民法第18条・総則
民法第18条:補助開始の審判等の取消し
民法15条1項本文の原因が消滅したときは補助開始の審判を取り消さなければなりません。同意の審判と代理権の審判をすべて取り消す場合にも、補助開始の審判の取消しが義務づけられます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
10条、14条ときて18条。出口の条文もこれで3つ目だね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
うむ。じゃが18条には、後見にも保佐にもない3項目がある。補助という制度の作りから、どうしても必要になった規定でのう。
条文の内容
1項:補助開始の審判の取消し
第十五条第一項本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判を取り消さなければならない。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 要件 | 民法15条1項本文の原因(事理を弁識する能力事理を弁識する能力物事の道理をわきまえ、自分の行為の結果を判断する能力のこと。これを「欠く常況」なら後見、「著しく不十分」なら保佐、「不十分」なら補助の対象になります。用語ページを見る →が不十分であること)が消滅したこと/列挙された者からの請求 |
| 請求権者 | 本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人補助人被補助人に付される保護者(民法16条)。家庭裁判所が補助開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の7第1項)。用語ページを見る →、補助監督人、検察官 |
| 効果 | 補助開始の審判を取り消さなければならない |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
請求権者の並びは、民法14条1項の「保佐人・保佐監督人」が「補助人・補助監督人」に入れ替わっただけじゃ。その場面にいる人が並ぶという読み方は、ここでも変わらんのう。
2項:17条1項の審判の取消し
家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第一項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
「前条第一項の審判」は、民法17条1項の審判——補助人補助人被補助人に付される保護者(民法16条)。家庭裁判所が補助開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の7第1項)。用語ページを見る →の同意同意保護者が、本人のする法律行為をしてよいとあらかじめ認めること。同意を得なければならない行為を同意なくしたときは、その行為を取り消すことができます(民法5条2項・13条4項・17条4項)。用語ページを見る →を要する旨の審判です。保佐の民法14条2項と同じ形で、こちらは「できる」「全部又は一部」と書かれています。
3項:補助だけの特別な規定
前条第一項の審判及び第八百七十六条の九第一項の審判をすべて取り消す場合には、家庭裁判所は、補助開始の審判を取り消さなければならない。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ん? これはどういう場面?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
思い出すのじゃ。民法15条3項は、補助開始の審判は民法17条1項の審判又は民法876条の9第1項の審判とともにしなければならないと定めておった。では、その2つをすべて取り消してしまったらどうなる?
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
あっ、中身がゼロになっちゃう! 補助は始まっているのに、補助人にできることが何もない状態……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。器だけが残るのは、入口の民法15条3項が禁じた状態と同じことじゃ。じゃから3項は「補助開始の審判を取り消さなければならない」と、始末をつけておるのじゃよ。
民法15条3項(入口)と民法18条3項(出口)は、対になって「中身のない補助を存在させない」という一貫した扱いを作っています。
| 条文 | 定め | |
|---|---|---|
| 入口 | 民法15条3項 | 補助開始の審判は、民法17条1項又は民法876条の9第1項の審判とともにしなければならない |
| 出口 | 民法18条3項 | その2つの審判をすべて取り消す場合には、補助開始の審判を取り消さなければならない |
3つの出口条文を並べる
| 後見(民法10条) | 保佐(民法14条) | 補助(民法18条) | |
|---|---|---|---|
| 開始の審判の取消し | 取り消さなければならない(項の区分なし) | 1項 取り消さなければならない | 1項 取り消さなければならない |
| 上乗せ部分の取消し | 定めなし | 2項(民法13条2項の審判) 取り消すことができる | 2項(民法17条1項の審判) 取り消すことができる |
| 中身が空になった場合 | 定めなし | 定めなし | 3項 取り消さなければならない |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
後見は民法9条が、保佐は民法13条1項が、条文それ自体で中身を持っておる。中身を審判に委ねた補助だけが、空になる心配をせねばならん。3項があるのはそのためじゃな。
資格別の演習
民法15条1項本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、請求により補助開始の審判を取り消さなければならない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法18条1項がそのとおり定めています。後見(民法10条)、保佐(民法14条1項)と同じく「取り消さなければならない」であり、開始の側が「することができる」であるのと対になっています。
民法17条1項の審判及び民法876条の9第1項の審判をすべて取り消す場合には、家庭裁判所は、補助開始の審判を取り消さなければならない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法18条3項がそのとおり定めています。民法15条3項が、補助開始の審判はこの2つの審判のいずれかとともにしなければならないと定めているため、両方を取り消すのであれば補助開始の審判も維持できない、という対応関係にあります。
家庭裁判所は、民法18条1項に規定する者の請求により、民法17条1項の審判の全部を取り消すことはできるが、その一部のみを取り消すことはできない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法18条2項は「前条第一項の審判の全部又は一部を取り消すことができる」と定めています。保佐について民法14条2項が民法13条2項の審判の全部又は一部の取消しを認めているのと同じ形です。