民法第424条・債権
民法第424条:詐害行為取消請求
債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求できます。受益者が善意なら請求できません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
借金を抱えた人が、財産を全部誰かにあげちゃったら? 貸したお金はどうなるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこで**詐害行為取消権詐害行為取消権債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを、債権者が裁判所に請求できる制度(民法424条1項)。用語ページを見る →**じゃ。民法424条から426条まで——平成29年改正で最も大きく書き換えられた制度のひとつじゃぞ。
1項:取消しの請求
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
| 内容 | |
|---|---|
| 本文 | 債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを、裁判所に請求できる |
| ただし書 | 受益者受益者詐害行為によって利益を受けた者のこと(民法424条1項ただし書)。その行為の時に債権者を害することを知らなかったときは、取消請求を受けません。用語ページを見る →がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「裁判所に請求する」んだ。自分で「取り消す」って言うんじゃなくて。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが要じゃ。必ず訴えによる。民法121条以下の取消し取消し一応有効に成立した法律行為を、取消権者の主張によってはじめにさかのぼって無効とすること。用語ページを見る →が意思表示意思表示契約を結ぶなど、一定の法律効果を発生させようとする意思を外部に表明する行為。用語ページを見る →で足りるのと、大きく違うのう。
他人どうしの取引をひっくり返すのじゃから、裁判所の判断を経よというわけじゃな。
2項〜4項:3つの制限
前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。(2項)
債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。(3項)
債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。(4項)
| 項 | 制限 |
|---|---|
| 2項 | 財産権を目的としない行為には適用しない |
| 3項 | 債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限る |
| 4項 | 債権が強制執行により実現できないものなら請求できない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
4項は債権者代位権債権者代位権債権者が自己の債権を保全するため必要があるときに、債務者に属する権利を代わりに行使できる制度(民法423条1項)。用語ページを見る →にもあったね(民法423条3項)。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。2つの制度で同じ制限が置かれておる。
3項の「行為の前の原因に基づいて生じた」も注目じゃ。後から債権者になった者は、それ以前の行為を取り消せぬ。もともと当てにできた財産だけを守る、という筋じゃな。
遺産分割協議は対象になる
共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となる。 (最判平成11年6月11日・民集第53巻5号898頁)
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
端的な要旨じゃ。遺産分割協議は取消しの対象になる。民法424条2項が「財産権を目的としない行為」を除いておるが、遺産分割協議はそれに当たらぬ、という位置づけと読めような。
財産分与・慰謝料の合意
一 離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意は、民法七六八条三項の規定の趣旨に反してその額が不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきである。 二 離婚に伴う慰謝料として配偶者の一方が負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額を支払う旨の合意は、右損害賠償債務の額を超えた部分について、詐害行為取消権行使の対象となる。 (最判平成12年3月9日・民集第54巻3号1013頁)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「不相当に過大な部分について、その限度において」——全部じゃなくて一部なんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
みごとな読みじゃ。要旨は取消しの範囲を限っておる。財産分与も慰謝料も、正当な範囲なら取り消されぬ。超えた部分だけじゃ。
民法424条の4が「その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分について」取消請求できるとしたのも、同じ発想の書き方じゃな。
取消権は債権ごとに発生しない
詐害行為取消訴訟の訴訟物である詐害行為取消権は,取消債権者が有する個々の被保全債権に対応して複数発生するものではない。 (最判平成22年10月19日・集民第235号93頁)
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
訴訟物のとらえ方じゃ。被保全債権が何本あろうと、取消権が何本にもなるわけではない——そう述べておる。
資格別の演習
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、受益者がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法424条1項がそのとおり定めています。
債権者は、その債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、詐害行為取消請求をすることができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法424条3項がそのとおり定めています。
共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判平成11年6月11日(民集第53巻5号898頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。
詐害行為取消権は、債権者が意思表示によって行使することができる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法424条1項は「取消しを裁判所に請求することができる」としており、訴えによる必要があります。
一次情報を確認する
- e-Gov法令検索:民法第424条
- 最判平成11年6月11日(民集 第53巻5号898頁)(平成10(オ)1077)
- 最判平成12年3月9日(民集 第54巻3号1013頁)(平成10(オ)560)
- 最判平成22年10月19日(集民 第235号93頁)(平成21(受)708)