民法第349条・物権
民法第349条:契約による質物の処分の禁止
「払えなければ質草はもらう」という約束は、弁済期前にはできません。追い詰められた債務者を守る条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「返せなかったら、この時計はもらうよ」——お金を借りるときにそう約束したら?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
その約束は、民法349条が封じておる。いわゆる**流質契約流質契約設定行為又は債務の弁済期前の契約で、質権者に弁済として質物の所有権を取得させる等を約すること。民法349条はこれを禁じています。用語ページを見る →**の禁止じゃ。弱い立場の者を守る条文じゃぞ。
条文の内容
質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| いつの契約 | 設定行為又は債務の弁済期弁済期債務を履行しなければならない時期のこと。留置権は、債権が弁済期にないときは成立しません(民法295条1項ただし書)。用語ページを見る →前の契約 |
| 禁じられる内容① | 質権者に弁済として質物質物質権の目的として質権者に引き渡された物のこと。質権者は債権の弁済を受けるまでこれを留置できます(民法347条)。用語ページを見る →の所有権を取得させること |
| 禁じられる内容② | 法律に定める方法によらないで質物を処分させること |
| 効果 | 約することができない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「弁済期前の契約において」。じゃあ、弁済期が来た後なら?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
鋭いのう。条文が禁じておるのは「設定行為又は債務の弁済期前の契約」じゃ。弁済期が過ぎた後の合意までは、条文の文言に現れておらぬ。
理由も見えよう。金を借りるときや、返済期限が来る前——債務者はもっとも弱い立場にある。「この約束をしなければ貸さぬ」と言われれば、応じるほかない。じゃが期限が過ぎた後なら、状況を見て判断できよう。追い詰められている時点での約束だけを封じておるのじゃな。
なぜ禁じるのか
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
10万円の借金のために、100万円の品物を質に入れたとしよう。流質を認めれば、返せなかった瞬間に90万円の差額を失う。
そこで民法は、法律に定める方法によれと言う。動産質なら民法354条じゃな。裁判所に請求し、鑑定人の評価に従う——手続を踏ませることで、差額が債務者に戻るようにしておるのじゃ。
民法354条:法律に定める方法
動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| ① | 正当な理由がある場合に限り |
| ② | 鑑定人の評価に従い |
| ③ | 裁判所に請求 |
| ④ | あらかじめ債務者に通知 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
4つも条件がある! 簡単には取り上げられないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
349条が禁じ、354条が道を示す。二つでひとそろいじゃ。
資格別の演習
質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを約することができない。
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解答:◯
正しい記述です。民法349条がそのとおり定めています。
民法349条は、債務の弁済期の到来後にされた合意についても、質物の所有権を質権者に取得させることを禁じている。
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解答:×
誤りです。条文が禁じるのは「設定行為又は債務の弁済期前の契約において」約することです。
動産質権者が質物をもって直ちに弁済に充てるには、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い、裁判所に請求しなければならない。
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解答:◯
正しい記述です。民法354条前段がそのとおり定めています。あらかじめ債務者への通知も必要です(同条後段)。