民法第29条・総則
民法第29条:管理人の担保提供及び報酬
家庭裁判所は、管理人に担保を立てさせることができ、不在者の財産の中から相当な報酬を与えることもできます。任せる側の不安と、引き受ける側の労に、ひとつの条文で応えています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
他人の財産をまるごと預かるなんて、任せるほうも不安だよね。もし管理人が使い込んだら?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
その不安に答えるのが民法29条1項の担保じゃ。そして2項は逆に、引き受けた者の労に報酬で報いる。ひとつの条文が、任せる側と引き受ける側の両方を見ておるのじゃよ。
条文の内容
1項:担保を立てさせる
家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について相当の担保を立てさせることができる。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 誰が | 家庭裁判所家庭裁判所家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。用語ページを見る → |
| 誰に | 管理人 |
| 何について | 財産の管理及び返還について |
| 何を | 相当の担保を立てさせることができる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「管理及び返還」って、預かっている間と、返すときの両方ってこと?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文はそう並べておる。預かっている間ちゃんと守ることと、最後にきちんと返すこと——その両方を担保の対象にしておるのじゃな。
そして「立てさせることができる」じゃ。必ず立てさせよ、とは書いておらん。相手が誰か、財産がどれほどか、事情はさまざまじゃからのう。
2項:相当な報酬を与える
家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 考慮する事情 | 管理人と不在者不在者従来の住所又は居所を去った者のこと(民法25条1項)。生死が明らかでないことまでは、この語の要件になっていません。用語ページを見る →との関係その他の事情 |
| 出どころ | 不在者の財産の中から |
| 何を | 相当な報酬を与えることができる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「管理人と不在者との関係」って、家族かどうか、みたいなこと?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文は「関係その他の事情により」としか書いておらぬ。書かれておらぬところを断定してはならぬ。ただ、関係の近さも判断材料になり得ると条文自身が言っておるのは確かじゃな。
報酬の出どころが「不在者の財産の中から」である点は、民法27条1項の目録作成費用と同じじゃ。不在者を守るためにかかった費えは、不在者の財産が負う——一貫しておるのう。
二つの項の向き
| 項 | 誰のための規定か | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 不在者(財産を預ける側) | 管理及び返還について相当の担保 |
| 2項 | 管理人(財産を預かる側) | 不在者の財産の中から相当な報酬 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
片方だけでは仕組みが回らぬ。担保ばかり求めれば引き受け手がおらぬようになり、報酬ばかりでは財産が守られぬ。両側から支えて、はじめて他人に財産を託せるのじゃよ。
なお、いずれの項も「できる」と書かれており、家庭裁判所の判断に委ねられています。
相続財産の清算人にも準用される
民法953条は、相続人のあることが明らかでない場合の相続財産の清算人について、民法27条から29条までを準用しています。担保と報酬のこの仕組みは、そちらでも同じように働きます。
資格別の演習
家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について相当の担保を立てさせることができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法29条1項がそのとおり定めています。担保の対象が「管理」と「返還」の両方とされている点が条文上の特徴です。
家庭裁判所が管理人に報酬を与える場合、その報酬は国庫から支出される。
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解答:×
誤りです。民法29条2項は「不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる」と定めています。民法27条1項が目録作成の費用を不在者の財産から支弁するとしているのと同じ考え方です。
家庭裁判所は、管理人を選任するときは、必ずその管理人に相当の担保を立てさせなければならない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法29条1項は「相当の担保を立てさせることができる」と定めており、義務づけてはいません。同条2項の報酬も同様に「与えることができる」とされ、いずれも家庭裁判所家庭裁判所家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。用語ページを見る →の判断に委ねられています。