民法第296条・物権
民法第296条:留置権の不可分性
債権の全部の弁済を受けるまで、留置物の全部を留置できます。一部を返しても、残りについて権利は続きます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
修理代の半分を払ったら、時計も半分返してもらえる……わけないよね?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。民法296条が**不可分性不可分性権利を分けて一部だけ行使したり消滅させたりできない性質のこと。地役権(民法282条)、留置権(民法296条)、先取特権(民法305条)に共通します。用語ページを見る →**を定めておる。全額もらうまで、全部を留めておける。
条文の内容
留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| いつまで | 債権の全部の弁済を受けるまで |
| どこまで | 留置物の全部について |
| 効果 | その権利を行使することができる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「全部」が2回出てくる。債権の全部と、留置物の全部。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが条文の作りじゃ。債権が少しでも残っておれば、物は丸ごと留めておける。
もし按分できるとすれば、9割払われた時点で9割返さねばならぬ。それでは残り1割を取り立てる力が弱すぎる。留置権留置権他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利(民法295条1項)。修理代を払ってもらうまで品物を返さない、という場面が典型です。用語ページを見る →は「返さない」という一点で相手を動かす権利じゃからのう。
判例:一部を引き渡しても残部に及ぶ
最判平成3年7月16日(民集第45巻6号1101頁)
判示事項は「留置権者が留置物の一部を債務者に引き渡した場合における被担保債権の範囲」です。裁判要旨は次のとおりです。
留置権者は、留置物の一部を債務者に引き渡した場合においても、特段の事情のない限り、債権の全部の弁済を受けるまで、留置物の残部につき留置権を行使することができる。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
一部を返しても、残りで全額を担保できるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「特段の事情のない限り」と断ったうえで、そう述べておる。
なお、民法302条本文は「留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する」と定めておった。一部を引き渡しても、残部の占有は続いておる——だから留置権も残る、と読めような。
他の担保物権との共通性
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法296条 | 留置権の不可分性 |
| 民法305条 | 民法296条を**先取特権先取特権法律の規定に従い、債務者の財産から他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法303条)。当事者の契約ではなく法律によって当然に生じる担保物権です。用語ページを見る →に準用** |
| 民法282条 | 地役権地役権設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利(民法280条)。通行や引水のために設定されます。用語ページを見る →の不可分性 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法305条が296条を丸ごと借りておる。担保物権は分けられぬ——これが共通の性格じゃな。
資格別の演習
留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法296条がそのとおり定めています。
判例によれば、留置権者が留置物の一部を債務者に引き渡した場合においても、特段の事情のない限り、債権の全部の弁済を受けるまで留置物の残部につき留置権を行使することができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判平成3年7月16日(民集第45巻6号1101頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。
民法296条の規定は、先取特権について準用される。
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解答:◯
正しい記述です。民法305条が「第二百九十六条の規定は、先取特権について準用する」と定めています。