民法第520条の5・債権
民法第520条の5:指図証券の善意取得
裏書の連続で権利を証明する所持人は証券の返還義務を負いません。悪意重過失で取得したときは別です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
盗まれた証券でも、受け取った人のものになっちゃうの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
善意で受け取ったならな。 民法520条の5じゃ。動産の即時取得即時取得取引行為によって平穏・公然と動産の占有を始めた者が、善意無過失であれば即時にその動産の権利を取得すること(民法192条)。無権利者から買っても保護される制度です。用語ページを見る →(民法192条)よりも、さらに手厚いぞ。
条文
何らかの事由により指図証券の占有を失った者がある場合において、その所持人が前条の規定によりその権利を証明するときは、その所持人は、その証券を返還する義務を負わない。ただし、その所持人が悪意又は重大な過失によりその証券を取得したときは、この限りでない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 何らかの事由により指図証券指図証券証券に記載された者又はその者が指図した者に弁済すべき有価証券。譲渡には裏書と交付が必要です(民法520条の2)。用語ページを見る →の占有を失った者がある |
| 要件 | その所持人が民法520条の4により権利を証明する(裏書裏書証券上の権利を譲渡するために証券にする記載のこと。指図証券の譲渡には裏書と交付が必要です(民法520条の2)。方式は手形法の規定が準用されます(民法520条の3)。用語ページを見る →の連続) |
| 効果 | その証券を返還する義務を負わない |
| ただし書 | 所持人が**悪意悪意ある特定の事情や事実を『知っている』こと。いじわるな心という意味ではありません。用語ページを見る →又は重大な過失重大な過失わずかな注意さえ払えば気づけたのに見落とした、という程度の重い不注意。錯誤が表意者の重大な過失によるときは、原則として取消しができません(民法95条3項)。用語ページを見る →**により取得したときは、この限りでない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「何らかの事由により」——盗難でも遺失でも同じなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが動産と違うところじゃ。
民法193条は、盗品・遺失物なら2年間は回復請求できると定めておった。指図証券には、そうした例外がない——条文が「何らかの事由により」と一括りにしておるからのう。
証券は流通してこそ意味がある。盗まれたかもしれぬと疑いながら受け取らねばならぬなら、誰も使わぬ——そういう割り切りじゃな。
即時取得と並べる
| 動産(民法192条・193条) | 指図証券(民法520条の5) | |
|---|---|---|
| 主観要件 | 善意かつ無過失 | 悪意又は重過失でないこと |
| 盗品・遺失物 | 2年間回復請求できる(民法193条) | 条文に例外なし |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
主観要件もゆるい! 軽い過失なら守られるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よく見比べたのう。 民法192条は「過失がないとき」——軽過失でも守られぬ。 民法520条の5は「悪意又は重大な過失」——軽過失なら守られる。
民法478条の弁済(善意かつ無過失)とも違う。 条文ごとに物差しが違う——そこを混ぜてはならぬぞ。
証券の流通を守る要請が、それだけ強いということじゃな。
資格別の演習
何らかの事由により指図証券の占有を失った者がある場合において、その所持人が裏書の連続により権利を証明するときは、その所持人はその証券を返還する義務を負わない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法520条の5本文がそのとおり定めています。
指図証券の所持人は、その証券を軽過失により取得したときは、これを返還する義務を負う。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法520条の5ただし書が返還義務を認めるのは「悪意又は重大な過失によりその証券を取得したとき」であり、軽過失は含まれません。