刑法第26条の2・総則
刑法第26条の2:刑の全部の執行猶予の裁量的取消し
「取り消すことができる」3つの場合を定めます。罰金にとどまるとき、保護観察の遵守事項違反の情状が重いとき、前に執行猶予付きの拘禁刑が発覚したときです。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
前の条文は「取り消さなければならない」だったよね。今度は「できる」?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。第26条が必要的取消し必要的取消し条文の要件にあたれば、裁判所が必ず取り消さなければならない場合のこと。刑法26条・27条の4は「取り消さなければならない」と定めています。用語ページを見る →なら、第26条の2は裁量的取消し裁量的取消し要件にあたっても、取り消すかどうかを裁判所の判断にゆだねる場合のこと。刑法26条の2・27条の5は「取り消すことができる」と定めています。用語ページを見る →じゃ。取り消すかどうかを裁判所が判断する、という違いがあるのじゃよ。
条文の内容
刑法26条の2は、次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができると定めます。
| 号 | 場合 |
|---|---|
| 1号 | 猶予の期間内にさらに罪を犯し、罰金に処せられたとき |
| 2号 | 刑法25条の2第1項により保護観察保護観察社会の中で生活させながら、指導監督と補導援護を行って改善更生を図る処遇のこと。刑法25条の2は、全部執行猶予に付す場合と必ず付される場合を分けています。用語ページを見る →に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき |
| 3号 | 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき |
26条との対比
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
号の数が同じ3つだから、混ざりそう……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
並べて見れば分かれ目がはっきりする。刑の重さと実刑かどうかが鍵じゃ。
| 26条(必要的) | 26条の2(裁量的) | |
|---|---|---|
| 新たな罪の刑 | 拘禁刑以上+執行猶予なし | 罰金(1号) |
| 発覚した前刑 | 拘禁刑以上(3号) | 拘禁刑だが全部執行猶予されていた(3号) |
| 保護観察 | 規定なし | 遵守事項違反で情状が重い(2号) |
2号——「情状が重い」ことが必要
2号は、遵守事項を守らなかっただけでは足りず、「その情状が重い」ことを求めています。単発の軽微な違反で直ちに取り消されるわけではありません。
なお、刑法25条の2第3項により、保護観察が仮に解除されている間は、2号の適用について保護観察に付せられなかったものとみなされます。
資格別の演習
執行猶予の期間内にさらに罪を犯して罰金に処せられた場合、執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
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解答:◯
正しい記述です。刑法26条の2第1号が定める裁量的取消しにあたります。
保護観察に付された者が遵守すべき事項を遵守しなかったときは、その情状の軽重にかかわらず執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
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解答:×
誤りです。刑法26条の2第2号は「遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき」と定めています。情状の重さが要件です。
猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されていたことが発覚した場合、執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
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解答:◯
正しい記述です。刑法26条の2第3号が定めています。発覚した前刑が実刑であれば刑法26条3号の必要的取消しとなるのに対し、執行猶予付きであった場合は裁量的取消しにとどまります。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「実刑なら必ず、猶予付き・罰金なら裁判所の判断」。第26条と並べて覚えるのが近道じゃよ。