刑法第234条・信用及び業務に対する罪
刑法第234条:威力業務妨害
威力を用いて人の業務を妨害する罪です。表現の自由との関係を正面から扱った最高裁判例があります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「前条の例による」——ここでも刑を借りてくるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
156条・171条・179条でも見た書き方じゃな。手段を入れ替えただけで、あとは前の条文と同じという場合に使われる。
条文の内容
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 手段 | 威力威力相手の意思を押さえつけるような有形無形の力。刑法96条の3・96条の4は「偽計又は威力を用いて」妨害する行為を処罰します。用語ページを見る →を用いて |
| 結果 | 人の業務を妨害した |
| 刑 | 前条の例による(3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金) |
233条との対比
| 条文 | 手段 | 結果 |
|---|---|---|
| 233条 | 虚偽の風説の流布・偽計 | 信用毀損または業務妨害 |
| 234条 | 威力 | 業務妨害のみ |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
234条には信用毀損がないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よく見つけたのう。威力で人の信用を傷つけるというのは、形として考えにくいからのう。条文の列挙の差には、必ず理由がある。
判例——表現の自由との関係
最判平成23年7月7日は、卒業式の開式直前に、式典会場である体育館において、主催者に無断で、保護者らに対して、国歌斉唱のときには着席してほしいなどと大声で呼び掛けを行い、これを制止した教頭らに対して怒号するなどし、その場を喧噪状態に陥れるなどして、卒業式の円滑な遂行に支障を生じさせた行為をもって、刑法234条の罪に問うことは、憲法21条1項に違反しないとしました(補足意見があります)。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
意見を言う行為でも、やり方によっては業務妨害になるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
最高裁はその場を喧噪状態に陥れ、円滑な遂行に支障を生じさせたという事実を挙げておる。何を言ったかではなく、どのように行われたかが判断の対象になった一件じゃな。130条後段の不退去をめぐる最判昭和59年12月18日とも通じるところじゃ。
「威力」という語
威力威力相手の意思を押さえつけるような有形無形の力。刑法96条の3・96条の4は「偽計又は威力を用いて」妨害する行為を処罰します。用語ページを見る →は、刑法96条の3・96条の4・96条の6でも「偽計又は威力を用いて」という形で用いられていました。
| 条文 | 守る対象 |
|---|---|
| 96条の3・96条の4 | 強制執行 |
| 96条の6 | 公の競売・入札 |
| 234条 | 人の業務 |
資格別の演習
威力を用いて人の業務を妨害した者は、偽計を用いて業務を妨害した者と同じ刑に処せられる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法234条は「前条の例による」と定めています。
卒業式の開式直前に大声で呼び掛けを行うなどしてその場を喧噪状態に陥れ、式の円滑な遂行に支障を生じさせた行為を刑法234条の罪に問うことは、憲法21条1項に違反しないとされた事例がある。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判平成23年7月7日の事案です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
章の締めくくりは234条の2。コンピュータを狙った業務妨害を捉える条文じゃ。