民法第123条・総則
民法第123条:取消し及び追認の方法
相手方が確定している場合、取消しと追認は相手方に対する意思表示によってします。誰に伝えれば効くのかを定めた、短くて実務的な条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「取り消します」って、誰に言えばいいの? 家族に言うだけじゃダメだよね?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
当たり前のようでいて、決めておかねばならぬところじゃ。民法123条が答えておる。相手方に対する意思表示によってする——相手が確定しておる場合は、な。
条文の内容
取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 前提 | 取り消すことができる行為の相手方が確定している場合 |
| 対象 | その取消し又は追認 |
| 方法 | 相手方に対する意思表示によってする |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「相手方が確定している場合には」って、確定していない場合もあるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文がわざわざ断っておるということは、そういう場面を想定しておるということじゃな。ただし、確定していない場合にどうするかは、この条文には書かれておらぬ。書かれておらぬところを埋めてはならぬぞ。
意思表示であるということ
取消しも追認も「意思表示」によってする、と条文は定めています。意思表示である以上、民法97条以下の規定が関わってきます。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法97条1項 | 意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生ずる |
| 民法97条2項 | 相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす |
| 民法98条の2 | 相手方が受けた時に意思能力を有しなかったとき等は、対抗できない |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
到達主義到達主義意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じるという建て付け(民法97条1項)。発した時ではない点が要です。用語ページを見る →がここでも効いてくる。「取り消す」と決めただけでは足りぬ。相手に届いてはじめて効くのじゃ。民法126条の期間との関係でも、この違いは大きいぞ。
民法113条2項と比べる
同じ「相手方に対してしなければ」という発想は、無権代理無権代理代理権を有しない者が他人の代理人としてする行為のこと。本人が追認しなければ本人に効力を生じません(民法113条1項)。用語ページを見る →の追認にもありました。
| 民法113条2項 | 民法123条 | |
|---|---|---|
| 対象 | 無権代理行為の追認又は拒絶 | 取り消すことができる行為の取消し又は追認 |
| 書きぶり | 相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない | 相手方に対する意思表示によってする |
| 例外 | 相手方がその事実を知ったときは、この限りでない | 条文に定めなし |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
113条2項には「知ったときは」の例外があったのに、123条にはないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう見比べたのう。書きぶりの違いに気づけるかどうかが、条文を読む力じゃ。似ておるからと同じに扱ってはならぬ。
第四節の中での位置
| 条文 | 問い |
|---|---|
| 民法120条 | 誰が取り消せるか |
| 民法121条 | 取り消すとどうなるか |
| 民法122条 | 追認するとどうなるか |
| 民法123条 | どうやって取消し・追認をするか |
| 民法124条 | いつから追認できるか |
| 民法126条 | いつまで取り消せるか |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
こう並べると、第四節が取消権の一生を順に定めておるのが見えるじゃろう。誰が、何が起き、どうやって、いつから、いつまで——抜けが無いのう。
資格別の演習
取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法123条がそのとおり定めています。取消しと追認のいずれについても、相手方に対する意思表示という方法によります。
取消しの意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法123条により取消しは相手方に対する意思表示によってするところ、意思表示の効力発生時期は民法97条1項により到達主義到達主義意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じるという建て付け(民法97条1項)。発した時ではない点が要です。用語ページを見る →によります。
民法123条は、取消し又は追認が相手方に対する意思表示によらなかった場合でも、相手方がその事実を知ったときは効力を生ずる旨のただし書を置いている。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法123条にそのようなただし書はありません。相手方がその事実を知ったときを例外とする定めを置いているのは、無権代理行為の追認又はその拒絶について規定する民法113条2項ただし書です。