民法第264条の10・物権
民法第264条の10:管理不全土地管理人の権限
管理不全土地管理人には「専属」の文字がありません。しかも処分の許可には所有者の同意が必要——所有者がいるからこその制約です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
管理不全土地管理人も、所有者不明土地管理人と同じ権限を持つの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
それが違うのじゃ。民法264条の3と264条の10を並べて読むと、令和3年改正がどこで線を引いたかがはっきり見えるぞ。
1項:権限を「有する」
管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。
| 民法264条の3第1項 | 民法264条の10第1項 | |
|---|---|---|
| 書き方 | 権利は管理人に専属する | 権限を有する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「専属」じゃない! 所有者も動かせるってこと?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文の文言はそう読める。所有者不明のほうは、持ち主がつかまらぬゆえ管理人に一本化するほかない。じゃがこちらは所有者が現にいる。その者から権限を取り上げてしまうのは行き過ぎ、という判断と読めような。
2項:裁判所の許可が必要な行為
管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。 一 保存行為 二 管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
| 号 | 許可なくできる行為 |
|---|---|
| 一号 | 保存行為保存行為財産の現状を維持するための行為。権限の定めのない代理人でもすることができる行為として、民法103条1号が挙げています。用語ページを見る → |
| 二号 | 管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ただし書が「善意でかつ過失がない第三者」だ! 民法264条の3第2項は「善意の第三者」だけだったのに。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう見比べたのう。守られる第三者の範囲が狭い。無過失まで求められるゆえ、うっかりしておった者は守られぬ。
ここも、所有者がおるかどうかの差と読める。所有者不明の土地では取引の相手方を厚く守らねば誰も関わってくれぬ。じゃが所有者のいる土地では、所有者の利益もまた守らねばならぬからのう。
3項:処分には所有者の同意
管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 対象とされた土地の処分についての許可 |
| 要件 | その所有者の同意がなければならない |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ここが決定打じゃ。土地を売るには、所有者の同意が要る。民法264条の3には、これに当たる項が無い。
管理が行き届いておらぬからといって、他人が勝手に売り払ってよいはずがなかろう。管理はさせるが、処分は所有者のもの——第五節の性格が、この一項に凝縮しておるのじゃ。
資格別の演習
管理不全土地管理人は、管理不全土地等の管理及び処分をする権限を有する。
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解答:◯
正しい記述です。民法264条の10第1項がそのとおり定めています。所有者不明土地管理人について「専属する」とする民法264条の3第1項とは書き方が異なります。
管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分について裁判所の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。
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解答:◯
正しい記述です。民法264条の10第3項がそのとおり定めています。
民法264条の10第2項の裁判所の許可がないことは、善意の第三者に対抗することができない。
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解答:×
誤りです。同項ただし書は「善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない」としています。「善意の第三者」とする民法264条の3第2項ただし書との違いに注意してください。