民法第533条・債権
民法第533条:同時履行の抗弁
双務契約の当事者の一方は、相手方が債務の履行を提供するまで自己の債務の履行を拒むことができます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
代金を先に払えって言われたけど、品物はまだ届いてない。払わなきゃダメ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
拒める。 民法533条——同時履行の抗弁同時履行の抗弁双務契約の当事者の一方が、相手方が債務の履行を提供するまで自己の債務の履行を拒むことができるという権利(民法533条)。用語ページを見る →じゃ。「同時に」という言葉に、契約の公平が詰まっておる。
条文
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 主体 | 双務契約双務契約契約の両当事者が互いに対価的な意味を持つ債務を負う契約のこと。売買や賃貸借がこれにあたり、同時履行の抗弁や危険負担の規定が適用されます。用語ページを見る →の当事者の一方 |
| いつまで | 相手方がその債務の履行を提供するまで |
| かっこ書き | 債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む |
| 効果 | 自己の債務の履行を拒むことができる |
| ただし書 | 相手方の債務が**弁済期弁済期債務を履行しなければならない時期のこと。留置権は、債権が弁済期にないときは成立しません(民法295条1項ただし書)。用語ページを見る →にないとき**は拒めない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
かっこ書きが気になる。損害賠償の履行も入るんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よく見たのう。 本来の給付が損害賠償に姿を変えても、対価的なつながりは切れぬ——そう読める書きぶりじゃ。
相手が賠償を提供してくるなら、こちらも拒めなくなる、ということじゃな。
ただし書——弁済期が来ていないとき
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
相手の支払いが来月なら、こっちは今すぐ渡さなきゃいけないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうなる。 **ただし書は「相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない」**と書く。
相手が先に履行する約束(先履行の合意)があるなら、同時履行を言う筋合いはない——そういう線引きと読める。
同時履行は「同時に」交換する場面の道具じゃからのう。
判例——同時履行の主張が信義則上許されないとされた事例
最判平成21年7月17日(集民第231号419頁/平成19(受)315)は、自動車の買主が売主に対し 錯誤による売買契約の無効を理由に代金の返還を求めた事案について、 売主が本来新規登録のできない自動車について新規登録を受けたうえでオークションに出品し、 買主がその表示を信じて買い受けたこと、買主から売主への移転登録手続には困難が伴うことなど 判示の事情の下では、売主が移転登録手続との同時履行を主張することは信義則上許されない と判断しました。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
同時履行の抗弁も、無条件の武器ではない——この判決はそこを示した事例じゃ。 参照法条にも民法1条2項が並んでおるのう。
資格別の演習
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法533条本文がそのとおり定めています。
双務契約において相手方の債務の弁済期がまだ到来していない場合でも、当事者の一方は同時履行の抗弁により自己の債務の履行を拒むことができる。
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解答:×
誤りです。民法533条ただし書は、相手方の債務が弁済期にないときは同項本文の適用がないと定めています。
民法533条にいう「債務の履行」には、債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行が含まれる。
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解答:◯
正しい記述です。民法533条本文のかっこ書きがそのとおり定めています。
同時履行の抗弁の主張が、事案の事情によっては信義則上許されないことがある。
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解答:◯
正しい記述です。最判平成21年7月17日は、判示の事情の下で売主が移転登録手続との同時履行を主張することは信義則上許されないとしました。