民法第327条・物権
民法第327条:不動産工事の先取特権
工事の設計・施工・監理をした人の費用に、その不動産から優先弁済を受けられます。ただし増価額が現存する範囲に限られます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
家を建てた工務店が、工事代金を払ってもらえなかったら?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法327条じゃ。その不動産について先取特権先取特権法律の規定に従い、債務者の財産から他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法303条)。当事者の契約ではなく法律によって当然に生じる担保物権です。用語ページを見る →を持つ。じゃが2項の絞りが重い。増えた価値の分だけじゃ。
1項:工事の費用
不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰の債権 | 工事の設計・施工・監理をする者 |
| 被担保債権 | 債務者の不動産に関してした工事の費用 |
| 目的物 | その不動産 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
施工だけじゃなくて、設計と監理も入るんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文が3つを並べておる。図面を引いた者、実際に建てた者、工事を見張った者——いずれも建物の価値を生む働きをしておるからのう。
2項:増価額が現存する場合に限る
前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 条件 | 工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限る |
| 範囲 | その増価額についてのみ |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「価格の増加が現存する場合に限り」……。民法196条2項の有益費有益費物の改良のために支出した費用のこと。価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従って支出額か増価額の償還を受けられます(民法196条2項)。用語ページを見る →と同じ言葉だ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう結びつけたのう。その物の価値が実際に増えておらねば、優先させる理由がない——民法を貫く考え方じゃ。
最判昭和48年7月17日(民集第27巻7号798頁)が、増築部分が滅失すれば有益費償還請求権も消滅するとしておったのを思い出すとよい。増価が残っておるかどうかが、いつも問われるのじゃ。
登記と鑑定
民法338条は、次のように定めます。
1項 不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。 2項 工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
工事を始める前に、予算額を登記登記不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。用語ページを見る →せねばならぬ。民法337条の保存が「完了した後直ちに」じゃったのと逆向きじゃ。しかも予算を超えた分には先取特権が及ばぬ。厳しいのう。
判例:評価に反映されていなくても
最判平成14年1月22日(集民第205号107頁)
判示事項は、不動産工事の先取特権の対象となるべき増価額が競売手続の評価等に反映されていないことが、優先弁済を受けるべき実体的権利に影響を与えるかです。裁判要旨は次のとおりです。
不動産工事の先取特権の対象となるべき不動産の増価額が不動産競売手続における評価人の評価又は最低売却価額の決定に反映されていないことは,同先取特権の被担保債権が優先弁済を受けるべき実体的権利に影響を与えない。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
参照法条は民法327条と338条2項じゃ。手続の中での評価と、実体的な権利は別——要旨が述べておるのはそこまでじゃな。
資格別の演習
不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
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解答:◯
正しい記述です。民法327条1項がそのとおり定めています。
不動産の工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。
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解答:◯
正しい記述です。民法327条2項がそのとおり定めています。
不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事が完了した後直ちに費用の予算額を登記しなければならない。
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解答:×
誤りです。民法338条1項は「工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない」としています。工事完了後直ちに登記するのは、不動産保存の先取特権(民法337条)です。
判例によれば、不動産工事の先取特権の対象となるべき不動産の増価額が不動産競売手続における評価人の評価又は最低売却価額の決定に反映されていないことは、同先取特権の被担保債権が優先弁済を受けるべき実体的権利に影響を与えない。
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解答:◯
正しい記述です。最判平成14年1月22日(集民第205号107頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。