刑法第27条の2・総則
刑法第27条の2:刑の一部の執行猶予
3年以下の拘禁刑について、一部を実際に執行し、残りの執行を猶予する制度です。全部執行猶予とは対象者も猶予期間の起算点も異なります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
刑の「一部」を猶予するって、どういうこと? 半分だけ刑務所ってこと?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
近いのう。たとえば拘禁刑2年のうち1年6月を実際に執行し、残り6月の執行を猶予する、という形じゃ。施設での処遇と社会内での指導をつなぐために作られた制度なのじゃよ。
1項——要件
次に掲げる者が3年以下の拘禁刑の言渡しを受けた場合において、犯情犯情情状のうち、犯罪行為そのものの重さに関わる事情のこと(結果の大小、動機、態様など)。刑法10条3項や27条の2第1項が判断の基準として挙げています。用語ページを見る →の軽重および犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるときは、1年以上5年以下の期間、その刑の一部の執行を猶予することができます。
| 号 | 対象者 |
|---|---|
| 1号 | 前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者 |
| 2号 | 前に拘禁刑に処せられたことがあっても、その刑の全部の執行を猶予された者 |
| 3号 | 前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日または執行の免除を得た日から5年以内に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者 |
全部執行猶予との比較
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
25条と似てるけど、どこが違うの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
対象となる刑と、対象者の並べ方じゃな。刑の一部の執行猶予刑の一部の執行猶予拘禁刑の一部だけを実際に執行し、残りの部分の執行を猶予する制度(刑法27条の2)。猶予期間は、執行された部分を終えた日から起算されます。用語ページを見る →は罰金を対象にしておらん。そして25条2項では「再度」として別項に置かれていた者が、ここでは1項2号として同じ項の中に並んでおるのじゃ。
| 25条(全部) | 27条の2(一部) | |
|---|---|---|
| 対象の刑 | 3年以下の拘禁刑/50万円以下の罰金 | 3年以下の拘禁刑のみ |
| 判断基準 | 情状情状刑を決めるにあたって考慮される、犯行の事情や犯人の境遇などの一切の事柄。刑法25条の執行猶予や36条2項の過剰防衛の減免は、この情状によって判断されます。用語ページを見る →により | 再犯防止に必要かつ相当と認めるとき |
| 猶予期間 | 1年以上5年以下 | 1年以上5年以下 |
2項・3項——猶予期間の起算点
ここが全部執行猶予との最大の違いです。
| 項 | 起算点 |
|---|---|
| 2項 | 執行が猶予されなかった部分の期間を執行し、その執行を終わった日または執行を受けることがなくなった日から起算 |
| 3項 | ただし、その時点で他に執行すべき拘禁刑があるときは、その拘禁刑の執行を終わった日または執行を受けることがなくなった日から起算 |
刑法25条1項が「裁判が確定した日から」としていたのに対し、一部執行猶予では実刑部分を終えてから猶予期間が始まります。
資格別の演習
刑の一部の執行猶予は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の言渡しを受けた場合に認められる。
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解答:×
誤りです。刑法27条の2第1項の対象は「3年以下の拘禁刑」に限られます。罰金は対象外です。
刑の一部の執行猶予における猶予期間は、執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わった日から起算する。
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解答:◯
正しい記述です。刑法27条の2第2項が定めています。裁判確定の日から起算する全部の執行猶予(25条1項)とは異なります。
刑の一部の執行猶予は、再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるときに言い渡すことができる。
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解答:◯
正しい記述です。刑法27条の2第1項は、犯情の軽重および犯人の境遇その他の情状を考慮したうえで、再犯防止のために必要かつ相当と認められることを要件としています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「実刑を終えてから猶予期間が始まる」。ここを外さなければ、一部執行猶予の全体像は見えてくるぞ。