民法第520条の10・債権
民法第520条の10:指図証券の債務者の調査の権利等
債務者は所持人や署名押印の真偽を調査する権利を持ちますが義務は負いません。悪意重過失があれば弁済は無効です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
証券を持ってきた人が本物か、債務者は調べなきゃいけないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
調べる権利はあるが、義務はない。 民法520条の10じゃ。「権利を有するが、その義務を負わない」——この言い回しが肝じゃぞ。
条文
指図証券の債務者は、その証券の所持人並びにその署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義務を負わない。ただし、債務者に悪意又は重大な過失があるときは、その弁済は、無効とする。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 調査の対象 | その証券の所持人並びにその署名及び押印の真偽 |
| 権利 | 調査する権利を有する |
| 義務 | その義務を負わない |
| ただし書 | 債務者に**悪意悪意ある特定の事情や事実を『知っている』こと。いじわるな心という意味ではありません。用語ページを見る →又は重大な過失重大な過失わずかな注意さえ払えば気づけたのに見落とした、という程度の重い不注意。錯誤が表意者の重大な過失によるときは、原則として取消しができません(民法95条3項)。用語ページを見る →**があるときは、その弁済は、無効 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
調べなくても払っていいんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが証券の値打ちじゃ。 いちいち本人確認をしておっては、証券の速さが失われる。
裏書裏書証券上の権利を譲渡するために証券にする記載のこと。指図証券の譲渡には裏書と交付が必要です(民法520条の2)。方式は手形法の規定が準用されます(民法520条の3)。用語ページを見る →が連続しておれば、所持人は権利者と推定される(民法520条の4)。その推定に従って払えばよい——そう読める仕組みじゃな。
ただし書で歯止めがかかるぞ。偽物と知っておった、あるいは少し確かめれば分かったのに見過ごした——そのときは弁済が無効になるのじゃ。
民法478条と並べる
| 弁済弁済債務の内容である給付を実現して債権を満足させること。債務者が債権者に弁済をしたとき、その債権は消滅します(民法473条)。用語ページを見る →一般(民法478条) | 指図証券(民法520条の10) | |
|---|---|---|
| 保護される主観 | 善意かつ無過失 | 悪意又は重過失でないこと |
| 軽過失がある場合 | 保護されない | 保護される |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ここも証券のほうがゆるい!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法520条の5の即時取得即時取得取引行為によって平穏・公然と動産の占有を始めた者が、善意無過失であれば即時にその動産の権利を取得すること(民法192条)。無権利者から買っても保護される制度です。用語ページを見る →と同じ物差しじゃな。 第七節は「悪意又は重大な過失」で揃っておる——まとめて覚えよ。
証券の世界では、軽い過失は責められぬ。 流通の速さを守るためじゃ。
資格別の演習
指図証券の債務者は、その証券の所持人並びにその署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義務を負わない。
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解答:◯
正しい記述です。民法520条の10本文がそのとおり定めています。
指図証券の債務者に軽過失があったときは、所持人に対してした弁済は無効となる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法520条の10ただし書が弁済を無効とするのは「債務者に悪意又は重大な過失があるとき」であり、軽過失は含まれません。