刑法第97条・逃走の罪
刑法第97条:逃走
法令により拘禁された者が逃走する罪です。主体が「法令により拘禁された者」に限られる身分犯であり、第六章全体の出発点になります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
逃げるのが罪になるの? 捕まってたら誰だって逃げたくなると思うけど……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
気持ちはわかる。じゃが、拘禁という国家の作用そのものが守られておるのじゃ。条文はたった1行じゃが、読むべき言葉は3つあるぞ。
条文の内容
法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の拘禁刑に処する。
3つの言葉
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 主体 | 法令により拘禁された者法令により拘禁された者法令の根拠に基づいて身体の自由を拘束されている者。刑法97条の逃走罪の主体であり、99条の被拘禁者奪取罪・100条の逃走援助罪の対象でもあります。用語ページを見る → |
| 行為 | 逃走逃走法令により拘禁された者が、その拘禁から脱すること。刑法97条が3年以下の拘禁刑で処罰し、102条により未遂も罰せられます。用語ページを見る →した |
| 刑 | 3年以下の拘禁刑 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「法令により」って、わざわざ書く必要ある?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
大ありじゃ。これがあるから、法令の根拠なく閉じ込められた者が逃げても、この罪にはならない。犯罪の成立範囲を条文自身が区切っておるのじゃよ。
主体が限られる罪
第97条は、誰でも犯せる罪ではありません。「法令により拘禁された者」という立場にある者だけが主体になれます。身分犯身分犯犯人の一定の身分が、犯罪の成立や刑の軽重にかかわる犯罪のこと。刑法65条1項は身分のない者も共犯となるとし、2項は身分により刑に軽重があるときは身分のない者に通常の刑を科すとしています。用語ページを見る →の一種です。
外部の者が拘禁された者を逃がす行為は、この条文ではなく第99条以下が受け持ちます。
| 誰が | どの条文 |
|---|---|
| 拘禁された本人が逃げる | 97条(逃走) |
| 本人が器具を壊すなどして逃げる | 98条(加重逃走) |
| 外部の者が奪い取る | 99条(被拘禁者奪取) |
| 外部の者が逃走を助ける | 100条(逃走援助) |
| 看守者・護送者が逃がす | 101条 |
未遂も罰せられる
第102条が「この章の罪の未遂未遂犯罪の実行に着手して、これを遂げないこと(刑法43条本文)。未遂を罰するかどうかは、刑法44条により各本条が定めます。用語ページを見る →は、罰する」と定めています。逃走に失敗しても、実行の着手実行の着手犯罪の実行行為を開始すること。刑法43条は「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者」を未遂としており、着手があってはじめて未遂が問題になります。用語ページを見る →があれば処罰の対象です。
資格別の演習
逃走罪(刑法97条)の主体は、法令により拘禁された者に限られる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。条文が「法令により拘禁された者が逃走したときは」と主体を明示しています。
逃走罪の未遂は処罰される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法102条が、第六章の罪の未遂を罰すると定めています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の98条は、同じ逃走でもやり方が悪質な場合を切り出しておる。刑の下限が現れるのが目印じゃ。