民法第722条・債権
民法第722条:損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺
不法行為による損害賠償には民法417条・417条の2が準用され、被害者に過失があったときは裁判所がこれを考慮して賠償額を定めることができます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
被害者にも落ち度があったら、賠償額は減るの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法722条2項じゃ。 不法行為の過失相殺過失相殺債務の不履行や損害の発生・拡大について債権者に過失があったとき、裁判所がこれを考慮して損害賠償の責任及びその額を定めること(民法418条)。用語ページを見る →——民法418条とは書きぶりが違うぞ。
条文
1 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 民法417条(金銭賠償の原則)・民法417条の2(中間利息の控除中間利息の控除将来取得すべき利益の賠償額を定めるとき、その利益を取得すべき時までの利息相当額を差し引くこと。損害賠償請求権が生じた時点の法定利率によります(民法417条の2)。用語ページを見る →)を準用 |
| 2項 | 被害者に過失があったとき → 裁判所は考慮して損害賠償の額を定めることができる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「できる」って書いてある。債務不履行のほうはどうだったっけ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい着眼じゃ。 民法418条は「必ず……定める」という書きぶりじゃった。
722条2項は「定めることができる」——しかも418条にある「責任及びその額」ではなく「額」だけを挙げておる。
条文の言葉の差は、そのまま押さえておくのがよいのう。
判例①——幼児の場合の「被害者の過失」
最判昭和42年6月27日(民集第21巻6号1507頁/昭和40(オ)1056)は、 被害者本人が幼児である場合における民法722条2項にいう被害者の過失には 被害者側の過失被害者側の過失過失相殺で考慮される「被害者の過失」に含まれるとされる、被害者本人と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられる関係にある者の過失のこと。用語ページを見る →をも包含するが、いわゆる被害者側の過失とは、 被害者本人である幼児と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられる関係にある者の過失をいうと判断しました。
そのうえで同判決は、保育園の保母が当該保育園の被用者として被害者たる幼児を監護していたにすぎないときは、 保育園と幼児の保護者との間に幼児の監護について保育園側が責任を負う旨の取極めがされていたとしても、 その保母の監護上の過失は民法722条2項にいう被害者の過失にあたらないとしています。
判例②——夫の運転する自動車に同乗した妻
最判昭和51年3月25日(民集第30巻2号160頁/昭和47(オ)457)は、 夫の運転する自動車に同乗する妻がその自動車と第三者の運転する自動車との衝突により損害を被った場合において、 その衝突につき夫にも過失があるときは、特段の事情のない限り、 第三者の負担すべき損害賠償額を定めるにつき、夫の過失を民法722条2項にいう被害者の過失として斟酌することができると判断しました。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
保母さんは含まれなくて、夫は含まれる。境目はどこ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨が示す言葉は「身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられる関係」じゃ。
二つの事例を並べると、その言葉がどう働くかが見えてくるのう。 要旨に無い一般論を足すでないぞ。
資格別の演習
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、不法行為による損害賠償の額を定めることができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法722条2項がそのとおり定めています。
中間利息の控除について定める民法417条の2は、不法行為による損害賠償について準用される。
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解答:◯
正しい記述です。民法722条1項がそのとおり定めています。
被害者本人が幼児である場合、その幼児を監護していた保育園の保母の監護上の過失は、常に民法722条2項にいう被害者の過失にあたるとするのが判例である。
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解答:×
誤りです。最判昭和42年6月27日は、保母が保育園の被用者として幼児を監護していたにすぎないときは、その過失は民法722条2項にいう被害者の過失にあたらないとしました。
夫の運転する自動車に同乗する妻が第三者の運転する自動車との衝突により損害を被った場合、衝突につき夫にも過失があるときは、特段の事情のない限り夫の過失を被害者の過失として斟酌することができるとした判例がある。
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解答:◯
正しい記述です。最判昭和51年3月25日がそのとおり判断しています。