民法第345条・物権

民法第345条:質権設定者による代理占有の禁止

設定者に質物を持たせておくことはできません。占有改定による質権設定を封じる、質権の根幹をなす条文です。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

質に入れた品物を、そのまま自分で使い続けたい……。だめ?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

だめじゃ。民法345条がはっきり禁じておる。質権の根幹をなす条文じゃぞ。

条文の内容

質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。

要素 条文の言葉
誰が 質権者
誰に 質権設定者に
何を 自己に代わって質物質物しちもつ質権の目的として質権者に引き渡された物のこと。質権者は債権の弁済を受けるまでこれを留置できます(民法347条)。用語ページを見る →の占有をさせる
効果 できない

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

代理占有代理占有だいりせんゆう他人(占有代理人)に物を所持させることで、本人が占有権を持つこと(民法181条)。賃借人に貸している間も、賃貸人は占有権を失いません。用語ページを見る →(民法181条)は使えないんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

設定者に対しては、な。条文が禁じておるのは「質権設定者に」占有させることじゃ。第三者に預けることまでは、条文の文言から直ちに禁じられておるとは読めぬのう。

なぜ設定者だけが禁じられるか。設定者の手元に物が残れば、質権は姿を消してしまうからじゃ。外から見れば、ただ設定者が自分の物を持っておるだけ。担保が付いておるとは誰にも分からぬ。

判例:占有改定による設定は無効

最判昭和37年10月12日(集民第62号867頁)

判示事項は「占有改定の方法による質物の引渡と質権の成否」です。裁判要旨は次のとおりです。

右の場合には、民法第三四五条の法意に徴し、質権は有効に成立しない。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「民法345条の法意に徴し」! この条文が根拠なんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

占有改定占有改定せんゆうかいてい代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示することで、本人が占有権を取得すること(民法183条)。物は動かないまま占有だけが移ります。用語ページを見る →(民法183条)は「代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示」する仕組みじゃった。つまり設定者が質権者のために占有し続ける形になる。

それはまさに345条が禁じた姿じゃ。だから民法344条の引渡しがあったとはいえぬ——そう読める判断じゃな。

動産譲渡担保との違い

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

最判昭和30年6月2日(民集第9巻7号855頁)は、動産の売渡担保について占有改定による対抗要件具備を認めた。同じ「物を担保にする」でも、質権では占有改定が使えず、譲渡担保では使える——ここが実務で譲渡担保が選ばれる理由のひとつと言えような。

条文が禁じておるのは質権質権しちけん債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法342条)。設定には目的物の引渡しが必要です(民法344条)。用語ページを見る →についてじゃ。条文の射程を正確に押さえるのじゃぞ。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。民法345条がそのとおり定めています。

司法書士正誤問題AI生成類題

質権設定者は、質権者との合意により、引き続き質物を占有して使用することができる。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法345条は、質権者が質権設定者に自己に代わって質物の占有をさせることを禁じています。

司法試験正誤問題AI生成類題

判例は、占有改定の方法による質物の引渡しについて、民法345条の法意に徴し質権は有効に成立しないとしている。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。最判昭和37年10月12日(集民第62号867頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。

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