刑法第8条・総則
刑法第8条:他の法令の罪に対する適用
刑法総則は刑法典の中だけのルールではありません。道路交通法や覚醒剤取締法などの罰則にも適用されるという、総則の射程を定めた条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
道路交通法違反で捕まった人に、正当防衛とか執行猶予の話って出てくるの? あれって刑法の条文だよね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい疑問じゃ。答えは第8条にある。刑法の総則は、刑法典の外にも出張していくのじゃよ。
条文の内容
| 部分 | 内容 |
|---|---|
| 本文 | この編(第一編=刑法総則刑法総則刑法第一編(第1条〜第72条)に置かれた、犯罪と刑罰に共通するルールのこと。刑法8条により、原則として他の法令の罪にも適用されます。用語ページを見る →)の規定は、他の法令の罪についても適用する |
| ただし書 | その法令に特別の規定があるときは、この限りでない |
総則はどこまで出張するのか
刑法総則刑法総則刑法第一編(第1条〜第72条)に置かれた、犯罪と刑罰に共通するルールのこと。刑法8条により、原則として他の法令の罪にも適用されます。用語ページを見る →には、次のような「犯罪と刑罰に共通するルール」が置かれています。
- 刑の種類と重さ(9条・10条)
- 刑の全部の執行猶予刑の全部の執行猶予言い渡した刑の全部について、一定期間その執行を先送りにする制度(刑法25条)。取り消されずに期間が経過すると、刑の言渡し自体が効力を失います。用語ページを見る →や仮釈放(25条以下・28条)
- 正当行為・正当防衛・緊急避難(35条〜37条)
- 故意・責任年齢(38条・41条)
- 未遂・共犯・併合罪(43条以下・60条以下・45条以下)
刑法8条により、これらは特別刑法特別刑法刑法典以外の法律に置かれた刑罰規定のこと(道路交通法や覚醒剤取締法の罰則など)。刑法8条により、特別の規定がない限り刑法総則が適用されます。用語ページを見る →——道路交通法、覚醒剤取締法、軽犯罪法などの罰則——にも原則として適用されます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
じゃあ、覚醒剤取締法違反でも執行猶予がつくことがあるんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。第8条があるおかげで、各法律がいちいち「執行猶予に付すことができる」と書かなくてよい。法律の条文が短くて済む仕組みでもあるのじゃな。
ただし書の意味
ただし書は「その法令に特別の規定があるときは、この限りでない」と定めます。個別の法律が総則とは異なる定めを置いていれば、そちらが優先します。特別法は一般法に優先するという考え方が、条文の形で表れたものです。
資格別の演習
刑法総則の規定は、刑法典以外の法律に定められた罪についても、特別の規定がない限り適用される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法8条本文がそのまま定めています。ただし書により、その法令に特別の規定があるときはそちらが優先します。
刑法8条により適用されるのは刑法第一編・第二編の規定であり、各則の犯罪類型も他の法令に適用される。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。刑法8条が他の法令に適用するとしているのは「この編の規定」、すなわち第一編(総則)だけです。第二編(各則)の個別の犯罪類型が他の法令に及ぶわけではありません。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
第8条は目立たんが、刑事法全体の土台を支える条文じゃ。「総則はどこにでも付いてくる。ただし個別の法律が別段の定めをすれば、そちらが勝つ」。これだけ覚えておけばよい。