刑法第41条・総則

刑法第41条:責任年齢

14歳に満たない者の行為は罰しません。たった1文の条文ですが、刑事未成年者を利用した者の責任がどうなるかという難問につながります。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

14歳未満は罪にならない、ってやつだね。それだけの条文?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

条文は一行じゃ。じゃが、この一行があるせいで、**「14歳未満の子を使って犯罪をさせた大人はどうなるのか」**という難しい問題が生まれる。判例はそこを丁寧に切り分けておるぞ。

条文の内容

十四歳に満たない者の行為は、罰しない。

責任年齢責任年齢せきにんねんれい刑事責任を問うことができる年齢。刑法41条は14歳に満たない者の行為は罰しないと定めており、14歳がその下限です。用語ページを見る →を14歳とする規定です。行為の時に14歳に満たなければ、罰せられません。

「罰しない」の並び

第一編第七章「犯罪の不成立及び刑の減免」には、「罰しない」と書かれた条文がいくつも並びます。

条文 「罰しない」対象
35条 法令または正当な業務による行為
36条1項 急迫不正の侵害に対する防衛行為
37条1項本文 現在の危難を避けるためのやむを得ない行為
38条1項本文 罪を犯す意思がない行為
39条1項 心神喪失心神喪失しんしんそうしつ刑法39条1項が「罰しない」と定める者の状態。刑法は定義を置いておらず、責任を問う前提となる能力を欠く場合として扱われます。犯罪は成立しません。用語ページを見る →者の行為
41条 14歳に満たない者の行為

判例——刑事未成年者を利用した者の罪責

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

子どもを使えば、大人も罰されないってこと?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

まさか。判例は、その子が自分の意思で動いたのか、それとも意思を抑えつけられて道具のように使われたのかで結論を分けておるのじゃ。

最決昭和58年9月21日は、自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている12歳の養女を利用して窃盗を行ったと認められる事実関係のもとでは、たとえその子が是非善悪の判断能力を有する者であっても、利用者に窃盗の間接正犯が成立するとしました。

これに対し最決平成13年10月25日は、生活費欲しさから強盗を計画した母親が12歳10か月の長男に指示命令して強盗を実行させた事案について、当時その子には是非弁別の能力があり、母親の指示命令は子の意思を抑圧するに足りる程度のものではなく、子は自らの意思で実行を決意したうえ臨機応変に対処して強盗を完遂し、奪ってきた金品をすべて母親が領得したなどの事実関係の下では、間接正犯でも教唆犯でもなく共同正犯が成立するとしました。

判例 子の状態 結論
最決昭和58年9月21日 日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されていた 窃盗の間接正犯
最決平成13年10月25日 指示命令は意思を抑圧するに足りず、自らの意思で決意 強盗の共同正犯

分かれ目は、子が是非弁別の能力を持っていたかではなく、意思が抑圧されていたかにあります。

資格別の演習

司法書士正誤問題AI生成類題

14歳に満たない者の行為は、罰せられない。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。刑法41条の文言そのものです。基準となるのは行為の時の年齢です。

司法試験正誤問題AI生成類題

刑事未成年者を利用して犯罪を実現した者は、その刑事未成年者が是非善悪の判断能力を有していた場合には、間接正犯となることはない。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。最決昭和58年9月21日は、日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている12歳の養女を利用した事案で、その子が是非善悪の判断能力を有していたとしても利用者に窃盗の間接正犯が成立するとしています。

司法試験正誤問題AI生成類題

刑事未成年者に指示命令して強盗を実行させた場合であっても、その指示命令が刑事未成年者の意思を抑圧するに足りる程度のものでなく、刑事未成年者が自らの意思で実行を決意したときは、指示した者に強盗の共同正犯が成立しうる。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。最決平成13年10月25日は、12歳10か月の長男に指示命令して強盗を実行させた母親につき、間接正犯または教唆犯ではなく共同正犯が成立するとしました。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

「罰しない」条文は、それで話が終わるわけではない。まわりにいた者の責任まで見通せるようになると、刑法の骨格が見えてくるぞ。

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