刑法第232条・名誉に対する罪
刑法第232条:親告罪(名誉に対する罪)
名誉に対する罪を章まるごと親告罪とします。2項は、天皇や外国の元首について誰が代わって告訴するかを定める特別な規定です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
2項……内閣総理大臣が代わって告訴する?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
刑法のなかでも、ここにしかない定めじゃな。告訴という手続を、誰が担うかを条文が名指ししておる。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない |
| 2項 | 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者が、それぞれ代わって告訴を行う |
1項——章全体が親告罪親告罪告訴がなければ公訴を提起することができない罪。刑法135条は、秘密を侵す罪(信書開封罪・秘密漏示罪)を親告罪としています。用語ページを見る →
| 条文 | 罪 |
|---|---|
| 230条1項 | 名誉毀損罪名誉毀損罪公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損すること(刑法230条1項)。条文は「その事実の有無にかかわらず」と定めており、摘示した事実が真実でも成立しうる書き方になっています。用語ページを見る → |
| 230条2項 | 死者の名誉毀損 |
| 231条 | 侮辱侮辱事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱すること(刑法231条)。1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。用語ページを見る → |
135条(秘密を侵す罪)と同じ「この章の罪は」という書き方です。229条が対象を細かく絞っていたのとは対照的です。
2項——告訴の代行
| 告訴権者 | 代わって告訴する者 |
|---|---|
| 天皇、皇后、太皇太后、皇太后、皇嗣 | 内閣総理大臣 |
| 外国の君主または大統領 | その国の代表者 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
自分では告訴しない、っていうことなんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文は「代わって告訴を行う」と書いておる。親告罪という仕組みを維持しつつ、手続を担う者を別に定めた——そう読めるのう。
親告罪の書き方を比べる
| 条文 | 範囲 |
|---|---|
| 刑法135条 | この章の罪(秘密を侵す罪) |
| 刑法209条2項 | 過失傷害罪 |
| 刑法229条 | 224条とその幇助目的の227条1項のみ |
| 刑法232条 | この章の罪(名誉に対する罪)+告訴の代行 |
| 刑法244条2項 | 一定の親族間の窃盗等 |
| 刑法264条 | 259条・261条・263条 |
第三十四章を読み終えて
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 230条 | 名誉毀損 |
| 230条の2 | 公共の利害に関する場合の特例公共の利害に関する場合の特例名誉毀損の行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、真実であることの証明があったときは罰しないという規定(刑法230条の2第1項)。2項・3項は、起訴前の犯罪行為に関する事実と、公務員等に関する事実の特則を置きます。用語ページを見る → |
| 231条 | 侮辱 |
| 232条 | 親告罪 |
資格別の演習
侮辱罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
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解答:◯
正しい記述です。刑法232条1項が「この章の罪は」と定めており、231条も含まれます。
告訴をすることができる者が外国の大統領であるときは、その国の代表者が代わって告訴を行う。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法232条2項の定めです。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の第三十五章は、信用と業務を守る章じゃ。3か条だけじゃが、実務でよく使われる条文が並ぶぞ。