刑法第134条・秘密を侵す罪
刑法第134条:秘密漏示
医師・弁護士など条文が列挙する職にある者が、業務上知り得た人の秘密を漏らす罪です。鑑定を命じられた医師について判断した最高裁判例があります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
お医者さんが患者の話を漏らしたら、この条文?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。ただし条文は職業を列挙しておる。書かれていない職業は含まれぬ。まずは並びを覚えるところからじゃ。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人またはこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に処する |
| 2項 | 宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者またはこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする |
1項の主体——7つの列挙
| 主体 |
|---|
| 医師 |
| 薬剤師 |
| 医薬品販売業者 |
| 助産師 |
| 弁護士 |
| 弁護人 |
| 公証人 |
条文は「又はこれらの職にあった者」と続けます。やめた後でも主体になります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「これらの職にあった者」——退職しても逃げられないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
秘密は、職を離れても秘密のままじゃからのう。秘密漏示秘密漏示医師・薬剤師・弁護士・公証人など刑法134条が列挙する職にある者(またはあった者)が、正当な理由がないのに、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らすこと。用語ページを見る →罪は、そこを条文で押さえておる。
判例——鑑定を命じられた医師
最判平成24年2月13日は、医師としての知識、経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師が、当該鑑定を行う過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は、医師がその業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏示するものとして刑法134条1項の秘密漏示罪に該当するとしました。
さらに同判決は、次の2点も判断しています。
| 論点 | 判断 |
|---|---|
| 「人の秘密」の範囲 | 鑑定対象者本人の秘密のほか、鑑定を行う過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれる |
| 告訴権者 | 鑑定対象者本人以外の者の秘密を漏示した場合、その秘密を漏示された者は刑訴法230条にいう「犯罪により害を被った者」として告訴権を有する |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
3つ目は親告罪親告罪告訴がなければ公訴を提起することができない罪。刑法135条は、秘密を侵す罪(信書開封罪・秘密漏示罪)を親告罪としています。用語ページを見る →とつながる論点じゃ。誰が告訴できるかが決まらねば、そもそも起訴できぬからのう。
2項の主体
宗教、祈祷もしくは祭祀の職にある者、およびこれらの職にあった者です。刑は1項と同じです。
資格別の演習
医師の職にあった者も、在職中に業務上知り得た人の秘密を漏らしたときは、刑法134条1項により処罰されうる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。条文は「又はこれらの職にあった者」を主体に含めています。
医学的判断を内容とする鑑定を命じられた医師が、その過程で知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為は、刑法134条1項の秘密漏示罪に該当する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判平成24年2月13日の判断です。
刑法134条1項の「人の秘密」には、鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれる場合がある。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判平成24年2月13日は、鑑定を行う過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれるとしました。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
章の締めくくりは135条。ここまでの2か条を、まとめて親告罪にする条文じゃ。