民法第246条・物権
民法第246条:加工
他人の材料で作った物は誰のものか。原則は材料の所有者、ただし工作の価格が著しく超えるときは加工者。建築中の建物をめぐる判例が有名です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
もらった木材で、頑張って家具を作ったの。材料は人のものだけど、作ったのはわたし。誰のもの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法246条の加工加工他人の動産に工作を加えて新たな物を作ること。加工物の所有権は原則として材料の所有者に帰属しますが、工作による価格が材料の価格を著しく超えるときは加工者が取得します(民法246条1項)。用語ページを見る →じゃな。原則は材料の所有者。じゃがただし書に、腕前が報われる道が用意されておる。
1項:原則は材料の所有者
他人の動産に工作を加えた者(以下この条において「加工者」という。)があるときは、その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する。ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得する。
| 内容 | |
|---|---|
| 原則 | 加工物の所有権は材料の所有者に帰属 |
| ただし書 | 工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるとき → 加工者が取得 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「著しく超える」……ちょっと上回るだけじゃダメなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文が「著しく」と書いておるからのう。原則を覆すには、はっきりした差が要る。民法191条の「所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても」と同じで、ただし書の要件は厳しく読むのが基本じゃ。
2項:加工者が材料の一部を供したとき
前項に規定する場合において、加工者が材料の一部を供したときは、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限り、加工者がその加工物の所有権を取得する。
| 比べるもの | 内容 |
|---|---|
| 加工者の側 | 自分が供した材料の価格 + 工作によって生じた価格 |
| 他人の側 | 他人の材料の価格 |
| 結果 | 加工者の側が超えるときに限り、加工者が所有権を取得 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
2項は「著しく」がない! 超えるだけでいいんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう気づいたのう。自分でも材料を出しておる分、条件が緩められておると読める。1項ただし書と2項の文言の差は、試験でも狙われるところじゃぞ。
判例:建築途中の建前に工事を施した場合
最判昭和54年1月25日(民集第33巻1号26頁)
判示事項は「一 建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合と建物所有権の帰属 二 民法二四六条二項の規定に基づいて加工物の所有権の帰属を決定する場合において他人の動産の価格と比較すべき対象の算定時期」です。
裁判要旨は次のとおりです。
一 建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合における建物所有権の帰属は、民法二四六条二項の規定に基づいて決定すべきである。 二 建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供し工事を施して仕上げた建物の所有権の帰属を民法二四六条二項の規定に基づいて決定する場合において、建前が、屋根瓦が葺かれ、荒壁が塗られて法律上独立の不動産である建物としての要件を具備するに至つた時点における状態に基づいてではなく、加工者の工事が一応終了したと認められる時点までの間に加工者が加えた工事及び材料の価格と建前の価格とを比較して決定すべきである。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
建物なのに、不動産の付合(民法242条)じゃなくて加工の規定を使うんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが要旨一の眼目じゃ。**まだ独立の不動産に至っておらぬ「建前」**の段階じゃからのう。不動産でない以上、242条の出番ではない、という筋道と読める。
要旨二は比較の時点を示しておる。独立の建物になった時点ではなく、加工者の工事が一応終了したと認められる時点までに加えた工事・材料の価格と、建前の価格とを比べよ、と。細かいが、条文が答えていない部分を判例が埋めておるところじゃな。
資格別の演習
他人の動産に工作を加えた者があるときは、その加工物の所有権は、原則として材料の所有者に帰属する。
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解答:◯
正しい記述です。民法246条1項本文がそのとおり定めています。
工作によって生じた価格が材料の価格を超えるときは、加工者が加工物の所有権を取得する。
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解答:×
誤りです。民法246条1項ただし書は「材料の価格を著しく超えるとき」としています。単に超えるだけでは足りません。
判例によれば、建築途中のいまだ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合における建物所有権の帰属は、民法246条2項の規定に基づいて決定すべきである。
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解答:◯
正しい記述です。最判昭和54年1月25日(民集第33巻1号26頁)の裁判要旨一がそのとおり述べています。