民法第391条・物権

民法第391条:抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求

必要費・有益費を出した第三取得者は、抵当不動産の代価から他の債権者に先立って償還を受けられます。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

抵当不動産抵当不動産ていとうふどうさん抵当権の目的である不動産のこと。民法370条が条文中でこの語を定義しています。用語ページを見る →を買った人が、屋根を直したり価値を上げたりしたのに、競売されちゃったら丸損?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そうはならぬ。民法391条が優先して返してもらえると定めておる。しかも「他の債権者より先に」じゃぞ。

条文の内容

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。

要素 条文の言葉
誰が 抵当不動産抵当不動産ていとうふどうさん抵当権の目的である不動産のこと。民法370条が条文中でこの語を定義しています。用語ページを見る →の第三取得者第三取得者だいさんしゅとくしゃ担保の目的物を取得した第三者のこと。先取特権は、債務者が目的である動産を第三取得者に引き渡した後は行使できません(民法333条)。用語ページを見る →
何をした 必要費必要費ひつようひ物の保存のために支出した費用のこと。占有者は回復者に償還させることができますが、果実を取得したときは通常の必要費は自己負担となります(民法196条1項)。用語ページを見る →又は有益費有益費ゆうえきひ物の改良のために支出した費用のこと。価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従って支出額か増価額の償還を受けられます(民法196条2項)。用語ページを見る →を支出した
基準 民法196条の区別に従い
どこから 抵当不動産の代価から
順位 他の債権者より先に償還を受けることができる

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

民法196条! 占有占有せんゆう物を事実上支配していること。所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有し続けると、取得時効が成立し得ます(民法162条)。用語ページを見る →のところで出てきたね。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

よう覚えておったのう。196条1項が必要費、2項が有益費じゃ。費用の中身の区別は196条に譲り、391条は順位だけを定めておる——条文の分業じゃな。

「他の債権者より先に」

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

ここが391条の値打ちじゃ。抵当権者よりも先に代価から回収できる、と読める書きぶりじゃな。

費用を出したおかげで不動産の価値が保たれ、あるいは増したのじゃ。その恩恵は抵当権者にも及んでおる。ならば先に返すのが筋、という発想じゃろう。

民法325条以下の先取特権先取特権さきどりとっけん法律の規定に従い、債務者の財産から他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法303条)。当事者の契約ではなく法律によって当然に生じる担保物権です。用語ページを見る →にも、共益の費用共益の費用きょうえきのひよう各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存・清算・配当に関する費用(民法307条1項)。一般の先取特権のなかで第1順位に置かれます。用語ページを見る →を最優先とする考え方があったのう(民法306条1号・329条1項)。皆のためになった出費は先に返す——民法に通う思想じゃ。

優先償還を受けられなかったとき

最高裁は、優先償還請求権を有するのに競売代金が抵当権者に交付された事案について、次のように判断しました。

抵当不動産の第三取得者が、民法三九一条にもとづく優先償還請求権を有しているにもかかわらず、抵当不動産の競売代金が抵当権者に交付されたため優先償還を受けられなかつたときは、右第三取得者は、抵当権者に対し不当利得返還請求権を有する。 (最判昭和48年7月12日・民集第27巻7号763頁)

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

お金が抵当権者に渡っちゃっても、取り戻せるんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

要旨は「抵当権者に対し不当利得返還請求権を有する」と述べておる。391条の優先が、配当の場面で実現されなかったときの受け皿じゃな。

391条という条文がある以上、その優先を無視して受け取った利益は保持し得ぬ——そう読める判断じゃ。

第三取得者を守る条文の並び

条文 内容
民法378条 代価弁済代価弁済だいかべんさい抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済すること。これにより抵当権はその第三者のために消滅します(民法378条)。用語ページを見る →
民法379条〜386条 抵当権消滅請求抵当権消滅請求ていとうけんしょうめつせいきゅう抵当不動産の第三取得者が、代価等を提供して抵当権の消滅を求める手続(民法379条・383条)。主たる債務者・保証人及びその承継人はすることができません(民法380条)。用語ページを見る →
民法390条 競売における買受け
民法391条 費用の優先償還

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

抵当権が付いた不動産を、それでも買う者——民法はその者に、これだけの道を用意しておる。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、民法196条の区別に従い、抵当不動産の代価から他の債権者より先にその償還を受けることができる。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。民法391条がそのとおり定めています。

司法書士正誤問題判例(最判昭和48年7月12日)

抵当不動産の第三取得者が民法391条に基づく優先償還請求権を有しているにもかかわらず、競売代金が抵当権者に交付されたため優先償還を受けられなかったときは、第三取得者は抵当権者に対し不当利得返還請求権を有する。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。最判昭和48年7月12日(民集第27巻7号763頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。

司法試験正誤問題AI生成類題

抵当不動産の第三取得者が支出した必要費及び有益費は、抵当権者への配当がされた後の残余からのみ償還を受けることができる。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法391条は「抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる」としています。

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