民法第396条・物権

民法第396条:抵当権の消滅時効

債務者と抵当権設定者に対しては、被担保債権と同時でなければ抵当権は時効消滅しません。

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 司法試験

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

第三節「抵当権の消滅」に入ったね。抵当権抵当権ていとうけん目的物の占有を移さずに設定できる担保物権(民法369条以下)。先取特権の効力については、その性質に反しない限り抵当権の規定が準用されます(民法341条)。用語ページを見る →だけが先に時効時効じこう一定の事実状態が続いたことに法律上の効果を認める制度。権利を得る取得時効と、権利が消える消滅時効があり、効力は起算日にさかのぼります(民法144条)。用語ページを見る →で消えることってあるの?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

相手による、というのが民法396条の答えじゃ。債務者と抵当権設定者に対しては消えぬ——裏を返せば、そうでない者に対しては、という含みが残るのう。

条文の内容

抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

要素 条文の言葉
誰に対して 債務者及び抵当権設定者
どうなる その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

債権が生きてるうちは、抵当権だけ時効で消えたりしないんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そういうことじゃ。抵当権は付従性付従性ふじゅうせいある権利が他の権利にくっついて動く性質のこと。地役権は要役地の所有権とともに移転し、要役地から分離して譲り渡すことができません(民法281条)。用語ページを見る →を持つ。債権があるかぎり担保も残る——民法396条は、その筋を時効の場面で言い切っておる。

そして対象を「債務者及び抵当権設定者」に限っておるところに、この条文の慎重さがあるのう。

被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合

最高裁は、被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合について、次のように判断しました。

抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には,民法396条は適用されず,債務者及び抵当権設定者に対する関係においても,当該抵当権自体が,同法167条2項所定の20年の消滅時効にかかる。 (最判平成30年2月23日・民集第72巻1号1頁)

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

396条が「適用されず」! 債務者に対しても抵当権だけ時効にかかるんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

要旨はそう述べておる。被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合という限定つきじゃぞ。

なお、判決文にいう「同法167条2項所定の20年の消滅時効」は、平成29年改正前の民法の条文を指しておる。現行の民法167条は、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効について定める条文で、内容が異なる。判決を読むときは、そのときの条文で読む——これも大事な作法じゃな。

第三節「抵当権の消滅」の3か条

条文 消滅の場面
民法396条 抵当権の消滅時効
民法397条 抵当不動産の時効取得による消滅
民法398条 目的である地上権地上権ちじょうけん他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する物権(民法265条)。同じ「借りて使う」でも、債権である賃借権とは性質が異なります。用語ページを見る →等の放棄

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

たった3か条じゃが、時効・時効取得・放棄と、性格の違う消滅原因が並んでおる。

もっとも、抵当権が消えるのはこの節だけではないぞ。民法378条の代価弁済代価弁済だいかべんさい抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済すること。これにより抵当権はその第三者のために消滅します(民法378条)。用語ページを見る →、民法386条の抵当権消滅請求抵当権消滅請求ていとうけんしょうめつせいきゅう抵当不動産の第三取得者が、代価等を提供して抵当権の消滅を求める手続(民法379条・383条)。主たる債務者・保証人及びその承継人はすることができません(民法380条)。用語ページを見る →も、抵当権を消す制度じゃからのう。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。民法396条がそのとおり定めています。

司法書士正誤問題AI生成類題

抵当権は、いかなる者に対しても、その担保する債権と同時でなければ時効によって消滅しない。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法396条が対象としているのは「債務者及び抵当権設定者に対して」です。

司法試験正誤問題判例(最判平成30年2月23日)

抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には、民法396条は適用されず、債務者及び抵当権設定者に対する関係においても、当該抵当権自体が消滅時効にかかる。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。最判平成30年2月23日(民集第72巻1号1頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。

一次情報を確認する