刑法第120条・出水及び水利に関する罪
刑法第120条:非現住建造物等浸害
119条の物以外を浸害し、公共の危険を生じさせる罪です。2項は自己所有物の場合に、115条と同じ条件を持ち込みます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
放火だと109条と110条に分かれてたのに、こっちは1つ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。「前条に規定する物以外の物」でひとまとめにしておる。水の章のほうが条文が少ない理由のひとつじゃな。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 出水させて、前条に規定する物以外の物を浸害し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の拘禁刑に処する |
| 2項 | 浸害した物が自己の所有に係るときは、その物が差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合に限り、前項の例による |
1項——放火の110条1項と同じ形
| 条文 | 客体 | 結果 | 刑 |
|---|---|---|---|
| 刑法110条1項 | 108条・109条以外の物 | 焼損+公共の危険公共の危険刑法110条1項などが結果として要求する危険。最高裁は、同項にいう公共の危険は刑法108条・109条1項の建造物等に対する延焼の危険に限られず、不特定または多数の人の生命・身体・これらの建造物等以外の財産に対する危険も含むとしました。用語ページを見る → | 1年以上10年以下の拘禁刑 |
| 刑法120条1項 | 119条以外の物 | 浸害+公共の危険 | 1年以上10年以下の拘禁刑 |
法定刑まで一致しています。
2項——「限り」の一語
放火の章では、自己所有物の扱いを115条という独立の条文が定めていました。水の章では、それが120条2項に組み込まれています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
条件の中身は115条と同じだね。差押え、物権、賃貸、配偶者居住権、保険。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。じゃが書きぶりが逆じゃ。115条は「自己の所有でも他人の物の例による」と広げる書き方。120条2項は「これらの場合に限り」と絞る書き方じゃ。
| 条文 | 書き方 |
|---|---|
| 刑法115条 | 自己所有でも、5つの場合には他人の物の例による(広げる) |
| 刑法120条2項 | 自己所有物は、5つの場合に限り1項の例による(絞る) |
結論として、自己の所有物を浸害しても、これらの事情がなければ120条1項は適用されません。
資格別の演習
自己の所有に係る物を浸害した場合、その物が保険に付されていたときは、刑法120条1項の例による。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。同条2項が「保険に付したもの」を挙げています。
刑法120条1項の罪が成立するには、公共の危険が生じたことが必要である。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。条文は「よって公共の危険を生じさせた者は」と定めています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の121条は、114条の消火妨害と瓜ふたつの条文じゃ。