刑法第3条の2・総則
刑法第3条の2:国民以外の者の国外犯
外国で日本国民が被害者になった事件のうち、生命・身体・自由を害する重い罪に限って、外国人にも日本の刑法が及びます。窃盗や詐欺が入っていない理由を確認します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
海外旅行中の日本人が外国人に襲われたら、日本の刑法でその外国人を裁けるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
一定の重い罪に限ってじゃが、裁ける。それを定めたのが刑法3条の2じゃ。平成15年に新設された、比較的新しい規定なんじゃよ。
条文の内容
刑法3条の2は、日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外の者に刑法を適用すると定めます。被害者が日本国民であることを手がかりとする保護主義保護主義犯人の国籍や犯行地を問わず、自国や自国民の利益が侵害された場合に自国の刑法を適用する考え方。刑法2条(すべての者の国外犯)や3条の2(国民以外の者の国外犯)がこれにあたります。用語ページを見る →の一場面です。
| 号 | 罪 |
|---|---|
| 1号 | 不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、不同意わいせつ等致死傷 |
| 2号 | 殺人(199条)とその未遂罪 |
| 3号 | 傷害(204条)、傷害致死(205条) |
| 4号 | 逮捕及び監禁(220条)、逮捕等致死傷(221条) |
| 5号 | 略取・誘拐、人身売買に関する罪(224条〜228条) |
| 6号 | 強盗、事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷、強盗・不同意性交等及び同致死とこれらの未遂罪 |
3条との対比で見えるもの
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
あれ、3条には窃盗も詐欺も入ってたのに、こっちは入ってない!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。3条の2に並ぶのは、生命・身体・自由・性的自由を害する罪と、暴行・脅迫を手段とする強盗だけじゃ。単純な財産犯である窃盗・詐欺・恐喝・背任は入っておらん。外国人の行為にまで日本の刑法を及ぼす以上、対象は重大犯罪に絞られておるのじゃよ。
| 刑法3条(国民の国外犯) | 刑法3条の2(国民以外の者の国外犯) | |
|---|---|---|
| 犯人 | 日本国民 | 日本国民以外の者 |
| 被害者 | 限定なし | 日本国民であること |
| 窃盗・詐欺 | 含まれる(14号・15号) | 含まれない |
| 名誉毀損 | 含まれる(13号) | 含まれない |
なお、6号は強盗に関する罪の未遂も対象としますが、強盗・不同意性交等及び同致死のうち241条1項の罪の未遂は除かれています。
資格別の演習
外国人が日本国外で日本国民を殺害した場合、刑法が適用される。
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解答:◯
正しい記述です。刑法3条の2第2号は殺人罪とその未遂罪を挙げており、日本国民を被害者とする外国人の国外犯として処罰されます。
外国人が日本国外で日本国民をだまして金銭を交付させた場合、刑法3条の2により詐欺罪として処罰される。
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解答:×
誤りです。刑法3条の2の列挙に詐欺罪(246条)は含まれていません。同条が対象とするのは生命・身体・自由・性的自由に関わる罪と強盗に関する罪です。
外国人が日本国外で日本国民を監禁し、その結果傷害を負わせた場合、刑法3条の2により処罰される。
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解答:◯
正しい記述です。刑法3条の2第4号は逮捕及び監禁(220条)とともに逮捕等致死傷(221条)を挙げています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「日本人が被害者なら何でも日本の刑法」ではない。命と身体と自由に関わる重い罪だけ——これが3条の2の輪郭じゃよ。