民法第105条・総則
民法第105条:法定代理人による復代理人の選任
法定代理人は自己の責任で復代理人を選任できます。やむを得ない事由があるときは、責任が選任・監督の範囲に軽くなります。任意代理人との違いが際立つ条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法104条では復代理人の選任がすごく制限されてたよね。法定代理人も同じなの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ここは正反対じゃ。民法105条は「自己の責任で復代理人を選任することができる」と言い切っておる。許諾も、やむを得ない事由も要らぬ。
条文の内容
法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
前段:自己の責任で選任できる
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 法定代理人法定代理人本人が選んだのではなく、法律の規定によって代理権を与えられた人のこと。未成年者の親権者や成年後見人がこれにあたります。用語ページを見る → |
| 効果 | 自己の責任で復代理人復代理人代理人が選任する、本人の代理人のこと。「代理人の代理人」ではなく、その権限内の行為について本人を代表します(民法106条1項)。用語ページを見る →を選任することができる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
どうして法定代理人は自由なの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
法定代理法定代理法律の規定によって代理権が生じる代理のこと。親権者(民法824条)や後見人(民法859条1項)がこれにあたり、復代理人を自己の責任で選任できます(民法105条)。用語ページを見る →は、本人が選んだものではない。法律の規定によって就いた立場じゃ。しかも辞めたいと思っても、勝手には辞められぬ。逃げ場のない重い役目でな。
そのうえ、親権者にせよ後見人にせよ、扱う仕事の幅は広い。いちいち本人の許諾を求めよというても、その本人は未成年者未成年者18歳に達していない人のこと(民法4条の反対解釈)。法律行為をするには、原則として法定代理人の同意が必要です。用語ページを見る →や成年被後見人成年被後見人後見開始の審判を受けた人のこと(民法8条)。その法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて取り消すことができます。用語ページを見る →じゃ。許諾を求める相手がいないのじゃよ。
後段:やむを得ない事由があるときの責任
この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
| 場合 | 責任の範囲 |
|---|---|
| 原則 | 自己の責任で選任する |
| やむを得ない事由があるとき | 本人に対して、その選任及び監督についての責任のみを負う |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「やむを得ない事由」があると、責任が軽くなるんだ。104条では選任ができるようになる条件だったのに。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう並べて見たのう。同じ言葉が、条文ごとに違う働きをしておる。
104条では「選任してよいか」の関門、105条では「責任をどこまで負うか」の分かれ目じゃ。条文の中でその語がどの位置に置かれておるか——そこを見るのが読み方の勘所じゃな。
民法104条と105条を並べる
| 民法104条(委任による代理人) | 民法105条(法定代理人) | |
|---|---|---|
| 選任の要件 | 本人の許諾又はやむを得ない事由 | なし(自己の責任で選任できる) |
| 責任の原則 | 条文に定めなし | 自己の責任 |
| やむを得ない事由の働き | 選任を可能にする | 責任を選任・監督に限る |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
104条は入口を狭くし、105条は入口を広くするかわりに責任で締める。どちらも本人を守っておるが、守り方が逆なのじゃ。
復代理人の地位は共通
選任の道筋がどちらであっても、選ばれた復代理人復代理人代理人が選任する、本人の代理人のこと。「代理人の代理人」ではなく、その権限内の行為について本人を代表します(民法106条1項)。用語ページを見る →の地位は民法106条が定めます。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法106条1項 | 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する |
| 民法106条2項 | 復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う |
資格別の演習
法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法105条前段がそのとおり定めています。本人の許諾もやむを得ない事由も要件とされていない点で、民法104条の委任による代理人とは大きく異なります。
法定代理人が復代理人を選任した場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法105条後段がそのとおり定めています。「やむを得ない事由」は、同条では責任を軽くする方向に働きます。
民法104条と105条は、いずれも「やむを得ない事由」を復代理人の選任が許される要件としている。
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解答:×
誤りです。民法104条では「やむを得ない事由」は選任を可能にする要件ですが、民法105条では選任の要件ではなく、責任を選任及び監督についてのものに限る効果を持つ事情として置かれています。同じ文言でも、条文における働きが異なります。