民法第121条・総則
民法第121条:取消しの効果
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされます。取消しがあってはじめて無効になる点で、はじめから無効な行為とは出発点が違います。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
取り消したら、その契約は「今日からナシ」になるの? それとも最初からなかったことに?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法121条は一文で答えておる。初めから無効であったものとみなす。今日からではない。契約をした日まで巻き戻るのじゃ。
条文の内容
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 取り消された行為 |
| 効果 | 初めから無効であったものとみなす |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
じゃあ、無効と取消しって結局同じことなの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
行き着く先は同じでも、そこに至る道が違うのじゃ。並べてみるとよい。
| 無効無効はじめから法律効果が生じないこと。取消しと違い、誰かが主張しなくても効力はありません。用語ページを見る → | 取消し取消し一応有効に成立した法律行為を、取消権者の主張によってはじめにさかのぼって無効とすること。用語ページを見る → | |
|---|---|---|
| 出発点 | はじめから効力がない | 一応有効に成立している |
| 誰かの主張 | 不要 | 取消権者の行使が必要(民法120条) |
| 追認 | 効力を生じない(民法119条本文) | 以後、取り消せなくなる(民法122条) |
| 期間の制限 | 条文に定めなし | 5年/20年(民法126条) |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
取消しは、取消権者が行使してはじめて働く。放っておけば有効なままじゃ。しかも民法126条の期間を過ぎれば、取消権そのものが消えてしまう。
無効にはそれが無い。誰も何も言わずとも、はじめから効力が無い。似ているのは結末だけ、と覚えるのがよいのう。
取り消した後の後始末
「初めから無効であったものとみなす」ということは、すでに渡したものがある場合、その清算が必要になります。それを定めるのが次の民法121条の2です。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法121条の2第1項 | 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う |
| 民法121条の2第3項 | 行為の時に意思能力意思能力自分のした行為がどんな結果を生むかを判断できる能力のこと。これを欠いた状態でした法律行為は無効です(民法3条の2)。用語ページを見る →を有しなかった者、行為の時に制限行為能力者制限行為能力者未成年者・成年被後見人・被保佐人・民法17条1項の審判を受けた被補助人の4者をまとめた呼び名(民法13条1項10号)。用語ページを見る →であった者は、現に利益を受けている限度で返還すれば足りる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
取り消したら全部返せ、じゃないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが民法の温かいところじゃな。守るために取り消させたのに、後始末で追い詰めては本末転倒じゃ。詳しくは民法121条の2の解説を見るとよい。
「みなす」であること
条文は「初めから無効であったものとみなす」と書いています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
実際には、契約は現に結ばれ、物も金も動いておったかもしれぬ。それでも法律上は、はじめから無効であったものとして扱う。事実を書き換えるのではなく、扱いを決めておるのじゃな。
だからこそ121条の2が要る。扱いは巻き戻せても、現実に渡ったものは自然には戻らぬからのう。
資格別の演習
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法121条がそのとおり定めています。取消しの時からではなく、行為の時にさかのぼって無効として扱われます。
取り消すことができる行為は、取消権者が取り消すまでの間は無効であり、追認によって有効となる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。取り消すことができる行為は、取り消されるまでは有効です。民法121条は「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす」と定めており、取消しがあってはじめて無効となります。民法122条の追認は、有効なものを「以後、取り消すことができない」状態に確定させるものです。
取り消すことができる行為は取消権者が取り消してはじめて無効となる点で、はじめから効力を生じない無効な行為とは異なる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。無効無効はじめから法律効果が生じないこと。取消しと違い、誰かが主張しなくても効力はありません。用語ページを見る →は誰の主張も要さずはじめから効力がないのに対し、取消し取消し一応有効に成立した法律行為を、取消権者の主張によってはじめにさかのぼって無効とすること。用語ページを見る →は民法120条の取消権者が行使してはじめて民法121条の効果が生じます。民法126条により取消権には期間の制限もあります。