法律用語集
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あ行
悪意
ある特定の事情や事実を『知っている』こと。いじわるな心という意味ではありません。
悪意の遺棄
配偶者から悪意で遺棄されること。民法770条1項2号が離婚の訴えを提起できる場合として挙げています。「悪意」は事情を知っていることを指す民法一般の用法とは語感が異なります。
あっせん収賄
公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるようにあっせんをすること等の報酬として賄賂を収受等すること(刑法197条の4)。自分の職務ではなく、他の公務員への働きかけを対価とする類型です。
あへん煙
刑法第2編第14章「あへん煙に関する罪」の対象。輸入・製造・販売・販売目的所持(136条)、吸食器具(137条)、税関職員による輸入等(138条)、吸食と場所提供(139条)、単純所持(140条)が段階的に処罰されます。
遺棄
刑法217条は、老年・幼年・身体障害・疾病のために扶助を必要とする者を遺棄する行為を処罰します。刑法190条の死体遺棄における「遺棄」とは、条文の場面が異なります。
遺産の分割
共有となっている相続財産を各相続人に分ける手続のこと。相続開始の時にさかのぼって効力を生じます(民法909条本文)。
意思主義
物権の設定・移転は当事者の意思表示のみによって効力を生ずるという建て方(民法176条)。引渡しや登記がなくても、当事者の間では権利が動きます。
遺失物
持ち主が意図せず手放してしまった物のこと。遺失物法の定めに従い公告した後3か月以内に所有者が判明しないときは、拾得者が所有権を取得します(民法240条)。
遺失物等横領
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領すること(刑法254条)。1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料で、横領の罪のなかで最も軽い類型です。
意思能力
自分のした行為がどんな結果を生むかを判断できる能力のこと。これを欠いた状態でした法律行為は無効です(民法3条の2)。
意思表示
契約を結ぶなど、一定の法律効果を発生させようとする意思を外部に表明する行為。
慰謝料
精神的な苦痛など、財産以外の損害に対する賠償金のこと。民法710条は財産権が侵害された場合でも請求できるとしています。
囲障
隣り合う建物の境界に設ける囲いのこと。協議が調わないときは、板塀や竹垣その他これらに類する材料で高さ2メートルのものとされます(民法225条2項)。
遺贈
遺言によって財産を無償で人に与えること。死因贈与に準用されます(民法554条)。
遺贈義務者
遺贈の履行をする義務を負う者のこと(民法987条1項)。
遺贈の放棄
受遺者が遺贈を受けない旨の意思表示をすること。遺言者の死亡後いつでもすることができ、その効力は遺言者の死亡の時にさかのぼります(民法986条)。
一時の娯楽に供する物
刑法185条ただし書が、賭博罪の処罰から除外する対象。これを賭けたにとどまるときは、同条本文は適用されません。
一般の先取特権
債務者の総財産について成立する先取特権(民法306条)。共益の費用・雇用関係・子の監護の費用・葬式の費用・日用品の供給の5つの原因によって生じます。
一般法
ある分野について広く一般に適用される法のこと。民法は私法の一般法であり、特別法に定めがない事柄はここに戻って判断します。
売買の一方の予約
一方が売買を完結する意思を表示すれば売買の効力が生じる旨の予約のこと(民法556条1項)。
委任
当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約(民法643条)。
委任者
委任において事務の処理を委託する当事者のこと。
違法性阻却事由
犯罪の型(構成要件)にあてはまる行為であっても、例外的に違法でないと評価させる事情のこと。刑法35条の正当行為、36条の正当防衛、37条の緊急避難がその代表です。
入会権
村落などの住民が、山林や原野を共同で利用する慣習上の権利。共有の性質を有するものについては各地方の慣習に従うほか、共有の規定が適用されます(民法263条)。
遺留分
一定の相続人に法律上必ず留保される相続財産の割合のこと。廃除の対象となるのは遺留分を有する推定相続人です(民法892条)。
遺留分権利者
遺留分を有する者のこと。兄弟姉妹以外の相続人がこれにあたります(民法1042条1項)。
遺留分侵害額の請求
遺留分権利者及びその承継人が、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求すること(民法1046条1項)。
威力
相手の意思を押さえつけるような有形無形の力。刑法96条の3・96条の4は「偽計又は威力を用いて」妨害する行為を処罰します。
威力業務妨害
威力を用いて人の業務を妨害すること(刑法234条)。刑は233条の例によります。最高裁は、卒業式の円滑な遂行に支障を生じさせた行為を同条の罪に問うことが憲法21条1項に違反しないとしました。
淫行勧誘
営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させること(刑法183条)。3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。
印章等
刑法155条1項1号が定義する語で、印章または署名をいいます。第17章、165条および167条で共通して用いられます。
姻族
配偶者の血族、および自分の血族の配偶者のこと。婚姻によって生じ、離婚によって終了します(民法728条1項)。
隠避
蔵匿以外の方法で、犯人が捕まらないようにすること。刑法103条が蔵匿と並べて処罰します。最高裁は、犯人が逮捕勾留された後に他人を教唆して身代り犯人として出頭させた行為について、犯人隠避教唆罪が成立するとしました。
陰謀
犯罪の実行について謀議をすること。予備と並べて、刑法78条・88条・93条など条文が定める場合にだけ処罰されます。
請負
当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約(民法632条)。
請負人
請負において仕事を完成する義務を負う当事者のこと。
受取証書
弁済を受領したことを証明する書面(領収書など)。弁済をする者は弁済と引換えに交付を請求できます(民法486条1項)。
裏書
証券上の権利を譲渡するために証券にする記載のこと。指図証券の譲渡には裏書と交付が必要です(民法520条の2)。方式は手形法の規定が準用されます(民法520条の3)。
永小作権
小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利(民法270条)。存続期間は20年以上50年以下とされます(民法278条1項)。
縁組をする意思
養子縁組の当事者に求められる意思のこと。これが無いときは縁組が無効となります(民法802条1号)。
延焼
刑法109条2項・110条2項の自己所有物への放火から、より重く保護される物へ火が燃え移ること。刑法111条が、生じた結果に応じて重く処断します。
援用
時効による利益を受けると主張すること。当事者が援用しなければ、裁判所は時効によって裁判をすることができません(民法145条)。
往来危険
鉄道もしくはその標識を損壊し、またはその他の方法により汽車・電車の往来の危険を生じさせること等(刑法125条)。最高裁は、同条1項の電車往来危険罪における危険とは、電車の顛覆・衝突等の事故発生の可能性ある状態をいうとしました。
往来妨害
陸路、水路または橋を損壊し、または閉塞して往来の妨害を生じさせること(刑法124条1項)。2項は、これにより人を死傷させた場合を定めます。
横領
自己の占有する他人の物を横領すること(刑法252条1項)。5年以下の拘禁刑で、同条2項は公務所から保管を命ぜられた自己の物を横領した場合を定めます。
か行
外患援助
日本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して軍務に服し、その他軍事上の利益を与えること(刑法82条)。
外患誘致
外国と通謀して日本国に対し武力を行使させること(刑法81条)。刑法の中で、法定刑が死刑だけの罪はこれひとつです。
外国法人
外国の法律によって成立した法人。日本では、国・国の行政区画・外国会社を除き、原則としてその成立が認許されません(民法35条1項)。
改悛の状
刑法28条が仮釈放の要件として挙げる、悔い改めている様子のこと。刑期の経過という形式的要件に加えて、この実質的要件が必要です。
解除
有効に成立した契約を、解除権を持つ者の一方的な意思表示によってはじめからなかったことにすること。取消しと違い、契約が有効であることが前提です。
解除権
契約を解除することができる権利のこと。契約による約定解除権と、法律の規定による法定解除権があります(民法540条1項)。
解除条件
成就すると法律行為の効力を失わせる条件。解除条件付法律行為は、条件が成就した時から効力を失います(民法127条2項)。
懐胎
子を身ごもること。民法772条は、懐胎の時期と婚姻の時期の関係から父を推定する仕組みをとっています。
解放による刑の減軽
刑法225条の2または227条2項・4項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取・誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽するという規定(刑法228条の2)。「減軽する」と言い切る必要的減軽です。
買戻し
不動産の売主が売買契約と同時にした特約により、代金及び契約の費用を返還して売買を解除できる制度(民法579条)。
買戻しの特約
売買契約と同時にする、売主が代金等を返還して売買を解除できる旨の特約のこと。登記すれば第三者に対抗できます(民法581条1項)。
解約手付
買主は手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供することで契約を解除できる、という機能を持つ手付のこと(民法557条1項)。
解約の申入れ
期間の定めのない継続的契約を将来に向けて終わらせるための意思表示のこと。賃貸借では民法617条、雇用では民法627条が一定期間の経過による終了を定めています。
確定裁判
上訴などによってもう争えなくなり、内容が動かせなくなった裁判のこと。刑法5条は、外国で確定裁判を受けても日本で改めて処罰することを妨げないとしています。
確定日付のある証書
作成日が後から動かせない形で公に証明される証書(内容証明郵便など)。債権譲渡を債務者以外の第三者に対抗するには、通知・承諾をこの証書でしなければなりません(民法467条2項)。
科刑上一罪
複数の罪名に触れるが、刑を科すうえでは1個の罪として最も重い刑により処断されるもの。刑法54条1項の観念的競合と牽連犯がこれにあたります。
加工
他人の動産に工作を加えて新たな物を作ること。加工物の所有権は原則として材料の所有者に帰属しますが、工作による価格が材料の価格を著しく超えるときは加工者が取得します(民法246条1項)。
瑕疵
きず・欠点のこと。占有では、悪意・過失・強暴・隠秘といった、占有者に不利に働く事情を指します(民法187条2項)。
貸金等債務
金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(民法465条の3第1項のかっこ書きによる定義)。
過失
注意すれば気づけたのに、不注意で気づかなかったこと。『善意無過失』は「知らず、かつ不注意もなかった」状態を指します。
果実
物から生じる収益のこと。作物などの天然果実と、賃料などの法定果実があります(民法88条)。善意の占有者はこれを取得できます(民法189条1項)。
過失傷害
過失により人を傷害すること(刑法209条1項)。30万円以下の罰金または科料で、同条2項により親告罪です。
過失相殺
債務の不履行や損害の発生・拡大について債権者に過失があったとき、裁判所がこれを考慮して損害賠償の責任及びその額を定めること(民法418条)。
過失致死
過失により人を死亡させること(刑法210条)。50万円以下の罰金で、過失傷害罪と異なり親告罪とはされていません。
過失犯
罪を犯す意思がなくても処罰される犯罪。刑法38条1項ただし書の「法律に特別の規定がある場合」にあたるものだけが処罰されます。
加重収賄
公務員が収賄・第三者供賄の罪を犯し、よって不正な行為をし、または相当の行為をしなかった場合の加重類型(刑法197条の3第1項)。1年以上の有期拘禁刑です。
加重逃走
拘禁場もしくは拘束のための器具を損壊し、暴行もしくは脅迫をし、または2人以上通謀して逃走する類型(刑法98条)。単純逃走より重い3月以上5年以下の拘禁刑です。
加重封印等破棄等
報酬を得、または得させる目的で、人の債務に関して刑法96条から96条の4までの罪を犯す類型(刑法96条の5)。刑が5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科に引き上げられます。
過剰避難
緊急避難の程度を超えた行為のこと。刑法37条1項ただし書により、情状によって刑を減軽し、または免除することが「できる」とされています。
過剰防衛
防衛の程度を超えた行為のこと(刑法36条2項)。犯罪は成立しますが、情状により刑を減軽し、または免除することが「できる」とされています。
ガス漏出等
ガス、電気または蒸気を漏出させ、流出させ、または遮断して、人の生命・身体・財産に危険を生じさせること(刑法118条1項)。2項は、これにより人を死傷させた場合を定めます。
家族法
家族や相続をめぐる関係を扱う分野の呼び名で、民法では親族・相続の2編がこれにあたります。身分法とも呼ばれます。
家庭裁判所
家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。
仮釈放
拘禁刑に処せられた者を、刑期の満了前に行政官庁の処分で仮に釈放すること(刑法28条)。有期刑は刑期の3分の1、無期刑は10年を経過した後に可能となります。
仮住所
ある行為について当事者が選定しておく場所。その行為に関してだけ住所とみなされます(民法24条)。
仮出場
拘留に処せられた者や、罰金・科料を完納できずに留置された者を、情状によりいつでも仮に出場させる処分(刑法30条)。期間の経過を要しない点が仮釈放と違います。
過料
秩序罰として科される金銭の負担のこと。遺言書の検認を経ないで遺言を執行した者などに科されます(民法1005条)。
科料
刑法17条が定める、千円以上1万円未満の財産刑。行政上の制裁である「過料」とは別のもので、区別のため「とがりょう」と読み分けることがあります。
簡易の引渡し
譲受人がすでに占有物を所持している場合に、当事者の意思表示のみで占有権を譲渡すること(民法182条2項)。物を一度返してもらう手間を省く仕組みです。
監護
子を手元で世話し育てること。離婚の際には、子の監護をすべき者・監護の分掌・費用の分担などを定めます(民法766条1項)。
監護者
18歳未満の者を現に監護する者。刑法179条は、その影響力があることに乗じてわいせつな行為または性交等をした場合に、176条1項・177条1項の例によると定めます。
慣習
その社会や取引で繰り返し行われてきたやり方のこと。任意規定と異なる慣習は、当事者がそれによる意思を有していると認められるときに従われます(民法92条)。
看守者等による逃走援助
拘禁された者を看守しまたは護送する者が、その者を逃走させること(刑法101条)。1年以上10年以下の拘禁刑で、逃走の罪の中で最も重い法定刑です。
完成猶予
一定の事由がある間、時効が完成しないこと(民法147条以下)。それまで経過した期間はそのまま残る点で、振り出しに戻る更新と異なります。
鑑定人
裁判所が選任し、財産の価格などの評価を行う者のこと(民法1043条2項など)。
監督義務者
責任無能力者を監督する法定の義務を負う者のこと。義務を怠らなかったことなどを証明しない限り、責任無能力者が加えた損害を賠償します(民法714条1項)。
観念的競合
1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合のこと(刑法54条1項前段)。最も重い刑により処断されます。
元本
貸したお金の元金や預けた預金のように、利息などの収益を生み出すもとになる財産のこと。被保佐人がこれを領収し、又は利用するには保佐人の同意が必要です(民法13条1項1号)。
元本確定期日
根抵当権が担保すべき元本が確定する期日として、設定行為などで定めた日のこと。定め又は変更した日から5年以内でなければなりません(民法398条の6)。
元本の確定
根抵当権が担保する元本債権が特定されること。確定前は債権の範囲や債務者を変更できますが、確定後はできなくなります(民法398条の4・398条の19以下)。
管理権
親権の内容のうち、子の財産を管理し、その財産に関する法律行為について子を代表する部分のこと(民法824条)。身上監護の部分と区別されます。
管理権喪失
管理権の行使が困難又は不適当で子の利益を害するときに、家庭裁判所の審判によって管理権を失わせること(民法835条)。親権のうち財産管理の部分だけが失われます。
管理行為
共有物の管理に関する事項のこと。各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決します(民法252条1項)。
管理者
義務なく他人のために事務の管理を始めた者のこと(民法697条1項のかっこ書きによる定義)。
管理の計算
後見人がその任務の終了後にする、管理した財産の収支の計算のこと。これが終わるまでは、後見人が被後見人を養子とするのに家庭裁判所の許可が必要です(民法794条後段)。
管理不全土地管理命令
所有者による土地の管理が不適当なために他人の権利等が侵害され、又はそのおそれがある場合に、裁判所が管理人による管理を命ずる処分(民法264条の9第1項)。所有者は分かっている点で所有者不明土地管理命令と異なります。
偽計
相手をあざむいたり、相手の勘違いや不知を利用したりする手段。刑法96条の3・96条の4は「偽計又は威力を用いて」妨害する行為を処罰します。
期限
法律行為の効力や履行を、必ず到来する事実にかからせる定めのこと。成就するか分からない「条件」と区別されます(民法135条以下)。
期限の利益
期限が来るまで履行しなくてよいことによる利益のこと。債務者の利益のために定めたものと推定され(民法136条1項)、放棄もできます(同条2項)。
危険負担
双務契約で一方の債務が履行不能になったとき、他方の反対給付をどう扱うかという問題。民法536条1項は債権者が反対給付の履行を拒めるとしています。
汽車転覆等
現に人がいる汽車・電車を転覆させ、または破壊すること、および現に人がいる艦船を転覆・沈没・破壊すること(刑法126条1項・2項)。3項は、これにより人を死亡させた場合を定めます。
偽証
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をすること(刑法169条)。3月以上10年以下の拘禁刑です。
既成条件
法律行為の時に、すでに成就していた条件、又は成就しないことが確定していた条件のこと。民法131条が、停止条件か解除条件かに応じて無条件又は無効に振り分けます。
偽造
権限のない者が、真正なもののように見える物を新たに作り出すこと。刑法は通貨(148条)・文書(155条・159条)・有価証券(162条)・印章(164条以下)について、それぞれ偽造を処罰しています。
偽造通貨等収得
行使の目的で、偽造または変造の貨幣・紙幣・銀行券を収得すること(刑法150条)。3年以下の拘禁刑です。
寄託
当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生ずる契約(民法657条)。
寄託者
寄託において物の保管を委託する当事者のこと。返還時期の定めがあってもいつでも返還を請求できます(民法662条1項)。
器物損壊等
258条から260条までに規定するもののほか、他人の物を損壊し、または傷害すること(刑法261条)。動物を対象とする場合を捉える「傷害」の語が置かれています。264条により親告罪です。
記名式所持人払証券
債権者を指名する記載がされている証券であって、その所持人に弁済をすべき旨が付記されているもの(民法520条の13のかっこ書きによる定義)。譲渡は交付によってします。
求償権
他人のために出捐した者が、その負担すべき者に対して返還を求める権利のこと。物上保証人は、保証債務に関する規定に従い債務者に求償できます(民法351条)。
急迫不正の侵害
刑法36条1項が正当防衛の出発点とする要件。「急迫」は法益侵害が現に存在するか間近に迫っていること、「不正」は違法であることを意味します。過去の侵害や将来の侵害には正当防衛が認められません。
共益の費用
各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存・清算・配当に関する費用(民法307条1項)。一般の先取特権のなかで第1順位に置かれます。
境界損壊
境界標を損壊し、移動し、もしくは除去し、またはその他の方法により土地の境界を認識することができないようにすること(刑法262条の2)。5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
境界標
土地の境界を示すために設ける目印のこと。隣地の所有者と共同の費用で設けることができます(民法223条)。
恐喝
人を恐喝して財物を交付させること(刑法249条1項)。10年以下の拘禁刑で、同条2項は財産上不法の利益を得る場合を定めます。
凶器準備集合
2人以上の者が他人の生命・身体・財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合に、凶器を準備しまたはその準備があることを知って集合すること(刑法208条の2第1項)。人を集合させた者は同条2項で重く処罰されます。
協議上の離縁
縁組の当事者がその協議によってする離縁のこと(民法811条1項)。届出によって効力を生じます。
協議上の離婚
夫婦がその協議によってする離婚のこと。裁判所の関与なしにできる点が裁判上の離婚と異なります(民法763条)。
強行規定
当事者の合意では変えられない規定。民法91条が「公の秩序に関しない規定」と限定していることの裏返しで、公の秩序に関する規定がこれにあたります。
教唆
他人をそそのかして行為をする決意をさせること。民法719条2項は、教唆した者を共同行為者とみなします。
教唆犯
人を教唆して犯罪を実行させた者のこと。刑法61条1項により、正犯の刑が科されます。
強制執行妨害
強制執行の実効性を害する行為。刑法96条の2から96条の4までが、財産の隠匿等・執行行為の妨害・売却の公正を害する行為をそれぞれ処罰しています。
供託
弁済者が債権者のために弁済の目的物を供託所に預けること。供託をした時に債権が消滅します(民法494条1項)。
共同正犯
2人以上共同して犯罪を実行した者のこと(刑法60条)。全員が正犯として扱われ、刑の減軽はありません。
共同相続
相続人が数人ある場合の相続のこと。相続財産はその共有に属します(民法898条1項)。
共同抵当
同一の債権の担保として数個の不動産に抵当権が設定されること。同時配当では各不動産の価額に応じて債権の負担を按分します(民法392条1項)。
共同根抵当
数個の不動産について、設定と同時に同一債権の担保である旨の登記をした根抵当権(民法398条の16)。この登記がある場合に限り、共同抵当の規定が適用されます。
共同不法行為
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えること。各自が連帯して損害の全額について賠償責任を負います(民法719条1項)。
共同遺言
二人以上の者が同一の証書でする遺言のこと。民法975条により禁止されています。
強迫
おびやかして意思表示をさせること。民法96条1項により取り消すことができますが、同条2項・3項は詐欺のみを対象としており、強迫については定めがありません。
脅迫罪
生命・身体・自由・名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫すること(刑法222条1項)。同条2項は、親族に対する加害の告知も同じ刑としています。
共犯
2人以上が関与して犯罪を実現する形態。刑法は第一編第十一章で、共同正犯(60条)・教唆(61条)・幇助(62条)を定めています。
業務執行者
組合契約の定めにより組合の業務の決定及び執行を委任された者のこと(民法670条3項のかっこ書きによる定義)。
業務上横領
業務上自己の占有する他人の物を横領すること(刑法253条)。10年以下の拘禁刑で、単純横領罪の2倍の上限が定められています。
業務上過失致死傷等
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させること(刑法211条前段)。重大な過失により人を死傷させた場合も同じ刑で、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
業務上失火等
刑法116条または117条1項の行為が、業務上必要な注意を怠ったことによるとき、または重大な過失によるときの加重類型(刑法117条の2)。3年以下の拘禁刑または150万円以下の罰金です。
業務上堕胎
医師、助産師、薬剤師または医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、またはその承諾を得て堕胎させること(刑法214条)。同意堕胎罪より重い3月以上5年以下の拘禁刑です。
業務上特別の義務がある者
職務上、危険に立ち向かうことが求められる立場にある者。刑法37条2項は、この者には緊急避難の規定を適用しないと定めています。
業務妨害
虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて人の業務を妨害すること(刑法233条後段)。いわゆる偽計業務妨害で、234条の威力業務妨害と対をなします。
共有
一つの物を複数人で所有すること。各共有者は共有物の全部について、その持分に応じた使用ができます(民法249条1項)。
共有物の分割
共有関係を解消して、各共有者の単独所有などに分けること。各共有者はいつでも請求でき、協議が調わないときは裁判所に請求できます(民法256条・258条)。
強要
脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害すること(刑法223条1項)。同条3項により未遂も罰せられます。
供用物件
刑法19条1項2号の「犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物」。殺人に使った凶器のように、犯罪の手段として使われた(使おうとした)物を指します。
虚偽鑑定等
法律により宣誓した鑑定人・通訳人・翻訳人が虚偽の鑑定・通訳・翻訳をすること(刑法171条)。偽証罪と自白による刑の減免の例によります。
虚偽公文書作成
公務員がその職務に関し、行使の目的で虚偽の文書等を作成し、または変造すること(刑法156条)。印章等の有無により区別して、154条・155条の例によります。
虚偽告訴等
人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴・告発その他の申告をすること(刑法172条)。最高裁は、申告事実が虚偽であることの未必的な認識があれば足りるとしました。
虚偽診断書等作成
医師が、公務所に提出すべき診断書・検案書・死亡証書に虚偽の記載をすること(刑法160条)。私文書について無形偽造を処罰する数少ない規定です。
虚偽の記入
刑法162条2項が、有価証券の偽造・変造と並べて処罰する行為。作成権限の有無を問わず、有価証券に内容の虚偽な記入をすることを指します。
虚偽表示
相手方と示し合わせてウソの意思表示をすること(通謀虚偽表示)。当事者間では無効ですが、善意の第三者には無効を主張できません。
局外中立
外国どうしが交戦しているときに、そのいずれにも加担しない立場のこと。刑法94条は、局外中立に関する命令に違反した者を処罰します。
極度額
根抵当権が担保する限度額のこと。根抵当権者は、確定した元本・利息・損害賠償の全部について、この額を限度に権利を行使できます(民法398条の3第1項)。
御璽・国璽
刑法154条・164条が定める、天皇の印章(御璽)と国の印章(国璽)。これらを使用した文書の偽造や、印章そのものの偽造が重く処罰されます。
居住建物
配偶者居住権又は配偶者短期居住権の対象となる、配偶者が相続開始の時に居住していた建物のこと(民法1028条1項・1037条1項)。
居住建物取得者
居住建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者のこと(民法1037条1項)。
居住用不動産
成年被後見人の居住の用に供する建物又はその敷地のこと。売却・賃貸・賃貸借の解除・抵当権の設定その他これらに準ずる処分には家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。
居所
住所が知れない場合に、住所とみなされる場所(民法23条1項)。民法は「居所」そのものの定義を置いていません。
寄与分
被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした共同相続人に、相続分に加えて認められる部分のこと(民法904条の2)。
緊急事務管理
本人の身体・名誉・財産に対する急迫の危害を免れさせるためにする事務管理のこと。悪意又は重大な過失がなければ損害賠償責任を負いません(民法698条)。
緊急避難
民法720条2項では、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためにその物を損傷することを指します。刑法の緊急避難より対象が狭いことに注意が必要です。
緊急避難
自己または他人の生命・身体・自由・財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為のこと。生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰せられません(刑法37条1項本文)。
近親婚
直系血族又は三親等内の傍系血族の間など、法が婚姻を禁じている近い親族関係にある者どうしの婚姻のこと(民法734条〜736条)。
金銭債権
一定額の金銭の給付を目的とする債権のこと。債務者はその選択に従い各種の通貨で弁済できます(民法402条1項)。不履行の損害賠償には特則があります(民法419条)。
金銭執行
金銭の支払を目的とする債権について行われる強制執行。刑法96条の2第3号は、金銭執行を受けるべき財産について無償その他の不利益な条件で譲渡や権利の設定をする行為を処罰します。
口授
遺言の趣旨を口頭で伝えること。公正証書遺言の方式として求められます(民法969条1項2号)。
具体的相続分
特別受益や寄与分を考慮して算定される、各共同相続人の実際の取り分のこと。遺産分割の前提となる計算上の価額・割合です。
組合員
組合契約の当事者のこと。出資をして共同の事業を営みます。
組合契約
各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって効力を生ずる契約(民法667条1項)。
組合財産
各組合員の出資その他の組合の財産のこと。総組合員の共有に属します(民法668条)。
刑期
拘禁刑や拘留の執行が続く期間のこと。刑法23条により裁判が確定した日から起算し、拘禁されていない日数は算入されません。
刑事施設
刑務所・少年刑務所・拘置所など、刑の執行や身柄の拘置のために設けられた施設のこと。刑法11条・12条・16条が拘置の場所として定めています。
継続的給付
電気・ガス・水道水の供給その他これらに類する継続的な供給のこと(民法213条の2第1項)。令和3年改正で設備設置権の規定が新設されました。
刑の言渡し
裁判所が判決で具体的な刑を告げること。執行猶予期間が無事に経過したとき(刑法27条1項)や刑の消滅(刑法34条の2)では、この言渡し自体が効力を失います。
刑の一部の執行猶予
拘禁刑の一部だけを実際に執行し、残りの部分の執行を猶予する制度(刑法27条の2)。猶予期間は、執行された部分を終えた日から起算されます。
刑の時効
刑の言渡しが確定した後、一定期間その執行を受けないことで執行の免除を得る制度(刑法31条・32条)。死刑は対象から除かれています。
刑の消滅
刑の執行を終えた者などが、一定期間さらに罰金以上の刑に処せられなかったときに、刑の言渡しが効力を失う制度(刑法34条の2)。資格制限からの回復を目的とします。
刑の全部の執行猶予
言い渡した刑の全部について、一定期間その執行を先送りにする制度(刑法25条)。取り消されずに期間が経過すると、刑の言渡し自体が効力を失います。
刑の免除
犯罪の成立は認めたうえで、刑を科さないこと。刑法105条は、犯人または逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯人蔵匿罪・証拠隠滅罪を犯したときに、その刑を免除することが「できる」と定めます。
競売
民事執行法その他の法律の規定に基づき、裁判所などの手続によって財産を売却すること。民法568条に担保責任の特則があります。
競売分割
共有物を競売にかけ、その代金を分ける分割方法。民法258条2項の方法で分割できないときなどに、裁判所が競売を命じます(同条3項)。
刑法総則
刑法第一編(第1条〜第72条)に置かれた、犯罪と刑罰に共通するルールのこと。刑法8条により、原則として他の法令の罪にも適用されます。
刑名
死刑・拘禁刑・罰金といった刑の種類の名称。刑法69条は、各本条に2個以上の刑名があるときは、まず適用する刑を定めてからその刑を減軽するとしています。
契約自由の原則
契約をするかどうか、どのような内容にするか、どのような方式によるかを当事者が自由に決められるという原則。民法521条・522条2項が明文化しています。
契約上の地位の移転
契約の当事者としての地位そのものを第三者に移すこと。相手方の承諾があったときに移転します(民法539条の2)。
契約不適合
引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないこと。買主は追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除ができます。
激発物破裂
火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、刑法108条・109条・110条に規定する物を損壊すること(刑法117条1項)。放火の例により処断されます。
欠格事由
その地位に就くことができない事由のこと。後見人については未成年者・破産者など5つが挙げられています(民法847条)。
血族
血のつながりのある親族のこと。養子縁組によって生じる法定血族も含みます(民法727条)。
減軽
刑を法律上または裁判上、軽い方向に修正すること。刑法14条は、死刑・無期拘禁刑を減軽して有期拘禁刑にする場合の長期を30年とするなど、その限度を定めています。
権原
ある行為をすることを正当化する法律上の原因のこと。賃借権や地上権のように、他人の物を占有・使用してよい根拠を指します。
現在の危難
法益に対する危険が現に存在し、または間近に迫っている状態。刑法37条1項が緊急避難の前提として求めるもので、正当防衛の「急迫不正の侵害」と違い、危難が人の不正な行為であることを要しません。
検索の抗弁
主たる債務者に弁済の資力があり執行が容易であることを証明して、まず主たる債務者の財産に執行するよう求める権利(民法453条)。
検視
変死者について死因等を調べる手続。刑法192条は、これを経ないで変死者を葬る行為を処罰します。
現実の提供
債務の本旨に従って現実にする弁済の提供(民法493条本文)。これが原則の方法です。
現実の引渡し
占有物そのものを実際に相手方へ手渡すこと(民法182条1項)。もっとも分かりやすい引渡しの方法です。
現住建造物等
現に人が住居に使用し、または現に人がいる建造物・汽車・電車・艦船・鉱坑(刑法108条)。放火の客体のうち最も重く保護されます。
原状回復義務
解除によって各当事者が負う、相手方を契約前の状態に戻す義務のこと(民法545条1項本文)。
懸賞広告
ある行為をした者に一定の報酬を与える旨の広告のこと。広告を知らずにその行為をした者に対しても報酬を与える義務が生じます(民法529条)。
建造物等損壊
他人の建造物または艦船を損壊すること(刑法260条前段)。最高裁は、公衆便所の外壁にラッカースプレーで大書し外観・美観を著しく汚損した行為が同条前段の「損壊」に当たるとしました。
現存利益
受け取ったもののうち、返還を求められた時点で現に手元に残っている利益のこと。意思能力を欠いていた者や制限行為能力者は、この限度で返せば足ります(民法121条の2第3項)。
限定承認
相続によって得た財産の限度でのみ被相続人の債務等を弁済すべきことを留保してする承認のこと。
検認
遺言書の保管者等が家庭裁判所に遺言書を提出して請求する手続のこと(民法1004条1項)。公正証書による遺言については適用されません。
現場助勢
傷害・傷害致死の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けること(刑法206条)。条文は「自ら人を傷害しなくても」と明記しています。
元物
果実を生み出すもとになる物のこと。天然果実は、元物から分離する時にこれを収取する権利を有する者に帰属します(民法89条1項)。
現物分割
共有物そのものを分けて各共有者に割り当てる分割方法(民法258条2項1号)。裁判による分割で最初に挙げられている方法です。
顕名
代理人が「本人のためにすること」を相手方に示すこと(民法99条1項)。これを欠くと、その意思表示は代理人が自己のためにしたものとみなされます(民法100条本文)。
権利、義務又は事実証明に関する文書
刑法159条が私文書偽造罪の客体として定める文書の範囲。公文書と違い、あらゆる私文書が対象になるわけではありません。
権利質
財産権を目的とする質権のこと(民法362条1項)。債権を目的とする場合は、第三債務者への通知又は承諾が対抗要件となります(民法364条)。
権利能力
権利を持ち、義務を負うことができる資格のこと。民法3条1項により、人は出生と同時にこれを取得します。
権利の濫用
形のうえでは権利の行使にあたるものの、社会的に許される限度を超えているため認められない行為のこと。民法1条3項は「これを許さない」と定めています。
牽連犯
犯罪の手段または結果である行為が他の罪名に触れる場合のこと(刑法54条1項後段)。最も重い刑により処断されます。
故意
結果の発生を知りながらあえて行為をすること。「わざと」にあたる心の状態で、うっかりを意味する過失と対になります。
故意
罪を犯す意思のこと。刑法38条1項は、罪を犯す意思がない行為は罰しないと定め、処罰されるのは故意のある行為が原則であるとしています。
行為能力
自分ひとりで確定的に有効な法律行為をすることができる資格のこと。年齢や審判によって画一的に決まる点が、行為ごとに判断される意思能力と違います。
公印
公務所または公務員の印章等・電磁的記録印章等。刑法165条が、行使の目的でこれを偽造する行為と、不正に使用する行為を処罰します。
更改
従前の債務に代えて新たな債務を発生させる契約。従前の債務は消滅します(民法513条)。連帯債務では全員のために債権が消滅します(民法438条)。
交換
当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって効力を生ずる契約(民法586条1項)。
公記号
公務所の記号および電磁的記録記号(記号として表示されることとなる電磁的記録)。刑法166条が偽造と不正使用を処罰します。
公共の危険
刑法110条1項などが結果として要求する危険。最高裁は、同項にいう公共の危険は刑法108条・109条1項の建造物等に対する延焼の危険に限られず、不特定または多数の人の生命・身体・これらの建造物等以外の財産に対する危険も含むとしました。
公共の福祉
社会全体に共通する利益のこと。民法1条1項は、私権もこれに適合しなければならないと定めています。
公共の利害に関する場合の特例
名誉毀損の行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、真実であることの証明があったときは罰しないという規定(刑法230条の2第1項)。2項・3項は、起訴前の犯罪行為に関する事実と、公務員等に関する事実の特則を置きます。
拘禁刑
刑事施設に拘置する刑。刑法12条により無期と有期があり、有期拘禁刑は1月以上20年以下です。改善更生を図るため、必要な作業や指導を行うことができます。
公契約関係競売等妨害
偽計または威力を用いて、公の競売または入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をすること(刑法96条の6第1項)。
後見
未成年者に親権を行う者がないとき等、又は後見開始の審判があったときに開始する保護の制度のこと(民法838条)。
後見開始の審判
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が後見を開始すると決める裁判(民法7条)。
後見監督人
後見人の事務を監督する者のこと。必ず置かれるわけではなく、遺言による指定又は家庭裁判所の選任によって置かれます(民法848条・849条)。
後見の計算
後見人の任務が終了したときに、後見人又はその相続人が2箇月以内にする管理の計算のこと(民法870条)。
工作物
人が土地に手を加えて設けた物のこと。建物・橋・トンネルなどを指し、地上権の目的(民法265条)や相隣関係の条文にたびたび登場します。
公示催告手続
非訟事件手続法に定められた、証券を無効とするための手続。指図証券を喪失した場合に用います(民法520条の11)。
行使の目的
作り出した物を真正なものとして用いる目的。刑法148条・154条・155条・159条・162条・164条以下は、いずれも「行使の目的で」を要件としています。
公証人
公正証書の作成などを職務とする者のこと。公正証書遺言・秘密証書遺言の方式に関与します。
公序良俗
「公の秩序又は善良の風俗」をまとめた呼び方。これに反する法律行為は無効です(民法90条)。
更新
時効が新たにその進行を始めること(民法147条2項・148条2項・152条1項)。それまで経過した期間はリセットされます。
公正証書
公証人が法定の方式に従って作成する証書。事業のために負担した貸金等債務の保証では、保証意思を表示した公正証書がなければ保証契約が効力を生じません(民法465条の6)。
公正証書原本不実記載
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿・戸籍簿その他権利義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせること(刑法157条1項)。電磁的記録への不実記録も同じ扱いです。
公正証書遺言
証人2人以上の立会いのもとで遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授してする遺言のこと(民法969条)。
公然わいせつ
公然とわいせつな行為をすること(刑法174条)。6月以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
公訴時効
犯罪から一定期間が過ぎると検察官が起訴できなくなる、刑事訴訟法上の制度。判決が確定した後の執行に関する「刑の時効」とは別物です。
強談威迫
刑法105条の2が「面会を強請し」と並べて挙げる行為態様。強いて自分の言い分を聞かせようとする行為(強談)と、言動によって相手を脅かす行為(威迫)を指します。
強盗
暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取すること(刑法236条1項)。5年以上の有期拘禁刑で、同条2項は財産上不法の利益を得る場合を定めます。
強盗致死傷
強盗が人を負傷させたときは無期または6年以上の拘禁刑、死亡させたときは死刑または無期拘禁刑に処せられます(刑法240条)。
公道に至るための他の土地の通行権
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者が、公道に出るため周囲の土地を通行できる権利(民法210条1項)。かつて囲繞地通行権と呼ばれた権利です。
口頭の提供
債権者があらかじめ受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときに、弁済の準備をしたことを通知して受領の催告をすること(民法493条ただし書)。
強盗予備
強盗の罪を犯す目的で予備をすること(刑法237条)。2年以下の拘禁刑で、放火の予備(113条)や殺人の予備(201条)と違い、刑を免除できるただし書はありません。
抗弁
請求を受けた者が、その請求を退けたり拒んだりするために主張できる事由のこと。
公務員(刑法上の)
刑法7条1項が定める、国または地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員・委員その他の職員のこと。「公務に従事する」ことが決め手で、役所に勤めているかどうかではありません。
公務執行妨害
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えること(刑法95条1項)。妨害の結果が現に生じたことは条文上求められていません。
公務所
刑法7条2項が定める、官公庁その他公務員が職務を行う所のこと。建物そのものではなく、公務が行われる役所という意味です。
公用文書等毀棄
公務所の用に供する文書または電磁的記録を毀棄すること(刑法258条)。3月以上7年以下の拘禁刑で、第四十章のなかで最も重い法定刑です。
拘留
刑法16条が定める、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘置する刑。刑事訴訟法上の身柄拘束である「勾留」とは別のものです。
国外犯
日本国外で犯された罪のうち、刑法2条から4条の2までが列挙するものに限って日本の刑法が適用されるもの。国外での行為すべてが処罰されるわけではありません。
国内犯
日本国内で犯された罪のこと。刑法1条2項により、日本国外にある日本船舶・日本航空機の中で犯された罪も国内犯と同じ扱いになります。
小作料
永小作権に基づいて土地を耕作・牧畜するために支払う対価のこと。2年以上の滞納があると、土地の所有者は永小作権の消滅を請求できます(民法276条)。
個人根保証契約
根保証契約であって保証人が法人でないもの(民法465条の2第1項のかっこ書きによる定義)。極度額を定めなければ効力を生じません。
子の監護をすべき者
民法766条により定められた、子の監護を担当する者のこと。民法820条から823条までの事項について親権を行う者と同一の権利義務を有します(民法824条の3第1項)。
雇用
当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対して報酬を与えることを約する契約(民法623条)。
婚姻
法律上の夫婦になること。戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生じます(民法739条1項)。
婚姻意思
婚姻をする意思のこと。これが無いときは、届出がされても婚姻は無効です(民法742条1号)。
婚姻適齢
婚姻をすることができる年齢のこと。民法731条は男女とも十八歳と定めています。
婚姻の届出
戸籍法の定めるところによりする届出のこと。民法739条1項により、これによって婚姻の効力が生じます(届出婚主義)。
婚姻費用
婚姻から生ずる費用のこと。夫婦が資産・収入その他一切の事情を考慮して分担します(民法760条)。
混合寄託
種類及び品質が同一である複数の寄託物を、各寄託者の承諾を得て混合して保管すること(民法665条の2第1項)。
昏酔強盗
人を昏酔させてその財物を盗取すること(刑法239条)。暴行・脅迫によらない点で236条と異なりますが、強盗として論じられます。
混同
同一物について所有権と他の物権が同一人に帰属したときに、その他の物権が消滅すること(民法179条1項)。自分の物に自分の制限物権を残しておく意味がないためです。
混和
所有者を異にする物が混ざり合って識別できなくなること。動産の付合の規定が準用されます(民法245条)。
さ行
罪刑法定主義
どんな行為が犯罪となり、どんな刑が科されるかは、あらかじめ法律で定められていなければならないという原則。「法律なければ刑罰なし」と表現されます。
債権者代位権
債権者が自己の債権を保全するため必要があるときに、債務者に属する権利を代わりに行使できる制度(民法423条1項)。
債権証書
債権の存在を証明する証書(借用証書など)。全部の弁済をした者は返還を請求できます(民法487条)。
債権譲渡
債権をその同一性を保ったまま他人に移転させること。民法466条1項は「債権は、譲り渡すことができる」と定めています。
催告
相手に対して「〜してほしい」と促す通知のこと。制限行為能力者の相手方は、追認するかどうかの確答を求める催告ができます(民法20条)。
催告によらない解除
履行不能や明確な履行拒絶など、民法542条が定める場合に、催告をすることなく直ちにできる解除のこと。
催告による解除
相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときにできる解除のこと(民法541条本文)。不履行が軽微であるときは解除できません。
催告の抗弁
債権者から請求を受けた保証人が、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求できる権利(民法452条)。
財産上不法の利益
財物以外の財産的な利益。刑法236条2項・246条2項・249条2項が「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者」を、それぞれ1項と同じ刑で処罰します。いわゆる二項犯罪です。
財産の目録
被後見人の財産を調査して作成する一覧のこと。後見人は就職後1箇月以内に作成しなければならず、作成を終わるまでは急迫の必要がある行為のみをする権限しかありません(民法853条・854条)。
財産分与
離婚をした者の一方が相手方に対して請求できる財産の分与のこと(民法768条1項)。婚姻中の財産の帰属を定める民法762条とは別の制度です。
財産分離
相続財産と相続人の固有財産とを分けて清算する制度のこと。相続債権者等の請求によるもの(民法941条)と相続人の債権者の請求によるもの(民法950条)があります。
財産法
物やお金をめぐる関係を扱う分野の呼び名で、民法では総則・物権・債権の3編がこれにあたります。家族法と対になる整理です。
祭祀に関する権利
系譜・祭具及び墳墓の所有権のこと。相続の一般的効力によらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します(民法897条1項)。
再受寄者
受寄者からさらに寄託物の保管を任された者のこと。その権限の範囲内で寄託者に対し受寄者と同一の権利義務を有します(民法658条3項)。
再犯
拘禁刑に処せられた者が、その執行を終えた日または執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯し、有期拘禁刑に処せられる場合のこと(刑法56条1項)。
再犯加重
再犯の刑を、その罪について定めた拘禁刑の長期の2倍以下とすること(刑法57条)。長期だけが動き、短期は動きません。
裁判上の離縁
民法814条1項各号の場合に限り、離縁の訴えを提起してする離縁のこと。悪意の遺棄・3年以上の生死不明・縁組を継続し難い重大な事由の3つが挙げられています。
裁判上の離婚
民法770条1項各号の場合に限り、離婚の訴えを提起してする離婚のこと。協議が調わないときの道です。
財物
窃盗・強盗・詐欺・恐喝などの客体。刑法245条は「この章の罪については、電気は、財物とみなす」と定め、251条・255条がこれを詐欺・恐喝・横領の罪に準用します。
債務の消滅行為
弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為のこと(民法459条1項のかっこ書きによる定義)。
債務不履行
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないこと、又は債務の履行が不能であること。債権者は損害賠償を請求できます(民法415条1項)。
裁量的取消し
要件にあたっても、取り消すかどうかを裁判所の判断にゆだねる場合のこと。刑法26条の2・27条の5は「取り消すことができる」と定めています。
詐害行為取消権
債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを、債権者が裁判所に請求できる制度(民法424条1項)。
詐欺
だまして誤った判断をさせること。詐欺による意思表示は取り消すことができます(民法96条1項)が、その取消しは善意でかつ過失がない第三者に対抗できません(同条3項)。
詐欺罪
人を欺いて財物を交付させること(刑法246条1項)。10年以下の拘禁刑で、同条2項は財産上不法の利益を得る場合を定めます。民法96条の詐欺による意思表示の取消しとは、場面が異なります。
先取特権
法律の規定に従い、債務者の財産から他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法303条)。当事者の契約ではなく法律によって当然に生じる担保物権です。
錯誤
意思表示の前提に勘違いがあること。民法95条1項が2種類を挙げ、その錯誤が重要なものであるときに取り消すことができます。
差押禁止債権
法律により差押えが禁じられている債権のこと。その債務者は相殺をもって債権者に対抗できません(民法510条)。
差押債権者
債務者の財産(債権を含む)を差し押さえた債権者のこと。
差押えの表示
差押えがされたことを示すために公務員が付ける表示。刑法96条は、これを損壊し、またはその他の方法でその表示に係る命令・処分を無効にする行為を処罰します。
指図証券
証券に記載された者又はその者が指図した者に弁済すべき有価証券。譲渡には裏書と交付が必要です(民法520条の2)。
指図による占有移転
代理人に物を占有させている本人が、以後第三者のために占有するよう命じ、その第三者が承諾することで、第三者が占有権を取得すること(民法184条)。
詐術
制限行為能力者が、自分は行為能力者だと相手に信じさせるために用いる手段のこと。これを用いたときは、その行為を取り消すことができません(民法21条)。
殺人
人を殺すこと(刑法199条)。死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑で、未遂(203条)・予備(201条)も処罰されます。
殺人予備
刑法199条の罪を犯す目的で予備をすること(刑法201条)。2年以下の拘禁刑ですが、ただし書により情状によって刑を免除することができます。
残余財産
清算の結果、債務の弁済等を終えたあとに残る財産のこと。各組合員の出資の価額に応じて分割します(民法688条3項)。
私印
他人の印章等または電磁的記録印章等。刑法167条が、行使の目的での偽造と不正使用を処罰します。
死因贈与
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与のこと。その性質に反しない限り遺贈に関する規定が準用されます(民法554条)。
始期
到来するまで履行の請求ができないものとする期限(民法135条1項)。効力そのものが生じない停止条件とは、条文の書きぶりが異なります。
敷金
名目を問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭(民法622条の2第1項のかっこ書きによる定義)。
事業の執行について
民法715条1項が使用者責任の範囲を画するために使う言葉。被用者の加害行為が使用者の事業と結びついているかを問う要件です。
死刑
刑法11条により、刑事施設内において絞首して執行される刑。言渡しを受けた者は、執行に至るまで刑事施設に拘置されます。
私権
所有権や債権のように、私人と私人との間で認められる権利のこと。国と国民の関係で問題になる公法上の権利と区別されます。
時効
一定の事実状態が続いたことに法律上の効果を認める制度。権利を得る取得時効と、権利が消える消滅時効があり、効力は起算日にさかのぼります(民法144条)。
時効の中断
一定の事由によって、それまで経過した時効期間が効力を失い、ゼロから数え直しになること(刑法34条)。進行が止まるだけの停止より効果が強い制度です。
時効の停止
一定の事由がある間、時効の進行が止まること(刑法33条)。止まっていた分だけ完成が遅れるだけで、それまでに経過した期間は消えません。
自己契約
契約の一方の当事者が、同じ契約について相手方の代理人も兼ねること。代理権を有しない者がした行為とみなされます(民法108条1項本文)。
事後強盗
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、または罪跡を隠滅するために暴行・脅迫をすること(刑法238条)。強盗として論じられます。
事後収賄
公務員であった者が、在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと等に関し、賄賂を収受等すること(刑法197条の3第3項)。退職後の授受を捉えます。
自己の財産に対するのと同一の注意
自分の物を扱うときと同じ程度の注意のこと。善良な管理者の注意より軽い基準で、無報酬の受寄者が負います(民法659条)。
自殺関与
人を教唆しまたは幇助して自殺させること(刑法202条前段)。同意殺人と同じ条文に置かれ、6月以上7年以下の拘禁刑です。
事実の錯誤
行為者が認識していた事実と、実際に起きた事実とが食い違うこと。刑法38条2項は、重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者を、その重い罪によって処断することはできないとしています。
事実の摘示
具体的な事実を示すこと。刑法230条1項の名誉毀損罪はこれを要件とし、231条の侮辱罪は「事実を摘示しなくても」成立する点で区別されます。
自首
罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に自ら申し出ること。刑法42条1項により、その刑を減軽することが「できる」とされています。
自主占有
所有の意思をもってする占有のこと。取得時効(民法162条)の要件であり、民法186条1項によって所有の意思は推定されます。
自書
遺言者が自ら手書きすること。自筆証書遺言では全文・日付・氏名について求められます(民法968条1項)。
事前収賄
公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し請託を受けて賄賂を収受等する類型(刑法197条2項)。公務員となった場合に5年以下の拘禁刑に処せられます。
事前の求償権
委託を受けた保証人が、弁済する前にあらかじめ主たる債務者に求償できる権利(民法460条)。
私戦予備及び陰謀
外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備または陰謀をすること(刑法93条)。自首した者は刑が免除されます。
死体損壊等
死体、遺骨、遺髪または棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、または領得すること(刑法190条)。最高裁は、同条にいう「遺棄」とは習俗上の埋葬等とは認められない態様で死体等を放棄しまたは隠匿する行為をいうとしました。
質権
債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法342条)。設定には目的物の引渡しが必要です(民法344条)。
質物
質権の目的として質権者に引き渡された物のこと。質権者は債権の弁済を受けるまでこれを留置できます(民法347条)。
失火
過失によって火を出し、目的物を焼損すること。刑法116条1項は50万円以下の罰金、2項は自己所有物等の焼損により公共の危険を生じさせた場合を同じ刑で処罰します。
実方
養子から見た、生まれつきの血族の側のこと。特別養子縁組によって実方の父母及びその血族との親族関係が終了します(民法817条の9本文)。
実行の着手
犯罪の実行行為を開始すること。刑法43条は「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者」を未遂としており、着手があってはじめて未遂が問題になります。
失踪の宣告
生死が一定期間明らかでない不在者について、家庭裁判所が利害関係人の請求により行う裁判(民法30条)。宣告を受けた者は死亡したものとみなされます(民法31条)。
指定充当
弁済をする者又は受領する者が、どの債務に充当するかを指定して決める充当(民法488条1項・2項)。
指定相続分
被相続人が遺言で定めた相続分のこと。第三者に定めることを委託することもできます(民法902条1項)。
私的自治の原則
自分の生活関係は自分の意思で自由に決められるという、私法の基本的な考え方。契約自由の原則や、意思表示を出発点とする法律行為の仕組みは、ここから導かれます。
自働債権
相殺をする側が持っている債権のこと。「これで消してくれ」と差し出す側の債権です。
自白による刑の減免
偽証罪(刑法170条)・虚偽告訴罪(173条)について、裁判が確定する前または懲戒処分が行われる前に自白したときに、刑を減軽しまたは免除することができるという仕組み。いずれも任意的です。
支払不能
債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき一般的かつ継続的に弁済することができない状態(民法424条の3第1項1号)。
支払用カード電磁的記録
クレジットカードその他の代金・料金の支払用カードを構成する電磁的記録、および預貯金の引出用カードを構成する電磁的記録。刑法第2編第18章の2が、その不正作出・供用・譲渡し・所持・準備を処罰します。
自筆証書遺言
遺言者が全文・日付及び氏名を自書し、印を押してする遺言のこと(民法968条1項)。財産目録については自書が不要です。
私文書偽造
行使の目的で、他人の印章等を使用して権利・義務または事実証明に関する文書等を偽造すること等(刑法159条1項)。印章等を用いない場合は同条3項が軽い刑を定めます。
私法
私人どうしの関係を規律する法のこと。国家と私人の関係を規律する公法と対になる区分で、民法はその中心にあたります。
事務管理
義務がないのに他人のために事務の管理をすること(民法697条1項)。契約がなくても管理者と本人の間に権利義務が生じます。
事務の分掌
後見人などが数人あるときに、事務を分けて受け持つこと。家庭裁判所が職権で定めます(民法857条の2第3項・859条の2第1項)。
酌量減軽
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときに、刑を減軽すること(刑法66条)。法律上刑を加重・減軽する場合でも、さらに行うことができます(67条)。
受遺者
遺贈を受ける者のこと。限定承認や財産分離の手続では、相続債権者に次ぐ地位に置かれます(民法931条)。
終期
到来した時に法律行為の効力を消滅させる期限(民法135条2項)。
住居侵入
正当な理由がないのに、人の住居や人の看守する邸宅・建造物・艦船に侵入すること(刑法130条前段)。
重婚
配偶者のある者が重ねて婚姻をすること。民法732条が禁じており、違反した婚姻は取消しの対象になります(民法744条)。
重婚罪
配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときに成立する罪(刑法184条)。2年以下の拘禁刑で、その相手方となって婚姻をした者も同じ刑に処せられます。民法732条が重婚を禁じていることと対になっています。
住所
その人の生活の本拠のこと(民法22条)。届出や住民票の記載ではなく、実際の暮らしの実態から判断されます。
終身定期金
当事者の一方が、自己・相手方又は第三者の死亡に至るまで、定期に金銭その他の物を給付する契約に基づく給付のこと(民法689条)。
修繕義務
賃貸人が負う、賃貸物の使用収益に必要な修繕をする義務のこと(民法606条1項本文)。
重大な過失
わずかな注意さえ払えば気づけたのに見落とした、という程度の重い不注意。錯誤が表意者の重大な過失によるときは、原則として取消しができません(民法95条3項)。
収得後知情行使等
貨幣等を収得した後にそれが偽造・変造のものであることを知って行使し、または行使の目的で人に交付すること(刑法152条)。刑は額面価格の3倍以下の罰金または科料で、2000円以下にはできません。
従犯
正犯を幇助した者のこと(刑法62条1項)。刑法63条により、その刑は正犯の刑を減軽したものになります。
従物
物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物を附属させたときの、その附属させた物(民法87条1項)。主物の処分に従います(同条2項)。
重利
延滞した利息を元本に組み入れること。利息の支払が1年分以上延滞し、催告しても支払われないとき、債権者は元本に組み入れることができます(民法405条)。
十六歳未満の者に対する面会要求等
わいせつの目的で、16歳未満の者に対し威迫・偽計・誘惑による面会要求などをすること(刑法182条1項)。面会に至った場合(2項)と、映像の送信を要求した場合(3項)が別に定められています。
収賄
公務員がその職務に関し、賄賂を収受し、またはその要求もしくは約束をすること(刑法197条1項前段)。5年以下の拘禁刑です。
受益者
詐害行為によって利益を受けた者のこと(民法424条1項ただし書)。その行為の時に債権者を害することを知らなかったときは、取消請求を受けません。
受益の意思表示
第三者のためにする契約で、第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示すること。この時に第三者の権利が発生します(民法537条3項)。
受寄者
寄託において物の保管を引き受ける当事者のこと。無報酬のときは自己の財産に対するのと同一の注意で足ります(民法659条)。
熟慮期間
相続人が単純若しくは限定の承認又は放棄をすべき期間のこと。自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月です(民法915条1項本文)。
主刑
それだけで独立して言い渡すことができる刑のこと。刑法9条は、死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料の5種類を主刑としています。
受託収賄
収賄に際して請託を受けた場合の類型(刑法197条1項後段)。刑が5年以下から7年以下の拘禁刑に引き上げられます。
主たる債務者
保証の対象となる債務(主たる債務)を負う者のこと。保証人はその履行を担保します(民法446条1項)。
出資
組合の共同事業のために組合員が拠出する財産等のこと。労務をその目的とすることもできます(民法667条2項)。
出水
水をあふれ出させること。刑法第2編第10章「出水及び水利に関する罪」の中心となる行為で、119条・120条が浸害の結果と結びつけて処罰します。
受働債権
相殺をする側が負っている債務(相手方から見た債権)のこと。相殺によって消される側の債権です。
取得時効
一定期間の占有や権利の行使によって、その権利を取得する時効のこと(民法162条・163条)。所有権なら20年、占有開始時に善意無過失なら10年です。
受任者
委任において事務の処理を引き受ける当事者のこと。善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います(民法644条)。
主物
従物が附属させられている側の物のこと。民法87条2項により、主物を処分すると従物もこれに従います。
首謀者
内乱において中心となった者。刑法77条1項1号は、首謀者を死刑または無期拘禁刑としており、同項が定める3つの区別のうち最も重い扱いです。
受領権者
債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者(民法478条のかっこ書きによる定義)。
受領遅滞
債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないこと。債務者の保存義務が軽減され、増加費用は債権者の負担となります(民法413条)。
種類債権
債権の目的物を種類のみで指定した債権のこと(民法401条1項)。品質を定めることができないときは中等の品質を有する物を給付します。
種類債権の特定
債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得て給付すべき物を指定することで、以後その物が債権の目的物となること(民法401条2項)。
準委任
法律行為でない事務の委託のこと。委任の節の規定が準用されます(民法656条)。
準共有
数人で所有権以外の財産権を有すること。共有の規定(民法262条の2・262条の3を除く)が準用されます(民法264条)。
準詐欺
未成年者の知慮浅薄または人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、または財産上不法の利益を得ること(刑法248条)。詐欺罪と同じ10年以下の拘禁刑です。
準消費貸借
金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合に、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときに成立したものとみなされる消費貸借(民法588条)。
準正
認知された子が、父母の婚姻又は婚姻中の認知によって嫡出子の身分を取得すること(民法789条)。
準占有
自己のためにする意思をもって財産権を行使する場合のこと(民法205条)。物の所持がなくても、占有権の規定が準用されます。
傷害
人の身体を傷害すること(刑法204条)。15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、拘禁刑と罰金の幅がきわめて広い条文です。
傷害致死
身体を傷害し、よって人を死亡させること(刑法205条)。3年以上の有期拘禁刑です。
障害未遂
中止未遂にあたらない未遂のこと。刑法43条本文により、刑を減軽することが「できる」にとどまります。
消火妨害
火災の際に、消火用の物を隠匿しもしくは損壊し、またはその他の方法により消火を妨害すること(刑法114条)。
償金
適法な行為によって相手に生じた損害を埋め合わせるために支払う金銭のこと。相隣関係では、隣地の使用や通行を認める代わりに支払われます。
承継人
前の人の地位や権利を受け継いだ人のこと。相続のようにまとめて承継する包括承継人と、売買のように個別に承継する特定承継人があります。
条件
法律行為の効力を、成就するかどうか分からない事実にかからせる定めのこと。必ず到来する「期限」と区別されます。
証拠隠滅
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、もしくは変造し、または偽造・変造の証拠を使用すること(刑法104条)。条文が「他人の」と限っている点が急所です。
使用者責任
ある事業のために他人を使用する者が、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任のこと(民法715条1項)。
常習賭博
常習として賭博をすること(刑法186条1項)。単純賭博罪が罰金・科料であるのに対し、3年以下の拘禁刑と大きく重くなります。
情状
刑を決めるにあたって考慮される、犯行の事情や犯人の境遇などの一切の事柄。刑法25条の執行猶予や36条2項の過剰防衛の減免は、この情状によって判断されます。
浄水汚染
人の飲料に供する浄水を汚染し、よって使用することができないようにすること(刑法142条)。
焼損
放火罪の結果として条文が要求する状態。刑法108条・109条・110条はいずれも目的物を「焼損した」ことを、116条の失火罪も「焼損した」ことを要件としています。
使用貸借
借主が無償で使用収益をし、契約終了時に返還することを約する契約(民法593条)。無償である点で賃貸借と異なります。
承諾
申込みを受け入れて契約を成立させる意思表示のこと。申込みに対して承諾がされたときに契約が成立します(民法522条1項)。
譲渡制限の意思表示
当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(民法466条2項のかっこ書きによる定義)。これがあっても譲渡自体の効力は妨げられません。
譲渡人
債権譲渡で債権を手放す側、つまり元の債権者のこと。債務者への通知は譲渡人がします(民法467条1項)。
証人
遺言の方式において立ち会う者のこと。公正証書遺言では2人以上の立会いが必要で、未成年者・推定相続人・受遺者などは証人となることができません(民法969条1項1号・974条)。
証人等威迫
刑事事件の捜査・審判に必要な知識を有すると認められる者やその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、または強談威迫の行為をすること(刑法105条の2)。
消費寄託
受寄者が契約により寄託物を消費することができる寄託のこと。種類・品質・数量の同じ物で返還します(民法666条1項)。預金がその例です。
消費貸借
借主が種類・品質・数量の同じ物をもって返還することを約して、貸主から金銭その他の物を受け取ることによって効力を生ずる契約(民法587条)。
私用文書等毀棄
権利または義務に関する他人の文書または電磁的記録を毀棄すること(刑法259条)。5年以下の拘禁刑で、264条により親告罪です。
障壁
隣り合う土地や建物を隔てる壁のこと。境界線上に設けたものは相隣者の共有に属すると推定されます(民法229条)。
消滅時効
権利を行使しないまま一定期間が過ぎることで、その権利が消滅する時効のこと。債権は知った時から5年、行使できる時から10年です(民法166条1項)。
承役地
地役権者以外の者の土地であって、要役地の便益に供されるもの(民法285条1項)。便益を与える側の土地です。
将来債権
譲渡の意思表示の時点でまだ発生していない債権のこと。民法466条の6第1項は、譲渡にあたり債権が現に発生していることを要しないと定めています。
嘱託
本人からの依頼。刑法202条(同意殺人)、213条(同意堕胎)、214条(業務上堕胎)が「嘱託を受け、又はその承諾を得て」という形で用いています。
職務強要
公務員にある処分をさせ、もしくはさせないため、またはその職を辞させるために、暴行または脅迫を加えること(刑法95条2項)。
職務に関し
刑法197条1項が収賄罪の要件として掲げる語。最高裁は、警察官が自ら捜査に関与していない事件について有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨で現金の供与を受けた事案でも、収賄罪が成立するとしました。
所在国外移送
刑法226条は所在国外に移送する目的での略取・誘拐を、226条の3は略取・誘拐・売買された者を現に所在国外へ移送する行為を、それぞれ2年以上の有期拘禁刑で処罰します。
所在等不明共有者
共有者が誰であるか、またはその所在を知ることができない共有者のこと。裁判所の裁判により、その持分を取得したり譲渡したりする道が用意されています(民法262条の2・262条の3)。
所持
物を事実上支配している状態のこと。占有権は、自己のためにする意思をもってこの所持をすることで取得されます(民法180条)。
除斥
公告された期間内に請求の申出をしなかった者を弁済の対象から外すこと(民法927条2項)。ただし知れている相続債権者・受遺者は除斥できません。
処断刑
法定刑に、法律上の加重や減軽を加えて作られる、裁判所が刑を選ぶ枠のこと。刑法14条は、この枠を作るときの上限・下限を定めています。
職権濫用
最高裁は、刑法193条にいう「職権の濫用」とは、公務員がその一般的職務権限に属する事項につき、職権の行使に仮託して実質的・具体的に違法・不当な行為をすることを指すとしました。
初日不算入
日・週・月・年で期間を定めたとき、期間の初日を数に入れないこと(民法140条本文)。ただし、その期間が午前零時から始まるときは初日も算入します。
除名
正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって組合員を脱退させること(民法680条本文)。
所有権
法令の制限内において、自由にその所有物の使用・収益・処分をする権利(民法206条)。物権のなかで最も全面的な支配権です。
所有者不明土地管理命令
所有者やその所在を知ることができない土地について、裁判所が管理人による管理を命ずる処分(民法264条の2第1項)。令和3年改正で新設されました。
所有の意思
その物を自分のものとして持つ意思のこと。民法162条の取得時効の要件であり、所有権以外の財産権については「自己のためにする意思」とされます(民法163条)。
事理を弁識する能力
物事の道理をわきまえ、自分の行為の結果を判断する能力のこと。これを「欠く常況」なら後見、「著しく不十分」なら保佐、「不十分」なら補助の対象になります。
浸害
出水によって目的物を水につけ、害すること。刑法119条は現住建造物等の浸害を、120条はそれ以外の物の浸害を定めます。放火罪の「焼損」に対応する結果です。
信義則
権利を使うときも義務を果たすときも、相手の信頼を裏切らないよう誠実に行動しなければならないという原則(民法1条2項)。「信義誠実の原則」の略です。
親権
父母が未成年の子を監護教育し、その財産を管理する権利義務のこと。離婚の場面では誰が行うかを定める必要があります。
親権者
親権を行う者のこと。夫婦間に成年に達しない子があるときは、離婚の届出の受理にあたりその定めがされていること等が確かめられます(民法765条1項)。
親権喪失
虐待・悪意の遺棄など、親権の行使が著しく困難又は不適当で子の利益を著しく害するときに、家庭裁判所の審判によって親権を失わせること(民法834条)。
親権停止
親権の行使が困難又は不適当で子の利益を害するときに、2年を超えない範囲で期間を定めて親権を停止する審判のこと(民法834条の2)。
親権の共同行使
親権を父母が共同して行うこと(民法824条の2第1項本文)。一方のみが親権者であるときなど、条文が挙げる場合には単独で行います。
親告罪
告訴がなければ公訴を提起することができない罪。刑法135条は、秘密を侵す罪(信書開封罪・秘密漏示罪)を親告罪としています。
信書隠匿
他人の信書を隠匿すること(刑法263条)。6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料で、264条により親告罪です。刑法133条の信書開封罪とは章も客体の扱いも異なります。
信書開封
正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けること(刑法133条)。刑法135条により親告罪です。
心神耗弱
刑法39条2項が「その刑を減軽する」と定める者の状態。心神喪失とは異なり犯罪は成立しますが、減軽は必要的で、裁判所の裁量ではありません。
心神喪失
刑法39条1項が「罰しない」と定める者の状態。刑法は定義を置いておらず、責任を問う前提となる能力を欠く場合として扱われます。犯罪は成立しません。
人身売買
刑法226条の2が定める罪。人を買い受ける行為(1項〜3項)、売り渡す行為(4項)、所在国外に移送する目的での売買(5項)を、相手の年齢や目的に応じて段階的に処罰します。
親族
六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族のこと(民法725条)。日常語の「親戚」より範囲が条文ではっきり決まっています。
親族間の犯罪に関する特例
配偶者、直系血族または同居の親族との間で窃盗罪等を犯した者は、その刑を免除するという規定(刑法244条1項)。いわゆる親族相盗例で、最高裁は内縁の配偶者には適用も類推適用もされないとしました。
親等
親族関係の遠近を表す単位。親族間の世代数を数えて定めます(民法726条1項)。
信用毀損
虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて人の信用を毀損すること(刑法233条前段)。同条後段の業務妨害と1つの条文に置かれています。
心裡留保
本心ではないと自分で分かっていながら意思表示をすること。冗談で「この時計を売る」と言うような場合です。
随意条件
成否が当事者の意思次第で決まる条件のこと。停止条件が単に債務者の意思のみに係るときは、その法律行為は無効です(民法134条)。
推定
一応そうであるものとして扱い、争う側に反対の証明を求めること。「みなす」と違い、反証があれば覆ります。
推定相続人
相続が開始した場合に相続人となるべき者のこと(民法892条括弧書き)。
水道汚染
水道により公衆に供給する飲料の浄水またはその水源を汚染し、よって使用することができないようにすること(刑法143条)。浄水汚染罪(142条)より大幅に重く処罰されます。
水道損壊及び閉塞
公衆の飲料に供する浄水の水道を損壊し、または閉塞すること(刑法147条)。1年以上10年以下の拘禁刑です。
水防妨害
水害の際に、水防用の物を隠匿しもしくは損壊し、またはその他の方法により水防を妨害すること(刑法121条)。消火妨害罪(114条)と同じ構造です。
水利妨害
堤防を決壊させ、水門を破壊し、その他水利の妨害となるべき行為をすること(刑法123条)。同条は出水させるべき行為も並べて処罰します。
制限行為能力者
未成年者・成年被後見人・被保佐人・民法17条1項の審判を受けた被補助人の4者をまとめた呼び名(民法13条1項10号)。
清算人
組合が解散したときに清算の事務を行う者のこと。総組合員が共同して行うか、選任された清算人が行います(民法685条1項)。
請託
職務に関して一定の行為を依頼すること。これを受けたかどうかで、刑法197条1項後段(受託収賄)、197条の2(第三者供賄)、197条の3第3項(事後収賄)、197条の4(あっせん収賄)の成否や刑が変わります。
正当行為
刑法35条により罰せられない、法令による行為または正当な業務による行為のこと。外形は犯罪にあたっても、違法性がないものとして扱われます。
正当な利益
民法474条2項・499条で第三者弁済や弁済による代位の扱いを分ける基準となる、弁済をするについての利益のこと。
正当な理由
代理人の権限があると第三者が信じたことを是とするだけの事情。民法110条のほか、109条2項・112条2項でも、権限外の行為について責任を認める要件とされています。
正当防衛
他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利・利益を防衛するためやむを得ずする加害行為のこと。損害賠償責任を負いません(民法720条1項)。
正当防衛
急迫不正の侵害に対し、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為のこと(刑法36条1項)。要件を満たせば罰せられません。
成年後見人
成年被後見人に付される保護者(民法8条)。家庭裁判所が後見開始の審判をするときに、職権で選任します(民法843条1項)。
成年被後見人
後見開始の審判を受けた人のこと(民法8条)。その法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて取り消すことができます。
正犯
自ら犯罪を実行した者のこと。刑法60条は、2人以上共同して犯罪を実行した者はすべて正犯とすると定めています。
世界主義
国際社会が共通して取り締まるべき犯罪について、犯行地や犯人の国籍を問わず自国の刑法を適用する考え方。刑法4条の2(条約による国外犯)がこれにあたります。
責任年齢
刑事責任を問うことができる年齢。刑法41条は14歳に満たない者の行為は罰しないと定めており、14歳がその下限です。
責任能力
自己の行為の責任を弁識するに足りる知能のこと。これを備えていない者は、他人に損害を加えても賠償責任を負いません(民法712条・713条)。
責任無能力者
責任能力を欠くために不法行為責任を負わない者のこと。代わりに監督義務者が責任を負うことがあります(民法714条)。
窃盗
他人の財物を窃取すること(刑法235条)。10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、243条により未遂も罰せられます。
善意
ある特定の事情や事実を『知らない』こと。道徳的な善悪とは関係ありません。
宣告刑
処断刑の枠の中から、裁判所が具体的に言い渡す刑のこと(「拘禁刑2年」など)。執行猶予を付けるかどうかは、この宣告刑を前提に判断されます。
宣誓
証人・鑑定人等が真実を述べる旨を誓う手続。刑法169条・171条は「法律により宣誓した」者だけを主体としており、宣誓のない供述は偽証罪の対象になりません。
選択権
選択債権において、どの給付をするかを決める権利。相手方に対する意思表示によって行使します(民法407条1項)。
選択債権
数個の給付の中から選択によって内容が定まる債権のこと。選択権は原則として債務者に属します(民法406条)。
前夫
民法774条4項が定義する語で、子の懐胎の時から出生の時までの間に母と婚姻していた者であって子の父以外のものを指します。
占有
物を事実上支配していること。所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有し続けると、取得時効が成立し得ます(民法162条)。
占有回収の訴え
占有を奪われたときに、物の返還と損害の賠償を請求する訴え(民法200条1項)。占有を奪われた時から1年以内に提起しなければなりません(民法201条3項)。
占有改定
代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示することで、本人が占有権を取得すること(民法183条)。物は動かないまま占有だけが移ります。
占有権
自己のためにする意思をもって物を所持することで取得する物権(民法180条)。その物を持ってよい権利(本権)があるかどうかとは切り離して保護されます。
占有の訴え
占有を妨害されたときなどに、占有それ自体を根拠として救済を求める訴え(民法197条〜202条)。保持・保全・回収の3種類があります。
占有保持の訴え
占有を妨害されたときに、妨害の停止と損害の賠償を請求する訴え(民法198条)。妨害が続いている間か、消滅した後1年以内に提起します(民法201条1項)。
占有保全の訴え
占有を妨害されるおそれがあるときに、妨害の予防または損害賠償の担保を請求する訴え(民法199条)。まだ妨害が起きていない段階で使えます。
善良な管理者の注意
その立場の人に通常求められる程度の注意のこと。共有物を使用する共有者や各種の管理人が負う注意義務の基準です(民法249条3項・264条の5第1項など)。
相殺
互いに同種の債務を負う者の一方の意思表示により、対当額で双方の債務を消滅させること(民法505条)。
相殺適状
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担し、双方の債務が弁済期にあるなど、相殺ができる状態にあること(民法505条1項)。
相続
死亡した者の財産に属した一切の権利義務を、相続人が承継すること。死亡によって開始します(民法882条)。
相続回復請求権
相続権を侵害された相続人が、その侵害の排除を求める権利のこと。5年・20年の期間制限があります(民法884条)。
相続債権者
相続財産に属する債務の債権者のこと(民法927条1項括弧書き)。相続人自身の債権者と区別されます。
相続財産
被相続人の財産に属した一切の権利義務のこと。被相続人の一身に専属したものは除かれます(民法896条ただし書)。
相続財産の清算人
相続人のあることが明らかでない場合に、家庭裁判所が利害関係人又は検察官の請求によって選任する者のこと(民法952条1項)。
相続財産法人
相続人のあることが明らかでないときに、相続財産そのものが法人とされること(民法951条)。相続人のあることが明らかになれば成立しなかったものとみなされます。
相続人
相続する側の人のこと。子(民法887条)・直系尊属及び兄弟姉妹(民法889条)・配偶者(民法890条)が民法の定める相続人です。
相続人の欠格事由
被相続人を死亡させた者や遺言書を偽造・隠匿した者など、当然に相続人となることができなくなる事由のこと(民法891条)。
相続の放棄
相続人としての地位を放棄すること。熟慮期間内に家庭裁判所に申述してします。
相続分
各共同相続人が相続財産を承継する割合のこと。法定相続分(民法900条)と指定相続分(民法902条)があります。
相対的効力の原則
連帯債務者や連帯債権者の一人について生じた事由は、条文が定める場合を除き、他の者に効力を生じないという原則(民法441条・435条の2)。
双方代理
同一の法律行為について、同じ人が当事者双方の代理人となること。代理権を有しない者がした行為とみなされます(民法108条1項本文)。
双務契約
契約の両当事者が互いに対価的な意味を持つ債務を負う契約のこと。売買や賃貸借がこれにあたり、同時履行の抗弁や危険負担の規定が適用されます。
贈与
当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって効力を生ずる契約(民法549条)。
騒乱
多衆で集合して暴行または脅迫をすること(刑法106条)。首謀者・指揮者や率先助勢者・付和随行者の3段階に分けて処断されます。
相隣関係
隣り合う土地の所有者どうしの利害を調整する民法209条〜238条のルール。所有権を互いに少しずつ制限し、また少しずつ広げます。
贈賄
刑法197条から197条の4までに規定する賄賂を供与し、またはその申込みもしくは約束をすること(刑法198条)。3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金です。
遡及処罰の禁止
行為の時点で犯罪とされていなかった行為を、後からできた法律で処罰してはならないという原則。刑法6条は、犯罪後に刑が変更されたときは軽いものによると定めて、この考え方を刑の重さの面でも徹底しています。
即時取得
取引行為によって平穏・公然と動産の占有を始めた者が、善意無過失であれば即時にその動産の権利を取得すること(民法192条)。無権利者から買っても保護される制度です。
属人主義
犯人の「国籍」を基準に自国の刑法を適用する考え方。刑法3条が、日本国外で一定の罪を犯した日本国民に刑法を適用するとしているのがこれにあたります。
属地主義
犯罪が行われた「場所」を基準に自国の刑法を適用する考え方。刑法1条1項が、日本国内で罪を犯したすべての者に刑法を適用するとしているのがこれにあたります。
組成物件
刑法19条1項1号の「犯罪行為を組成した物」。賄賂として渡された金銭のように、それが無ければその犯罪が成り立たないという関係にある物を指します。
損益分配
組合の利益と損失を組合員に分けること。割合を定めなかったときは各組合員の出資の価額に応じて定めます(民法674条1項)。
尊属
父母・祖父母など、自分より前の世代にある血族のこと。尊属や年長者を養子とすることはできません(民法793条)。
た行
代位者
弁済によって債権者に代位した者のこと。債権の一部について代位弁済をした場合の扱いは民法502条が定めます。
代価弁済
抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済すること。これにより抵当権はその第三者のために消滅します(民法378条)。
代金減額請求権
契約不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる権利(民法563条)。原則として追完の催告をしたうえで行使します。
対抗要件
当事者間で成立した権利関係を、第三者に対して『自分が権利者だ』と主張するために必要な要件(不動産における登記など)。
対抗要件具備時
譲渡人が民法467条の通知をし、又は債務者が同条の承諾をした時(民法466条の6第3項のかっこ書きによる定義)。債務者の抗弁や相殺の基準時になります。
第三債務者
質権や差押えの目的とされた債権の債務者のこと。債権質では、この者への通知又はこの者の承諾が対抗要件となります(民法364条)。
第三者
契約の当事者以外の人のこと。民法177条では「登記がないことを主張する正当な利益を有する者」に限られます。
第三者供賄
公務員がその職務に関し請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、またはその供与の要求もしくは約束をすること(刑法197条の2)。自分では受け取らない形を捉えます。
第三者のためにする契約
契約により当事者の一方が第三者に給付をすることを約する契約のこと。第三者は債務者に対して直接その給付を請求する権利を持ちます(民法537条1項)。
第三者の弁済
債務者以外の第三者がする弁済のこと。原則としてすることができますが、正当な利益を有しない第三者には制限があります(民法474条)。
第三取得者
担保の目的物を取得した第三者のこと。先取特権は、債務者が目的である動産を第三取得者に引き渡した後は行使できません(民法333条)。
胎児
まだ生まれていない子のこと。権利能力は出生に始まりますが、損害賠償請求権については既に生まれたものとみなされます(民法721条)。
代襲相続
相続人となるべき子等が相続開始以前に死亡し、又は欠格・廃除で相続権を失ったときに、その者の子が代わって相続人となること(民法887条2項)。
代償請求権
履行不能と同一の原因により債務者が目的物の代償である権利又は利益を取得したとき、債権者が受けた損害の額の限度でその移転又は償還を求める権利(民法422条の2)。
対当額
相殺によって消滅する、双方の債務が重なり合う額のこと(民法505条1項)。
代物弁済
債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることで債務を消滅させる契約をし、その他の給付をすること。弁済と同一の効力を有します(民法482条)。
逮捕及び監禁
不法に人を逮捕し、または監禁すること(刑法220条)。3月以上7年以下の拘禁刑で、221条は死傷の結果が生じた場合を定めます。
代理権
本人に代わって法律行為をし、その効果を本人に生じさせることができる権限のこと。
代理占有
他人(占有代理人)に物を所持させることで、本人が占有権を持つこと(民法181条)。賃借人に貸している間も、賃貸人は占有権を失いません。
対話者
その場で意思疎通ができる状態にある相手方のこと。対話者に対する承諾期間の定めのない申込みには、民法525条2項・3項の特則があります。
多衆
多くの人の集まり。刑法106条は「多衆で集合して暴行又は脅迫をした者」を騒乱の罪とし、107条は暴行・脅迫のため集合した多衆が解散命令に従わない場合を処罰します。
多衆不解散
暴行または脅迫をするため多衆が集合した場合に、権限のある公務員から解散の命令を3回以上受けたにもかかわらず解散しないこと(刑法107条)。
他主占有
所有の意思のない占有のこと。賃借人や受寄者のように、返すべき物として持っている場合が典型です。民法185条の要件を満たさない限り性質は変わりません。
堕胎
刑法第2編第29章が定める罪の対象となる行為。212条は妊娠中の女子自身の堕胎を、213条以下は他人が堕胎させる場合を、同意の有無や身分によって段階的に定めます。
脱退
組合員が組合から抜けること。任意脱退(民法678条)と、死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判・除名による非任意脱退(民法679条)があります。
他人の権利の売買
他人に属する権利を目的とする売買のこと。契約は有効で、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負います(民法561条)。
他人の占有等に係る自己の財物
自己の財物であっても、他人が占有し、または公務所の命令により他人が看守するものであるときは、窃盗及び強盗の罪については他人の財物とみなされます(刑法242条)。251条・255条により詐欺・恐喝の罪にも準用されます。
短期賃貸借
処分の権限を有しない者がする賃貸借のこと。目的物ごとに存続期間の上限が定められています(民法602条)。
談合
競売や入札の参加者が事前に示し合わせること。刑法96条の6第2項は、公正な価格を害しまたは不正な利益を得る目的で談合した者を、同条1項と同じ刑で処罰します。
単純承認
無限に被相続人の権利義務を承継する旨の意思表示のこと(民法920条)。
単独行為
契約と違い、一方の意思表示だけで効果が生じる法律行為のこと(取消しや解除など)。その無権代理には、民法118条が契約より厳しい条件を置いています。
担保責任
引き渡した目的物に問題があったときに負う責任のこと。共有物の分割では、各共有者が他の共有者の取得した物について売主と同じく持分に応じて負います(民法261条)。
担保物権
債権の回収を確実にするために物の価値を押さえる物権の総称。民法は留置権・先取特権・質権・抵当権の4つを定めています(民法295条以下)。
地役権
設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利(民法280条)。通行や引水のために設定されます。
竹木
竹や樹木のこと。隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは切除させることができ、根が越えるときは自分で切り取れます(民法233条)。
地上権
他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する物権(民法265条)。同じ「借りて使う」でも、債権である賃借権とは性質が異なります。
地代
土地を使わせてもらう対価として支払う金銭のこと。地上権では必ずしも必要ではなく、支払う場合には民法274条から276条までの規定が準用されます(民法266条1項)。
嫡出である子
婚姻関係にある父母の間に生まれた子のこと。民法790条1項により父母の氏を称します。
嫡出でない子
婚姻関係にない男女の間に生まれた子のこと。父又は母の認知によって法律上の親子関係が生じます(民法779条)。
嫡出の推定
妻が婚姻中に懐胎した子などを、その婚姻における夫の子と推定すること(民法772条)。あくまで推定であり、嫡出否認によって覆されることがあります。
嫡出否認
民法772条により定められた父子関係を否定すること。嫡出否認の訴えによって行います(民法775条1項)。
中間利息の控除
将来取得すべき利益の賠償額を定めるとき、その利益を取得すべき時までの利息相当額を差し引くこと。損害賠償請求権が生じた時点の法定利率によります(民法417条の2)。
中止未遂
自己の意思により犯罪を中止した場合の未遂(刑法43条ただし書)。刑は必ず減軽または免除されます。
注文者
請負において仕事の完成を注文し、報酬を支払う当事者のこと。仕事の完成前はいつでも損害を賠償して解除できます(民法641条)。
直系血族
祖父母・父母・子・孫のように、世代が上下にまっすぐつながる血族のこと。
賃借権
賃貸借契約に基づいて賃借人が有する、目的物を使用収益する権利のこと。債権ですが、不動産では登記により第三者に対抗できます(民法605条)。
賃借人
賃貸借において、物を使用収益し賃料を支払う当事者のこと。
賃貸借
当事者の一方が物の使用収益を相手方にさせ、相手方が賃料を支払い、契約終了時に物を返還することを約する契約(民法601条)。
賃貸人
賃貸借において、物の使用収益をさせる義務を負う当事者のこと。修繕義務(民法606条1項)などを負います。
賃料
賃貸借において、物の使用収益の対価として賃借人が支払う金銭その他の給付のこと。
追完請求権
契約不適合があるとき、買主が売主に対し目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しを請求できる権利(民法562条1項)。
追徴
没収すべき物を没収できないときに、その価額に相当する金銭の納付を命じること(刑法19条の2)。対象は、犯罪によって生じ・得た物や、その対価として得た物に限られます。
追認
取り消すことができる行為を、あとから「これでよい」と認めて、もう取り消せないものとして確定させること(民法122条)。
通貨偽造
行使の目的で、通用する貨幣・紙幣・銀行券を偽造しまたは変造すること(刑法148条1項)。無期または3年以上の拘禁刑という重い法定刑が定められています。
通貨偽造等準備
貨幣・紙幣・銀行券の偽造または変造の用に供する目的で、器械または原料を準備すること(刑法153条)。
通常損害
債務の不履行によって通常生ずべき損害のこと。損害賠償の請求は、これを賠償させることを目的とします(民法416条1項)。
通訳人
口がきけない者又は耳が聞こえない者が遺言をする場合に、その申述等を通訳する者のこと(民法969条の2第1項・972条1項・976条2項など)。
定款
法人の目的や名称などの基本的な事項を定めた根本規則。民法34条は、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内で法人が権利を有し義務を負うとしています。
定期贈与
定期の給付を目的とする贈与のこと。贈与者または受贈者の死亡によって効力を失います(民法552条)。
定型取引
ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引で、その内容の全部または一部が画一的であることが双方にとって合理的なもの(民法548条の2第1項のかっこ書きによる定義)。
定型約款
定型取引において、契約の内容とすることを目的として特定の者により準備された条項の総体のこと(民法548条の2第1項のかっこ書きによる定義)。
定型約款準備者
定型約款を準備した者のこと(民法548条の2第1項第2号のかっこ書きによる定義)。約款の内容の表示義務や変更のルールを負います。
停止条件
成就するまで法律行為の効力の発生を止めておく条件。停止条件付法律行為は、条件が成就した時から効力を生じます(民法127条1項)。
邸宅
刑法130条が住居・建造物・艦船と並べて掲げる客体の一つ。条文は「人の看守する邸宅」としており、看守されていることが要件になります。
抵当権
目的物の占有を移さずに設定できる担保物権(民法369条以下)。先取特権の効力については、その性質に反しない限り抵当権の規定が準用されます(民法341条)。
抵当権消滅請求
抵当不動産の第三取得者が、代価等を提供して抵当権の消滅を求める手続(民法379条・383条)。主たる債務者・保証人及びその承継人はすることができません(民法380条)。
抵当建物使用者
抵当権者に対抗できない賃貸借により抵当建物を使用収益する者のうち、競売手続の開始前から使用収益する者などをいいます(民法395条1項)。買受けの時から6か月間は建物を引き渡さなくてよいとされます。
抵当不動産
抵当権の目的である不動産のこと。民法370条が条文中でこの語を定義しています。
手付
契約締結の際に買主から売主へ交付される金銭のこと。民法557条1項は、これを放棄しまたは倍額を現実に提供して解除できる解約手付と扱っています。
電気
刑法245条は「この章の罪については、電気は、財物とみなす」と定めます。251条・255条により、詐欺及び恐喝の罪・横領の罪にも準用されます。
電子計算機使用詐欺
人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報等を与えて財産権の得喪等に係る不実の電磁的記録を作るなどして、財産上不法の利益を得ること(刑法246条の2)。人を欺く相手がいない場面を受け止めるために置かれた条文です。
電子計算機損壊等業務妨害
業務に使用する電子計算機や電磁的記録を損壊するなどして、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、または使用目的に反する動作をさせて業務を妨害すること(刑法234条の2第1項)。同条2項により未遂も罰せられます。
転質
質権者が、その権利の存続期間内において自己の責任で質物をさらに質入れすること(民法348条)。これによって生じた損失は、不可抗力によるものであっても責任を負います。
電磁的記録
刑法7条の2が定める、人の知覚では認識できない方式で作られ、コンピュータによる情報処理に使われる記録のこと。紙の文書ではないデータを刑法が扱うための入り口となる定義です。
電磁的記録印章等
刑法155条1項2号が定義する語で、印章等として表示されることとなる電磁的記録をいいます。押印・署名のデジタル版を条文に取り込んだものです。
電磁的記録不正作出
人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利・義務・事実証明に関する電磁的記録を不正に作ること(刑法161条の2第1項)。公務所等により作られるべき記録に係るときは2項で加重されます。
転借人
転貸を受けた者のこと。適法な転貸のときは賃貸人に対して直接に義務を負います(民法613条1項)。
転貸
賃借人がさらに第三者に賃貸すること。賃貸人の承諾がなければできません(民法612条1項)。
転得者
受益者に移転した財産をさらに取得した者のこと。一定の要件を満たす場合に限り詐害行為取消請求の相手方となります(民法424条の5)。
天然果実
物の用法に従い収取する産出物のこと(民法88条1項)。果物や作物のように、物そのものから生まれてくる実りを指します。
同意
保護者が、本人のする法律行為をしてよいとあらかじめ認めること。同意を得なければならない行為を同意なくしたときは、その行為を取り消すことができます(民法5条2項・13条4項・17条4項)。
同意殺人
人をその嘱託を受け、またはその承諾を得て殺すこと(刑法202条後段)。殺人罪より大幅に軽い6月以上7年以下の拘禁刑です。
同意堕胎
女子の嘱託を受け、またはその承諾を得て堕胎させること(刑法213条前段)。よって女子を死傷させたときは、同条後段により重く処断されます。
登記
不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。
同居・協力・扶助の義務
夫婦が互いに負う、民法752条が定める義務のこと。婚姻の効力として当然に生じます。
動産
不動産以外の物のこと(民法86条2項)。条文が「すべて」としているため、有体物は不動産か動産のいずれかに必ず分類されます。
同時死亡の推定
数人が死亡し、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときに、同時に死亡したものと推定すること(民法32条の2)。「みなす」ではないため、死亡の前後が証明されればその証明が優先します。
同時傷害の特例
2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合に、傷害の軽重や傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても共犯の例によるという規定(刑法207条)。最高裁は、後行者に責任を問い得るのは、その暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するときに限られるとしました。
同時履行の抗弁
双務契約の当事者の一方が、相手方が債務の履行を提供するまで自己の債務の履行を拒むことができるという権利(民法533条)。
逃走
法令により拘禁された者が、その拘禁から脱すること。刑法97条が3年以下の拘禁刑で処罰し、102条により未遂も罰せられます。
逃走援助
法令により拘禁された者を逃走させる目的で、器具を提供するなど逃走を容易にすべき行為をすること(刑法100条1項)。同条2項は、同じ目的での暴行・脅迫を重く処罰します。
到達主義
意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じるという建て付け(民法97条1項)。発した時ではない点が要です。
盗品譲受け等
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けること(刑法256条1項)と、運搬・保管・有償譲受け・有償処分のあっせん(同条2項)。2項は拘禁刑と罰金の併科です。
特定遺贈
特定の財産を指定してする遺贈のこと。包括遺贈と対になる区別です(民法964条)。
特定財産承継遺言
遺産の分割の方法の指定として、遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言のこと(民法1014条2項)。
特定承継人
売買や贈与のように、個々の権利を個別に受け継いだ人のこと。占有回収の訴えは、原則としてこの特定承継人に対しては提起できません(民法200条2項)。
特定物
当事者がその物の個性に着目して指定した物のこと。中古の一軒家や絵画など、代わりのきかない物です。引渡しまで善良な管理者の注意をもって保存する義務が生じます(民法400条)。
毒物等混入
浄水に毒物その他人の健康を害すべき物を混入すること。刑法144条が人の飲料に供する浄水について、146条が水道により公衆に供給する浄水・水源について定めます。
特別縁故者
被相続人と生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者のこと。清算後残存すべき相続財産の分与を請求できます(民法958条の2)。
特別寄与者
被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族のこと(民法1050条1項)。相続人等は除かれます。
特別寄与料
特別寄与者がその寄与に応じた額として相続人に対し支払を請求することができる金銭のこと(民法1050条1項)。
特別刑法
刑法典以外の法律に置かれた刑罰規定のこと(道路交通法や覚醒剤取締法の罰則など)。刑法8条により、特別の規定がない限り刑法総則が適用されます。
特別公務員
刑法194条・195条が主体とする、裁判・検察もしくは警察の職務を行う者またはこれらの職務を補助する者。195条2項は、拘禁された者を看守し護送する者も同じ扱いとします。
特別失踪
死亡の原因となるべき危難に遭遇した者について、危難が去った後などから1年間で認められる失踪の宣告(民法30条2項)を指す呼び方。条文上の用語ではありません。
特別受益
共同相続人が被相続人から受けた遺贈、又は婚姻・養子縁組のため若しくは生計の資本としての贈与のこと。相続分の計算で持ち戻されます(民法903条1項)。
特別損害
特別の事情によって生じた損害のこと。当事者がその事情を予見すべきであったときは、賠償を請求できます(民法416条2項)。
特別代理人
特定の手続のために家庭裁判所が選任する代理人のこと。嫡出否認の訴えで親権を行う母がないときに選任されます(民法775条2項)。
特別の先取特権
債務者の特定の動産又は不動産について成立する先取特権(民法311条・325条)。一般の先取特権と競合するときは、これに優先します(民法329条2項)。
特別法
特定の人・場所・事柄に限って適用される法のこと(借地借家法、商法など)。一般法に優先して適用されます。
特別養子縁組
家庭裁判所が成立させる、実方の血族との親族関係が終了する縁組のこと(民法817条の2第1項)。普通の養子縁組と違い、実親との関係が切れます。
特有財産
夫婦の一方が婚姻前から有する財産、および婚姻中自己の名で得た財産のこと。夫婦の一方が単独で有する財産です(民法762条1項)。
土地の工作物責任
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があったことで他人に損害が生じた場合に、占有者・所有者が負う責任のこと(民法717条)。
賭博
偶然の勝敗によって財物等の得喪を争うこと。刑法185条が50万円以下の罰金または科料で処罰し、ただし書で「一時の娯楽に供する物」を賭けたにとどまる場合を除外しています。
賭博場開張等図利
賭博場を開張し、または博徒を結合して利益を図ること(刑法186条2項)。3月以上5年以下の拘禁刑で、賭博の場を用意して儲ける側を捉えます。
富くじ
刑法187条が発売(1項)・発売の取次ぎ(2項)・授受(3項)を段階的に処罰する対象。関わり方が薄くなるほど刑が軽くなる三段構えです。
取消し
一応有効に成立した法律行為を、取消権者の主張によってはじめにさかのぼって無効とすること。
取引の安全
外から見える権利関係を信じて取引した人が、あとから覆されて損をしないように保護すること。当事者本人の保護とぶつかったとき、どちらを優先するかが問題になります。
な行
内乱
国の統治機構を破壊し、またはその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をすること(刑法77条1項)。
日常の家事に関する債務
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者とした法律行為から生じた債務のこと。他方も連帯して責任を負います(民法761条本文)。
任意規定
当事者が異なる合意をすればそちらが優先する規定。民法91条にいう「公の秩序に関しない規定」がこれにあたります。
任意代理
本人が代理権を与えることによって生じる代理のこと。民法は「委任による代理」と呼び、復代理人の選任を制限しています(民法104条)。
認許
外国法人の成立を、日本の法律上も認めること(民法35条1項)。認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有します(同条2項)。
認知
嫡出でない子について、父又は母が自分の子であると認める意思表示のこと。出生の時にさかのぼって効力を生じます(民法784条本文)。
認知の訴え
子・その直系卑属又はこれらの者の法定代理人が提起できる訴えのこと(民法787条本文)。任意の認知がされない場合に用います。
根抵当権
一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権(民法398条の2)。継続的な取引から生じる債権をまとめて担保できます。
根保証契約
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(民法465条の2第1項のかっこ書きによる定義)。
年長者
自分より年上の者のこと。民法793条は、尊属とあわせて養子とすることを禁じています。
は行
配偶者
婚姻の相手方のこと。民法725条2号により親族に含まれますが、血族でも姻族でもなく親等もありません。
配偶者居住権
被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた配偶者が、その居住建物の全部について無償で使用及び収益をする権利のこと(民法1028条1項)。
配偶者短期居住権
被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた配偶者が、一定の日までの間、その建物について無償で使用する権利のこと(民法1037条1項)。
廃除
虐待・重大な侮辱・著しい非行があったときに、被相続人の請求により家庭裁判所が推定相続人の相続権を失わせること(民法892条)。欠格と違い、被相続人の意思によります。
賠償額の予定
当事者があらかじめ債務不履行の損害賠償の額を定めておくこと。違約金は賠償額の予定と推定されます(民法420条)。
背信行為
賃貸人に対する信頼を裏切る行為のこと。無断譲渡・無断転貸があっても、背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとして解除が認められないことがあります。
背信的悪意者
単に事情を知っているだけでなく、相手を害する目的など、信義に反する事情のある者。判例上、登記がなくても対抗できる相手とされます。
配当加入
財産分離の命令があったときに、他の相続債権者・受遺者が公告された期間内に申し出て弁済を受ける手続に加わること(民法941条2項)。
背任
他人のためにその事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えること(刑法247条)。
売買
当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方が代金を支払うことを約することによって効力を生ずる契約(民法555条)。
破産者
破産手続開始の決定を受けた者のこと。未成年者とともに遺言執行者となることができません(民法1009条)。
罰金
一定額のお金を強制的に取り立てる財産刑。刑法15条により1万円以上で、減軽するときは1万円未満に下げることができます。
犯情
情状のうち、犯罪行為そのものの重さに関わる事情のこと(結果の大小、動機、態様など)。刑法10条3項や27条の2第1項が判断の基準として挙げています。
パンデクテン方式
共通するルールをくくり出して「総則」として前に置く、法典の編成方式のこと。民法が第1条から総則で始まり、各編の冒頭にも総則が置かれているのはこの方式によります。
犯人蔵匿
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を、隠れ場所を与えてかくまうこと(刑法103条)。
頒布
最高裁は、刑法175条1項後段にいう「頒布」とは、不特定または多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいうとしました。
被害者側の過失
過失相殺で考慮される「被害者の過失」に含まれるとされる、被害者本人と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられる関係にある者の過失のこと。
引受人
債務引受によって債務者の債務と同一の内容の債務を負担する者のこと。
引渡し
占有を相手方に移すこと。動産に関する物権の譲渡は、引渡しがなければ第三者に対抗できません(民法178条)。民法は4つの方法を用意しています。
非現住建造物等
現に人が住居に使用せず、かつ現に人がいない建造物・艦船・鉱坑(刑法109条)。汽車・電車が挙がっていない点で108条と客体が異なります。
被拘禁者奪取
法令により拘禁された者を奪い取ること(刑法99条)。逃走罪と違い、拘禁されている本人ではなく外部の者が主体です。
被後見人
後見を受ける者のこと。民法794条は、未成年被後見人及び成年被後見人をあわせてこう呼びます。
非債弁済
存在しない債務の弁済として給付をすること。債務の存在しないことを知ってした場合は返還を請求できません(民法705条)。
被相続人
相続される側の人、すなわち死亡した者のこと。
被代位権利
債権者代位権によって行使される、債務者に属する権利のこと(民法423条1項)。債務者の一身に専属する権利と差押えを禁じられた権利は除かれます。
必要的取消し
条文の要件にあたれば、裁判所が必ず取り消さなければならない場合のこと。刑法26条・27条の4は「取り消さなければならない」と定めています。
必要費
物の保存のために支出した費用のこと。占有者は回復者に償還させることができますが、果実を取得したときは通常の必要費は自己負担となります(民法196条1項)。
人の看守する建造物
刑法130条の客体の一つ。最高裁は、これを人が事実上管理・支配する建造物をいうとしました。
否認権
子が嫡出であることを否認する権利のこと。父・子・母・前夫がそれぞれ有します(民法774条)。
被保佐人
事理を弁識する能力が著しく不十分だとして、保佐開始の審判を受けた人(民法12条)。民法13条1項が列挙する重要な行為をするには、保佐人の同意が必要です。
被補助人
事理を弁識する能力が不十分だとして、補助開始の審判を受けた人(民法16条)。同意が必要になるのは、審判で個別に定められた特定の法律行為だけです。
秘密証書遺言
内容を秘密にしたまま、封書を公証人及び証人に提出して自己の遺言書であることを申述してする遺言のこと(民法970条)。
秘密漏示
医師・薬剤師・弁護士・公証人など刑法134条が列挙する職にある者(またはあった者)が、正当な理由がないのに、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らすこと。
表意者
意思表示をした側の人のこと。売買でいえば「売ります」「買います」と表明した本人を指します。
表見代理
代理権が無いのにあるように見えた場合に、本人に責任を負わせる仕組み。民法109条・110条・112条が3つの場面を定めています。
被用者
ある事業のために使用される側の人のこと。使用者責任の場面で、実際に加害行為をした本人を指します。
被略取者引渡し等
略取・誘拐・売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、または隠避させること(刑法227条)。犯人を幇助する目的か、営利等の目的かによって刑が分かれます。
封印
公務員が物の現状を保存するために施す封じ目。刑法96条は、公務員が施した封印を損壊する行為などを処罰します。
夫婦財産契約
夫婦が婚姻の届出前に、その財産について法定財産制と異なる定めをする契約のこと。登記をしなければ承継人・第三者に対抗できません(民法756条)。
付加刑
主刑を言い渡すときに、それに付け加えてのみ科すことができる刑のこと。刑法9条により、没収だけが付加刑とされています。
不可分債権
債権の目的がその性質上不可分である場合に数人の債権者があるときの債権(民法428条)。連帯債権の規定が準用されます。
不可分債務
債務の目的がその性質上不可分である場合に数人の債務者があるときの債務(民法430条)。連帯債務の規定が準用されます。
不可分性
権利を分けて一部だけ行使したり消滅させたりできない性質のこと。地役権(民法282条)、留置権(民法296条)、先取特権(民法305条)に共通します。
復氏
婚姻によって氏を改めた者が、婚姻前の氏に戻ること。配偶者の死亡の場合は生存配偶者の意思ですることができます(民法751条1項)。
復受任者
受任者がさらに委任事務の処理を委託した相手方のこと。委任者の許諾又はやむを得ない事由がなければ選任できません(民法644条の2第1項)。
復代理人
代理人が選任する、本人の代理人のこと。「代理人の代理人」ではなく、その権限内の行為について本人を代表します(民法106条1項)。
復任権
自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる権限のこと。遺言執行者について民法1016条1項が定めています。
袋地
他の土地に囲まれて公道に通じない土地のこと。条文上の言葉ではありませんが、民法210条1項が定める土地を指す呼び名として使われます。
付合
別々の所有者に属する物がくっついて、分離できなくなること。不動産の付合(民法242条)と動産の付合(民法243条)があります。
不在者
従来の住所又は居所を去った者のこと(民法25条1項)。生死が明らかでないことまでは、この語の要件になっていません。
付従性
ある権利が他の権利にくっついて動く性質のこと。地役権は要役地の所有権とともに移転し、要役地から分離して譲り渡すことができません(民法281条)。
侮辱
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱すること(刑法231条)。1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
扶助を必要とする者
刑法217条が遺棄罪の客体として掲げる語で、老年・幼年・身体障害または疾病のためにその状態にある者をいいます。218条は「老年者、幼年者、身体障害者又は病者」と書き方を変えています。
不正指令電磁的記録
人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、またはその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録(刑法168条の2第1項1号)。作成・提供・供用(168条の2)と取得・保管(168条の3)が処罰されます。
不退去
要求を受けたにもかかわらず、人の住居や人の看守する邸宅・建造物・艦船から退去しないこと(刑法130条後段)。
負担付遺贈
受遺者に一定の義務を負担させてする遺贈のこと。受遺者は遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負います(民法1002条1項)。
負担付贈与
受贈者にも一定の給付をする義務(負担)を負わせる贈与のこと。双務契約に関する規定が準用されます(民法553条)。
負担部分
連帯債務者の間で内部的に定まる各自の分担の割合。求償の額を決める基準となります(民法442条1項)。
普通失踪
不在者の生死が7年間明らかでない場合の失踪の宣告(民法30条1項)を指す呼び方。条文上の用語ではありません。
物権
物を直接に支配する権利のこと。特定の人に対して請求する債権と違い、誰に対しても主張できるのが特徴です。民法第二編が定めます。
物権変動
所有権などの物権が発生・移転・消滅すること。売買による所有権の移転が代表例です。
物権法定主義
物権は法律に定めるもののほか創設することができない、という原則(民法175条)。当事者が合意しても、新しい種類の物権を勝手に作ることはできません。
物上代位
担保の目的物が売却・賃貸・滅失・損傷したときに、債務者が受けるべき金銭などに対して権利を行使すること(民法304条1項)。払渡し又は引渡しの前に差押えが必要です。
物上保証人
他人の債務を担保するため自分の財産に担保権を設定した者のこと。債務を弁済し又は質物の所有権を失ったときは、債務者に求償権を有します(民法351条)。
不貞な行為
民法770条1項1号が離婚の訴えを提起できる場合として挙げる事由のこと。
不同意性交等
刑法176条1項各号が掲げる行為・事由等により、同意しない意思を形成し、表明しもしくは全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態に乗じて、同法177条1項が定める「性交等」をすること。5年以上の有期拘禁刑です。
不同意堕胎
女子の嘱託を受けないで、またはその承諾を得ないで堕胎させること(刑法215条1項)。6月以上7年以下の拘禁刑で、同条2項により未遂も罰せられます。
不同意わいせつ
刑法176条1項各号が掲げる行為・事由等により、同意しない意思を形成し、表明しもしくは全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態に乗じて、わいせつな行為をすること。婚姻関係の有無を問いません。
不動産
土地及びその定着物のこと(民法86条1項)。価値の高低ではなく、土地に定着しているかどうかで動産と区別されます。
不動産侵奪
他人の不動産を侵奪すること(刑法235条の2)。10年以下の拘禁刑で、窃盗罪と違って罰金は選択刑に含まれていません。
不当利得
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼすこと。利益の存する限度で返還義務が生じます(民法703条)。
不能条件
成就しえない条件のこと。停止条件であれば法律行為は無効、解除条件であれば無条件となります(民法133条)。
不法原因給付
不法な原因のためにした給付のこと。その返還を請求することができません(民法708条本文)。
不法行為
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害すること。契約が無くても、加害者に損害賠償責任が生じます(民法709条)。
不法条件
不法な条件のこと。これを付した法律行為は無効であり、「不法な行為をしないこと」を条件とするものも同じく無効です(民法132条)。
父母と子との交流
民法766条1項が、子の監護について必要な事項の一つとして挙げるもの。離れて暮らす父又は母と子が会うなどして関わりを持つことを指します。
扶養
自力で生活できない者の生活を支えること。直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務があります(民法877条1項)。
扶養義務者
扶養をする義務のある者のこと。直系血族及び兄弟姉妹のほか、特別の事情があるときは家庭裁判所が三親等内の親族にも義務を負わせることができます(民法877条2項)。
付和随行
自分の考えによらず、他人に同調して行動に加わること。刑法77条1項3号は、付和随行しその他単に暴動に参加した者を3年以下の拘禁刑としています。
分割債権
数人の債権者がある場合に、別段の意思表示がないとき、それぞれ等しい割合で分かれる債権のこと(民法427条)。
分割債務
数人の債務者がある場合に、別段の意思表示がないとき、それぞれ等しい割合で分かれる債務のこと(民法427条)。
文書偽造
刑法第2編第17章が定める罪の総称。公文書(154条〜158条)と私文書(159条〜161条の2)に分かれ、それぞれ偽造・変造・虚偽作成・行使が処罰されます。
文書等
刑法155条1項1号が定義する語で、文書または図画をいいます。同章では、文書として表示されて行使される電磁的記録を「電磁的記録文書等」として別に定義しています。
墳墓発掘
墳墓を発掘すること(刑法189条)。刑法191条は、これを犯して死体等を損壊・遺棄・領得した場合を重く処断します。
併科
2個以上の刑を併せて科すこと。刑法48条1項は罰金と他の刑を、53条は拘留・科料と他の刑を併科すると定めています。
併合罪
確定裁判を経ていない2個以上の罪のこと(刑法45条前段)。ある罪について拘禁刑以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪と裁判確定前に犯した罪だけが併合罪になります(同条後段)。
併存的債務引受
引受人が債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担すること(民法470条1項)。元の債務者は債務を免れません。
変更行為
共有物にその形状又は効用の著しい変更を伴う行為を加えること。他の共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。
弁済
債務の内容である給付を実現して債権を満足させること。債務者が債権者に弁済をしたとき、その債権は消滅します(民法473条)。
弁済期
債務を履行しなければならない時期のこと。留置権は、債権が弁済期にないときは成立しません(民法295条1項ただし書)。
弁済による代位
債務者のために弁済をした者が債権者に代位し、債権の効力及び担保として債権者が有していた一切の権利を行使できるようになること(民法499条・501条1項)。
弁済の充当
給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき、どの債務のどの部分に充てるかを決めること(民法488条〜491条)。
弁済の提供
債務者が給付の実現に必要な準備をして債権者の協力を求めること。提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れます(民法492条)。
変死者密葬
検視を経ないで変死者を葬ること(刑法192条)。10万円以下の罰金または科料で、刑法第2編のなかでも最も軽い部類の法定刑です。
変造
真正に成立した物に権限なく手を加え、内容を変えること。刑法は偽造と並べて変造を処罰します(148条・155条2項・159条2項など)。
片務契約
当事者の一方だけが債務を負う契約のこと。贈与が典型例です。
防衛行為の相当性
刑法36条1項の「やむを得ずにした行為」という要件のこと。侵害を避ける唯一の方法である必要はなく、防衛手段として相当な範囲にとどまっているかが問われます。
放火
目的物を焼損させるために火を放つこと。刑法108条以下は、目的物が現住建造物か、非現住建造物か、それ以外かによって刑を段階的に定めています。
包括遺贈
財産の全部又は割合を示してする遺贈のこと。包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有します(民法990条)。
傍系親族
兄弟姉妹・おじおば・いとこのように、共通の祖先から枝分かれした関係にある親族のこと。親等は共通の祖先を経由して数えます(民法726条2項)。
暴行
刑法208条は、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときを処罰します。傷害の結果が生じれば204条の傷害罪になります。
暴行陵虐
刑法195条が定める行為で、暴行または陵辱もしくは加虐の行為をいいます。特別公務員がその職務を行うに当たり被告人・被疑者その他の者に対してした場合に、7年以下の拘禁刑で処罰されます。
幇助
他人の行為を手助けして容易にすること。民法719条2項は、幇助した者を共同行為者とみなします。
幇助
正犯の実行を助けること。刑法62条1項は、正犯を幇助した者を従犯とすると定めています。
法人
生身の人間ではないのに、権利を持ち義務を負うことができる存在。法律の規定によらなければ成立しません(民法33条1項)。
法人法定主義
法人は法律の規定によらなければ成立しない、という考え方(民法33条1項)。当事者が申し合わせただけで法人を作り出すことはできません。
法定果実
物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。
法定刑
個々の犯罪について、条文があらかじめ定めている刑の種類と範囲のこと(「〇年以下の拘禁刑」など)。ここを出発点に、加重・減軽を経て実際の刑が決まります。
法定財産制
夫婦財産契約がされなかった場合に適用される、民法760条以下の財産関係のルールのこと。
法定充当
当事者のいずれも指定をしないときに、民法488条4項各号の順序に従って決まる充当。
法定相続分
民法900条が定める相続分のこと。子と配偶者なら各2分の1、配偶者と直系尊属なら3分の2と3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら4分の3と4分の1です。
法定代理
法律の規定によって代理権が生じる代理のこと。親権者(民法824条)や後見人(民法859条1項)がこれにあたり、復代理人を自己の責任で選任できます(民法105条)。
法定代理人
本人が選んだのではなく、法律の規定によって代理権を与えられた人のこと。未成年者の親権者や成年後見人がこれにあたります。
法定単純承認
相続財産の処分・熟慮期間の徒過・背信的な隠匿等があったときに、単純承認をしたものとみなされること(民法921条)。
法定地上権
土地と建物が同一所有者に属する場合に抵当権が実行され所有者を異にするに至ったとき、建物のために設定されたものとみなされる地上権(民法388条)。当事者の合意なしに法律上生じます。
法定追認
追認をすることができる時以後に、履行や履行の請求など民法125条が列挙する6つの事実があったときに、追認をしたものとみなされること。異議をとどめれば別です。
法定利率
別段の意思表示がないときに適用される利率。年3パーセントを出発点として、3年を一期として変動します(民法404条2項・3項)。
法律行為
契約や遺言のように、意思表示を要素として、その意思のとおりの法律効果を生じさせる行為のこと。
法律上の減軽
法律の規定にもとづく刑の減軽のこと。刑法68条が、死刑・無期拘禁刑・有期拘禁刑・罰金・拘留・科料それぞれの減軽方法を定めています。
法律上保護される利益
民法709条が「権利」と並べて挙げる保護対象。所有権のようにはっきりした権利の形をとっていなくても、法律上守るに値する利益であれば侵害が不法行為になりうる、という趣旨の言葉です。
法律の不知
自分の行為が法律上許されないことを知らなかったこと。刑法38条3項本文は、それによって罪を犯す意思がなかったとすることはできないとしたうえで、ただし書で情状による刑の減軽を認めています。
法令により拘禁された者
法令の根拠に基づいて身体の自由を拘束されている者。刑法97条の逃走罪の主体であり、99条の被拘禁者奪取罪・100条の逃走援助罪の対象でもあります。
保護観察
社会の中で生活させながら、指導監督と補導援護を行って改善更生を図る処遇のこと。刑法25条の2は、全部執行猶予に付す場合と必ず付される場合を分けています。
保護主義
犯人の国籍や犯行地を問わず、自国や自国民の利益が侵害された場合に自国の刑法を適用する考え方。刑法2条(すべての者の国外犯)や3条の2(国民以外の者の国外犯)がこれにあたります。
保護責任者遺棄等
老年者・幼年者・身体障害者または病者を保護する責任のある者が、これらの者を遺棄し、またはその生存に必要な保護をしなかったこと(刑法218条)。3月以上5年以下の拘禁刑です。
保佐
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者を保護する制度のこと。保佐開始の審判によって開始します(民法876条)。
保佐開始の審判
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である人について、家庭裁判所が保佐を開始すると決める裁判(民法11条)。
保佐監督人
保佐人の事務を監督する者のこと。家庭裁判所が必要と認めるときに選任します(民法876条の3第1項)。
保佐人
被保佐人に付される保護者(民法12条)。家庭裁判所が保佐開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の2第1項)。
補充性
保証債務が主たる債務者が履行しないときにはじめて履行される、二次的な性質のこと。催告の抗弁・検索の抗弁に現れます(民法446条1項・452条・453条)。
補助
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者を保護する制度のこと。補助開始の審判によって開始します(民法876条の6)。
保証債務
主たる債務者が債務を履行しないときに、保証人がその履行をする責任を負う債務(民法446条1項)。保証契約は書面でしなければ効力を生じません。
保証人
主たる債務者が債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者(民法446条1項)。
補助開始の審判
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である人について、家庭裁判所が補助を開始すると決める裁判(民法15条1項)。
補助監督人
補助人の事務を監督する者のこと。家庭裁判所が必要と認めるときに選任します(民法876条の8第1項)。
補助人
被補助人に付される保護者(民法16条)。家庭裁判所が補助開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の7第1項)。
保存行為
財産の現状を維持するための行為。権限の定めのない代理人でもすることができる行為として、民法103条1号が挙げています。
没収
犯罪に関係する物の所有権を国に強制的に移す付加刑(刑法19条)。犯人以外の者に属する物は、その者が犯罪後に事情を知って取得した場合を除き、没収できません。
本権
所有権や賃借権のように、その物を占有することを法律上正当づける権利のこと。占有権が「事実」を守るのに対し、本権は「権利」そのものです。
本権の訴え
所有権などの本権を根拠として物の返還等を求める訴え。占有の訴えとは互いに妨げず、占有の訴えについて本権に関する理由で裁判することはできません(民法202条)。
ま行
埋蔵物
土地その他の物のなかに埋もれていて、誰の所有かが分からない物のこと。公告後6か月以内に所有者が判明しないときは発見者が所有権を取得します(民法241条)。
未決勾留
裁判が確定する前に、被疑者・被告人の身柄を拘束しておくこと。刑法21条により、その日数は全部または一部を本刑に算入することができます。
未遂
犯罪の実行に着手して、これを遂げないこと(刑法43条本文)。未遂を罰するかどうかは、刑法44条により各本条が定めます。
未成年後見人
親権を行う者がない未成年者などのために置かれる後見人のこと。子の否認権を子のために行使することができます(民法774条2項)。
未成年者
18歳に達していない人のこと(民法4条の反対解釈)。法律行為をするには、原則として法定代理人の同意が必要です。
未成年被後見人
未成年者の後見を受ける者のこと。未成年後見人が置かれます。
身の代金目的略取等
近親者その他略取・誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させる目的で人を略取・誘拐すること(刑法225条の2第1項)。無期または3年以上の拘禁刑です。
身分犯
犯人の一定の身分が、犯罪の成立や刑の軽重にかかわる犯罪のこと。刑法65条1項は身分のない者も共犯となるとし、2項は身分により刑に軽重があるときは身分のない者に通常の刑を科すとしています。
無記名証券
債権者を指名する記載のない有価証券。民法520条の20により、記名式所持人払証券の規定が準用されます。
無形偽造
作成権限のある者が、内容の虚偽な文書を作ること。刑法156条(虚偽公文書作成)が公文書について、160条(虚偽診断書等作成)が限られた私文書について処罰します。
無権代理
代理権を有しない者が他人の代理人としてする行為のこと。本人が追認しなければ本人に効力を生じません(民法113条1項)。
無効
はじめから法律効果が生じないこと。取消しと違い、誰かが主張しなくても効力はありません。
無主物先占
所有者のない動産を、所有の意思をもって占有することで所有権を取得すること(民法239条1項)。所有者のない不動産は国庫に帰属します(同条2項)。
無償契約
一方だけが財産上の支出をし、相手方が対価を支出しない契約のこと。贈与が典型例です。
名誉毀損
人の社会的評価を低下させること。損害賠償に加えて、名誉を回復するのに適当な処分を裁判所が命じることができます(民法723条)。
名誉毀損罪
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損すること(刑法230条1項)。条文は「その事実の有無にかかわらず」と定めており、摘示した事実が真実でも成立しうる書き方になっています。
免除
債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示すること。これによって債権は消滅します(民法519条)。
免責的債務引受
引受人が債務者と同一の内容の債務を負担し、債務者が自己の債務を免れること(民法472条1項)。
申込み
契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(民法522条1項のかっこ書きによる定義)。
目的の範囲
法人が権利を持ち義務を負うことのできる枠のこと。定款その他の基本約款で定められた目的によって画されます(民法34条)。
持分
共有者が共有物に対して有する権利の割合のこと。各共有者の持分は相等しいものと推定されます(民法250条)。
や行
遺言
死後の法律関係を定めておく、方式の定まった単独行為のこと。認知は遺言によってもすることができます(民法781条2項)。
遺言執行者
遺言の内容を実現する者のこと。遺言による推定相続人の廃除の請求は、遺言執行者がします(民法893条)。
遺言能力
遺言をすることができる能力のこと。15歳に達した者は遺言をすることができ、遺言をする時にこの能力を有していなければなりません(民法961条・963条)。
遺言の撤回
遺言者がいつでも遺言の方式に従ってその遺言の全部又は一部を撤回すること(民法1022条)。撤回する権利を放棄することはできません(民法1026条)。
有益費
物の改良のために支出した費用のこと。価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従って支出額か増価額の償還を受けられます(民法196条2項)。
誘拐
欺罔または誘惑を手段として人をその生活環境から引き離し、自己または第三者の支配下に移すこと。刑法224条以下が略取と並べて処罰します。
有価証券
権利が証券に結びついており、証券によって権利を行使・移転する仕組みの証券。民法は指図証券・記名式所持人払証券・その他の記名証券・無記名証券の4種を第七節に置いています。
有価証券偽造
行使の目的で、公債証書・官庁の証券・会社の株券その他の有価証券を偽造しまたは変造すること(刑法162条1項)。同条2項は有価証券への虚偽の記入を同じ刑で処罰します。
有形偽造
作成権限のない者が他人の名義を使って文書を作り出すこと。刑法155条(公文書偽造)・159条(私文書偽造)が処罰の対象とする類型です。
有償契約
当事者が互いに対価的な意味を持つ財産上の支出をする契約のこと。売買の規定が性質の許す限り準用されます(民法559条)。
優先弁済
他の債権者に先立って自分の債権の弁済を受けること。先取特権の中心的な効力です(民法303条)。
有体物
民法が「物」と呼ぶもの(民法85条)。条文は有体物それ自体の定義を置いておらず、形のある存在を指す語として使われています。
優等懸賞広告
広告に定めた行為をした者が数人ある場合に、その優等者のみに報酬を与える懸賞広告のこと。応募の期間を定めたときに限り効力を有します(民法532条1項)。
譲受人
債権譲渡で債権を受け取る側、つまり新しい債権者のこと。
要役地
地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるもの(民法281条1項)。地役権は要役地の所有権に従たるものとして扱われます。
用益物権
他人の土地を使用・収益するための物権のこと。民法では地上権・永小作権・地役権がこれにあたり、担保物権と対になります。
養子
養子縁組によって子となる者のこと。縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得します(民法809条)。
養子縁組
血のつながりのない者の間に、法律上の親子関係を作り出す身分行為のこと。縁組の日から血族間と同一の親族関係を生じます(民法727条)。
養親
養子縁組によって親となる者のこと。20歳に達した者でなければなることができません(民法792条)。
預貯金債権
預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権(民法466条の5第1項のかっこ書きによる定義)。譲渡制限の意思表示の効力について特別扱いされます。
予備
犯罪の実行のための準備行為。刑法78条(内乱予備)や88条(外患予備)のように、条文が定める場合にだけ処罰されます。
予約完結権
売買の一方の予約において、相手方が売買を完結させることができる権利のこと。行使すればその時から売買の効力が生じます(民法556条1項)。
ら行
利益相反行為
代理人と本人との利益がぶつかる行為のこと。自己契約・双方代理以外でも、代理権を有しない者がした行為とみなされます(民法108条2項)。
離縁
養子縁組を解消すること。これによって養子側と養親側との親族関係が終了します(民法729条)。
利害関係人
その処分がされるかどうかによって、自分の法律上の立場が左右される人。民法25条や30条で、家庭裁判所へ請求できる者として挙げられています。
履行遅滞
履行期を過ぎても履行しないこと。いつから遅滞の責任を負うかは、確定期限・不確定期限・期限の定めなしで異なります(民法412条)。
履行の強制
債務者が任意に債務の履行をしないときに、直接強制・代替執行・間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求すること(民法414条1項)。
履行の着手
客観的に外部から認識できる形で履行行為の一部をすること。相手方が履行に着手した後は手付による解除ができなくなります(民法557条1項ただし書)。
履行不能
契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務の履行が不能であること。債権者はその履行を請求できません(民法412条の2第1項)。
略取
暴行・脅迫を手段として人をその生活環境から引き離し、自己または第三者の支配下に移すこと。刑法224条以下が「略取し、又は誘拐した」という形で誘拐と並べて処罰します。
流質契約
設定行為又は債務の弁済期前の契約で、質権者に弁済として質物の所有権を取得させる等を約すること。民法349条はこれを禁じています。
留置権
他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利(民法295条1項)。修理代を払ってもらうまで品物を返さない、という場面が典型です。
臨時保佐人
保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為について選任される者のこと。保佐監督人があるときは選任を要しません(民法876条の2第3項)。
臨時補助人
補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為について選任される者のこと。補助監督人があるときは選任を要しません(民法876条の7第3項)。
類推適用
条文が直接あてはまらない場面でも、趣旨が同じだと考えられるときに、その条文を似た場面に及ぼして適用すること。条文の文言をそのまま使う「適用」とは区別されます。
累積根抵当
共同根抵当の登記をしないまま数個の不動産に根抵当権を有する場合のこと。各不動産の代価について各極度額まで優先権を行使できます(民法398条の18)。
累犯
刑法第一編第十章の表題で、前に刑に処せられた者が更に罪を犯した場合の刑の加重を定める部分。その中心が56条の再犯です。
礼拝所不敬
神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をすること(刑法188条1項)。同条2項は説教・礼拝・葬式の妨害を定めます。
連帯債権
目的が可分な債権について、法令の規定又は当事者の意思表示により数人が連帯して有する債権(民法432条)。各債権者が全部の履行を請求できます。
連帯債務
目的が可分な債務について、法令の規定又は当事者の意思表示により数人が連帯して負担する債務(民法436条)。債権者は一人に全部の履行を請求できます。
連帯保証
保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証。催告の抗弁と検索の抗弁を持ちません(民法454条)。
労役場留置
罰金や科料を完納できない者を労役場に留置する処分(刑法18条)。罰金は1日以上2年以下、科料は1日以上30日以下の期間です。