに求償します。
- 第465条の2民法第465条の2:個人根保証契約の保証人の責任等個人根保証契約は極度額を定めなければ効力を生じず、書面でしなければ効力を生じません。
- 第465条の3民法第465条の3:個人貸金等根保証契約の元本確定期日5年を超える元本確定期日の定めは無効となり、定めがなければ3年後が確定期日になります。
- 第465条の4民法第465条の4:個人根保証契約の元本の確定事由保証人への強制執行・保証人の破産・当事者の死亡で元本は確定し、貸金等が含まれる場合はさらに2つ加わります。
- 第465条の5民法第465条の5:保証人が法人である根保証契約の求償権法人根保証に極度額や元本確定期日の定めがないとき、その求償権を個人が保証する契約は効力を生じません。
- 第465条の6民法第465条の6:公正証書の作成と保証の効力事業のための貸金等債務の保証は、締結の日前1か月以内の公正証書で保証意思を表示していなければ効力を生じません。
- 第465条の7民法第465条の7:保証に係る公正証書の方式の特則口がきけない者は通訳人の通訳による申述又は自書で口授に代え、耳が聞こえない者には通訳で読み聞かせに代えます。
- 第465条の8民法第465条の8:公正証書の作成と求償権についての保証の効力事業のための貸金等債務の保証人が持つ求償権を保証する契約にも、公正証書の要件が準用されます。
- 第465条の9民法第465条の9:公正証書の作成と保証の効力に関する規定の適用除外経営者・議決権の過半数を持つ者・共同事業者・事業に現に従事する配偶者には公正証書の要件が適用されません。
- 第465条の10民法第465条の10:契約締結時の情報の提供義務事業債務の保証を委託するとき主たる債務者は財産状況等を情報提供せねばならず、怠れば保証人は取り消せます。
- 第466条民法第466条:債権の譲渡性債権は譲渡でき、譲渡制限の意思表示があっても譲渡自体は有効です。悪意重過失の譲受人には債務者が履行を拒めます。
- 第466条の2民法第466条の2:譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託譲渡制限付きの金銭債権が譲渡されたとき、債務者は全額を供託でき、還付を請求できるのは譲受人だけです。
- 第466条の3民法第466条の3:譲渡人が破産したときの譲受人の供託請求権譲渡人が破産したときは、悪意重過失の譲受人でも債務者に供託させることができます。
- 第466条の4民法第466条の4:譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え差押債権者には譲渡制限を対抗できませんが、悪意重過失の譲受人の債権者が差し押さえた場合は別です。
- 第466条の5民法第466条の5:預金債権又は貯金債権に係る譲渡制限の意思表示の効力預貯金債権だけは例外で、譲渡制限を悪意重過失の第三者に対抗できます。ただし差押債権者には対抗できません。
- 第466条の6民法第466条の6:将来債権の譲渡性まだ発生していない債権も譲渡でき、譲受人は発生した債権を当然に取得します。
- 第467条民法第467条:債権の譲渡の対抗要件債務者への対抗には通知又は承諾、第三者への対抗にはさらに確定日付のある証書が必要です。
- 第468条民法第468条:債権の譲渡における債務者の抗弁債務者は対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由を譲受人に対抗できます。異議をとどめない承諾の制度は廃止されました。
- 第469条民法第469条:債権の譲渡における相殺権対抗要件具備時より前に取得した債権による相殺のほか、前の原因に基づく債権や同一契約から生じた債権でも相殺できます。
- 第470条民法第470条:併存的債務引受の要件及び効果引受人は債務者と連帯して同一内容の債務を負い、債権者と引受人、債務者と引受人のいずれの契約でもできます。
- 第471条民法第471条:併存的債務引受における引受人の抗弁等引受人は効力発生時に債務者が主張できた抗弁を対抗でき、取消権・解除権があれば履行を拒めます。
- 第472条民法第472条:免責的債務引受の要件及び効果引受人が同一内容の債務を負い債務者は免れます。債権者と引受人の契約では債務者への通知時に効力が生じます。
- 第472条の2民法第472条の2:免責的債務引受における引受人の抗弁等引受人は効力発生時に債務者が主張できた抗弁を対抗でき、取消権・解除権があれば履行を拒めます。
- 第472条の3民法第472条の3:免責的債務引受における引受人の求償権免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しません。
- 第472条の4民法第472条の4:免責的債務引受による担保の移転債権者は担保権を引受人の債務に移せますが、第三者が設定した場合はその承諾が必要で、保証は書面が要ります。
- 第473条民法第473条:弁済債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は消滅します。
- 第474条民法第474条:第三者の弁済第三者も弁済できますが、正当な利益を有しない第三者は債務者の意思にも債権者の意思にも反して弁済できません。
- 第475条民法第475条:弁済として引き渡した物の取戻し他人の物を弁済として引き渡した者は、更に有効な弁済をしなければその物を取り戻せません。
- 第476条民法第476条:弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力等債権者が善意で消費・譲渡したときは弁済が有効となり、賠償請求を受けた債権者は弁済者に求償できます。
- 第477条民法第477条:預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済振込みによる弁済は、債権者が払戻しを請求する権利を取得した時に効力を生じます。
- 第478条民法第478条:受領権者としての外観を有する者に対する弁済受領権者らしい外観の者への弁済は、弁済者が善意かつ無過失であったときに限り効力を有します。
- 第479条民法第479条:受領権者以外の者に対する弁済民法478条の場合を除き、受領権者以外の者への弁済は債権者が利益を受けた限度でのみ効力を有します。
- 第480条民法第480条:削除民法480条は現行法で「削除」です。受取証書の持参人に関する規定が平成29年改正で削られた経緯と、その受け皿を確認します。
- 第481条民法第481条:差押えを受けた債権の第三債務者の弁済差押え後に自己の債権者へ弁済しても、差押債権者は受けた損害の限度で更に弁済を請求できます。
- 第482条民法第482条:代物弁済本来の給付に代えて他の給付をする契約をし、実際にその給付をしたときに弁済と同一の効力が生じます。
- 第483条民法第483条:特定物の現状による引渡し引渡しをすべき時の品質を定められないときに限り、弁済者はその時の現状で特定物を引き渡せば足ります。
- 第484条民法第484条:弁済の場所及び時間特定物は債権発生時に存在した場所、その他は債権者の現在の住所が弁済の場所です。取引時間の定めがあればその内に限られます。
- 第485条民法第485条:弁済の費用弁済の費用は原則として債務者の負担ですが、債権者の住所移転等で増加した分は債権者の負担です。
- 第486条民法第486条:受取証書の交付請求等弁済をする者は弁済と引換えに受取証書の交付を請求でき、電磁的記録の提供も請求できます。
- 第487条民法第487条:債権証書の返還請求債権証書がある場合、全部の弁済をした者はその証書の返還を請求することができます。
- 第488条民法第488条:同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当弁済者の指定が最優先、次に受領者の指定、どちらもなければ4項各号の順序で法定充当されます。
- 第489条民法第489条:元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当元本のほか利息と費用を支払うべき場合、給付は費用・利息・元本の順に充当しなければなりません。
- 第490条民法第490条:合意による弁済の充当弁済者と受領者の間に充当の順序に関する合意があれば、民法488条・489条に優先してその順序によります。
- 第491条民法第491条:数個の給付をすべき場合の充当一個の債務について数個の給付をすべき場合の充当にも、民法488条から490条までが準用されます。
- 第492条民法第492条:弁済の提供の効果債務者は弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れます。
- 第493条民法第493条:弁済の提供の方法弁済の提供は現実にするのが原則ですが、債権者が受領を拒み又は債権者の行為を要するときは口頭の提供で足ります。
- 第494条民法第494条:供託受領拒絶・受領不能・債権者不確知のときは弁済の目的物を供託でき、供託の時に債権が消滅します。
- 第495条民法第495条:供託の方法供託は債務の履行地の供託所にし、供託をした者は遅滞なく債権者に供託の通知をしなければなりません。
- 第496条民法第496条:供託物の取戻し債権者が受諾せず有効宣告の判決も確定しない間は取り戻せますが、質権・抵当権が消滅した場合は取り戻せません。
- 第497条民法第497条:供託に適しない物等供託に適しない物などは、裁判所の許可を得て競売に付し、その代金を供託することができます。
- 第498条民法第498条:供託物の還付請求等債権者は供託物の還付を請求できますが、反対給付をすべき場合はその給付をしなければ受け取れません。
- 第499条民法第499条:弁済による代位の要件債務者のために弁済をした者は、正当な利益の有無を問わず債権者に代位します。
- 第500条民法第500条:弁済による代位の対抗要件正当な利益を有しない者が代位する場合には、民法467条の債権譲渡の対抗要件が準用されます。
- 第501条民法第501条:弁済による代位の効果代位者は債権者の一切の権利を求償できる範囲内で行使できます。3項各号が第三取得者・保証人・物上保証人の関係を定めます。
- 第502条民法第502条:一部弁済による代位一部代位者は債権者の同意を得て共に権利を行使でき、債権者の権利が優先します。解除は債権者のみができます。
- 第503条民法第503条:債権者による債権証書の交付等全部の代位弁済では債権証書と担保物を交付し、一部の代位弁済では証書に代位を記入し担保物の保存を監督させます。
- 第504条民法第504条:債権者による担保の喪失等債権者が故意過失で担保を失わせたとき代位権者は責任を免れますが、合理的な理由があれば適用されません。
- 第505条民法第505条:相殺の要件等互いに同種の債務を負い双方が弁済期にあれば対当額で相殺できます。相殺禁止特約は悪意重過失の第三者に対抗できます。
- 第506条民法第506条:相殺の方法及び効力相殺は一方的な意思表示でし、条件・期限を付けられません。効力は相殺適状の時にさかのぼります。
- 第507条民法第507条:履行地の異なる債務の相殺履行地が異なっても相殺はできますが、相殺をする当事者はそれによって生じた損害を賠償しなければなりません。
- 第508条民法第508条:時効により消滅した債権を自働債権とする相殺時効消滅した債権でも、消滅以前に相殺適状になっていた場合には相殺をすることができます。
- 第509条民法第509条:不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止悪意の不法行為と人の生命身体の侵害による損害賠償債務は相殺できませんが、譲り受けた債権なら別です。
- 第510条民法第510条:差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止債権が差押えを禁じられたものであるときは、その債務者は相殺をもって債権者に対抗できません。
- 第511条民法第511条:差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止差押え前に取得した債権による相殺は差押債権者に対抗でき、差押え後の債権でも差押え前の原因に基づけば対抗できます。
- 第512条民法第512条:相殺の充当別段の合意がなければ相殺適状になった時期の順に消滅し、足りないときは弁済の充当の規定が準用されます。
- 第512条の2民法第512条の2:数個の給付をすべき債権債務の相殺の充当一個の債権債務について数個の給付をすべきものがある場合の相殺にも、民法512条が準用されます。
- 第513条民法第513条:更改従前の債務に代えて、給付内容の重要な変更・債務者の交替・債権者の交替のいずれかの新債務を生じさせる契約です。
- 第514条民法第514条:債務者の交替による更改債権者と新債務者の契約でき、更改前の債務者への通知時に効力が生じます。新債務者は求償権を取得しません。
- 第515条民法第515条:債権者の交替による更改更改前後の債権者と債務者の三者契約でし、確定日付のある証書によらなければ第三者に対抗できません。
- 第516条民法第516条・第517条:削除民法516条・517条は現行法で「削除」です。更改に関する2か条が平成29年改正で削られた経緯を確認します。
- 第518条民法第518条:更改後の債務への担保の移転更改前の債務の目的の限度で質権・抵当権を新債務に移せます。第三者が設定した場合は承諾が必要です。
- 第519条民法第519条:免除債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は消滅します。
- 第520条民法第520条:混同債権及び債務が同一人に帰属したときは債権は消滅しますが、その債権が第三者の権利の目的であるときは別です。
- 第520条の2民法第520条の2:指図証券の譲渡指図証券の譲渡は、その証券に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ効力を生じません。
- 第520条の3民法第520条の3:指図証券の裏書の方式指図証券の譲渡については、その性質に応じ、手形法中の裏書の方式に関する規定が準用されます。
- 第520条の4民法第520条の4:指図証券の所持人の権利の推定裏書の連続によって権利を証明する所持人は、証券上の権利を適法に有するものと推定されます。
- 第520条の5民法第520条の5:指図証券の善意取得裏書の連続で権利を証明する所持人は証券の返還義務を負いません。悪意重過失で取得したときは別です。
- 第520条の6民法第520条の6:指図証券の譲渡における債務者の抗弁の制限指図証券の債務者は、証券記載事項等を除き、譲渡前の債権者に対抗できた事由を善意の譲受人に対抗できません。
- 第520条の7民法第520条の7:指図証券の質入れ指図証券を目的とする質権の設定には、民法520条の2から520条の6までの規定が準用されます。
- 第520条の8民法第520条の8:指図証券の弁済の場所指図証券の弁済は、債権者の住所ではなく債務者の現在の住所においてしなければなりません。
- 第520条の9民法第520条の9:指図証券の提示と履行遅滞期限の定めがあっても、期限到来後に所持人が証券を提示して履行を請求した時から遅滞の責任を負います。
- 第520条の10民法第520条の10:指図証券の債務者の調査の権利等債務者は所持人や署名押印の真偽を調査する権利を持ちますが義務は負いません。悪意重過失があれば弁済は無効です。
- 第520条の11民法第520条の11:指図証券の喪失指図証券は、非訟事件手続法100条に規定する公示催告手続によって無効とすることができます。
- 第520条の12民法第520条の12:指図証券喪失の場合の権利行使方法公示催告の申立てをした所持人は、債務者に目的物を供託させ、又は担保を供して履行させることができます。
- 第520条の13民法第520条の13:記名式所持人払証券の譲渡記名式所持人払証券の譲渡は、その証券を交付しなければ効力を生じません。裏書は不要です。
- 第520条の14民法第520条の14:記名式所持人払証券の所持人の権利の推定記名式所持人払証券の所持人は、それだけで証券上の権利を適法に有するものと推定されます。
- 第520条の15民法第520条の15:記名式所持人払証券の善意取得所持人は証券の返還義務を負いませんが、悪意又は重大な過失により取得したときは返還しなければなりません。
- 第520条の16民法第520条の16:記名式所持人払証券の譲渡における債務者の抗弁の制限債務者は、証券記載事項等を除き、譲渡前の債権者に対抗できた事由を善意の譲受人に対抗できません。
- 第520条の17民法第520条の17:記名式所持人払証券の質入れ記名式所持人払証券を目的とする質権の設定には、民法520条の13から520条の16までが準用されます。
- 第520条の18民法第520条の18:指図証券の規定の準用弁済の場所・提示と履行遅滞・調査の権利・喪失に関する指図証券の規定が、記名式所持人払証券に準用されます。
- 第520条の19民法第520条の19:その他の記名証券指図証券でも記名式所持人払証券でもない記名証券は、債権譲渡の方式と効力によってのみ譲渡できます。
- 第520条の20民法第520条の20:無記名証券無記名証券には、記名式所持人払証券に関する第二款の規定が準用されます。
- 第521条民法第521条:契約の締結及び内容の自由何人も契約をするかどうかを自由に決定でき、当事者は法令の制限内で契約の内容を自由に決定できます。
- 第522条民法第522条:契約の成立と方式契約は申込みに対して相手方が承諾をしたときに成立し、原則として書面その他の方式を要しません。
- 第523条民法第523条:承諾の期間の定めのある申込み承諾期間を定めた申込みは撤回できず、その期間内に承諾の通知を受けなければ効力を失います。
- 第524条民法第524条:遅延した承諾の効力申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができます。
- 第525条民法第525条:承諾の期間の定めのない申込み相当な期間を経過するまで撤回できませんが、対話者に対する申込みは対話継続中いつでも撤回できます。
- 第526条民法第526条:申込者の死亡等申込者の死亡・意思能力の喪失・行為能力の制限は、意思の表示があったか相手方が知ったときに申込みを失効させます。
- 第527条民法第527条:承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期承諾の通知が要らない場合、契約は承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立します。
- 第528条民法第528条:申込みに変更を加えた承諾申込みに条件を付し、その他変更を加えた承諾は、申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされます。
- 第529条民法第529条:懸賞広告懸賞広告者は、行為をした者が広告を知っていたかどうかにかかわらず、その者に報酬を与える義務を負います。
- 第529条の2民法第529条の2:指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告期間を定めた懸賞広告は原則として撤回できず、その期間内に行為を完了する者がないときは効力を失います。
- 第529条の3民法第529条の3:指定した行為をする期間の定めのない懸賞広告期間を定めない懸賞広告は、行為を完了する者がない間は撤回できますが、撤回しない旨を表示したときは別です。
- 第530条民法第530条:懸賞広告の撤回の方法前の広告と同一の方法による撤回は知らない者にも効力を有し、異なる方法による撤回は知った者にのみ効力を有します。
- 第531条民法第531条:懸賞広告の報酬を受ける権利数人が広告の行為をしたときは最初にした者が、同時のときは各自が等しい割合で報酬を受け、分割に適しないときは抽選で定めます。
- 第532条民法第532条:優等懸賞広告優等者のみに報酬を与える懸賞広告は応募期間を定めたときに限り効力を有し、優等の判定に応募者は異議を述べられません。
- 第533条民法第533条:同時履行の抗弁双務契約の当事者の一方は、相手方が債務の履行を提供するまで自己の債務の履行を拒むことができます。
- 第536条民法第536条:債務者の危険負担等双方に責めのない事由で履行不能となったときは債権者が反対給付を拒め、債権者に責めがあるときは拒めません。
- 第537条民法第537条:第三者のためにする契約契約で第三者への給付を約したときは第三者が直接請求でき、その権利は受益の意思表示の時に発生します。
- 第538条民法第538条:第三者の権利の確定第三者の権利が発生した後は当事者がこれを変更・消滅させられず、解除にも第三者の承諾が必要です。
- 第539条民法第539条:債務者の抗弁債務者は、第三者のためにする契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗できます。
- 第539条の2民法第539条の2:契約上の地位の移転当事者の一方が第三者と地位を譲渡する合意をし、契約の相手方が承諾したときは、契約上の地位が移転します。
- 第540条民法第540条:解除権の行使解除は相手方に対する意思表示によってし、その意思表示は撤回することができません。
- 第541条民法第541条:催告による解除相当の期間を定めた催告後も履行がないときは解除できますが、不履行が軽微であるときは解除できません。
- 第542条民法第542条:催告によらない解除履行不能や明確な履行拒絶など5つの場合には催告なしに全部解除でき、2つの場合には一部解除ができます。
- 第543条民法第543条:債権者の責めに帰すべき事由による場合債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は解除をすることができません。
- 第544条民法第544条:解除権の不可分性当事者の一方が数人あるときの解除は全員から全員に対してのみでき、一人について解除権が消滅すれば他の者についても消滅します。
- 第545条民法第545条:解除の効果解除により各当事者は原状回復義務を負いますが第三者の権利を害せず、金銭には受領時からの利息を付します。
- 第546条民法第546条:契約の解除と同時履行解除による原状回復義務については、同時履行の抗弁を定める民法533条が準用されます。
- 第547条民法第547条:催告による解除権の消滅解除権の行使期間の定めがないときは、相手方が期間を定めて確答を催告でき、通知がなければ解除権は消滅します。
- 第548条民法第548条:解除権者の故意による目的物の損傷等による解除権の消滅解除権者が故意・過失で目的物を著しく損傷等したときは解除権が消滅しますが、解除権を知らなかったときは別です。
- 第548条の2民法第548条の2:定型約款の合意定型取引の合意をした者は、一定の場合に定型約款の個別条項にも合意したとみなされますが、不当条項は合意しなかったものとみなされます。
- 第548条の3民法第548条の3:定型約款の内容の表示定型約款準備者は請求があれば遅滞なく内容を示す義務を負い、合意前にこれを拒んだときはみなし合意の規定が適用されません。
- 第548条の4民法第548条の4:定型約款の変更定型約款準備者は一般の利益に適合する場合等に個別の合意なく約款を変更でき、周知が効力発生の条件となる場合があります。
- 第549条民法第549条:贈与贈与は、無償で財産を与える意思表示と相手方の受諾によって効力を生ずる諾成・無償・片務の契約です。
- 第550条民法第550条:書面によらない贈与の解除書面によらない贈与は各当事者が解除できますが、履行の終わった部分については解除できません。
- 第551条民法第551条:贈与者の引渡義務等贈与者は目的物を特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定され、負担付贈与では負担の限度で担保責任を負います。
- 第552条民法第552条:定期贈与定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によってその効力を失います。
- 第553条民法第553条:負担付贈与負担付贈与には、この節の規定のほか、性質に反しない限り双務契約に関する規定が準用されます。
- 第554条民法第554条:死因贈与贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与には、その性質に反しない限り遺贈に関する規定が準用されます。
- 第555条民法第555条:売買売買は、財産権の移転の約束と代金支払の約束によって効力を生ずる諾成・有償・双務の契約です。
- 第556条民法第556条:売買の一方の予約売買の一方の予約は完結の意思表示によって効力を生じ、期間を定めないときは催告により失効させられます。
- 第557条民法第557条:手付買主は手付を放棄し売主は倍額を現実に提供して解除できますが、相手方が履行に着手した後はできません。
- 第558条民法第558条:売買契約に関する費用売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担します。
- 第559条民法第559条:有償契約への準用売買の節の規定は、その性質が許す限り、売買以外の有償契約について準用されます。
- 第560条民法第560条:権利移転の対抗要件に係る売主の義務売主は、買主に対し、登記・登録その他売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負います。
- 第561条民法第561条:他人の権利の売買における売主の義務他人の権利を売買の目的としたときも契約は有効で、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負います。
- 第562条民法第562条:買主の追完請求権契約不適合の目的物が引き渡されたとき買主は追完を請求でき、不適合が買主の責めによるときは請求できません。
- 第563条民法第563条:買主の代金減額請求権追完の催告をしても追完がないとき買主は代金減額を請求でき、一定の場合は催告なしに請求できます。
- 第564条民法第564条:買主の損害賠償請求及び解除権の行使追完請求・代金減額請求の規定は、民法415条の損害賠償請求と民法541条・542条の解除権の行使を妨げません。
- 第565条民法第565条:移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任移転した権利が契約に適合しない場合や権利の一部を移転しない場合にも、民法562条から564条までが準用されます。
- 第566条民法第566条:目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限種類・品質の不適合は知った時から1年以内に通知しないと権利を失いますが、売主が悪意・重過失のときは別です。
- 第567条民法第567条:目的物の滅失等についての危険の移転引渡し後に双方の責めなく滅失・損傷しても買主は追完請求等ができず、受領拒絶等の後も同様に扱われます。
- 第568条民法第568条:競売における担保責任等競売の買受人は債務者に解除・代金減額を求められ、債務者が無資力なら配当を受けた債権者に返還を請求できます。
- 第569条民法第569条:債権の売主の担保責任債権の売主が債務者の資力を担保したときは契約時の資力を、弁済期前の債権では弁済期の資力を担保したものと推定します。
- 第570条民法第570条:抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求契約に適合しない先取特権・質権・抵当権があり、買主が費用を支出して所有権を保存したときは償還を請求できます。
- 第572条民法第572条:担保責任を負わない旨の特約担保責任を負わない特約をしても、知りながら告げなかった事実と自ら設定・譲渡した権利については責任を免れません。
- 第573条民法第573条:代金の支払期限売買の目的物の引渡しに期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものと推定されます。
- 第574条民法第574条:代金の支払場所売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、その引渡しの場所において支払わなければなりません。
- 第575条民法第575条:果実の帰属及び代金の利息の支払まだ引き渡されていない目的物の果実は売主に帰属し、買主は引渡しの日から代金の利息を支払う義務を負います。
- 第576条民法第576条:権利を取得することができない等のおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶権利を取得できない・失うおそれがあるとき買主は危険の程度に応じて代金の支払を拒めますが、相当の担保があれば拒めません。
- 第577条民法第577条:抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶契約に適合しない抵当権の登記があるとき買主は抵当権消滅請求の手続が終わるまで代金の支払を拒めます。
- 第578条民法第578条:売主による代金の供託の請求民法576条・577条により買主が代金の支払を拒む場合、売主は買主に代金の供託を請求することができます。
- 第579条民法第579条:買戻しの特約不動産の売主は売買と同時にした買戻しの特約により、代金及び契約の費用を返還して売買を解除できます。
- 第580条民法第580条:買戻しの期間買戻しの期間は10年を超えられず、伸長もできません。期間を定めなかったときは5年以内にしなければなりません。
- 第581条民法第581条:買戻しの特約の対抗力売買と同時に買戻しの特約を登記したときは第三者に対抗でき、対抗要件を備えた賃借人は1年を超えない期間で保護されます。
- 第582条民法第582条:買戻権の代位行使売主の債権者が代位して買戻しをしようとするとき、買主は鑑定人の評価に従い残額まで弁済して買戻権を消滅させられます。
- 第583条民法第583条:買戻しの実行売主は期間内に代金及び契約の費用を提供しなければ買戻しができず、買主等が支出した費用は民法196条により償還します。
- 第584条民法第584条:共有持分の買戻特約付売買共有者の一人が買戻特約付きで持分を売った後に分割・競売があったとき、売主は買主が受ける部分等について買戻しができます。
- 第585条民法第585条:買主が競売の買受人となった場合の買戻し買主が競売の買受人となったとき売主は代金等を支払って買戻しができ、全部の所有権を取得します。
- 第586条民法第586条:交換交換は互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約する契約で、補足金には売買の代金の規定が準用されます。
- 第587条民法第587条:消費貸借消費貸借は、同じ種類・品質・数量の物で返すことを約して物を受け取ることによって効力を生ずる要物契約です。
- 第587条の2民法第587条の2:書面でする消費貸借等書面でする消費貸借は合意だけで効力を生じ、借主は受取り前に解除でき、破産手続開始決定があれば失効します。
- 第588条民法第588条:準消費貸借物を給付する義務を負う者がある場合に、その物を消費貸借の目的とすることを約したときは消費貸借が成立したとみなされます。
- 第589条民法第589条:利息貸主は特約がなければ利息を請求できず、特約があるときは借主が物を受け取った日以後の利息を請求できます。
- 第590条民法第590条:貸主の引渡義務等無利息の消費貸借には民法551条が準用され、契約不適合の物が引き渡されたときは借主は価額を返還できます。
- 第591条民法第591条:返還の時期返還時期の定めがないとき貸主は催告でき、借主はいつでも返還できますが、期限前返還で生じた損害は賠償の対象です。
- 第592条民法第592条:価額の償還同種・同質・同量の物で返還できなくなったときは、その時における物の価額を償還しなければなりません。
- 第593条民法第593条:使用貸借使用貸借は、無償で使用収益をして契約終了時に返還することを約することによって効力を生ずる契約です。
- 第593条の2民法第593条の2:借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除貸主は借主が借用物を受け取るまで契約を解除できますが、書面による使用貸借については解除できません。
- 第594条民法第594条:借主による使用及び収益借主は定まった用法に従って使用収益し、貸主の承諾なく第三者に使用収益させられず、違反があれば貸主は解除できます。
- 第595条民法第595条:借用物の費用の負担借主は借用物の通常の必要費を負担し、それ以外の費用については民法583条2項の規定が準用されます。
- 第596条民法第596条:貸主の引渡義務等使用貸借には民法551条が準用され、貸主は特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定されます。
- 第597条民法第597条:期間満了等による使用貸借の終了使用貸借は期間の満了、目的に従った使用収益の終了、そして借主の死亡によって終了します。
- 第598条民法第598条:使用貸借の解除目的に足りる期間の経過後や期間・目的の定めがないとき貸主は解除でき、借主はいつでも解除できます。
- 第599条民法第599条:借主による収去等借主は附属させた物の収去義務と収去権を持ち、生じた損傷については原状回復義務を負います。
- 第600条民法第600条:損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限損害賠償と費用償還の請求は返還を受けた時から1年以内にしなければならず、損害賠償請求権の時効は1年間完成しません。
- 第601条民法第601条:賃貸借賃貸借は、使用収益をさせること・賃料を支払うこと・終了時に返還することの三つの約束によって効力を生じます。
- 第602条民法第602条:短期賃貸借処分の権限を有しない者がする賃貸借は、山林10年・その他の土地5年・建物3年・動産6か月を超えられません。
- 第603条民法第603条:短期賃貸借の更新短期賃貸借の期間は更新できますが、土地は1年以内、建物は3か月以内、動産は1か月以内にしなければなりません。
- 第604条民法第604条:賃貸借の存続期間賃貸借の存続期間は50年を超えることができず、更新もできますが更新の時から50年を超えられません。
- 第605条民法第605条:不動産賃貸借の対抗力不動産の賃貸借は登記したときに、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗できます。
- 第605条の2民法第605条の2:不動産の賃貸人たる地位の移転対抗要件を備えた賃貸借の目的不動産が譲渡されると賃貸人たる地位は譲受人に移転し、所有権移転登記が賃借人への対抗要件となります。
- 第605条の3民法第605条の3:合意による不動産の賃貸人たる地位の移転譲渡人が賃貸人であるときは、賃借人の承諾を要しないで譲渡人と譲受人の合意により賃貸人たる地位を移転できます。
- 第605条の4民法第605条の4:不動産の賃借人による妨害の停止の請求等対抗要件を備えた不動産の賃借人は、占有を妨害する第三者に妨害の停止を、占有する第三者に返還を請求できます。
- 第606条民法第606条:賃貸人による修繕等賃貸人は使用収益に必要な修繕をする義務を負い、賃借人は賃貸人の保存に必要な行為を拒むことができません。
- 第607条民法第607条:賃借人の意思に反する保存行為賃借人の意思に反する保存行為によって賃借の目的を達せられなくなるときは、賃借人は契約を解除できます。
- 第607条の2民法第607条の2:賃借人による修繕通知等をしても賃貸人が相当の期間内に修繕をしないとき、又は急迫の事情があるときは、賃借人が修繕をすることができます。
- 第608条民法第608条:賃借人による費用の償還請求必要費は直ちに償還を請求でき、有益費は賃貸借の終了時に民法196条2項に従って償還されます。
- 第609条民法第609条:減収による賃料の減額請求耕作・牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力で賃料より少ない収益しか得られないとき賃料の減額を請求できます。
- 第610条民法第610条:減収による解除不可抗力によって引き続き2年以上賃料より少ない収益しか得られなかったときは、賃借人は契約を解除できます。
- 第611条民法第611条:賃借物の一部滅失等による賃料の減額等賃借人の責めによらず一部が使用収益できなくなったときは賃料が当然に減額され、目的を達せられないときは解除できます。
- 第612条民法第612条:賃借権の譲渡及び転貸の制限賃借人は賃貸人の承諾なく賃借権の譲渡・転貸ができず、違反して第三者に使用収益させたときは賃貸人が解除できます。
- 第613条民法第613条:転貸の効果適法な転貸では転借人が賃貸人に直接義務を負い、賃貸人は合意解除を転借人に対抗できません。
- 第614条民法第614条:賃料の支払時期賃料は動産・建物・宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に支払うのが民法の原則です。
- 第615条民法第615条:賃借人の通知義務賃借物が修繕を要し、又は権利を主張する者があるときは、賃借人は遅滞なく賃貸人に通知しなければなりません。
- 第616条民法第616条:賃借人による使用及び収益賃借人の用法遵守義務について、使用貸借の民法594条1項の規定が賃貸借に準用されます。
- 第616条の2民法第616条の2:賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了賃借物の全部が滅失その他の事由により使用収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は終了します。
- 第617条民法第617条:期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ期間の定めがないときは各当事者がいつでも解約を申し入れられ、土地1年・建物3か月・動産等1日で終了します。
- 第618条民法第618条:期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保期間を定めた賃貸借でも、一方又は双方が期間内に解約する権利を留保したときは民法617条が準用されます。
- 第619条民法第619条:賃貸借の更新の推定等期間満了後も使用収益を続け賃貸人が異議を述べないときは同一条件で更新したと推定され、担保は原則として消滅します。
- 第620条民法第620条:賃貸借の解除の効力賃貸借の解除は将来に向かってのみ効力を生じ、損害賠償の請求は妨げられません。
- 第621条民法第621条:賃借人の原状回復義務賃借人は損傷を原状に復する義務を負いますが、通常損耗と経年変化は除かれ、責めに帰せない損傷も除かれます。
- 第622条民法第622条:使用貸借の規定の準用期間満了による終了・借主による収去等・損害賠償等の期間制限について、使用貸借の規定が賃貸借に準用されます。
- 第622条の2民法第622条の2:敷金賃貸人は賃貸借の終了と返還時等に敷金から債務額を控除した残額を返還し、賃借人から充当を請求することはできません。
- 第623条民法第623条:雇用雇用は、労働に従事することの約束と報酬を与えることの約束によって効力を生ずる有償・双務の契約です。
- 第624条民法第624条:報酬の支払時期労働者は約した労働を終わった後でなければ報酬を請求できず、期間で定めた報酬はその期間の経過後に請求できます。
- 第624条の2民法第624条の2:履行の割合に応じた報酬使用者の責めによらず労働に従事できなくなったとき、又は雇用が中途で終了したときは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できます。
- 第625条民法第625条:使用者の権利の譲渡の制限等使用者は労働者の承諾なく権利を譲渡できず、労働者も使用者の承諾なく第三者を労働に従事させられません。
- 第626条民法第626条:期間の定めのある雇用の解除雇用の期間が5年を超えるか終期が不確定のときは、5年経過後いつでも解除でき、使用者は3か月前・労働者は2週間前の予告を要します。
- 第627条民法第627条:期間の定めのない雇用の解約の申入れ期間の定めがないときは各当事者がいつでも解約を申し入れられ、申入れの日から2週間の経過で雇用が終了します。
- 第628条民法第628条:やむを得ない事由による雇用の解除期間を定めた雇用でも、やむを得ない事由があるときは直ちに解除でき、一方の過失で生じたときは損害賠償責任を負います。
- 第629条民法第629条:雇用の更新の推定等期間満了後も労働に従事し使用者が異議を述べないときは同一条件で更新したと推定され、担保は消滅しますが身元保証金は別です。
- 第630条民法第630条:雇用の解除の効力雇用の解除についても、将来に向かってのみ効力を生ずる旨を定めた民法620条が準用されます。
- 第631条民法第631条:使用者についての破産手続の開始による解約の申入れ使用者が破産手続開始の決定を受けたときは期間の定めがあっても解約を申し入れられ、損害賠償は請求できません。
- 第632条民法第632条:請負請負は、仕事を完成することの約束とその結果に対して報酬を支払うことの約束によって効力を生ずる契約です。
- 第633条民法第633条:報酬の支払時期報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に支払い、引渡しを要しないときは民法624条1項が準用されます。
- 第634条民法第634条:注文者が受ける利益の割合に応じた報酬完成不能や完成前の解除でも、可分な部分の給付で注文者が利益を受けるときはその部分を完成とみなし割合的な報酬を請求できます。
- 第636条民法第636条:請負人の担保責任の制限注文者の供した材料や与えた指図によって生じた不適合については、注文者は追完請求等をすることができません。
- 第637条民法第637条:目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限注文者は不適合を知った時から1年以内に通知しないと権利を失いますが、請負人が悪意・重過失のときは適用されません。
- 第641条民法第641条:注文者による契約の解除請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除をすることができます。
- 第642条民法第642条:注文者についての破産手続の開始による解除注文者が破産手続開始の決定を受けたときは請負人又は破産管財人が解除でき、損害賠償は破産管財人が解除した場合の請負人に限られます。
- 第643条民法第643条:委任委任は、法律行為をすることを委託し相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約です。
- 第644条民法第644条:受任者の注意義務受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います。
- 第644条の2民法第644条の2:復受任者の選任等受任者は委任者の許諾又はやむを得ない事由がなければ復受任者を選任できず、代理権付与の委任では復受任者が委任者に直接の権利義務を持ちます。
- 第645条民法第645条:受任者による報告受任者は委任者の請求があればいつでも処理の状況を報告し、委任終了後は遅滞なく経過及び結果を報告しなければなりません。
- 第646条民法第646条:受任者による受取物の引渡し等受任者は委任事務の処理で受け取った金銭その他の物と収取した果実を引き渡し、自己の名で取得した権利を移転しなければなりません。
- 第647条民法第647条:受任者の金銭の消費についての責任受任者が引き渡すべき金銭等を自己のために消費したときは消費した日以後の利息を支払い、なお損害があればその賠償責任も負います。
- 第648条民法第648条:受任者の報酬受任者は特約がなければ報酬を請求できず、報酬は後払いが原則で、一定の場合は履行の割合に応じて請求できます。
- 第648条の2民法第648条の2:成果等に対する報酬成果に対する報酬で引渡しを要するときは成果の引渡しと同時に支払い、民法634条が準用されます。
- 第649条民法第649条:受任者による費用の前払請求委任事務の処理に費用を要するときは、委任者は受任者の請求によりその前払をしなければなりません。
- 第650条民法第650条:受任者による費用等の償還請求等受任者は必要な費用と利息の償還、負担した債務の代弁済、過失なく受けた損害の賠償を委任者に請求できます。
- 第651条民法第651条:委任の解除委任は各当事者がいつでも解除できますが、相手方に不利な時期や受任者の利益をも目的とする委任の解除は損害賠償を伴います。
- 第652条民法第652条:委任の解除の効力委任の解除についても、将来に向かってのみ効力を生ずる旨を定めた民法620条が準用されます。
- 第653条民法第653条:委任の終了事由委任は、当事者の死亡、破産手続開始の決定、そして受任者の後見開始の審判によって終了します。
- 第654条民法第654条:委任の終了後の処分委任が終了しても急迫の事情があるときは、受任者等は委任者側が事務を処理できるに至るまで必要な処分をしなければなりません。
- 第655条民法第655条:委任の終了の対抗要件委任の終了事由は、相手方に通知したとき又は相手方が知っていたときでなければ対抗できません。
- 第656条民法第656条:準委任委任の節の規定は、法律行為でない事務の委託についても準用されます。
- 第657条民法第657条:寄託寄託は、ある物を保管することを委託し相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約です。
- 第657条の2民法第657条の2:寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等寄託者は受取り前にいつでも解除でき、無報酬の受寄者も解除でき、受寄者は引渡しがないとき催告のうえ解除できます。
- 第658条民法第658条:寄託物の使用及び第三者による保管受寄者は承諾なく寄託物を使用できず、承諾又はやむを得ない事由がなければ第三者に保管させられません。
- 第659条民法第659条:無報酬の受寄者の注意義務無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって寄託物を保管する義務を負います。
- 第660条民法第660条:受寄者の通知義務等第三者が権利を主張して訴訟等をしたときは受寄者は通知を要し、原則として寄託者に返還すれば足り賠償責任も負いません。
- 第661条民法第661条:寄託者による損害賠償寄託者は寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を賠償しますが、過失なく知らなかったときや受寄者が知っていたときは別です。
- 第662条民法第662条:寄託者による返還請求等寄託者は返還時期の定めがあってもいつでも返還を請求でき、受寄者は期限前の請求で受けた損害の賠償を請求できます。
- 第663条民法第663条:寄託物の返還の時期返還の時期の定めがないときは受寄者はいつでも返還でき、定めがあるときはやむを得ない事由がなければ期限前に返還できません。
- 第664条民法第664条:寄託物の返還の場所寄託物の返還は保管をすべき場所でしますが、正当な事由で保管場所を変更したときは現在の場所で返還できます。
- 第664条の2民法第664条の2:損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限寄託物の一部滅失等による損害賠償と費用償還は返還を受けた時から1年以内に請求し、損害賠償請求権の時効は1年間完成しません。
- 第665条民法第665条:委任の規定の準用受取物の引渡し・金銭消費の責任・報酬・費用の前払・費用償還等について、委任の規定が寄託に準用されます。
- 第665条の2民法第665条の2:混合寄託種類・品質が同一の寄託物は各寄託者の承諾を得て混合保管でき、寄託者は同じ数量の返還を、一部滅失なら割合に応じた返還を請求できます。
- 第666条民法第666条:消費寄託受寄者が寄託物を消費できる場合は同種・同質・同量の物で返還し、預貯金契約には返還時期に関する消費貸借の規定が準用されます。
- 第667条民法第667条:組合契約組合契約は各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって効力を生じ、出資は労務でもよいとされます。
- 第667条の2民法第667条の2:他の組合員の債務不履行組合契約には同時履行の抗弁と危険負担の規定が適用されず、他の組合員の債務不履行を理由に解除することもできません。
- 第667条の3民法第667条の3:組合員の一人についての意思表示の無効等組合員の一人について意思表示の無効又は取消しの原因があっても、他の組合員の間では組合契約の効力は妨げられません。
- 第668条民法第668条:組合財産の共有各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属します。
- 第669条民法第669条:金銭出資の不履行の責任金銭を出資の目的とした組合員が出資を怠ったときは、利息を支払うほか損害の賠償もしなければなりません。
- 第670条民法第670条:業務の決定及び執行の方法組合の業務は組合員の過半数で決定し各組合員が執行しますが、業務執行者に委任でき、常務は単独で行えます。
- 第670条の2民法第670条の2:組合の代理各組合員は組合員の過半数の同意を得て他の組合員を代理でき、業務執行者があるときは業務執行者のみが代理できます。
- 第671条民法第671条:委任の規定の準用組合の業務を決定し又は執行する組合員について、民法644条から650条までの委任の規定が準用されます。
- 第672条民法第672条:業務執行組合員の辞任及び解任業務の決定及び執行を委任された組合員は正当な事由がなければ辞任できず、解任も正当な事由がある場合に他の組合員の一致によります。
- 第673条民法第673条:組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査各組合員は、業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、業務及び組合財産の状況を検査することができます。
- 第674条民法第674条:組合員の損益分配の割合損益分配の割合を定めなかったときは各組合員の出資の価額に応じて定め、一方のみ定めたときは利益・損失に共通と推定されます。
- 第675条民法第675条:組合の債権者の権利の行使組合の債権者は組合財産に権利を行使でき、選択により各組合員に対し損失分担の割合又は等しい割合で行使できます。
- 第676条民法第676条:組合員の持分の処分及び組合財産の分割組合員は持分の処分を組合等に対抗できず、組合財産である債権の持分を単独で行使できず、清算前に分割も求められません。
- 第677条民法第677条:組合財産に対する組合員の債権者の権利の行使の禁止組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができません。
- 第677条の2民法第677条の2:組合員の加入組合員全員の同意又は組合契約の定めにより新たな組合員を加入させることができ、加入前の債務は弁済責任を負いません。
- 第678条民法第678条:組合員の脱退存続期間の定めがないときは各組合員がいつでも脱退でき、存続期間を定めた場合もやむを得ない事由があれば脱退できます。
- 第679条民法第679条:組合員の非任意脱退組合員は、死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判・除名という4つの事由によっても脱退します。
- 第680条民法第680条:組合員の除名除名は正当な事由がある場合に限り他の組合員の一致でき、除名した組合員に通知しなければ対抗できません。
- 第680条の2民法第680条の2:脱退した組合員の責任等脱退した組合員は脱退前の組合の債務を従前の責任の範囲内で弁済する責任を負い、弁済したときは組合に求償できます。
- 第681条民法第681条:脱退した組合員の持分の払戻し脱退した組合員との計算は脱退時の組合財産の状況に従い、持分は出資の種類を問わず金銭で払い戻すことができます。
- 第682条民法第682条:組合の解散事由組合は、事業の成功又は成功の不能、存続期間の満了、定めた解散事由の発生、総組合員の同意によって解散します。
- 第683条民法第683条:組合の解散の請求やむを得ない事由があるときは、各組合員が組合の解散を請求することができます。
- 第684条民法第684条:組合契約の解除の効力組合契約についても、解除が将来に向かってのみ効力を生ずる旨を定めた民法620条が準用されます。
- 第685条民法第685条:組合の清算及び清算人の選任組合が解散したときの清算は総組合員が共同して又は選任した清算人が行い、清算人の選任は組合員の過半数で決します。
- 第686条民法第686条:清算人の業務の決定及び執行の方法清算人の業務の決定及び執行については、業務執行者に関する民法670条3項から5項まで等の規定が準用されます。
- 第687条民法第687条:組合員である清算人の辞任及び解任組合契約の定めにより組合員の中から清算人を選任した場合には、業務執行組合員の辞任・解任に関する民法672条が準用されます。
- 第688条民法第688条:清算人の職務及び権限並びに残余財産の分割方法清算人の職務は現務の結了・債権の取立て及び債務の弁済・残余財産の引渡しで、残余財産は出資の価額に応じて分割します。
- 第689条民法第689条:終身定期金契約終身定期金契約は、自己・相手方又は第三者の死亡に至るまで定期に金銭その他の物を給付することを約する契約です。
- 第690条民法第690条:終身定期金の計算終身定期金は、日割りで計算します。
- 第691条民法第691条:終身定期金契約の解除終身定期金債務者が元本を受領しながら給付を怠ったときは、相手方は元本の返還を請求でき、受領分から利息を控除した残額を返還します。
- 第692条民法第692条:終身定期金契約の解除と同時履行民法691条による元本の返還等の場面には、同時履行の抗弁を定める民法533条が準用されます。
- 第693条民法第693条:終身定期金債権の存続の宣告債務者の責めに帰すべき事由で基準となる死亡が生じたときは、裁判所は債権が相当の期間存続することを宣告できます。
- 第694条民法第694条:終身定期金の遺贈終身定期金の節の規定は、終身定期金の遺贈について準用されます。
- 第695条民法第695条:和解和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって効力を生ずる契約です。
- 第696条民法第696条:和解の効力和解で権利を有するものと認められた場合、後に反対の確証が得られても権利は和解によって移転し又は消滅したものとされます。
- 第697条民法第697条:事務管理義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、最も本人の利益に適合する方法により、本人の意思を知り又は推知できるときはその意思に従って管理しなければなりません。
- 第698条民法第698条:緊急事務管理急迫の危害を免れさせるための事務管理では、悪意又は重大な過失がなければ生じた損害の賠償責任を負いません。
- 第699条民法第699条:管理者の通知義務管理者は事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければなりませんが、本人が既に知っているときは不要です。
- 第700条民法第700条:管理者による事務管理の継続管理者は本人側が管理できるに至るまで事務管理を継続しなければなりませんが、本人の意思に反し又は不利であることが明らかなときは別です。
- 第701条民法第701条:委任の規定の準用報告義務・受取物の引渡し・金銭消費の責任について、委任の民法645条から647条までの規定が事務管理に準用されます。
- 第702条民法第702条:管理者による費用の償還請求等管理者は有益な費用の償還を請求でき、有益な債務については代弁済を請求できますが、本人の意思に反する管理は現存利益の限度に限られます。
- 第703条民法第703条:不当利得の返還義務法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け他人に損失を及ぼした者は、利益の存する限度で返還義務を負います。
- 第704条民法第704条:悪意の受益者の返還義務等悪意の受益者は受けた利益に利息を付して返還しなければならず、なお損害があるときは賠償の責任も負います。
- 第705条民法第705条:債務の不存在を知ってした弁済債務の弁済として給付をした者は、その時に債務の存在しないことを知っていたときは返還を請求できません。
- 第706条民法第706条:期限前の弁済弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは返還を請求できませんが、錯誤による給付では債権者が得た利益を返還します。
- 第707条民法第707条:他人の債務の弁済錯誤で他人の債務を弁済した場合、債権者が善意で証書を滅失させる等したときは返還を請求できず、求償権の行使は妨げられません。
- 第708条民法第708条:不法原因給付不法な原因のために給付をした者はその返還を請求できませんが、不法な原因が受益者についてのみ存したときは別です。
- 第709条民法第709条:不法行為による損害賠償故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。契約が無くても責任が生じる、不法行為の一般規定です。
- 第710条民法第710条:財産以外の損害の賠償身体・自由・名誉の侵害か財産権の侵害かを問わず、民法709条により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害についても賠償しなければなりません。
- 第711条民法第711条:近親者に対する損害の賠償他人の生命を侵害した者は、被害者の父母・配偶者・子に対して、その財産権が侵害されなかった場合であっても損害を賠償しなければなりません。
- 第712条民法第712条:責任能力未成年者は、他人に損害を加えた場合でも、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは賠償の責任を負いません。
- 第713条民法第713条:精神上の障害による責任無能力精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は賠償責任を負いませんが、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは別です。
- 第714条民法第714条:責任無能力者の監督義務者等の責任責任無能力者が責任を負わない場合、その監督義務者は損害を賠償する責任を負いますが、義務を怠らなかったとき等は免責されます。監督義務者に代わって監督する者も同じ責任を負います。
- 第715条民法第715条:使用者等の責任ある事業のために他人を使用する者は、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。使用者に代わって事業を監督する者も同様で、被用者への求償権も妨げられません。
- 第716条民法第716条:注文者の責任注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負いません。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは責任を負います。
- 第717条民法第717条:土地の工作物等の占有者及び所有者の責任土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があって損害が生じたときは、まず占有者が、占有者が必要な注意をしたときは所有者が賠償責任を負います。竹木にも準用され、他に責任者があれば求償できます。
- 第718条民法第718条:動物の占有者等の責任動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負いますが、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもって管理したときは免責されます。管理者も同じ責任を負います。
- 第719条民法第719条:共同不法行為者の責任数人が共同の不法行為で他人に損害を加えたときは各自が連帯して賠償責任を負い、誰が加害したか分からないときも同様です。教唆者・幇助者は共同行為者とみなされます。
- 第720条民法第720条:正当防衛及び緊急避難他人の不法行為に対しやむを得ず加害行為をした者は損害賠償責任を負いません。他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合にも準用されます。
- 第721条民法第721条:損害賠償請求権に関する胎児の権利能力胎児は、損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなされます。権利能力は出生に始まるという原則の例外です。
- 第722条民法第722条:損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺不法行為による損害賠償には民法417条・417条の2が準用され、被害者に過失があったときは裁判所がこれを考慮して賠償額を定めることができます。
- 第723条民法第723条:名誉毀損における原状回復他人の名誉を毀損した者に対し、裁判所は被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます。
- 第724条民法第724条:不法行為による損害賠償請求権の消滅時効不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間、不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅します。
- 第724条の2民法第724条の2:人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権については、民法724条1号の「三年間」が「五年間」に読み替えられます。
親族
- 第725条民法第725条:親族の範囲民法上の親族は、六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族の三つに限られます。日常語の「親戚」と違い、範囲が条文で決まっています。
- 第726条民法第726条:親等の計算親等は親族間の世代数を数えて定めます。傍系親族の親等は、共通の祖先までさかのぼり、そこから他の一人に下るまでの世代数によります。
- 第727条民法第727条:縁組による親族関係の発生養子と養親及びその血族との間には、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係が生じます。
- 第728条民法第728条:離婚等による姻族関係の終了姻族関係は離婚によって当然に終了します。夫婦の一方が死亡した場合は、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときに終了します。
- 第729条民法第729条:離縁による親族関係の終了養子及びその配偶者、養子の直系卑属及びその配偶者と、養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了します。
- 第730条民法第730条:親族間の扶け合い直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければなりません。親族編の総則に置かれた、一般的な扶助の規定です。
- 第731条民法第731条:婚姻適齢婚姻は、18歳にならなければすることができません。男女とも同じ年齢に統一されています。
- 第732条民法第732条:重婚の禁止配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができません。違反した婚姻は取消しの対象となり、前婚の配偶者も取消しを請求できます。
- 第734条民法第734条:近親者間の婚姻の禁止直系血族又は三親等内の傍系血族の間では婚姻できません。ただし養子と養方の傍系血族との間は例外で、特別養子縁組により親族関係が終了した後も禁止は続きます。
- 第735条民法第735条:直系姻族間の婚姻の禁止直系姻族の間では婚姻をすることができません。民法728条や817条の9により姻族関係が終了した後も、この禁止は続きます。
- 第736条民法第736条:養親子等の間の婚姻の禁止養子やその配偶者、養子の直系卑属やその配偶者と、養親やその直系尊属との間では、離縁により親族関係が終了した後でも婚姻をすることができません。
- 第738条民法第738条:成年被後見人の婚姻成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しません。財産上の法律行為とは異なる、身分行為の特徴が現れた規定です。
- 第739条民法第739条:婚姻の届出婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生じます。届出は当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又は口頭でしなければなりません。
- 第740条民法第740条:婚姻の届出の受理婚姻の届出は、婚姻適齢・重婚の禁止・近親婚の禁止・届出の方式その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ受理することができません。
- 第741条民法第741条:外国に在る日本人間の婚姻の方式外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使・公使・領事に届け出ることができます。この場合には民法739条・740条が準用されます。
- 第742条民法第742条:婚姻の無効婚姻が無効となるのは、当事者間に婚姻をする意思がないときと、当事者が婚姻の届出をしないときの2つの場合に限られます。
- 第743条民法第743条:婚姻の取消し婚姻は、民法744条・745条・747条の規定によらなければ取り消すことができません。取消しの入口を限定する規定です。
- 第744条民法第744条:不適法な婚姻の取消し婚姻適齢・重婚・近親婚等の規定に違反した婚姻は、各当事者・その親族・検察官から家庭裁判所に取消しを請求できます。重婚の場合は前婚の配偶者も請求できます。
- 第745条民法第745条:不適齢者の婚姻の取消し婚姻適齢に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは取消しを請求できません。ただし不適齢者本人は、適齢に達した後なお3箇月間は請求できます。
- 第747条民法第747条:詐欺又は強迫による婚姻の取消し詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その取消しを家庭裁判所に請求できます。取消権は、詐欺を発見し若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し、又は追認をしたときに消滅します。
- 第748条民法第748条:婚姻の取消しの効力婚姻の取消しは将来に向かってのみ効力を生じます。取消原因を知らなかった当事者は現に利益を受けている限度で、知っていた当事者は得た利益の全部を返還しなければなりません。
- 第749条民法第749条:離婚の規定の準用婚姻の取消しには、姻族関係の終了・子の監護・復氏・財産分与・親権者の指定など、離婚に関する多くの規定が準用されます。
- 第750条民法第750条:夫婦の氏夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称します。最高裁大法廷は、この規定が憲法13条・14条1項・24条に違反しないと判断しています。
- 第751条民法第751条:生存配偶者の復氏等夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は婚姻前の氏に復することができます。祭祀に関する権利の承継については民法769条が準用されます。
- 第752条民法第752条:同居、協力及び扶助の義務夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければなりません。婚姻の効力として当然に生じる、夫婦関係の基本的な義務です。
- 第755条民法第755条:夫婦の財産関係夫婦が婚姻の届出前にその財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は法定財産制(民法760条以下)によります。
- 第756条民法第756条:夫婦財産契約の対抗要件夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、夫婦の承継人及び第三者に対抗することができません。
- 第758条民法第758条:夫婦の財産関係の変更の制限等夫婦の財産関係は婚姻の届出後は変更できません。一方の管理が失当で財産を危うくしたときは、他方は家庭裁判所に管理者の変更を請求でき、共有財産の分割も請求できます。
- 第759条民法第759条:財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件民法758条の規定又は夫婦財産契約の結果により財産の管理者を変更し、又は共有財産を分割したときは、登記をしなければ夫婦の承継人及び第三者に対抗できません。
- 第760条民法第760条:婚姻費用の分担夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担します。分担の審判は過去に遡ってすることもできます。
- 第761条民法第761条:日常の家事に関する債務の連帯責任夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方も連帯して責任を負います。判例は、この規定が夫婦相互の代理権をも定めたものと解しています。
- 第762条民法第762条:夫婦間における財産の帰属夫婦の一方が婚姻前から有する財産と婚姻中自己の名で得た財産は特有財産となり、いずれに属するか明らかでない財産は共有と推定されます。
- 第763条民法第763条:協議上の離婚夫婦は、その協議で離婚をすることができます。裁判所の関与なしに離婚できる点が、民法770条の裁判上の離婚と異なります。
- 第764条民法第764条:婚姻の規定の準用(協議上の離婚)協議上の離婚には、成年被後見人の婚姻・婚姻の届出・詐欺又は強迫による婚姻の取消しに関する民法738条・739条・747条が準用されます。
- 第765条民法第765条:離婚の届出の受理離婚の届出は、方式その他の法令の規定に違反しないこと、及び成年に達しない子があるときは親権者の定めがされていること等を認めた後でなければ受理できません。違反して受理されても離婚の効力は妨げられません。
- 第766条民法第766条:離婚後の子の監護に関する事項の定め等父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者・監護の分掌・父又は母と子との交流・監護費用の分担等を協議で定め、子の利益を最も優先して考慮しなければなりません。
- 第766条の2民法第766条の2:審判による父母以外の親族と子との交流の定め家庭裁判所は、子の利益のため特に必要があると認めるときは、父母以外の親族と子との交流を実施する旨を定めることができます。審判の請求ができる者も条文で限定されています。
- 第766条の3民法第766条の3:子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例監護費用の分担を定めずに協議離婚した場合、主として監護を行う父母の一方は、他方に対し法務省令で定めるところにより算定した額の支払を毎月末に請求できます。
- 第767条民法第767条:離婚による復氏等婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復します。ただし離婚の日から3箇月以内に届け出れば、離婚の際に称していた氏を称することができます。
- 第768条民法第768条:財産分与協議上の離婚をした者の一方は相手方に財産の分与を請求できます。協議が調わないときは離婚の時から5年以内に家庭裁判所へ請求でき、寄与の程度は明らかでなければ相等しいものとされます。
- 第769条民法第769条:離婚による復氏の際の権利の承継婚姻によって氏を改めた者が祭祀に関する権利を承継した後に協議上の離婚をしたときは、その権利を承継すべき者を当事者その他の関係人の協議で定め、調わないときは家庭裁判所が定めます。
- 第770条民法第770条:裁判上の離婚夫婦の一方は、不貞な行為・悪意の遺棄・3年以上の生死不明・その他婚姻を継続し難い重大な事由の4つの場合に限り、離婚の訴えを提起できます。
- 第771条民法第771条:協議上の離婚の規定の準用子の監護に関する事項の定め・復氏・財産分与・祭祀に関する権利の承継を定める民法766条から769条までの規定は、裁判上の離婚について準用されます。
- 第772条民法第772条:嫡出の推定妻が婚姻中に懐胎した子等は夫の子と推定され、婚姻成立から200日・婚姻の解消等から300日という日数で懐胎の時期も推定されます。2以上の婚姻をしていたときは直近の婚姻における夫の子と推定されます。
- 第773条民法第773条:父を定めることを目的とする訴え重婚の禁止に違反して婚姻をした女が出産した場合において、民法772条によって子の父を定めることができないときは、裁判所がこれを定めます。
- 第774条民法第774条:嫡出の否認民法772条により父が定められる場合、父・子・母・前夫がそれぞれ嫡出であることを否認できます。母と前夫の否認権は、行使が子の利益を害することが明らかなときは認められません。
- 第775条民法第775条:嫡出否認の訴え否認権は、父・子・母・前夫それぞれについて条文が定める相手方に対する嫡出否認の訴えによって行います。親権を行う母がないときは家庭裁判所が特別代理人を選任します。
- 第776条民法第776条:嫡出の承認父又は母は、子の出生後においてその嫡出であることを承認したときは、それぞれその否認権を失います。
- 第777条民法第777条:嫡出否認の訴えの出訴期間嫡出否認の訴えは、父は子の出生を知った時、子はその出生の時、母は子の出生の時、前夫は子の出生を知った時から、それぞれ3年以内に提起しなければなりません。
- 第778条民法第778条:否認の裁判が確定した場合の出訴期間民法772条3項により父が定められた子について嫡出が否認されたときは、新たに父と定められた者・子・母・前夫の嫡出否認の訴えは、それぞれ裁判の確定を知った時から1年以内に提起しなければなりません。
- 第778条の2民法第778条の2:子の否認権の出訴期間の特則親権を行う者がない期間があるときや、父と継続して同居した期間が3年を下回るときは、子は期間経過後も嫡出否認の訴えを提起できます。前夫の訴えは子が成年に達した後は提起できません。
- 第778条の3民法第778条の3:子の監護に要した費用の償還の制限嫡出であることが否認された場合であっても、子は、父であった者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負いません。
- 第778条の4民法第778条の4:相続の開始後に新たに子と推定された者の価額の支払請求権相続開始後に否認権が行使され、新たに被相続人が父と定められた者が遺産分割を請求しようとする場合、他の共同相続人が既に分割等をしていたときは、価額のみによる支払の請求により行います。
- 第779条民法第779条:認知嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができます。認知は法律上の親子関係を生じさせる、親子法の入口となる制度です。
- 第780条民法第780条:認知能力認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しません。
- 第781条民法第781条:認知の方式認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってします。遺言によってすることもできます。
- 第782条民法第782条:成年の子の認知成年の子は、その承諾がなければ認知することができません。子が自ら判断できる年齢に達している場合の保護規定です。
- 第783条民法第783条:胎児又は死亡した子の認知父は胎内に在る子も母の承諾を得て認知でき、その子に民法772条の推定が及ぶときは認知の効力を生じません。死亡した子は直系卑属があるときに限り認知できます。
- 第784条民法第784条:認知の効力認知は出生の時にさかのぼって効力を生じますが、第三者が既に取得した権利を害することはできません。
- 第785条民法第785条:認知の取消しの禁止認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができません。
- 第786条民法第786条:認知の無効の訴え子・その法定代理人、認知をした者、子の母は、それぞれ条文が定める時から7年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として認知の無効の訴えを提起できます。
- 第787条民法第787条:認知の訴え子・その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は認知の訴えを提起できます。ただし父又は母の死亡の日から3年を経過したときは提起できません。
- 第788条民法第788条:認知後の子の監護に関する事項の定め等子の監護に関する事項の定め等を定める民法766条から766条の3までの規定は、父が認知する場合について準用されます。
- 第789条民法第789条:準正父が認知した子は父母の婚姻によって、婚姻中父母が認知した子はその認知の時から、嫡出子の身分を取得します。子が既に死亡していた場合にも準用されます。
- 第790条民法第790条:子の氏嫡出である子は父母の氏を称し、出生前に父母が離婚したときは離婚の際における父母の氏を称します。嫡出でない子は母の氏を称します。
- 第791条民法第791条:子の氏の変更子が父又は母と氏を異にする場合は家庭裁判所の許可を得て届け出ることでその氏を称することができ、父母の婚姻中は許可なしにできます。15歳未満なら法定代理人が代わってします。
- 第792条民法第792条:養親となる者の年齢20歳に達した者は、養子をすることができます。成年年齢の18歳とは別に、養親となるには20歳が必要です。
- 第793条民法第793条:尊属又は年長者を養子とすることの禁止尊属又は年長者は、これを養子とすることができません。年齢が同じでも年長でなければ養子とすることは妨げられません。
- 第794条民法第794条:後見人が被後見人を養子とする縁組後見人が被後見人を養子とするには家庭裁判所の許可が必要です。後見人の任務が終了した後、まだ管理の計算が終わらない間も同様です。
- 第795条民法第795条:配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組配偶者のある者が未成年者を養子とするには配偶者とともにしなければなりません。配偶者の嫡出子を養子とする場合や、配偶者が意思を表示できない場合は例外です。
- 第796条民法第796条:配偶者のある者の縁組配偶者のある者が縁組をするには配偶者の同意を得なければなりません。配偶者とともに縁組をする場合や、配偶者が意思を表示できない場合は例外です。
- 第797条民法第797条:十五歳未満の者を養子とする縁組養子となる者が15歳未満のときは法定代理人が代わって縁組を承諾します。監護をすべき父母等が他にあるときはその同意が必要で、同意しないときは家庭裁判所が代わる許可を与えられます。
- 第798条民法第798条:未成年者を養子とする縁組未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可が必要です。ただし自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は許可を要しません。
- 第799条民法第799条:婚姻の規定の準用(縁組)成年被後見人の婚姻について定める民法738条と、婚姻の届出について定める民法739条の規定は、縁組について準用されます。
- 第800条民法第800条:縁組の届出の受理縁組の届出は、その縁組が民法792条から799条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ受理することができません。
- 第801条民法第801条:外国に在る日本人間の縁組の方式外国に在る日本人間で縁組をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使・公使・領事に届け出ることができます。この場合には民法739条・800条が準用されます。
- 第802条民法第802条:縁組の無効縁組が無効となるのは、当事者間に縁組をする意思がないときと、当事者が縁組の届出をしないときの2つの場合に限られます。
- 第803条民法第803条:縁組の取消し縁組は、民法804条から808条までの規定によらなければ取り消すことができません。取消しの入口を限定する規定です。
- 第804条民法第804条:養親が二十歳未満の者である場合の縁組の取消し民法792条に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から家庭裁判所に取消しを請求できます。ただし養親が20歳に達した後6箇月を経過し、又は追認をしたときは請求できません。
- 第805条民法第805条:養子が尊属又は年長者である場合の縁組の取消し民法793条に違反した縁組は、各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができます。期間による制限は置かれていません。
- 第806条民法第806条:後見人と被後見人との間の無許可縁組の取消し民法794条に違反した縁組は、養子又はその実方の親族から取消しを請求できます。管理の計算が終わった後、養子が追認をし又は6箇月を経過したときは請求できません。
- 第806条の2民法第806条の2:配偶者の同意のない縁組等の取消し民法796条に違反した縁組は、同意をしていない者から取消しを請求できます。詐欺又は強迫によって同意をした者も取消しを請求でき、いずれも6箇月又は追認で請求できなくなります。
- 第806条の3民法第806条の3:子の監護をすべき者の同意のない縁組等の取消し民法797条2項に違反した縁組は、同意をしていない者から取消しを請求できます。その者が追認したとき、又は養子が15歳に達した後6箇月を経過し若しくは追認したときは請求できません。
- 第807条民法第807条:養子が未成年者である場合の無許可縁組の取消し民法798条に違反した縁組は、養子・その実方の親族・養子に代わって縁組の承諾をした者から取消しを請求できます。養子が成年に達した後6箇月を経過し、又は追認したときは請求できません。
- 第808条民法第808条:婚姻の取消し等の規定の準用(縁組)詐欺又は強迫による婚姻の取消しと婚姻の取消しの効力に関する民法747条・748条が縁組に準用され、747条2項の「三箇月」は「六箇月」と読み替えられます。
- 第809条民法第809条:嫡出子の身分の取得養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得します。養子縁組の中心的な効果を定めた規定です。
- 第810条民法第810条:養子の氏養子は養親の氏を称します。ただし婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間はこの限りではありません。
- 第811条民法第811条:協議上の離縁等縁組の当事者は協議で離縁できます。養子が15歳未満のときは養親と離縁後に法定代理人となるべき者との協議によることとし、親権者や未成年後見人の定めについても手当てがされています。
- 第811条の2民法第811条の2:夫婦である養親と未成年者との離縁養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければなりません。夫婦の一方が意思を表示できないときは例外です。
- 第812条民法第812条:婚姻の規定の準用(協議上の離縁)協議上の離縁には民法738条・739条・747条が準用され、747条2項の「三箇月」は「六箇月」と読み替えられます。
- 第813条民法第813条:離縁の届出の受理離縁の届出は、方式や民法811条・811条の2その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ受理できません。違反して受理されても離縁の効力は妨げられません。
- 第814条民法第814条:裁判上の離縁縁組の当事者の一方は、悪意の遺棄・3年以上の生死不明・その他縁組を継続し難い重大な事由の3つの場合に限り、離縁の訴えを提起できます。
- 第815条民法第815条:養子が十五歳未満である場合の離縁の訴えの当事者養子が15歳に達しない間は、民法811条により養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴えを提起することができます。
- 第816条民法第816条:離縁による復氏等養子は離縁によって縁組前の氏に復します。縁組の日から7年を経過した後に復氏した者は、離縁の日から3箇月以内の届出で離縁の際に称していた氏を称することができます。
- 第817条民法第817条:離縁による復氏の際の権利の承継祭祀に関する権利の承継について定める民法769条の規定は、離縁について準用されます。
- 第817条の2民法第817条の2:特別養子縁組の成立家庭裁判所は、817条の3から817条の7までの要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組を成立させることができます。
- 第817条の3民法第817条の3:養親の夫婦共同縁組特別養子縁組の養親となる者は配偶者のある者でなければならず、夫婦の一方は他の一方が養親とならないときは養親となることができません。
- 第817条の4民法第817条の4:養親となる者の年齢(特別養子)25歳に達しない者は特別養子縁組の養親となることができません。ただし夫婦の一方が25歳未満でも、20歳に達していれば足ります。
- 第817条の5民法第817条の5:養子となる者の年齢(特別養子)請求の時に15歳に達している者は特別養子の養子となれず、成立までに18歳に達した者も同様です。15歳前から監護されていた場合等の例外と、15歳以上の子の同意が定められています。
- 第817条の6民法第817条の6:父母の同意(特別養子)特別養子縁組の成立には養子となる者の父母の同意が必要です。ただし父母が意思を表示できない場合や、虐待・悪意の遺棄その他子の利益を著しく害する事由がある場合は例外です。
- 第817条の7民法第817条の7:子の利益のための特別の必要性特別養子縁組は、父母による監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに成立させるものとされます。
- 第817条の8民法第817条の8:監護の状況特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を6箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければなりません。期間は請求の時から起算します。
- 第817条の9民法第817条の9:実方との親族関係の終了養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了します。夫婦の一方が他方の嫡出子の養親となる場合の、その他方及びその血族との関係は例外です。
- 第817条の10民法第817条の10:特別養子縁組の離縁特別養子縁組の離縁は、養親による虐待等があり、かつ実父母が相当の監護をすることができる場合に、養子の利益のため特に必要と認めるときに限り家庭裁判所がさせることができます。
- 第817条の11民法第817条の11:離縁による実方との親族関係の回復養子と実父母及びその血族との間には、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係が生じます。
- 第817条の12民法第817条の12:親の責務等父母は子の人格を尊重し、年齢及び発達の程度に配慮して養育し、自己と同程度の生活を維持できるよう扶養しなければなりません。婚姻関係の有無にかかわらず互いに人格を尊重し協力する義務も定められています。
- 第817条の13民法第817条の13:親子の交流等民法766条の場合のほか、子と別居する父母その他の親族と子との交流について必要な事項は父母の協議で定めます。協議が調わないときは家庭裁判所が定め、父母以外の親族との交流も定めうる場合があります。
- 第818条民法第818条:親権親権は成年に達しない子について子の利益のために行使しなければなりません。父母の婚姻中はその双方が親権者となり、子が養子であるときは直近の縁組による養親等が親権者となります。
- 第819条民法第819条:離婚又は認知の場合の親権者協議上の離婚では協議で父母の双方又は一方を親権者と定め、裁判上の離婚では裁判所が定めます。双方か一方かの判断では子の利益のため一切の事情を考慮しなければなりません。
- 第820条民法第820条:監護及び教育の権利義務親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負います。
- 第821条民法第821条:子の人格の尊重等親権を行う者は監護及び教育をするに当たって子の人格を尊重し、年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはなりません。
- 第822条民法第822条:居所の指定子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければなりません。
- 第823条民法第823条:職業の許可子は、親権を行う者の許可を得なければ職業を営むことができません。親権を行う者は、民法6条2項の場合には許可を取り消し、又は制限することができます。
- 第824条民法第824条:財産の管理及び代表親権を行う者は子の財産を管理し、その財産に関する法律行為について子を代表します。ただし子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には本人の同意が必要です。
- 第824条の2民法第824条の2:親権の行使方法等親権は父母が共同して行うのが原則で、一方のみが親権者であるとき等は単独で行います。監護及び教育に関する日常の行為は単独ですることができ、協議が調わないときは家庭裁判所が定めます。
- 第824条の3民法第824条の3:監護者の権利義務民法766条により定められた子の監護をすべき者は、民法820条から823条までの事項について親権を行う者と同一の権利義務を有し、監護・教育・居所の指定等を単独ですることができます。
- 第825条民法第825条:父母の一方が共同の名義でした行為の効力父母が共同して親権を行う場合に、一方が共同の名義で子に代わって法律行為をしたときは、他の一方の意思に反しても効力を妨げられません。ただし相手方が悪意であったときは別です。
- 第826条民法第826条:利益相反行為親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。数人の子の間でも同様です。
- 第827条民法第827条:財産の管理における注意義務親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければなりません。善良な管理者の注意より軽い基準です。
- 第828条民法第828条:財産の管理の計算子が成年に達したときは、親権を行った者は遅滞なく管理の計算をしなければなりません。ただし子の養育及び財産の管理の費用は、子の財産の収益と相殺したものとみなされます。
- 第829条民法第829条:第三者の反対の意思表示による例外無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については民法828条ただし書の相殺のみなしが適用されません。
- 第830条民法第830条:第三者が無償で子に与えた財産の管理無償で子に財産を与える第三者が父母に管理させない意思を表示したときは、その財産は父母の管理に属しません。管理者がないときは家庭裁判所が選任します。
- 第831条民法第831条:委任の規定の準用(親権)委任の終了後の処分と委任の終了事由の対抗要件を定める民法654条・655条は、親権を行う者が子の財産を管理する場合及び民法830条の場合について準用されます。
- 第832条民法第832条:財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効親権を行った者と子との間に財産の管理について生じた債権は、管理権が消滅した時から5年間行使しないときは時効によって消滅します。
- 第833条民法第833条:子に代わる親権の行使父又は母が成年に達しない子であるときは、その子について親権を行う者が、その子に代わって親権を行います。
- 第834条民法第834条:親権喪失の審判虐待又は悪意の遺棄があるときその他親権の行使が著しく困難又は不適当で子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は親権喪失の審判をすることができます。2年以内に原因が消滅する見込みがあるときは除かれます。
- 第834条の2民法第834条の2:親権停止の審判親権の行使が困難又は不適当で子の利益を害するときは、家庭裁判所は親権停止の審判をすることができます。停止の期間は2年を超えない範囲内で定められます。
- 第835条民法第835条:管理権喪失の審判父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は管理権喪失の審判をすることができます。
- 第836条民法第836条:親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消し親権喪失・親権停止・管理権喪失の原因が消滅したときは、家庭裁判所は本人又はその親族の請求によって、それぞれの審判を取り消すことができます。
- 第837条民法第837条:親権又は管理権の辞任及び回復親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは家庭裁判所の許可を得て親権又は管理権を辞することができ、その事由が消滅したときは同じく許可を得て回復することができます。
- 第838条民法第838条:後見の開始後見は、未成年者に対して親権を行う者がないとき又は親権を行う者が管理権を有しないときと、後見開始の審判があったときに開始します。
- 第839条民法第839条:未成年後見人の指定未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で未成年後見人を指定することができます。管理権を有しない者はできませんが、父母の一方が管理権を有しないときは他の一方が指定できます。
- 第840条民法第840条:未成年後見人の選任遺言による指定がないときや未成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所が請求により選任します。必要があれば更に選任でき、選任にあたっては一切の事情を考慮しなければなりません。
- 第841条民法第841条:父母による未成年後見人の選任の請求親権・管理権の辞任や親権喪失・親権停止・管理権喪失の審判によって未成年後見人を選任する必要が生じたときは、その父又は母は遅滞なく選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。
- 第843条民法第843条:成年後見人の選任家庭裁判所は後見開始の審判をするときに職権で成年後見人を選任します。欠けたときや必要があるときは更に選任でき、選任にあたっては本人の意見その他一切の事情を考慮しなければなりません。
- 第844条民法第844条:後見人の辞任後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得てその任務を辞することができます。
- 第845条民法第845条:辞任した後見人による新たな後見人の選任の請求後見人がその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。
- 第846条民法第846条:後見人の解任後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は請求により又は職権でこれを解任することができます。
- 第847条民法第847条:後見人の欠格事由未成年者、家庭裁判所で免ぜられた法定代理人・保佐人・補助人、破産者、被後見人に対して訴訟をし又はした者及びその配偶者・直系血族、行方の知れない者は後見人となることができません。
- 第848条民法第848条:未成年後見監督人の指定未成年後見人を指定することができる者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができます。
- 第849条民法第849条:後見監督人の選任家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被後見人・その親族・後見人の請求により又は職権で、後見監督人を選任することができます。
- 第850条民法第850条:後見監督人の欠格事由後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができません。
- 第851条民法第851条:後見監督人の職務後見監督人の職務は、後見人の事務の監督、後見人が欠けた場合の選任請求、急迫の事情がある場合の必要な処分、利益相反行為について被後見人を代表することの4つです。
- 第852条民法第852条:委任及び後見人の規定の準用(後見監督人)善管注意義務や辞任・解任・欠格事由などの規定が後見監督人に準用され、未成年後見監督人・成年後見監督人にはそれぞれ固有の規定も準用されます。
- 第853条民法第853条:財産の調査及び目録の作成後見人は遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、1箇月以内に調査を終えて目録を作成しなければなりません。後見監督人があるときは、その立会いがなければ効力を生じません。
- 第854条民法第854条:財産の目録の作成前の権限後見人は財産の目録の作成を終わるまでは、急迫の必要がある行為のみをする権限を有します。ただしこれをもって善意の第三者に対抗することはできません。
- 第855条民法第855条:後見人の被後見人に対する債権又は債務の申出義務後見人が被後見人に対し債権を有し又は債務を負う場合、後見監督人があるときは財産の調査に着手する前に申し出なければなりません。債権を知って申し出ないときはその債権を失います。
- 第856条民法第856条:被後見人が包括財産を取得した場合についての準用財産の調査及び目録の作成、目録作成前の権限、債権債務の申出義務に関する民法853条から855条までの規定は、後見人の就職後に被後見人が包括財産を取得した場合について準用されます。
- 第857条民法第857条:未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務未成年後見人は民法820条から823条までの事項について親権を行う者と同一の権利義務を有します。ただし親権を行う者が定めた教育の方法・居所の変更等には未成年後見監督人の同意が必要です。
- 第857条の2民法第857条の2:未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等未成年後見人が数人あるときは共同して権限を行使するのが原則です。家庭裁判所は職権で、一部の者に財産に関する権限のみを行使させ、又は単独行使・事務の分掌を定めることができます。
- 第858条民法第858条:成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮成年後見人は、生活・療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たって、成年被後見人の意思を尊重し、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません。
- 第859条民法第859条:財産の管理及び代表(後見)後見人は被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について被後見人を代表します。子の行為を目的とする債務については民法824条ただし書が準用されます。
- 第859条の2民法第859条の2:成年後見人が数人ある場合の権限の行使等成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所が職権で共同行使又は事務の分掌を定めることができます。第三者の意思表示はその一人に対してすれば足ります。
- 第859条の3民法第859条の3:成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可成年後見人は、成年被後見人の居住の用に供する建物又はその敷地について、売却・賃貸・賃貸借の解除・抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには家庭裁判所の許可が必要です。
- 第860条民法第860条:利益相反行為(後見)利益相反行為について特別代理人の選任を求める民法826条は後見人について準用されます。ただし後見監督人がある場合はこの限りではありません。
- 第860条の2民法第860条の2:成年後見人による郵便物等の管理家庭裁判所は、必要があると認めるときは成年後見人の請求により、成年被後見人に宛てた郵便物等を成年後見人に配達すべき旨を嘱託できます。期間は6箇月を超えることができません。
- 第860条の3民法第860条の3:受け取った郵便物等の取扱い成年後見人は受け取った郵便物等を開いて見ることができますが、事務に関しないものは速やかに交付しなければならず、成年被後見人は閲覧を求めることができます。
- 第861条民法第861条:支出金額の予定及び後見の事務の費用後見人は就職の初めに毎年支出すべき金額を予定しなければならず、後見の事務を行うために必要な費用は被後見人の財産の中から支弁されます。
- 第862条民法第862条:後見人の報酬家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から相当な報酬を後見人に与えることができます。
- 第863条民法第863条:後見の事務の監督後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも後見人に事務の報告や財産目録の提出を求め、事務や財産の状況を調査できます。家庭裁判所は必要な処分を命ずることもできます。
- 第864条民法第864条:後見監督人の同意を要する行為後見人が被後見人に代わって営業や民法13条1項各号の行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときはその同意が必要です。元本の領収は除かれます。
- 第865条民法第865条:後見監督人の同意を欠く行為の取消し後見人が民法864条に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取り消すことができます。取消権者の催告等について民法20条が準用されます。
- 第866条民法第866条:被後見人の財産等の譲受けの取消し後見人が被後見人の財産又は被後見人に対する第三者の権利を譲り受けたときは、被後見人はこれを取り消すことができます。民法20条が準用されます。
- 第867条民法第867条:未成年被後見人に代わる親権の行使未成年後見人は、未成年被後見人に代わって親権を行います。この場合には財産の調査・目録の作成から譲受けの取消しまでの規定が準用されます。
- 第868条民法第868条:財産に関する権限のみを有する未成年後見人親権を行う者が管理権を有しない場合には、未成年後見人は財産に関する権限のみを有します。
- 第869条民法第869条:委任及び親権の規定の準用(後見)善良な管理者の注意義務を定める民法644条と、第三者が無償で子に与えた財産の管理を定める民法830条は、後見について準用されます。
- 第870条民法第870条:後見の計算後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は2箇月以内に管理の計算をしなければなりません。この期間は家庭裁判所において伸長することができます。
- 第871条民法第871条:後見の計算と後見監督人の立会い後見の計算は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければなりません。
- 第872条民法第872条:未成年被後見人と未成年後見人等との間の契約等の取消し未成年被後見人が成年に達した後、後見の計算の終了前にその者と未成年後見人又はその相続人との間でした契約は、その者が取り消すことができます。単独行為も同様です。
- 第873条民法第873条:返還金に対する利息の支払等後見人と被後見人が互いに返還すべき金額には後見の計算が終了した時から利息を付さなければなりません。後見人が自己のために被後見人の金銭を消費したときは消費の時からです。
- 第873条の2民法第873条の2:成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限成年被後見人が死亡した場合、必要があるときは相続人が相続財産を管理できるに至るまで、保存行為・弁済期が到来した債務の弁済等をすることができます。火葬等の契約には家庭裁判所の許可が必要です。
- 第874条民法第874条:委任の規定の準用(後見の終了)委任の終了後の処分を定める民法654条と、委任の終了事由の対抗要件を定める民法655条は、後見について準用されます。
- 第875条民法第875条:後見に関して生じた債権の消滅時効後見人又は後見監督人と被後見人との間で後見に関して生じた債権の消滅時効には民法832条が準用されます。民法872条により取り消した場合は取消しの時から起算します。
- 第876条民法第876条:保佐の開始保佐は、保佐開始の審判によって開始します。
- 第876条の2民法第876条の2:保佐人及び臨時保佐人の選任等家庭裁判所は保佐開始の審判をするとき職権で保佐人を選任します。後見人に関する規定が準用され、利益相反行為については臨時保佐人の選任を請求しなければなりません。
- 第876条の3民法第876条の3:保佐監督人家庭裁判所は必要があると認めるときは保佐監督人を選任することができます。後見監督人に関する多くの規定が準用され、民法851条4号は読み替えて適用されます。
- 第876条の4民法第876条の4:保佐人に代理権を付与する旨の審判家庭裁判所は、請求によって特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができます。本人以外の者の請求によるには本人の同意が必要です。
- 第876条の5民法第876条の5:保佐の事務及び保佐人の任務の終了等保佐人は被保佐人の意思を尊重しその心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません。後見の事務や任務終了に関する規定が広く準用されます。
- 第876条の6民法第876条の6:補助の開始補助は、補助開始の審判によって開始します。
- 第876条の7民法第876条の7:補助人及び臨時補助人の選任等家庭裁判所は補助開始の審判をするとき職権で補助人を選任します。後見人に関する規定が準用され、利益相反行為については臨時補助人の選任を請求しなければなりません。
- 第876条の8民法第876条の8:補助監督人家庭裁判所は必要があると認めるときは補助監督人を選任することができます。後見監督人に関する規定が準用され、民法851条4号は読み替えて適用されます。
- 第876条の9民法第876条の9:補助人に代理権を付与する旨の審判家庭裁判所は、請求によって特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができます。本人の同意や審判の取消しについては民法876条の4が準用されます。
- 第876条の10民法第876条の10:補助の事務及び補助人の任務の終了等補助の事務には善管注意義務・居住用不動産の処分の許可・事務の監督などの規定が準用され、補助人の任務が終了した場合には後見の計算等の規定が準用されます。
- 第877条民法第877条:扶養義務者直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務があります。特別の事情があるときは、家庭裁判所が三親等内の親族間にも扶養の義務を負わせることができます。
- 第878条民法第878条:扶養の順位扶養義務者が数人ある場合の順序や、扶養権利者が数人あって資力が足りない場合の順序について協議が調わないときは、家庭裁判所が定めます。
- 第879条民法第879条:扶養の程度又は方法扶養の程度又は方法について協議が調わないときは、扶養権利者の需要・扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が定めます。
- 第880条民法第880条:扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し扶養の順序や程度・方法について協議又は審判があった後、事情に変更を生じたときは、家庭裁判所がその協議又は審判の変更又は取消しをすることができます。
- 第881条民法第881条:扶養請求権の処分の禁止扶養を受ける権利は、処分することができません。
相続
- 第882条民法第882条:相続開始の原因相続は、死亡によって開始します。相続編の冒頭に置かれた、たった一行の規定です。
- 第883条民法第883条:相続開始の場所相続は、被相続人の住所において開始します。
- 第884条民法第884条:相続回復請求権相続回復の請求権は、相続権を侵害された事実を知った時から5年、相続開始の時から20年を経過したときは時効によって消滅します。
- 第885条民法第885条:相続財産に関する費用相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁します。ただし相続人の過失によるものはこの限りではありません。
- 第886条民法第886条:相続に関する胎児の権利能力胎児は相続については既に生まれたものとみなされますが、死体で生まれたときは適用されません。
- 第887条民法第887条:子及びその代襲者等の相続権被相続人の子は相続人となります。子が相続開始以前に死亡し、又は欠格・廃除で相続権を失ったときは、その者の子が代襲して相続人となります。
- 第889条民法第889条:直系尊属及び兄弟姉妹の相続権子がない場合は、直系尊属、次いで兄弟姉妹の順で相続人となります。直系尊属は親等の近い者が先で、兄弟姉妹には代襲相続の規定が準用されます。
- 第890条民法第890条:配偶者の相続権被相続人の配偶者は常に相続人となります。子・直系尊属・兄弟姉妹がいる場合には、その者と同順位となります。
- 第891条民法第891条:相続人の欠格事由被相続人等を故意に死亡させて刑に処せられた者、遺言を妨げ又はさせた者、遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者などは相続人となることができません。
- 第892条民法第892条:推定相続人の廃除遺留分を有する推定相続人が被相続人に対して虐待をし、重大な侮辱を加え、又はその他の著しい非行があったときは、被相続人はその廃除を家庭裁判所に請求できます。
- 第893条民法第893条:遺言による推定相続人の廃除被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者が遅滞なく廃除を家庭裁判所に請求しなければなりません。廃除は被相続人の死亡の時にさかのぼって効力を生じます。
- 第894条民法第894条:推定相続人の廃除の取消し被相続人はいつでも推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求できます。遺言による廃除の規定は、廃除の取消しについても準用されます。
- 第895条民法第895条:推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理廃除又はその取消しの請求後、審判確定前に相続が開始したときは、家庭裁判所が遺産の管理について必要な処分を命ずることができます。廃除の遺言があったときも同様です。
- 第896条民法第896条:相続の一般的効力相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。ただし被相続人の一身に専属したものは除かれます。
- 第897条民法第897条:祭祀に関する権利の承継系譜・祭具及び墳墓の所有権は、相続の一般的効力によらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します。被相続人の指定があればその者が承継します。
- 第897条の2民法第897条の2:相続財産の保存家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求によっていつでも相続財産の管理人の選任等を命ずることができます。単純承認や全部分割がされた場合等は除かれます。
- 第898条民法第898条:共同相続の効力相続人が数人あるときは相続財産はその共有に属します。共有に関する規定を適用するときは、民法900条から902条までにより算定した相続分をもって各相続人の共有持分とします。
- 第899条民法第899条:相続分に応じた権利義務の承継各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します。
- 第899条の2民法第899条の2:共同相続における権利の承継の対抗要件相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できません。債権の場合は承継した相続人の通知でも足ります。
- 第900条民法第900条:法定相続分子と配偶者は各2分の1、配偶者と直系尊属は3分の2と3分の1、配偶者と兄弟姉妹は4分の3と4分の1。同順位者が数人あるときは相等しく、半血の兄弟姉妹は全血の2分の1です。
- 第901条民法第901条:代襲相続人の相続分代襲相続人の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じです。代襲者が数人あるときは、その部分について民法900条に従って定めます。
- 第902条民法第902条:遺言による相続分の指定被相続人は遺言で共同相続人の相続分を定め、又は定めることを第三者に委託できます。一部の者の相続分のみを定めたときは、他の者の相続分は法定相続分によります。
- 第902条の2民法第902条の2:相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使相続債権者は、相続分の指定がされた場合でも、法定相続分に応じて権利を行使できます。ただし共同相続人の一人に対して指定相続分に応じた債務の承継を承認したときは別です。
- 第903条民法第903条:特別受益者の相続分共同相続人中に遺贈や婚姻・養子縁組・生計の資本としての贈与を受けた者があるときは、その価額を加えたものを相続財産とみなして相続分を算定し、受けた価額を控除します。
- 第904条民法第904条:贈与の価額の評価特別受益として持ち戻される贈与の価額は、受贈者の行為によって財産が滅失し又は価格の増減があったときでも、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなして定めます。
- 第904条の2民法第904条の2:寄与分被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした共同相続人があるときは、その寄与分を控除したものを相続財産とみなし、相続分に寄与分を加えた額をその者の相続分とします。
- 第904条の3民法第904条の3:期間経過後の遺産の分割における相続分特別受益・寄与分に関する民法903条から904条の2までの規定は、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割には適用されません。2つの例外があります。
- 第905条民法第905条:相続分の取戻権共同相続人の一人が遺産の分割前に相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人はその価額及び費用を償還して相続分を譲り受けることができます。行使は1箇月以内です。
- 第906条民法第906条:遺産の分割の基準遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してします。
- 第906条の2民法第906条の2:遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合でも、共同相続人全員の同意により、その財産が分割時に遺産として存在するものとみなすことができます。処分した相続人の同意は不要です。
- 第907条民法第907条:遺産の分割の協議又は審判共同相続人は、遺言で禁じられた場合等を除き、いつでも協議で遺産の全部又は一部の分割ができます。協議が調わないときは家庭裁判所に請求できます。
- 第908条民法第908条:遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止被相続人は遺言で分割の方法を定め、又は5年を超えない期間分割を禁ずることができます。共同相続人の契約や家庭裁判所の処分による禁止も、相続開始から10年を超えられません。
- 第909条民法第909条:遺産の分割の効力遺産の分割は相続開始の時にさかのぼって効力を生じます。ただし第三者の権利を害することはできません。
- 第909条の2民法第909条の2:遺産の分割前における預貯金債権の行使各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始時の債権額の3分の1に自己の相続分を乗じた額(法務省令で定める額を限度)について、単独で権利を行使できます。
- 第910条民法第910条:相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権相続開始後に認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既に分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有します。
- 第911条民法第911条:共同相続人間の担保責任各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負います。
- 第912条民法第912条:遺産の分割によって受けた債権についての担保責任各共同相続人は、相続分に応じ、他の共同相続人が遺産分割で受けた債権について分割時の債務者の資力を担保します。弁済期未到来の債権等は弁済をすべき時の資力を担保します。
- 第913条民法第913条:資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担担保責任を負う共同相続人中に償還する資力のない者があるときは、その部分を求償者と他の資力のある者が相続分に応じて分担します。求償者に過失があるときは分担を請求できません。
- 第914条民法第914条:遺言による担保責任の定め共同相続人間の担保責任に関する民法911条から913条までの規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは適用されません。
- 第915条民法第915条:相続の承認又は放棄をすべき期間相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければなりません。期間は家庭裁判所において伸長できます。
- 第916条民法第916条:相続人が死亡した場合の熟慮期間の起算点相続人が承認又は放棄をしないで死亡したときは、民法915条1項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算します。
- 第917条民法第917条:相続人が未成年者又は成年被後見人である場合の熟慮期間の起算点相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、民法915条1項の期間は、その法定代理人がその者のために相続の開始があったことを知った時から起算します。
- 第918条民法第918条:相続人による管理相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を管理しなければなりません。ただし相続の承認又は放棄をしたときはこの限りではありません。
- 第919条民法第919条:相続の承認及び放棄の撤回及び取消し相続の承認及び放棄は熟慮期間内でも撤回できません。ただし総則・親族編の規定による取消しは妨げられず、取消権は6箇月・10年で時効消滅します。
- 第920条民法第920条:単純承認の効力相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継します。
- 第921条民法第921条:法定単純承認相続財産の処分・熟慮期間の徒過・限定承認や放棄の後の隠匿等があったときは、単純承認をしたものとみなされます。保存行為や短期の賃貸は除かれます。
- 第922条民法第922条:限定承認相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができます。
- 第923条民法第923条:共同相続人の限定承認相続人が数人あるときは、限定承認は共同相続人の全員が共同してのみすることができます。
- 第924条民法第924条:限定承認の方式限定承認をしようとするときは、熟慮期間内に相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければなりません。
- 第925条民法第925条:限定承認をしたときの権利義務相続人が限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は消滅しなかったものとみなされます。
- 第926条民法第926条:限定承認者による管理限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産の管理を継続しなければなりません。委任に関する民法645条・646条・650条1項2項が準用されます。
- 第927条民法第927条:相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告限定承認者は5日以内にすべての相続債権者・受遺者に対し請求の申出をすべき旨を公告しなければなりません。期間は2箇月を下れず、知れている者には各別に催告します。
- 第928条民法第928条:公告期間満了前の弁済の拒絶限定承認者は、民法927条1項の公告期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができます。
- 第929条民法第929条:公告期間満了後の弁済公告期間が満了した後は、限定承認者は相続財産をもって、申出をした相続債権者その他知れている相続債権者にそれぞれ債権額の割合に応じて弁済しなければなりません。
- 第930条民法第930条:期限前の債務等の弁済限定承認者は弁済期に至らない債権であっても民法929条に従って弁済しなければならず、条件付きの債権や存続期間の不確定な債権は鑑定人の評価に従って弁済します。
- 第931条民法第931条:受遺者に対する弁済限定承認者は、民法929条・930条に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができません。
- 第932条民法第932条:弁済のための相続財産の換価弁済のため相続財産を売却する必要があるときは競売に付さなければなりません。ただし鑑定人の評価に従い価額を弁済して競売を止めることができます。
- 第933条民法第933条:相続債権者及び受遺者の換価手続への参加相続債権者及び受遺者は、自己の費用で相続財産の競売又は鑑定に参加することができます。この場合には民法260条2項が準用されます。
- 第934条民法第934条:不当な弁済をした限定承認者の責任等限定承認者が公告・催告を怠り、又は違反して弁済したため他の者に弁済できなくなったときは損害賠償責任を負います。求償も妨げられず、民法724条が準用されます。
- 第935条民法第935条:公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者公告期間内に申出をせず、限定承認者に知れなかった相続債権者及び受遺者は、残余財産についてのみ権利を行使できます。特別担保を有する者は別です。
- 第936条民法第936条:相続人が数人ある場合の相続財産の清算人相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は相続人の中から相続財産の清算人を選任しなければなりません。清算人は相続人に代わって管理・弁済に必要な一切の行為をします。
- 第937条民法第937条:法定単純承認の事由がある場合の相続債権者限定承認をした共同相続人の一人又は数人に民法921条1号又は3号の事由があるときは、相続債権者は弁済を受けられなかった債権額について、その相続人に相続分に応じて権利を行使できます。
- 第938条民法第938条:相続の放棄の方式相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。
- 第939条民法第939条:相続の放棄の効力相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。
- 第940条民法第940条:相続の放棄をした者による管理相続の放棄をした者は、放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人等に引き渡すまで自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければなりません。
- 第941条民法第941条:相続債権者又は受遺者の請求による財産分離相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から3箇月以内に財産分離を家庭裁判所に請求できます。命令があったときは配当加入の申出をすべき旨を公告しなければなりません。
- 第942条民法第942条:財産分離の効力財産分離の請求をした者及び配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先立って弁済を受けます。
- 第943条民法第943条:財産分離の請求後の相続財産の管理財産分離の請求があったときは、家庭裁判所は相続財産の管理について必要な処分を命ずることができます。管理人を選任した場合には民法27条から29条までが準用されます。
- 第944条民法第944条:財産分離の請求後の相続人による管理相続人は単純承認をした後でも、財産分離の請求があったときは、以後その固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を管理しなければなりません。
- 第945条民法第945条:不動産についての財産分離の対抗要件財産分離は、不動産については、その登記をしなければ第三者に対抗することができません。
- 第946条民法第946条:物上代位の規定の準用先取特権の物上代位について定める民法304条の規定は、財産分離の場合について準用されます。
- 第947条民法第947条:相続債権者及び受遺者に対する弁済(財産分離)相続人は公告期間の満了前には弁済を拒むことができ、満了後は財産分離の請求又は配当加入の申出をした者に債権額の割合に応じて弁済しなければなりません。
- 第948条民法第948条:相続人の固有財産からの弁済財産分離の請求をした者及び配当加入の申出をした者は、相続財産で全部の弁済を受けられなかった場合に限り相続人の固有財産に権利を行使できます。相続人の債権者が先立ちます。
- 第949条民法第949条:財産分離の請求の防止等相続人は、固有財産をもって弁済し又は相当の担保を供して、財産分離の請求を防止し又はその効力を消滅させることができます。相続人の債権者の異議があるときは別です。
- 第950条民法第950条:相続人の債権者の請求による財産分離相続人が限定承認をすることができる間又は相続財産が固有財産と混合しない間は、相続人の債権者も家庭裁判所に財産分離を請求できます。多くの規定が準用されます。
- 第951条民法第951条:相続財産法人の成立相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とされます。
- 第952条民法第952条:相続財産の清算人の選任家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求によって相続財産の清算人を選任しなければなりません。選任したときは6箇月を下らない期間を定めて公告します。
- 第953条民法第953条:不在者の財産の管理人に関する規定の準用不在者の財産の管理人に関する民法27条から29条までの規定は、相続財産の清算人について準用されます。
- 第954条民法第954条:相続財産の清算人の報告相続財産の清算人は、相続債権者又は受遺者の請求があるときは、その請求をした者に相続財産の状況を報告しなければなりません。
- 第955条民法第955条:相続財産法人の不成立相続人のあることが明らかになったときは、民法951条の法人は成立しなかったものとみなされます。ただし相続財産の清算人が権限内でした行為の効力は妨げられません。
- 第956条民法第956条:相続財産の清算人の代理権の消滅相続財産の清算人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅します。この場合には遅滞なく相続人に対して清算に係る計算をしなければなりません。
- 第957条民法第957条:相続債権者及び受遺者に対する弁済(相続人の不存在)民法952条2項の公告があったときは、清算人は2箇月以上の期間を定めて請求の申出をすべき旨を公告します。その期間は相続人が権利を主張すべき期間内に満了しなければなりません。
- 第958条民法第958条:権利を主張する者がない場合民法952条2項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができません。
- 第958条の2民法第958条の2:特別縁故者に対する相続財産の分与相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者その他特別の縁故があった者の請求により、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができます。
- 第959条民法第959条:残余財産の国庫への帰属民法958条の2により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属します。この場合には、清算に係る計算を定める民法956条2項が準用されます。
- 第960条民法第960条:遺言の方式遺言は、民法に定める方式に従わなければ、することができません。遺言が要式行為であることを宣言する規定です。
- 第961条民法第961条:遺言能力15歳に達した者は、遺言をすることができます。行為能力とは別に、遺言についてだけ定められた年齢の基準です。
- 第962条民法第962条:制限行為能力の規定の不適用民法5条・9条・13条・17条の規定は、遺言については適用されません。制限行為能力者の保護の仕組みは、遺言には持ち込まれないという規定です。
- 第963条民法第963条:遺言をする時の能力遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければなりません。能力の有無を判断する時点を「遺言をする時」に固定する規定です。
- 第964条民法第964条:包括遺贈及び特定遺贈遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができます。包括遺贈と特定遺贈という区別の出発点になる条文です。
- 第965条民法第965条:相続人に関する規定の準用胎児の権利能力を定める民法886条と、相続人の欠格事由を定める民法891条の規定が、受遺者について準用されます。
- 第966条民法第966条:被後見人の遺言の制限被後見人が後見の計算の終了前に後見人やその配偶者・直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は無効です。ただし後見人が直系血族・配偶者・兄弟姉妹である場合は適用されません。
- 第967条民法第967条:普通の方式による遺言の種類遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければなりません。ただし、特別の方式によることを許す場合はこの限りではありません。
- 第968条民法第968条:自筆証書遺言自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付及び氏名を自書し、これに印を押してします。財産目録を添付する場合、その目録については自書を要しませんが、毎葉に署名し印を押さなければなりません。
- 第969条民法第969条:公正証書遺言公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもとで、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授してします。公正証書は公証人法の定めるところにより作成されます。
- 第969条の2民法第969条の2:公正証書遺言の方式の特則口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、通訳人の通訳による申述又は自書によって、民法969条1項2号の口授に代えます。
- 第970条民法第970条:秘密証書遺言秘密証書遺言は、証書に署名押印して封じ、同じ印章で封印し、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して自己の遺言書である旨等を申述してします。
- 第971条民法第971条:方式に欠ける秘密証書遺言の効力秘密証書による遺言は、民法970条の方式に欠けるものがあっても、民法968条の方式を具備しているときは自筆証書による遺言としての効力を有します。
- 第972条民法第972条:秘密証書遺言の方式の特則口がきけない者が秘密証書によって遺言をする場合には、通訳人の通訳による申述又は封紙への自書によって、民法970条1項3号の申述に代えます。
- 第973条民法第973条:成年被後見人の遺言成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時に遺言をするには、医師2人以上の立会いが必要です。立ち会った医師は能力を欠く状態になかった旨を付記して署名押印します。
- 第974条民法第974条:証人及び立会人の欠格事由未成年者、推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族、公証人の配偶者・四親等内の親族・書記及び使用人は、遺言の証人又は立会人となることができません。
- 第975条民法第975条:共同遺言の禁止遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができません。共同遺言の禁止と呼ばれる規定です。
- 第976条民法第976条:死亡の危急に迫った者の遺言死亡の危急に迫った者は、証人3人以上の立会いをもって、その1人に遺言の趣旨を口授してすることができます。遺言の日から20日以内に家庭裁判所の確認を得なければ効力を生じません。
- 第977条民法第977条:伝染病隔離者の遺言伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官1人及び証人1人以上の立会いをもって遺言書を作ることができます。
- 第978条民法第978条:在船者の遺言船舶中に在る者は、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いをもって遺言書を作ることができます。
- 第979条民法第979条:船舶遭難者の遺言船舶が遭難した場合において死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができます。証人の筆記・署名押印と家庭裁判所の確認が必要です。
- 第980条民法第980条:遺言関係者の署名及び押印民法977条・978条の場合には、遺言者、筆者、立会人及び証人は、各自遺言書に署名し、印を押さなければなりません。
- 第981条民法第981条:署名又は押印が不能の場合民法977条から979条までの場合において、署名又は印を押すことのできない者があるときは、立会人又は証人がその事由を付記しなければなりません。
- 第982条民法第982条:普通の方式による遺言の規定の準用民法968条3項及び973条から975条までの規定は、民法976条から981条までの規定による遺言について準用されます。
- 第983条民法第983条:特別の方式による遺言の効力特別の方式によりした遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から6箇月間生存するときは、その効力を生じません。
- 第984条民法第984条:外国に在る日本人の遺言の方式日本の領事の駐在する地に在る日本人が公正証書又は秘密証書によって遺言をしようとするときは、公証人の職務は領事が行います。この場合、遺言者及び証人は封紙への押印を要しません。
- 第985条民法第985条:遺言の効力の発生時期遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じます。停止条件を付した場合において条件が死亡後に成就したときは、条件が成就した時から効力を生じます。
- 第986条民法第986条:遺贈の放棄受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放棄をすることができます。放棄は遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生じます。
- 第987条民法第987条:受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告遺贈義務者その他の利害関係人は、受遺者に対し相当の期間を定めて遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができます。期間内に意思表示がないときは承認したものとみなされます。
- 第988条民法第988条:受遺者の相続人による遺贈の承認又は放棄受遺者が遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、その相続人は自己の相続権の範囲内で承認又は放棄をすることができます。ただし遺言者が別段の意思を表示したときはその意思に従います。
- 第989条民法第989条:遺贈の承認及び放棄の撤回及び取消し遺贈の承認及び放棄は撤回することができません。民法919条2項・3項が準用され、総則・親族編の規定による取消しは妨げられず、取消権は6箇月・10年で時効消滅します。
- 第990条民法第990条:包括受遺者の権利義務包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します。包括遺贈と特定遺贈を分ける実益がここに現れます。
- 第991条民法第991条:受遺者による担保の請求受遺者は、遺贈が弁済期に至らない間は、遺贈義務者に対して相当の担保を請求することができます。停止条件付きの遺贈で条件の成否が未定である間も同様です。
- 第992条民法第992条:受遺者による果実の取得受遺者は、遺贈の履行を請求することができる時から果実を取得します。ただし遺言者が遺言に別段の意思を表示したときはその意思に従います。
- 第993条民法第993条:遺贈義務者による費用の償還請求留置権者の費用償還請求を定める民法299条が、遺贈義務者が遺言者の死亡後に遺贈の目的物について費用を支出した場合に準用されます。果実の収取に要した通常の必要費は果実の価格を超えない限度で償還を請求できます。
- 第994条民法第994条:受遺者の死亡による遺贈の失効遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときはその効力を生じません。停止条件付きの遺贈で受遺者が条件成就前に死亡したときも同様です。
- 第995条民法第995条:遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属遺贈がその効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは相続人に帰属します。ただし遺言者が別段の意思を表示したときはその意思に従います。
- 第996条民法第996条:相続財産に属しない権利の遺贈遺贈は、その目的である権利が遺言者の死亡の時において相続財産に属しなかったときは効力を生じません。ただし、相続財産に属するかどうかにかかわらず遺贈の目的としたと認められるときは別です。
- 第997条民法第997条:相続財産に属しない権利を目的とする遺贈の履行民法996条ただし書により遺贈が有効であるときは、遺贈義務者はその権利を取得して受遺者に移転する義務を負います。取得できないとき等は価額を弁償しなければなりません。
- 第998条民法第998条:遺贈義務者の引渡義務遺贈義務者は、遺贈の目的である物又は権利を、相続開始の時(その後に遺贈の目的として特定した場合はその特定した時)の状態で引き渡し、又は移転する義務を負います。
- 第999条民法第999条:遺贈の物上代位遺贈の目的物の滅失等により遺言者が償金請求権を有するときはその権利を、付合・混和により単独所有者又は共有者となったときはその所有権又は持分を、遺贈の目的としたものと推定します。
- 第1001条民法第1001条:債権の遺贈の物上代位債権を遺贈の目的とした場合において遺言者が弁済を受け、その受け取った物がなお相続財産中に在るときは、その物を遺贈の目的としたものと推定します。金銭債権の場合の特則も置かれています。
- 第1002条民法第1002条:負担付遺贈負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負います。受遺者が放棄したときは負担の利益を受けるべき者が自ら受遺者となることができます。
- 第1003条民法第1003条:負担付遺贈の受遺者の免責負担付遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴えによって減少したときは、受遺者はその減少の割合に応じて負担した義務を免れます。
- 第1004条民法第1004条:遺言書の検認遺言書の保管者は、相続の開始を知った後遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければなりません。公正証書による遺言には適用されず、封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人等の立会いがなければ開封できません。
- 第1005条民法第1005条:過料遺言書の提出を怠り、検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外で開封した者は、5万円以下の過料に処せられます。
- 第1006条民法第1006条:遺言執行者の指定遺言者は、遺言で1人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができます。委託を受けた者は遅滞なく指定して相続人に通知しなければなりません。
- 第1007条民法第1007条:遺言執行者の任務の開始遺言執行者が就職を承諾したときは直ちにその任務を行わなければなりません。任務を開始したときは、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知しなければなりません。
- 第1008条民法第1008条:遺言執行者に対する就職の催告相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し相当の期間を定めて就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。確答がないときは承諾したものとみなされます。
- 第1009条民法第1009条:遺言執行者の欠格事由未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができません。
- 第1010条民法第1010条:遺言執行者の選任遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は利害関係人の請求によってこれを選任することができます。
- 第1011条民法第1011条:相続財産の目録の作成遺言執行者は遅滞なく相続財産の目録を作成して相続人に交付しなければなりません。相続人の請求があるときは、その立会いをもって作成し、又は公証人に作成させなければなりません。
- 第1012条民法第1012条:遺言執行者の権利義務遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。遺言執行者があるときは、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができます。
- 第1013条民法第1013条:遺言の執行の妨害行為の禁止遺言執行者があるときは、相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができません。違反行為は無効ですが、善意の第三者に対抗することができません。
- 第1014条民法第1014条:特定財産に関する遺言の執行遺言が特定の財産に関する場合、民法1011条から1013条まではその財産についてのみ適用されます。特定財産承継遺言があるときは、遺言執行者は対抗要件を備えるために必要な行為をすることができます。
- 第1015条民法第1015条:遺言執行者の行為の効果遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生じます。
- 第1016条民法第1016条:遺言執行者の復任権遺言執行者は自己の責任で第三者にその任務を行わせることができます。やむを得ない事由があるときは、相続人に対して選任及び監督についての責任のみを負います。
- 第1017条民法第1017条:遺言執行者が数人ある場合の任務の執行遺言執行者が数人あるときは、その任務の執行は過半数で決します。ただし遺言者が別段の意思を表示したときはその意思に従い、各遺言執行者は保存行為をすることができます。
- 第1018条民法第1018条:遺言執行者の報酬家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができます。ただし遺言者が遺言に報酬を定めたときはこの限りではありません。
- 第1019条民法第1019条:遺言執行者の解任及び辞任遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人はその解任を家庭裁判所に請求することができます。辞任には正当な事由と家庭裁判所の許可が必要です。
- 第1020条民法第1020条:委任の規定の準用委任の終了後の処分を定める民法654条と、委任の終了の対抗要件を定める民法655条が、遺言執行者の任務が終了した場合について準用されます。
- 第1021条民法第1021条:遺言の執行に関する費用の負担遺言の執行に関する費用は相続財産の負担となります。ただし、これによって遺留分を減ずることはできません。
- 第1022条民法第1022条:遺言の撤回遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます。
- 第1023条民法第1023条:前の遺言と後の遺言との抵触等前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分について後の遺言で撤回したものとみなされます。遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合にも準用されます。
- 第1024条民法第1024条:遺言書又は遺贈の目的物の破棄遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分について遺言を撤回したものとみなされます。故意に遺贈の目的物を破棄したときも同様です。
- 第1025条民法第1025条:撤回された遺言の効力民法1022条から1024条までにより撤回された遺言は、その撤回の行為が撤回・取消し・失効に至ったときであっても効力を回復しません。ただしその行為が錯誤・詐欺・強迫による場合は別です。
- 第1026条民法第1026条:遺言の撤回権の放棄の禁止遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができません。
- 第1027条民法第1027条:負担付遺贈に係る遺言の取消し負担付遺贈を受けた者が負担した義務を履行しないときは、相続人は相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときは家庭裁判所に遺言の取消しを請求することができます。
- 第1028条民法第1028条:配偶者居住権被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた配偶者は、遺産の分割又は遺贈により、その居住建物の全部について無償で使用及び収益をする権利を取得します。
- 第1029条民法第1029条:審判による配偶者居住権の取得遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、共同相続人間に合意が成立しているとき、又は配偶者の申出があり特に必要があると認めるときに限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができます。
- 第1030条民法第1030条:配偶者居住権の存続期間配偶者居住権の存続期間は配偶者の終身の間です。ただし遺産の分割の協議・遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が審判において別段の定めをしたときはその定めによります。
- 第1031条民法第1031条:配偶者居住権の登記等居住建物の所有者は、配偶者に対し配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います。民法605条・605条の4が準用されます。
- 第1032条民法第1032条:配偶者による使用及び収益配偶者は従前の用法に従い善良な管理者の注意をもって居住建物を使用収益しなければなりません。配偶者居住権は譲渡できず、改築・増築や第三者への使用収益には所有者の承諾が必要です。
- 第1033条民法第1033条:居住建物の修繕等配偶者は居住建物の使用収益に必要な修繕をすることができます。配偶者が修繕をしないときは所有者ができ、修繕を要するときや権利を主張する者があるときは配偶者に通知義務があります。
- 第1034条民法第1034条:居住建物の費用の負担配偶者は居住建物の通常の必要費を負担します。それ以外の費用については、買戻しの実行に関する民法583条2項が準用されます。
- 第1035条民法第1035条:居住建物の返還等配偶者は配偶者居住権が消滅したときは居住建物を返還しなければなりません。ただし共有持分を有する場合、所有者は配偶者居住権の消滅を理由として返還を求めることができません。
- 第1036条民法第1036条:使用貸借及び賃貸借の規定の準用民法597条1項・3項、600条、613条、616条の2の規定が配偶者居住権について準用されます。
- 第1037条民法第1037条:配偶者短期居住権被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた配偶者は、一定の日までの間、居住建物取得者に対し無償で使用する権利を有します。
- 第1038条民法第1038条:配偶者による使用(配偶者短期居住権)配偶者は従前の用法に従い善良な管理者の注意をもって居住建物を使用しなければなりません。第三者に使用させるには居住建物取得者の承諾が必要で、違反があれば意思表示によって消滅させられます。
- 第1039条民法第1039条:配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は消滅します。
- 第1040条民法第1040条:居住建物の返還等(配偶者短期居住権)配偶者は、民法1039条の場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは居住建物を返還しなければなりません。共有持分を有する場合の例外と、民法599条・621条の準用が定められています。
- 第1041条民法第1041条:使用貸借等の規定の準用(配偶者短期居住権)民法597条3項、600条、616条の2、1032条2項、1033条及び1034条の規定が配偶者短期居住権について準用されます。
- 第1042条民法第1042条:遺留分の帰属及びその割合兄弟姉妹以外の相続人は、直系尊属のみが相続人である場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1の割合を乗じた額を遺留分として受けます。相続人が数人あるときは各自の相続分を乗じます。
- 第1043条民法第1043条:遺留分を算定するための財産の価額遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時に有した財産の価額に贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額です。
- 第1044条民法第1044条:算入される贈与の範囲贈与は相続開始前の1年間にしたものに限り算入されます。当事者双方が損害を加えることを知ってした贈与は1年前の日より前のものも算入され、相続人に対する贈与は10年・特別受益に相当するものに限られます。
- 第1045条民法第1045条:負担付贈与及び不相当な対価による有償行為負担付贈与の場合、算入される価額は目的の価額から負担の価額を控除した額です。不相当な対価による有償行為は、当事者双方が損害を加えることを知ってしたものに限り負担付贈与とみなされます。
- 第1046条民法第1046条:遺留分侵害額の請求遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。遺留分侵害額の算定方法も定められています。
- 第1047条民法第1047条:受遺者又は受贈者の負担額受遺者又は受贈者は、遺贈又は贈与の目的の価額を限度として遺留分侵害額を負担します。受遺者が先に負担し、受贈者が複数のときは後の贈与から順に負担するなどの順序が定められています。
- 第1048条民法第1048条:遺留分侵害額請求権の期間の制限遺留分侵害額の請求権は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅します。相続開始の時から10年を経過したときも同様です。
- 第1049条民法第1049条:遺留分の放棄相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り効力を生じます。共同相続人の一人がした放棄は、他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼしません。
- 第1050条民法第1050条:特別の寄与被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をし財産の維持又は増加について特別の寄与をした親族は、相続人に対し特別寄与料の支払を請求することができます。