民法第6条・総則
民法第6条:未成年者の営業の許可
一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては成年者と同一の行為能力を持ちます。堪えられない事由があるときは、法定代理人が許可を取り消し、又は制限できます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
未成年でもお店を開くことってあるよね。そのたびに親の同意をもらってたら、商売にならないんじゃない?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこを解決するのが民法6条じゃ。営業を許すという一発の許可で、その営業に関してはひとり立ちさせる。取引の相手にとっても、いちいち同意の有無を心配せずに済むのう。
条文の内容
1項:許された営業については成年者と同一の行為能力
一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
条文の言葉を分解します。
| 部分 | 意味 |
|---|---|
| 一種又は数種の営業 | 営業の種類を特定して許す。種類はひとつでも複数でもよい |
| その営業に関しては | 許された営業の範囲に限られる |
| 成年者と同一の行為能力を有する | その範囲では法定代理人法定代理人本人が選んだのではなく、法律の規定によって代理権を与えられた人のこと。未成年者の親権者や成年後見人がこれにあたります。用語ページを見る →の同意が不要になる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「その営業に関しては」……ってことは、営業と関係ないことは?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そちらは未成年者未成年者18歳に達していない人のこと(民法4条の反対解釈)。法律行為をするには、原則として法定代理人の同意が必要です。用語ページを見る →のままじゃ。許可は営業の範囲を切り取って与えられるのであって、丸ごと成年者になるわけではないぞ。ここが一番問われるところじゃな。
条文は「一種又は数種の営業」と書いています。すべての営業を包括的に許すとは書かれていないことに注意してください。
2項:許可の取消し・制限
前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
要件と効果を整理します。
要件
- 1項により営業を許されていること
- 未成年者未成年者18歳に達していない人のこと(民法4条の反対解釈)。法律行為をするには、原則として法定代理人の同意が必要です。用語ページを見る →がその営業に堪えることができない事由があること
効果
- 法定代理人法定代理人本人が選んだのではなく、法律の規定によって代理権を与えられた人のこと。未成年者の親権者や成年後見人がこれにあたります。用語ページを見る →が、第四編(親族)の規定に従い、
- その許可を取り消す、または
- これを制限する
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「取り消す」って、さかのぼって無かったことにするの? それだと取引した相手が困りそう……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい問いじゃ。じゃが民法6条2項は「その許可を取り消し、又はこれを制限することができる」と書くだけで、さかのぼるかどうかまでは条文に書かれておらん。断定せず、条文の文言どおりに押さえておくのが安全じゃな。
民法5条3項との違い
同じ「未成年者がひとりで動ける場面」でも、民法5条3項と民法6条は、切り取り方が違います。
| 民法5条3項 | 民法6条1項 | |
|---|---|---|
| 何を許すか | 財産の処分 | 営業 |
| 及ぶ範囲 | 目的を定めたときはその目的の範囲内 | 許された営業に関して |
| 条文上の位置づけ | 処分を許した財産を自由に処分できる | その営業に関して成年者と同一の行為能力を有する |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
5条3項は「このお金は好きに使ってよい」。6条は「この商売については一人前として扱う」。もの単位か、活動単位かの違いじゃな。
資格別の演習
一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関するものであるかどうかを問わず、すべての法律行為について成年者と同一の行為能力を有する。
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解答:×
誤りです。民法6条1項は「その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する」と、範囲を限定しています。許された営業と関係のない法律行為については、未成年者未成年者18歳に達していない人のこと(民法4条の反対解釈)。法律行為をするには、原則として法定代理人の同意が必要です。用語ページを見る →として民法5条の規律に服します。
営業を許された未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法6条2項がそのとおり定めています。「取り消し」だけでなく「制限」という選択肢も条文に書かれている点を押さえてください。
民法6条1項の営業の許可は、営業の種類を特定せず、一切の営業について包括的に与えることができる。
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解答:×
誤りです。民法6条1項は「一種又は数種の営業を許された未成年者は」と定めており、許可の対象は種類を特定した営業です。条文は包括的な許可を予定していません。
法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の処分(民法5条3項)と、営業の許可(民法6条1項)とは、いずれも未成年者が法定代理人の同意なくして有効に行為し得る場合であるが、前者は財産の処分について、後者は許された営業に関して認められる点で、及ぶ範囲の切り分け方が異なる。
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解答:◯
正しい記述です。民法5条3項は「処分を許した財産」というものを単位に、目的を定めたときはその目的の範囲内で自由な処分を認めます。これに対し民法6条1項は「その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する」として、営業という活動を単位に行為能力を認めます。