民法第8条・総則

民法第8条:成年被後見人及び成年後見人

後見開始の審判を受けた者は成年被後見人となり、これに成年後見人が付されます。二つの呼び名がここで生まれ、以後の条文はこの言葉で書かれていきます。

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 司法試験

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「成年被後見人」って字面がむずかしい……。読み方からしてあやしいよ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

「せいねん・ひ・こうけんにん」——後見を受ける側の人じゃな。「被」がつくほうが守られる側、つかぬほうが守る側。ここさえ掴めば、あとの条文がすらすら読めるようになるぞ。

条文の内容

後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。

たった一文で、2つのことを決めています。

決めていること 内容
呼び名 後見開始の審判後見開始の審判こうけんかいしのしんぱん精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が後見を開始すると決める裁判(民法7条)。用語ページを見る →(民法7条)を受けた者は成年被後見人成年被後見人せいねんひこうけんにん後見開始の審判を受けた人のこと(民法8条)。その法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて取り消すことができます。用語ページを見る →となる
保護者 その者に成年後見人成年後見人せいねんこうけんにん成年被後見人に付される保護者(民法8条)。家庭裁判所が後見開始の審判をするときに、職権で選任します(民法843条1項)。用語ページを見る →を付する

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「付する」ってことは、必ず誰かがつくんだね。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そうじゃ。守る仕組みだけ作って守り手を置かぬ、では意味がないからのう。

なお民法838条は、後見が開始する場合として「未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき」(1号)と「後見開始の審判があったとき」(2号)を挙げています。民法8条の後見は、この2号にあたるものです。

成年後見人はどう決まり、何をするのか

民法8条は「付する」とだけ書いています。だれが、どうやって選ぶのかは、第四編(親族)の条文に置かれています。

選任(民法843条)

  • 1項家庭裁判所家庭裁判所かていさいばんしょ家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。用語ページを見る →は、後見開始の審判後見開始の審判こうけんかいしのしんぱん精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が後見を開始すると決める裁判(民法7条)。用語ページを見る →をするときは、職権で成年後見人成年後見人せいねんこうけんにん成年被後見人に付される保護者(民法8条)。家庭裁判所が後見開始の審判をするときに、職権で選任します(民法843条1項)。用語ページを見る →を選任する
  • 2項:成年後見人が欠けたときは、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により、又は職権で選任する
  • 3項:成年後見人が選任されている場合でも、必要があると認めるときは、更に成年後見人を選任することができる
  • 4項:選任にあたっては、成年被後見人の心身の状態や生活・財産の状況、成年後見人となる者の職業・経歴、成年被後見人との利害関係の有無(法人であるときは事業の種類・内容など)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

審判をお願いするときに、後見人まで一緒に頼まなくていいんだ?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

民法843条1項は「職権で、成年後見人を選任する」と書いておる。請求を待たずに裁判所が選ぶ、ということじゃな。しかも複数選ぶこともできる(同条3項)し、条文が「法人であるとき」に触れておるとおり、法人が成年後見人になることも予定されておる。

権限(民法859条)

民法859条1項は、後見人は被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表すると定めています。

成年後見人成年後見人せいねんこうけんにん成年被後見人に付される保護者(民法8条)。家庭裁判所が後見開始の審判をするときに、職権で選任します(民法843条1項)。用語ページを見る →法定代理人法定代理人ほうていだいりにん本人が選んだのではなく、法律の規定によって代理権を与えられた人のこと。未成年者の親権者や成年後見人がこれにあたります。用語ページを見る →であり、その代理権代理権だいりけん本人に代わって法律行為をし、その効果を本人に生じさせることができる権限のこと。用語ページを見る →の根拠がこの条文です。

歯止め(民法858条・民法859条の3)

権限が広いぶん、条文は歯止めも置いています。

条文 内容
民法858条 生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うにあたり、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない
民法859条の3 成年被後見人の居住の用に供する建物又はその敷地について、売却・賃貸・賃貸借の解除・抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所家庭裁判所かていさいばんしょ家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。用語ページを見る →の許可を得なければならない

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

住まいは暮らしの土台じゃ。財産の管理権があるからといって、勝手に処分してよいものではない——民法859条の3は、そこに裁判所の許可という関所を置いておる。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

後見開始の審判を受けた者は成年被後見人とされ、これに成年後見人が付される。

解答・解説を見る

解答:

正しい記述です。民法8条がそのとおり定めています。後見開始の審判後見開始の審判こうけんかいしのしんぱん精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が後見を開始すると決める裁判(民法7条)。用語ページを見る →(民法7条)を受けることで成年被後見人成年被後見人せいねんひこうけんにん後見開始の審判を受けた人のこと(民法8条)。その法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて取り消すことができます。用語ページを見る →という地位が生じ、同時に保護者としての成年後見人成年後見人せいねんこうけんにん成年被後見人に付される保護者(民法8条)。家庭裁判所が後見開始の審判をするときに、職権で選任します(民法843条1項)。用語ページを見る →が付されます。

司法書士正誤問題AI生成類題

家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、成年被後見人又はその親族の請求があった場合に限り、成年後見人を選任する。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法843条1項は「家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する」と定めています。請求は要件ではありません。なお同条2項は、成年後見人が欠けたときについて、請求による選任と職権による選任の双方を定めています。

司法書士正誤問題AI生成類題

成年後見人が選任されている場合、家庭裁判所は、更に成年後見人を選任することはできない。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法843条3項は、成年後見人が選任されている場合であっても、必要があると認めるときは、同条2項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で、更に成年後見人を選任することができると定めています。

司法試験正誤問題AI生成類題

成年後見人が、成年被後見人に代わってその居住の用に供する建物を売却するには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

解答・解説を見る

解答:

正しい記述です。民法859条の3は、成年被後見人の居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所家庭裁判所かていさいばんしょ家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。用語ページを見る →の許可を得なければならないと定めています。民法859条1項により財産の管理権と代表権があっても、居住用不動産の処分には別途の許可が必要です。

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