刑法第253条・横領の罪
刑法第253条:業務上横領
業務上自己の占有する他人の物を横領する罪です。単純横領罪の2倍の上限が定められた、身分による加重の典型です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「業務上」がつくだけで、5年が10年になるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
117条の2、211条、そしてこの253条——業務という語が刑を動かす場面を、これで3つ見たことになるのう。
条文の内容
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 主体 | 業務上自己の占有する者 |
| 客体 | 他人の物 |
| 行為 | 横領した |
| 刑 | 10年以下の拘禁刑 |
業務上横領業務上横領業務上自己の占有する他人の物を横領すること(刑法253条)。10年以下の拘禁刑で、単純横領罪の2倍の上限が定められています。用語ページを見る →は、業務上の占有者という立場にある者だけが犯せる身分犯身分犯犯人の一定の身分が、犯罪の成立や刑の軽重にかかわる犯罪のこと。刑法65条1項は身分のない者も共犯となるとし、2項は身分により刑に軽重があるときは身分のない者に通常の刑を科すとしています。用語ページを見る →です。
252条との比較
| 条文 | 主体 | 刑 |
|---|---|---|
| 252条1項(横領横領自己の占有する他人の物を横領すること(刑法252条1項)。5年以下の拘禁刑で、同条2項は公務所から保管を命ぜられた自己の物を横領した場合を定めます。用語ページを見る →) | 制限なし | 5年以下の拘禁刑 |
| 253条 | 業務上の占有者 | 10年以下の拘禁刑 |
「業務」が刑を動かす条文
| 条文 | 基本の刑 | 業務上の刑 |
|---|---|---|
| 刑法116条 → 117条の2 | 50万円以下の罰金 | 3年以下の拘禁刑または150万円以下の罰金 |
| 刑法210条 → 211条 | 50万円以下の罰金 | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 刑法213条 → 214条 | 2年以下の拘禁刑 | 3月以上5年以下の拘禁刑 |
| 刑法252条 → 253条 | 5年以下の拘禁刑 | 10年以下の拘禁刑 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
過失犯だけじゃなくて、故意犯でも「業務上」で重くなるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい整理じゃ。117条の2・211条は過失の質を問う加重、214条・253条は身分による加重——理由が違うのじゃな。
247条との関係
背任背任他人のためにその事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えること(刑法247条)。用語ページを見る →罪(247条)は5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。業務上横領罪のほうが重い法定刑となっています。
| 条文 | 刑 |
|---|---|
| 刑法247条(背任) | 5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 刑法252条(横領) | 5年以下の拘禁刑 |
| 刑法253条(業務上横領) | 10年以下の拘禁刑 |
準用
第255条により、244条が準用されます。
資格別の演習
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の拘禁刑に処せられる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。単純横領罪(5年以下の拘禁刑)の2倍の上限です。
業務上横領罪の法定刑は、背任罪(刑法247条)より重い。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。247条が5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、253条が10年以下の拘禁刑です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の254条は、誰も占有していない物を対象とする条文じゃ。