刑法第239条・窃盗及び強盗の罪
刑法第239条:昏酔強盗
人を昏酔させて財物を盗取する罪です。暴行・脅迫を用いないにもかかわらず、強盗として論じられます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
暴行も脅迫もないのに強盗なの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文は「強盗として論ずる」と書いておる。相手の抵抗する力を奪って財物を取る——その一点で、236条と同じに扱うということじゃ。
条文の内容
人を昏酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 行為① | 人を昏酔させて |
| 行為② | その財物を盗取した |
| 効果 | 強盗として論ずる |
236条・238条との比較
| 条文 | 手段 | 順序 |
|---|---|---|
| 236条(強盗強盗暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取すること(刑法236条1項)。5年以上の有期拘禁刑で、同条2項は財産上不法の利益を得る場合を定めます。用語ページを見る →) | 暴行・脅迫 | 手段 → 奪取 |
| 238条(事後強盗事後強盗窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、または罪跡を隠滅するために暴行・脅迫をすること(刑法238条)。強盗として論じられます。用語ページを見る →) | 暴行・脅迫 | 窃取 → 暴行・脅迫 |
| 239条(昏酔強盗昏酔強盗人を昏酔させてその財物を盗取すること(刑法239条)。暴行・脅迫によらない点で236条と異なりますが、強盗として論じられます。用語ページを見る →) | 昏酔させる | 手段 → 盗取 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
3つとも「強盗」だけど、成り立ち方が違うんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
うまく整理したのう。236条が基本形、238条が順序を入れ替えた型、239条が手段を入れ替えた型——そう覚えるとよい。
「盗取」という語
条文は「強取」(236条)でも「窃取」(235条)でもなく、「盗取」と書いています。昏酔した相手から取るという場面に合わせた語です。
| 条文 | 行為の語 |
|---|---|
| 235条 | 窃取 |
| 235条の2 | 侵奪 |
| 236条 | 強取 |
| 239条 | 盗取 |
未遂
第243条により、239条の罪の未遂は罰せられます。
240条・241条への波及
「強盗として論ずる」以上、239条の犯人が人を死傷させれば240条(強盗致死傷強盗致死傷強盗が人を負傷させたときは無期または6年以上の拘禁刑、死亡させたときは死刑または無期拘禁刑に処せられます(刑法240条)。用語ページを見る →)が、177条の罪をも犯せば241条が適用されます。
資格別の演習
人を昏酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論じられる。
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解答:◯
正しい記述です。刑法239条の定めです。暴行・脅迫を用いていなくても強盗の扱いを受けます。
昏酔強盗罪の未遂は処罰される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法243条は「第238条から第240条まで」を挙げています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の240条は、刑法各論でも屈指の重い条文じゃ。死刑が現れるぞ。