刑法第252条・横領の罪
刑法第252条:横領
自己の占有する他人の物を横領する罪です。名義を借りて登記された第三者による横領について判断した令和4年の最高裁判例があります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「自己の占有する他人の物」——持っているのは自分なんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが窃盗窃盗他人の財物を窃取すること(刑法235条)。10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、243条により未遂も罰せられます。用語ページを見る →との決定的な違いじゃ。すでに手元にある物を自分のものにする——だから242条を準用する必要もない。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の拘禁刑に処する |
| 2項 | 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする |
要件を分解する(1項)
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 客体 | 自己の占有する他人の物 |
| 行為 | 横領した |
| 刑 | 5年以下の拘禁刑 |
2項——自己の物の場合
242条・262条と同じ発想の特則が、条文の中に組み込まれています。
| 条文 | 自己の物でも重く扱われる場合 |
|---|---|
| 刑法242条 | 他人が占有し、または公務所の命令により他人が看守する |
| 刑法252条2項 | 公務所から保管を命ぜられた |
| 刑法262条 | 差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、または配偶者居住権が設定された |
判例——第三者名義での登記と横領罪
最判令和4年4月18日は、農地の所有者たる譲渡人と譲受人との間で農地の売買契約が締結されたが、譲受人の委託に基づき、第三者の名義を用いて農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された場合において、当該第三者が当該土地を不法に領得したときは、当該第三者に刑法252条1項の横領罪が成立するとしました。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
登記名義が自分でも、横領になるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
登記の名義と、刑法上の「他人の物」かどうかは別——そこが読みどころじゃな。157条(公正証書原本不実記載)でも、民事の権利関係を確かめてから刑事の結論が出ておった。
253条・254条との比較
| 条文 | 客体 | 刑 |
|---|---|---|
| 252条 | 自己の占有する他人の物 | 5年以下の拘禁刑 |
| 253条 | 業務上自己の占有する他人の物 | 10年以下の拘禁刑 |
| 254条 | 占有を離れた他人の物 | 1年以下の拘禁刑等 |
準用
第255条により、244条(親族間の犯罪に関する特例親族間の犯罪に関する特例配偶者、直系血族または同居の親族との間で窃盗罪等を犯した者は、その刑を免除するという規定(刑法244条1項)。いわゆる親族相盗例で、最高裁は内縁の配偶者には適用も類推適用もされないとしました。用語ページを見る →)が準用されます。242条・245条は準用されません。
未遂
第三十八章には未遂処罰の規定がありません。
資格別の演習
自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合においてこれを横領したときは、刑法252条により処罰される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。同条2項の定めです。
譲受人の委託に基づき第三者の名義を用いて農地法所定の許可が取得され、当該第三者に所有権移転登記が経由された場合において、当該第三者が土地を不法に領得したときは、横領罪が成立する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判令和4年4月18日の判断です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の253条は、業務という一語で刑が倍になる条文じゃ。