民法第316条・物権
民法第316条:敷金がある場合の先取特権
敷金を受け取っているなら、それで足りない部分にだけ先取特権が働きます。二重に優先させない調整規定です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
敷金を預かっているのに、さらに先取特権先取特権法律の規定に従い、債務者の財産から他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法303条)。当事者の契約ではなく法律によって当然に生じる担保物権です。用語ページを見る →で優先されるの? ちょっと欲張りすぎじゃない?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
もっともな感覚じゃ。民法316条が、まさにそこを調整しておる。
条文の内容
賃貸人は、第六百二十二条の二第一項に規定する敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 民法622条の2第1項に規定する敷金を受け取っている |
| 効果 | その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
敷金で埋まる分は、先取特権の出番なしなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。すでに手元に担保があるなら、そこまで他の債権者を押しのける理由はない。
条文が「民法622条の2第1項に規定する敷金」と、定義の置かれた条文を名指ししておる点も見どころじゃ。敷金とは何かは、賃貸借の章で定義されておる——民法281条1項が要役地要役地地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるもの(民法281条1項)。地役権は要役地の所有権に従たるものとして扱われます。用語ページを見る →を定義しておったのと同じ作りじゃな。
不動産賃貸の先取特権の全体像
| 条文 | 役割 |
|---|---|
| 民法312条 | 被担保債権と目的物の原則 |
| 民法313条 | 目的物の範囲(土地と建物で異なる) |
| 民法314条 | 譲渡・転貸の場合に及ぶ範囲 |
| 民法315条 | 清算の場合の被担保債権の絞り込み |
| 民法316条 | 敷金がある場合の調整 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
5か条で、ひとつの先取特権を丁寧に組み立てておる。広げる条文(312・313・314条)と、絞る条文(315・316条)——両方をあわせて初めて全体が見えるのじゃ。
なお、最判平成14年3月28日(民集第56巻3号689頁)は、賃料債権に対する物上代位物上代位担保の目的物が売却・賃貸・滅失・損傷したときに、債務者が受けるべき金銭などに対して権利を行使すること(民法304条1項)。払渡し又は引渡しの前に差押えが必要です。用語ページを見る →について「賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する」としておった。敷金は担保の場面でたびたび顔を出すのう。
資格別の演習
賃貸人が敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する。
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解答:◯
正しい記述です。民法316条がそのとおり定めています。
賃貸人は、敷金を受け取っている場合であっても、賃料債権の全額について先取特権を有する。
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解答:×
誤りです。民法316条は「その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ」先取特権を有するとしています。
民法316条にいう敷金は、民法622条の2第1項に規定する敷金を指す。
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解答:◯
正しい記述です。条文が「第六百二十二条の二第一項に規定する敷金」と明示しています。