民法第372条・物権

民法第372条:留置権等の規定の準用

不可分性・物上代位・物上保証人の求償権。抵当権は、留置権・先取特権・質権から3つの条文を借りてきます。

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 司法試験

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

抵当権抵当権ていとうけん目的物の占有を移さずに設定できる担保物権(民法369条以下)。先取特権の効力については、その性質に反しない限り抵当権の規定が準用されます(民法341条)。用語ページを見る →の条文って、第一節は4つしかないんだね。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そのぶん民法372条が働くのじゃ。他の担保物権から3つの条文を借りてくる。第一節「総則」の締めくくりじゃな。

条文の内容

第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。

準用される条文 内容 どこから
民法296条 不可分性 留置権
民法304条 物上代位物上代位ぶつじょうだいい担保の目的物が売却・賃貸・滅失・損傷したときに、債務者が受けるべき金銭などに対して権利を行使すること(民法304条1項)。払渡し又は引渡しの前に差押えが必要です。用語ページを見る → 先取特権
民法351条 物上保証人物上保証人ぶつじょうほしょうにん他人の債務を担保するため自分の財産に担保権を設定した者のこと。債務を弁済し又は質物の所有権を失ったときは、債務者に求償権を有します(民法351条)。用語ページを見る →の求償権求償権きゅうしょうけん他人のために出捐した者が、その負担すべき者に対して返還を求める権利のこと。物上保証人は、保証債務に関する規定に従い債務者に求償できます(民法351条)。用語ページを見る → 質権

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

3つとも別の担保物権から! 留置権、先取特権、質権。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこが面白いところじゃ。必要な部品を、それぞれふさわしいところから調達しておる。

民法350条が質権について民法296条〜300条と304条を準用しておったのと比べてみよ。抵当権は占有を移さぬ(民法369条1項)ゆえ、留置権から借りるのは不可分性の296条だけ。果実の収取(297条)も保管義務(298条)も要らぬのじゃな。

民法304条の準用がいちばん重い

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

実務でも試験でも、抵当権の物上代位は大きな論点じゃ。賃料債権、売却代金、火災保険金——目的物が形を変えた先を追いかける。

そして条件は「その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」(民法304条1項ただし書)。急がねばならぬのはここでも同じじゃ。

最判令和5年11月27日(民集第77巻8号2188頁)

裁判要旨は次のとおりです。

抵当不動産の賃借人は、抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前に、賃貸人との間で、抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と上記の差押えがされた後の期間に対応する賃料債権とを直ちに対当額で相殺する旨の合意をしたとしても、当該合意の効力を抵当権者に対抗することはできない。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

差押えの前に相殺の合意をしていても、抵当権者には対抗できないんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

要旨の限定をよう見よ。抵当権設定登記の後に取得した債権を自働債権とし、差押えがされた後の期間に対応する賃料債権を受働債権とする合意についての判断じゃ。参照法条には民法304条1項と372条が並んでおる。

最判平成21年7月3日(民集第63巻6号1047頁)が、抵当権設定登記の前に取得した債権による相殺を管理人に対抗できるとしておったのと、対比して読むとよい。債権を取得した時期が、登記の前か後か——そこが分かれ目と読める。

第一節「総則」の4か条

条文 内容
民法369条 抵当権の内容
民法370条 効力の及ぶ範囲
民法371条 果実
民法372条 留置権等の規定の準用

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

次の民法373条からは第二節「抵当権の効力」——23か条の大きな節じゃぞ。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

民法296条、304条及び351条の規定は、抵当権について準用される。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。民法372条がそのとおり定めています。

司法書士正誤問題AI生成類題

抵当権者は、抵当不動産の売却によって債務者が受けるべき金銭に対しても権利を行使できるが、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。民法372条により民法304条が準用され、同条1項ただし書の差押えの要件も及びます。

司法試験正誤問題AI生成類題

判例によれば、抵当不動産の賃借人は、物上代位による差押え前に、抵当権設定登記の後に取得した債権と差押え後の期間に対応する賃料債権とを相殺する旨の合意をしても、その効力を抵当権者に対抗することはできない。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。最判令和5年11月27日(民集第77巻8号2188頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。

一次情報を確認する