刑法第193条・汚職の罪

刑法第193条:公務員職権濫用

公務員が職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害する罪です。「職権の濫用」の意義を示した最高裁判例があります。

  • 司法書士
  • 司法試験

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した」——223条の強要罪と同じ言い回しだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

よく気づいたのう。手段が違うだけで、結果の書き方は同じじゃ。223条は脅迫・暴行、193条は職権——その差が条文を分けておる。

条文の内容

公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の拘禁刑に処する。

要件を分解する

要件 条文の言葉
主体 公務員(刑法上の)公務員(刑法上の)こうむいん刑法7条1項が定める、国または地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員・委員その他の職員のこと。「公務に従事する」ことが決め手で、役所に勤めているかどうかではありません。用語ページを見る →
手段 その職権を濫用して
結果 人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した
刑 2年以下の拘禁刑

判例——「職権の濫用」の意義

最判昭和57年1月28日は、刑法193条にいう「職権の濫用」とは、公務員が、その一般的職務権限に属する事項につき、職権の行使に仮託して実質的・具体的に違法・不当な行為をすることを指称するとしました。

さらに同判決は、その一般的職務権限は、必ずしも法律上の強制力を伴うものであることを要せず、それが濫用された場合、職権行使の相手方をして事実上義務なきことを行わせ、または行うべき権利を妨害するに足りる権限であれば、これに含まれるとしています。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

強制力がなくてもいいんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこが要点じゃな。事実上、相手を動かせる力があれば足りる——最高裁はそう読んでおる。

判例——成立が認められた事例

同判決は、裁判官が、司法研究その他職務上の参考に資するための調査・研究という正当な目的による調査行為であるかのように仮装して、これとかかわりのない目的のために身分帳簿の閲覧、その写しの交付等を求め、刑務所長らをしてこれに応じさせた場合は、職権濫用職権濫用しょっけんらんよう最高裁は、刑法193条にいう「職権の濫用」とは、公務員がその一般的職務権限に属する事項につき、職権の行使に仮託して実質的・具体的に違法・不当な行為をすることを指すとしました。用語ページを見る →罪が成立するとしました。

223条との対比

条文 主体 手段 刑
193条 公務員 職権の濫用 2年以下の拘禁刑
223条1項 制限なし 脅迫または暴行 3年以下の拘禁刑

第二十五章の構成

条文 内容
193条 公務員職権濫用
194条 特別公務員職権濫用
195条 特別公務員暴行陵虐
196条 特別公務員職権濫用等致死傷
197条〜197条の5 収賄関係
198条 贈賄贈賄ぞうわい刑法197条から197条の4までに規定する賄賂を供与し、またはその申込みもしくは約束をすること(刑法198条)。3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金です。用語ページを見る →

資格別の演習

司法書士正誤問題AI生成類題

公務員がその職権を濫用して人に義務のないことを行わせたときは、2年以下の拘禁刑に処せられる。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。刑法193条の定めです。

司法試験正誤問題AI生成類題

刑法193条にいう一般的職務権限は、法律上の強制力を伴うものでなければならない。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。最判昭和57年1月28日は、必ずしも法律上の強制力を伴うことを要しないとしました。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

次の194条からは、特別公務員——裁判・検察・警察に携わる者を名指しした条文が続くぞ。

一次情報を確認する