民法第398条の9・物権
民法第398条の9:根抵当権者又は債務者の合併
合併では枠が当然に引き継がれます。そのかわり設定者に元本確定請求権が与えられます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
取引先の会社が合併しちゃったら、根抵当権根抵当権一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権(民法398条の2)。継続的な取引から生じる債権をまとめて担保できます。用語ページを見る →はどうなるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法398条の9じゃ。相続(民法398条の8)とは組み立てがまるで違う。合意は要らぬが、設定者に断る権利がある——そこが読みどころじゃぞ。
1項・2項:当然に引き継がれる
元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。(1項)
元本の確定前にその債務者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。(2項)
| 相続(民法398条の8) | 合併(民法398条の9) | |
|---|---|---|
| 引き継ぎ | 合意により定めた相続人のみ | 合併後存続する法人・設立された法人が当然に |
| 登記の期限 | 6か月以内(怠れば確定) | 規定なし |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
合意なしで引き継がれるんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。合併では法人格が包括的に引き継がれる。相続のように「誰が継ぐか」を選ぶ場面ではないからのう。
そのかわり、設定者に別の武器が与えられておる。3項じゃ。
3項:設定者の元本確定請求
前二項の場合には、根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、前項の場合において、その債務者が根抵当権設定者であるときは、この限りでない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰が | 根抵当権設定者 |
| 何を | 担保すべき元本の確定を請求することができる |
| ただし書 | 2項の場合において、債務者が根抵当権設定者であるときは請求できない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ただし書の意味がむずかしい……
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
順に読めばよい。2項は債務者について合併があった場合じゃ。そのうえで債務者=根抵当権設定者であるなら、合併したのは設定者自身ということになる。
自分が合併しておいて確定を請求する——それは筋が通らぬ、というわけじゃな。逆に物上保証人物上保証人他人の債務を担保するため自分の財産に担保権を設定した者のこと。債務を弁済し又は質物の所有権を失ったときは、債務者に求償権を有します(民法351条)。用語ページを見る →のように債務者と設定者が別人なら、請求できる。
4項:請求の効果
前項の規定による請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ここでも遡る。請求の時ではなく、合併の時に確定したものとみなされる。民法398条の8第4項が「相続開始の時に」としておったのと同じ型じゃな。
5項:請求の期限
第三項の規定による請求は、根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から二週間を経過したときは、することができない。合併の日から一箇月を経過したときも、同様とする。
| # | 請求できなくなるとき |
|---|---|
| ① | 設定者が合併のあったことを知った日から2週間を経過 |
| ② | 合併の日から1か月を経過 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
2つの期限があるんだ。知らなくても1か月で切れちゃう。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
主観の起算点と客観の起算点を並べる——民法724条の不法行為の時効などにも見られる型じゃな。
いずれにせよ短い。合併を知ったら、すぐ動かねばならぬ。
資格別の演習
元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法398条の9第1項がそのとおり定めています。
債務者について合併があった場合、その債務者が根抵当権設定者であるときも、根抵当権設定者は担保すべき元本の確定を請求することができる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法398条の9第3項ただし書は、2項の場合において「その債務者が根抵当権設定者であるとき」は請求できないとしています。
民法398条の9第3項の請求は、根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から2週間を経過したとき、又は合併の日から1か月を経過したときは、することができない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法398条の9第5項がそのとおり定めています。