民法第134条・総則
民法第134条:随意条件
停止条件が単に債務者の意思のみに係るときは無効です。「気が向いたら払う」という約束を、約束として扱わないための条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「気が向いたら払うよ」って言われたら、それって約束したことになるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ならぬ。民法134条が、その手の条件を無効としておる。単に債務者の意思のみに係る停止条件——随意条件随意条件成否が当事者の意思次第で決まる条件のこと。停止条件が単に債務者の意思のみに係るときは、その法律行為は無効です(民法134条)。用語ページを見る →じゃな。
条文の内容
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 停止条件停止条件成就するまで法律行為の効力の発生を止めておく条件。停止条件付法律行為は、条件が成就した時から効力を生じます(民法127条1項)。用語ページを見る →付法律行為法律行為契約や遺言のように、意思表示を要素として、その意思のとおりの法律効果を生じさせる行為のこと。用語ページを見る → |
| 要件 | その条件が単に債務者の意思のみに係るとき |
| 効果 | 無効 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「単に」「のみ」って、二重に強調されてる。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう気づいたのう。条文はそれだけ狭く絞っておるのじゃ。債務者の意思が少しでも関わればすべて無効、という話ではない。「単に債務者の意思のみに係る」——ほかに何の要素も無い場合じゃ。
なぜ無効なのか
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
考えてみよ。債務者が「やる」と言えば効力が生じ、「やらない」と言えば生じない。これでは、債務者は何も縛られておらぬ。約束したようでいて、実は何も約束しておらぬのじゃ。
そんなものを法律行為として認めれば、相手方は当てにできぬ紙切れを握らされることになる。だからはじめから無効として、はっきりさせておるのじゃな。
条文が「停止条件」に限っていること
民法134条は停止条件停止条件成就するまで法律行為の効力の発生を止めておく条件。停止条件付法律行為は、条件が成就した時から効力を生じます(民法127条1項)。用語ページを見る →付法律行為についてのみ定めており、解除条件解除条件成就すると法律行為の効力を失わせる条件。解除条件付法律行為は、条件が成就した時から効力を失います(民法127条2項)。用語ページを見る →については何も書いていません。
| 停止条件 | 解除条件 | |
|---|---|---|
| 債務者の意思のみに係るとき | 無効(民法134条) | 条文に定めなし |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
解除条件の場合はどうなるんだろう?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文が書いておらぬ以上、134条からは答えは出ぬ。書かれておらぬところを、覚えた話で埋めてはならぬ——ここでも同じじゃ。
ただ、条文が停止条件だけを名指しした理由は考えてみるとよい。停止条件付きなら、成就するまで債務は動き出さぬ。債務者が黙っていれば、永久に何も起きぬのじゃ。一方、解除条件付きならすでに効力は生じておる。少なくとも、はじめの一歩は踏み出されておるのう。
131条〜134条の締めくくり
| 条文 | ふるいにかける観点 |
|---|---|
| 民法131条 | すでに勝負がついていないか(既成条件既成条件法律行為の時に、すでに成就していた条件、又は成就しないことが確定していた条件のこと。民法131条が、停止条件か解除条件かに応じて無条件又は無効に振り分けます。用語ページを見る →) |
| 民法132条 | 内容が不法でないか(不法条件不法条件不法な条件のこと。これを付した法律行為は無効であり、「不法な行為をしないこと」を条件とするものも同じく無効です(民法132条)。用語ページを見る →) |
| 民法133条 | 実現しうるか(不能条件不能条件成就しえない条件のこと。停止条件であれば法律行為は無効、解除条件であれば無条件となります(民法133条)。用語ページを見る →) |
| 民法134条 | 相手を縛るものになっているか(随意条件) |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
131条から134条までを通してみれば、民法が条件に求めておるものが見えてくる。成否が未定であり、内容が適法であり、実現しうるものであり、当事者の一方の胸三寸で決まらぬこと——これらを満たしてはじめて、条件は条件として働くのじゃ。
そして次の135条からは、話が期限期限法律行為の効力や履行を、必ず到来する事実にかからせる定めのこと。成就するか分からない「条件」と区別されます(民法135条以下)。用語ページを見る →へ移る。必ず来るものの扱いじゃな。
資格別の演習
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効である。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法134条がそのとおり定めています。条文は「単に」「のみ」と重ねて限定しており、債務者の意思以外の要素が関わらない場合を対象としています。
民法134条は、解除条件が単に債務者の意思のみに係るときも、その法律行為を無効とする旨を定めている。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法134条が対象としているのは「停止条件付法律行為」のみです。解除条件解除条件成就すると法律行為の効力を失わせる条件。解除条件付法律行為は、条件が成就した時から効力を失います(民法127条2項)。用語ページを見る →については同条に定めがありません。
民法134条により、停止条件の成否に債務者の意思が関わる法律行為は、すべて無効となる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法134条は「その条件が単に債務者の意思のみに係るとき」と限定しています。債務者の意思が何らかの形で関わるすべての場合を無効とするものではありません。