民法第422条の2・債権
民法第422条の2:代償請求権
履行不能と同一の原因で債務者が代償を得たとき、債権者は損害の限度でその移転や償還を求められます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
引き渡すはずの建物が焼けて、売主に保険金が入った——買主は何も言えないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
言える。民法422条の2の**代償請求権代償請求権履行不能と同一の原因により債務者が目的物の代償である権利又は利益を取得したとき、債権者が受けた損害の額の限度でその移転又は償還を求める権利(民法422条の2)。用語ページを見る →**じゃ。平成29年改正で新設された条文じゃぞ。
条文の内容
債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる。
| # | 要件 |
|---|---|
| ① | 債務の**履行不能履行不能契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務の履行が不能であること。債権者はその履行を請求できません(民法412条の2第1項)。用語ページを見る →** |
| ② | それと同一の原因により |
| ③ | 債務者が債務の目的物の代償である権利又は利益を取得した |
| 効果 | 債権者は、その受けた損害の額の限度において、権利の移転又は利益の償還を請求できる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「同一の原因」がポイントなんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが要じゃ。不能をもたらした出来事が、そのまま代償を生んだ——その結びつきを条文が求めておる。
たまたま別の理由で債務者が利益を得たなら、この条文の場面ではないということじゃな。
「その受けた損害の額の限度において」
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
代償が損害より大きくても、損害の分までなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。債権者が儲かる制度ではない。
民法422条も同じ発想じゃったのう。価額の全部を払ったから物も移る——どちらも釣り合いを取っておる。代償請求権は、埋め合わせであって、もうけ話ではないのじゃ。
「権利の移転又は利益の償還」
| 債務者が得たもの | 債権者が請求できること |
|---|---|
| 権利 | その移転 |
| 利益 | その償還 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
形のある権利なら移してもらい、すでに受け取った利益なら返してもらう——2つの請求を書き分けておるのじゃな。
条文が「権利又は利益」と並べたことに、そのまま対応しておる。丁寧な書きぶりじゃ。
判例が条文になった
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
代償請求権は、改正前の民法には条文がなかった。学説と裁判例の積み重ねが、平成29年改正で条文になったのじゃ。
民法417条の2の中間利息の控除中間利息の控除将来取得すべき利益の賠償額を定めるとき、その利益を取得すべき時までの利息相当額を差し引くこと。損害賠償請求権が生じた時点の法定利率によります(民法417条の2)。用語ページを見る →も同じ道をたどった。判例で固まったものを条文に取り込む——これが平成29年改正の大きな仕事のひとつじゃったのう。
第一款の締めくくり
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法412条〜413条の2 | 遅滞・不能・受領遅滞と帰責事由 |
| 民法414条 | 履行の強制履行の強制債務者が任意に債務の履行をしないときに、直接強制・代替執行・間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求すること(民法414条1項)。用語ページを見る → |
| 民法415条〜421条 | 損害賠償(範囲・方法・過失相殺・特則・予定) |
| 民法422条 | 損害賠償による代位 |
| 民法422条の2 | 代償請求権 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
第一款「債務不履行の責任等」はこれで終わり?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。次の民法423条からは第二款**債権者代位権債権者代位権債権者が自己の債権を保全するため必要があるときに、債務者に属する権利を代わりに行使できる制度(民法423条1項)。用語ページを見る →**——債務者の財産を守る話に移るぞ。
資格別の演習
債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者はその受けた損害の額の限度において、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法422条の2がそのとおり定めています。
代償請求権により、債権者は債務者が取得した代償の全部について、その移転又は償還を請求することができる。
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解答:×
誤りです。民法422条の2は「その受けた損害の額の限度において」としています。
代償請求権が認められるには、債務者が取得した代償が履行不能と同一の原因によるものであることを要する。
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解答:◯
正しい記述です。民法422条の2は「その債務の履行が不能となったのと同一の原因により」と定めています。