民法第707条・債権
民法第707条:他人の債務の弁済
錯誤で他人の債務を弁済した場合、債権者が善意で証書を滅失させる等したときは返還を請求できず、求償権の行使は妨げられません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
自分の借金だと思い込んで、他人の分を払っちゃった。返してもらえる?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
場合による。 民法707条じゃ。債権者が動いてしまった後なら、返らぬ——そのかわり求償の道が残る。
条文
1 債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債権者が善意で証書を滅失させ若しくは損傷し、担保を放棄し、又は時効によってその債権を失ったときは、その弁済をした者は、返還の請求をすることができない。
2 前項の規定は、弁済をした者から債務者に対する求償権の行使を妨げない。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 債務者でない者が錯誤錯誤意思表示の前提に勘違いがあること。民法95条1項が2種類を挙げ、その錯誤が重要なものであるときに取り消すことができます。用語ページを見る →によって弁済した場合に、債権者が**善意善意ある特定の事情や事実を『知らない』こと。道徳的な善悪とは関係ありません。用語ページを見る →で①証書を滅失させ若しくは損傷②担保を放棄③時効によって債権を失った**ときは、返還の請求ができない |
| 2項 | 債務者に対する求償権求償権他人のために出捐した者が、その負担すべき者に対して返還を求める権利のこと。物上保証人は、保証債務に関する規定に従い債務者に求償できます(民法351条)。用語ページを見る →の行使を妨げない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
債権者が三つのどれかをしていたら、ってことだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。 しかも「善意で」がかかっておる。
弁済を受けた債権者は、もう決着がついたと思って債権証書債権証書債権の存在を証明する証書(借用証書など)。全部の弁済をした者は返還を請求できます(民法487条)。用語ページを見る →を捨て、担保を外し、あるいは請求を控えるじゃろう。
後から「あれは間違いでした」と覆されては、債権を取り戻す術を失う——そこを守っておる、と読める。
2項——最終的な負担は債務者へ
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
弁済をした者は債権者からは取り戻せぬ。 じゃが債務者は、払わずに済んで得をしておる。
そこで求償権じゃ。 「妨げない」と書いてある。
債権者を守りつつ、最終的な負担は本来の債務者に落とす——きれいな三者関係の処理と読める。
なお民法474条の第三者の弁済第三者の弁済債務者以外の第三者がする弁済のこと。原則としてすることができますが、正当な利益を有しない第三者には制限があります(民法474条)。用語ページを見る →とは違うぞ。 あちらは他人の債務と知って払う場合じゃ。
資格別の演習
債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債権者が善意で担保を放棄したときは、その弁済をした者は返還の請求をすることができない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法707条1項がそのとおり定めています。
民法707条1項の規定は、弁済をした者から債務者に対する求償権の行使を妨げない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法707条2項がそのとおり定めています。
債務者でない者が錯誤によって弁済をしたときは、債権者の事情にかかわらず常に返還を請求することができない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法707条1項は、債権者が善意で証書を滅失させ若しくは損傷し、担保を放棄し、又は時効によって債権を失ったときに限って返還請求を認めないとしています。