民法第353条・物権
民法第353条:質物の占有の回復
占有を奪われたら、占有回収の訴えによってのみ取り戻せます。「のみ」という言葉が効いている条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
預かっていた質物質物質権の目的として質権者に引き渡された物のこと。質権者は債権の弁済を受けるまでこれを留置できます(民法347条)。用語ページを見る →を、誰かに持っていかれちゃった! 取り戻せる?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法353条じゃ。取り戻せる——じゃが方法がひとつに限られておる。「のみ」という言葉に気をつけよ。
条文の内容
動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 質物の占有を奪われたとき |
| 方法 | 占有回収の訴え占有回収の訴え占有を奪われたときに、物の返還と損害の賠償を請求する訴え(民法200条1項)。占有を奪われた時から1年以内に提起しなければなりません(民法201条3項)。用語ページを見る →によってのみ |
| 効果 | その質物を回復することができる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
質権に基づいて返せ、とは言えないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文が「占有回収の訴えによってのみ」と書いておるからのう。質権そのものを根拠に返還を求める道は、条文の文言からは読み取れぬ。
理由も見えよう。民法352条により、継続して占有しておらねば第三者に対抗できぬ。占有を失った質権者は、第三者に対して「自分には質権がある」と言えぬのじゃ。じゃから、占有という事実を守る訴えに頼るほかない。
占有回収の訴えの制約
民法200条・201条3項を思い出してください。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法200条1項 | 占有を奪われたときは、返還と損害賠償を請求できる |
| 民法200条2項 | 侵奪者の**特定承継人特定承継人売買や贈与のように、個々の権利を個別に受け継いだ人のこと。占有回収の訴えは、原則としてこの特定承継人に対しては提起できません(民法200条2項)。用語ページを見る →には原則として提起できない**(悪意の場合を除く) |
| 民法201条3項 | 占有を奪われた時から1年以内 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
1年以内! しかも善意の特定承継人には請求できない。かなり厳しいね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。353条が道をひとつに絞った以上、その道の制約もそのまま背負うことになる。
そして「奪われた」という言葉じゃ。民法200条1項と同じでな、自ら渡した場合や置き忘れた場合までは読み込めぬ。うっかり返してしまったなら、353条の出番はない——民法352条により対抗力を失うだけじゃ。
民法302条との比較
留置権留置権他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利(民法295条1項)。修理代を払ってもらうまで品物を返さない、という場面が典型です。用語ページを見る →について、民法302条は「留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する」と定めていました。
| 留置権(民法302条) | 動産質(民法352条・353条) | |
|---|---|---|
| 占有喪失の効果 | 消滅する | 対抗できなくなる(352条) |
| 回復の方法 | 条文に定めなし | 占有回収の訴えによってのみ(353条) |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
留置権は消え、質権は対抗力を失う——条文の書き方が違うのう。質権には民法342条の優先弁済優先弁済他の債権者に先立って自分の債権の弁済を受けること。先取特権の中心的な効力です(民法303条)。用語ページを見る →という中身があるゆえ、占有を失っても直ちに消えるとは書かれておらぬ、と読める。
資格別の演習
動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法353条がそのとおり定めています。
動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、質権に基づく返還請求によってその質物を回復することができる。
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解答:×
誤りです。民法353条は「占有回収の訴えによってのみ」回復できるとしています。
民法353条により質物を回復しようとする動産質権者は、占有を奪われた時から1年以内に訴えを提起しなければならない。
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解答:◯
正しい記述です。占有回収の訴えによる以上、民法201条3項の期間制限がそのまま及びます。