民法第292条・物権
民法第292条:要役地が共有の場合の完成猶予・更新
要役地の共有者の一人に完成猶予や更新があれば、他の共有者にも効力が及びます。地役権を守る方向に働く条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
要役地要役地地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるもの(民法281条1項)。地役権は要役地の所有権に従たるものとして扱われます。用語ページを見る →が共有共有一つの物を複数人で所有すること。各共有者は共有物の全部について、その持分に応じた使用ができます(民法249条1項)。用語ページを見る →のとき、一人だけが時効を止める手を打ったら?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法292条じゃ。その効力は全員に及ぶ。地役権を守る向きに働く条文じゃな。
条文の内容
要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 要役地が数人の共有に属する |
| 事情 | その一人のために時効の完成猶予完成猶予一定の事由がある間、時効が完成しないこと(民法147条以下)。それまで経過した期間はそのまま残る点で、振り出しに戻る更新と異なります。用語ページを見る →又は更新更新時効が新たにその進行を始めること(民法147条2項・148条2項・152条1項)。それまで経過した期間はリセットされます。用語ページを見る →がある |
| 効果 | 他の共有者のためにも、その効力を生ずる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
一人が守れば、みんなが守られるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。ここでいう時効は、地役権の消滅時効(民法291条・166条2項)じゃ。共有者の一人が手を打てば、地役権全体が守られる——不可分性不可分性権利を分けて一部だけ行使したり消滅させたりできない性質のこと。地役権(民法282条)、留置権(民法296条)、先取特権(民法305条)に共通します。用語ページを見る →の表れじゃな。
民法284条との読み比べ
| 民法284条(時効取得) | 民法292条(消滅時効) | |
|---|---|---|
| 2項/本条 | 更新は各共有者に対してしなければ効力を生じない | 一人のための完成猶予・更新は他の共有者のためにも効力を生ずる |
| 向き | 取得をしやすくする | 消滅をしにくくする |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
284条2項は「各共有者に対して」で厳しかったのに、292条は「他の共有者のためにも」で緩い……。逆に見えるけど?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう並べたのう。じゃが向きを見れば同じじゃ。
- 民法284条2項……時効取得を止めたい側(承役地の所有者)に、全員への働きかけを求める → 取得しやすい
- 民法292条……時効消滅を止めたい側(地役権者)が、一人動けば足りる → 消滅しにくい
どちらも地役権者に有利に働いておる。共有者が多いというだけで権利を失わせぬ、という配慮と読めような。
民法293条:一部の不行使
地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
こちらは一部だけが消えるという定めじゃ。使っておる部分は残る。ここでも「使い続けたところは守られる」という第六章の筋が通っておるのう。
資格別の演習
要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完成猶予又は更新は、他の共有者のためにもその効力を生ずる。
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解答:◯
正しい記述です。民法292条がそのとおり定めています。
地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する。
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解答:◯
正しい記述です。民法293条がそのとおり定めています。
要役地の共有者の一人について時効の更新があっても、その効力は当該共有者にのみ生じ、他の共有者には及ばない。
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解答:×
誤りです。民法292条は「他の共有者のためにも、その効力を生ずる」と定めています。