民法第376条・物権
民法第376条:抵当権の処分
抵当権を他の債権の担保にしたり、順位を譲ったり放棄したり。抵当権そのものを取引の対象にできます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
抵当権抵当権目的物の占有を移さずに設定できる担保物権(民法369条以下)。先取特権の効力については、その性質に反しない限り抵当権の規定が準用されます(民法341条)。用語ページを見る →そのものを、誰かに譲ったりできるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
できるのじゃ。民法376条じゃ。抵当権が取引の対象になる——4つの型が条文に並んでおるぞ。
1項:4つの処分
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
| # | 処分 | 相手 |
|---|---|---|
| ① | その抵当権を他の債権の担保とする(転抵当) | — |
| ② | その抵当権を譲渡する | 同一の債務者に対する他の債権者 |
| ③ | その抵当権を放棄する | 同上 |
| ④ | その順位を譲渡し、又は放棄する | 同上 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
①だけ相手が書いてない! ②〜④は「同一の債務者に対する他の債権者の利益のために」だね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう読み分けたのう。①の転抵当は、誰に対してでもできる。民法348条の転質転質質権者が、その権利の存続期間内において自己の責任で質物をさらに質入れすること(民法348条)。これによって生じた損失は、不可抗力によるものであっても責任を負います。用語ページを見る →と同じ発想じゃな。
一方②〜④は、同一の債務者に対する他の債権者が相手じゃ。同じ債務者から取り立てようとしておる者どうしで、優先の利益を融通し合う仕組みと読める。
2項:受益者の順位は付記の前後
前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 抵当権者が数人のために処分をした |
| 基準 | 抵当権の登記にした付記の前後による |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ここでも登記登記不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。用語ページを見る →じゃ。民法373条は「登記の前後」、376条2項は「付記の前後」——登記の中の順序まで見るのじゃな。
対抗要件は民法377条
前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。(民法377条1項)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法467条! 債権譲渡と同じで、通知か承諾なんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法364条の債権質と同じ道具じゃな。権利を動かすときは通知か承諾——民法が繰り返し使う型じゃ。
そして377条2項も見逃すな。主たる債務者が通知を受け又は承諾をしたときは、受益者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗できぬ。うっかり払ってしまっても、受益者には効かぬということじゃ。
根抵当権では制限される
民法398条の11第1項は「元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない」と定めます。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
根抵当権根抵当権一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権(民法398条の2)。継続的な取引から生じる債権をまとめて担保できます。用語ページを見る →では、元本確定前は①の転抵当だけができる。②〜④は封じられておる。担保する債権が定まっておらぬのに、順位だけを融通させるわけにはいかぬからのう。
資格別の演習
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法376条1項がそのとおり定めています。
抵当権者が数人のために抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法376条2項がそのとおり定めています。
根抵当権者は、元本の確定前においては、民法376条1項の規定による根抵当権の処分をすることができないが、その根抵当権を他の債権の担保とすることは妨げられない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法398条の11第1項がそのとおり定めています。